レポート

TDB景気動向調査2026年4月(近畿ブロック:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)

■近畿ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.9

-1.8

中東情勢の緊迫化で、4年2カ月ぶり40割れ

・概況

中東情勢の緊迫化が、近畿経済に暗い影を落とし始めている。ガソリン補助金の発動により『運輸・倉庫』は改善したものの、建築資材の調達に支障が生じ始めた『建設』の悪化が、『不動産』の悪化を誘発。さらに、『製造』『卸売』では化学分野を中心に、マイナスの影響が広がった。地域全体を覆う停滞感は、『サービス』の中でも「リース・賃貸」「広告」「情報サービス」「人材派遣・紹介」といったBtoB業態の悪化にも波及している。先行きに関しても、見通し3指標は2カ月連続で悪化。景況感は当面、弱含みでの推移が続きそうだ。

・景気DI

『近畿』は前月比1.8ポイント減の39.9と、2カ月連続で悪化。府県別では「滋賀」を筆頭に全6府県、規模別では全規模が悪化した。悪化幅は全国(41.5、同1.4ポイント減)より大きく、全国との格差は▲1.6ポイントに拡大。『北陸』『北海道』に抜かれ、ブロック別順位は6位に後退した(前月4位)。

・規模別DI

「大企業」(45.3、前月比2.7ポイント減)、「中小企業」(38.9、同1.7ポイント減)ともに2カ月連続で悪化した。「大企業」はコロナ5類移行後の最低となり、「中小企業」は2022年3月(39.9)以来4年1カ月ぶりに40を下回った。規模間格差は6.4ポイントに縮小したが、依然として高水準。

・業界別DI

『小売』『運輸・倉庫』など3業界が改善。一方で、中東情勢の緊迫化に伴う資材の価格高騰・調達難に直面する『建設』『不動産』など7業界が悪化した。化学や機械分野に影響が生じる『製造』は、2021年2月(35.6)以来の低水準。『サービス』はBtoB業態が悪化し、2022年3月(43.8)以来の低水準に。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(前月比2.7ポイント減)、「6カ月後」(同2.6ポイント減)、「1年後」(同1.6ポイント減)の3指標いずれも2カ月連続で悪化した。悪化幅は前月から縮小したものの、府県別では全6府県、規模別では全規模、業界別では7業界の先行き3指標が悪化。業界別では『建設』『不動産』の悪化が目立った。

■大阪府

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.8

-1.1

2カ月連続で悪化、『建設』がコロナ禍以来の大幅悪化

・概況

「大阪」では昨夏以降、改善と悪化を繰り返す一進一退が続いていたが、4月は2カ月連続の悪化となった。規模別では「大企業」、業界別では『建設』の悪化が目立った。企業からは「石油にかかわる原材料の入手が非常に困難になっている」(化学品製造)や、「資材の調達について、短期的なめども立たない」(その他の卸売)など、さまざまな業界で中東情勢の緊迫化の影響が色濃く表れた。資材の調達面の不安や物価高に伴う個人消費の低迷などで先行き不透明感が高まっており、景況感は当面、弱含みでの推移が続きそうだ。

・景気DI

「大阪」は前月比1.1ポイント減の40.8。2025年8月以降、改善と悪化を繰り返す一進一退が続いていたが、2カ月連続の悪化となった。全国(41.5、同1.4ポイント減)との格差(大阪-全国)は▲0.7ポイントと前月から僅かに縮小し、都道府県別順位は22位から13位に上昇した。

・規模別DI

「大企業」は前月比2.7ポイント減の45.8となり4カ月連続で悪化した。「中小企業」は同0.8ポイント減の39.6と2カ月連続で悪化した。「小規模企業」(37.7、同1.5ポイント減)も2カ月ぶりに悪化した。規模間格差は2カ月ぶりに縮小したが、依然として高水準。

・業界別DI

9業界中6業界が悪化した。特に『建設』(42.4、前月比8.1ポイント減)の悪化幅は、コロナ禍前半の2020年4月(8.4ポイント減)以来の大きさとなった。『金融』『製造』『サービス』は2カ月連続で悪化した。なお、金利上昇への警戒感が強まる『不動産』は7カ月連続で悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(前月比2.1ポイント減)、「6カ月後」(同2.5ポイント減)、「1年後」(同1.4ポイント減)の3指標がそろって2カ月連続で悪化。業界別では『金融』『卸売』『運輸・倉庫』を除く6業界で先行き3指標が悪化した。規模別では、すべてで先行き3指標が悪化した。

■京都府

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.7

-2.3

規模間格差5カ月連続の2桁台

・概況

「京都」の景気DIは3カ月ぶりに悪化した。「商品供給の遅れで建築物の完成が遅れている」(卸売)、「中東情勢の混乱でさらなる値上げ、サプライチェーンの混乱が生じ、先行きが読めない」(製造)など、幅広い業界で先行きを懸念する声が聞かれる。特に中小零細企業の低迷が続き、規模間格差は5カ月連続の2桁台となった。中東情勢の不安定化で、今後は調達難やさらなる物価高、より一層の消費低迷が予想されるため、景況感は後退局面が続く可能性がある。

・景気DI

「京都」の景気DIは、前月比2.3ポイント減の40.7に悪化した。『全国』(41.5)との格差は▲0.8ポイント(前月+0.1ポイント)となり、『全国』を下回った。『近畿』の順位は2位(同2位)と横ばいだったが、都道府県別の順位は14位(同13位)に後退した。

・規模別DI

「大企業」は51.1(前月52.7)、「中小企業」は38.9(同41.4)、「小規模企業」は37.7(同38.9)となり、全規模で悪化。「大企業」と「中小企業」の規模間格差は12.2(同11.3)に拡大、5カ月連続の2桁台に。規模間格差が5カ月連続2桁となるのは、2002年の調査開始以降、初めて。

・業界別DI

『農林水産』『金融』『サービス』を除く6業種が悪化。好調を維持してきた『不動産』は8カ月ぶりの50割れ、『建設』『製造』『卸売』は40割れとなった。中東情勢の不安定化で調達難が出始めた『建設』は47カ月ぶりの40割れとなった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」39.4(前月41.9)、「6カ月後」40.1(同42.3)、「1年後」42.7(同43.4)となり、全期間で前月を下回った。業界別では、『建設』『不動産』『卸売』『小売』が全期間で悪化見通し。規模別では、全規模・全期間で悪化見通しとなった。

■兵庫県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.8

-2.5

4年1カ月ぶりの30台

・概況

「兵庫」の景気DIは2カ月連続の悪化となった。中東情勢の悪化は、ホルムズ海峡の封鎖を受け、その影響は広範囲に及び深刻化しつつある。「材料費の高騰、品不足の影響」(建設)など建設資材の品不足による工期遅れを懸念する声や、資材の調達難から事業活動の縮小を余儀なくされる企業も見られる。また「包装・梱包材の値上げ要請が多い」(卸売)など、幅広い業種で仕入れコスト上昇に関するコメントも目立った。今後は中東情勢の動向と原油・為替相場と物価への影響、政府による支援策の動向などが注目される。

・景気DI

「兵庫」の景気DIは前月比2.5ポイント減の38.8で2カ月連続の悪化。2022年3月(39.2)以来の30台となった。前年同月比では3.7ポイント下回った。全国順位は34位(前年同月15位)。『全国』は前月比1.4ポイント減の41.5、『近畿』は同1.8ポイント減の39.9でともに2カ月連続の悪化となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比2.4ポイント減の43.1で4カ月連続の悪化となった。「中小企業」は同2.4ポイント減の38.3、うち「小規模企業」は同2.1ポイント減の37.2でともに2カ月連続の悪化となった。規模間格差は4.8ポイント(前月4.8ポイント)と前月比横ばいとなった。

・業界別DI

10業界中6業界で悪化。『農・林・水産』は、前月比11.1ポイント減の38.9、『建設』は同4.8ポイント減の39.0で2022年11月(39.8)以来の30台となった。『製造』も同2.8ポイント減の37.8で5カ月連続の悪化となった。

・先行き見通しDI

3カ月後は前月比3.0ポイント減、6カ月後は同2.9ポイント減、1年後は同1.7ポイント減と全指標で悪化。業界別では『建設』『製造』『卸売』『サービス』などの4業界で全指標悪化。規模別でもすべての規模で全指標悪化となった。

■滋賀県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.2

-3.1

2021年9月の景気DI37.5以来の低水準

・概況

「滋賀」の景気DIは前月比3.1ポイント悪化した。企業からは「民間工事、公共工事ともに発注が減っているなか、イラン情勢で全ての資材が上昇しており、発注停止になる案件も出てきている」(建設業)、「3月までは例年どおりであったが、4月以降は急速に石油由来の製品が入荷しなくなった」(建設業)、「中東情勢の不安定化に伴う物価高と先行き不安から来る消費控えが外食業界において向かい風となっている」(飲食業)などの声が聞かれ、今後を不安視する声はしばらく続く可能性が高いであろう。

・景気DI

「滋賀」の景気DIは40.2と前月比3.1ポイント悪化した。業界別では悪化が6業界、改善が2業界、横ばいが1業界となった。近畿ブロック内の2府4県別順位は3位に後退し、全国においては18位(前年同月は12位)となった。

・規模別DI

「大企業」が35.9と前月比9.0ポイント、「中小企業」が40.8と同2.3ポイント、「小規模企業」は40.2と同2.4ポイント悪化した。また、「大企業」は5カ月ぶりに「中小企業」を下回った。

・業界別DI

前月と比較可能な9業界中6業界で悪化、2業界で改善、1業界で前月比横ばいとなった。『農・林・水産』『建設』『不動産』『製造』『運輸・倉庫』『サービス』が悪化した一方で、『卸売』『小売』が改善を果たした。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が37.8(前月41.4)、「6カ月後」が39.4(前月42.1)、「1年後」が41.8(前月43.6)だった。イラン情勢でのホルムズ海峡の緊張感の高まりにより世界の原油先物価格が急騰しており、製造業、建設業、物流業などエネルギー消費の多い産業を中心に企業収益の圧迫が見受けられる。

■奈良県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

35.3

-2.8

2カ月連続悪化

・概況

「奈良」の景気DIは2カ月連続で悪化し35.3となった。中東情勢の悪化により先行きが見通せない中、原油価格の高騰や石油関連製品の価格上昇が影響し収益性が圧迫している。また、仕入価格が上昇する中で、販売価格への転嫁の厳しさを感じており、3カ月後、6カ月後、1年後の先行き見通しDIも悪化している。今後も中東情勢の行方があらゆる業界の先行きに影響を及ぼすと思われる。

・景気DI

景気DIは前月から2.8ポイント悪化し35.3となった。都道府県別順位は前月の44位から悪化し45位となった(前年同月順位41位)。近畿では大阪が40.8で全国13位、次いで京都が40.7で同14位となった。「近畿」全体では前月比1.8ポイント悪化、「全国」でも同比1.4ポイント悪化となった。

・規模別DI

「大企業」は38.1と前月比7.1ポイント悪化、「中小企業」は34.9と同比2.3ポイント悪化、「小規模」は31.7と同比2.7ポイントそれぞれ悪化した。「大企業」「中小企業」「小規模」のいずれも悪化しており、規模間格差は3.2と前月比4.8ポイント縮小している。

・業界別DI

『卸売』(35.4)は前月比0.7ポイント、『小売』(40.0)は同6.7ポイント改善が図られた。一方で、『建設』(36.7)は前月比8.3ポイント、『製造』(31.9)は同2.9ポイント、『サービス』(37.5)は同8.3ポイントそれぞれ悪化した。

・先行き見通しDI

3カ月後は35.6(前月38.4)、6カ月後は35.9(同38.4)、1年後は40.1(同42.1)で、すべての期間で悪化見通しとなった。特に3カ月後は35.6と前月比2.8ポイント悪化しており、景気悪化を見込んでいる企業が多いことを示している。

■和歌山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

36.8

-2.4

2カ月連続で悪化

・概況

「和歌山」は、前月比で2.4ポイント減の36.8と2カ月連続で悪化した。ホルムズ海峡の事実上の封鎖の影響が、新年度4月に入り各業界で具体的な値上げとして表れ、安定的な調達に懸念が広がりつつある。和歌山の地場産業である化学品関連業、アパレル関連業(繊維製品加工業)、海南市に集積する日用品雑貨関連業では化学品原料やナフサ由来の樹脂製品で3割程度の値上げ要請を受けている企業もあり、企業業績への影響や生産活動の遅延への影響が懸念される。

・景気DI

「和歌山」は、前月比で2.4ポイント減の36.8と2カ月連続で悪化し、40ポイントを割り込んだ。『全国』(41.5)と『近畿』(39.9)との乖離幅が広がり、落ち込みが目立っている。

・規模別DI

「大企業」が47.9と前月比4.1ポイント改善したものの、「中小企業」が前月比3.2ポイント減の35.5に落ち込み、、全体を押し下げる結果となった。とりわけ、大企業と中小企業のDIの差が12.4ポイントとかなり広がっている。

・業界別DI

『小売』(36.7)は前月比で改善し、『運輸・倉庫』(33.3)は横ばいだったものの、『建設』(39.6)『サービス』(37.5)『卸売』(36.4)『製造』(33.3)が前月比悪化。いずれの業種のDIも30ポイント台に留まり、景況感の悪化がうかがえる。

・先行き見通しDI

3カ月後が35.5(前月40.9)、6カ月後が37.5(同41.4)、1年後が38.4(同42.4)といずれも2カ月連続で3指標ともに悪化した。ホルムズ海峡の事実上の封鎖の影響が徐々に出てきており、石油由来製品の原材料に関する値上げ要請や安定的な調達に懸念が広がり、不透明感が強まっている。

「近畿ブロック(2026年4月)」の詳細(近畿ブロック:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)