レポート

TDB景気動向調査2026年3月(東北ブロック:青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)

■東北ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.6

-1.3

2カ月ぶりに悪化

・概況

景気DI(38.6)は、県・規模・業界を問わず悪化が目立ち、全体では2カ月ぶりに悪化した。長期化する物価高の下で、取引先・顧客に価格転嫁が浸透し、その度合いも僅かながら進んでいる。しかし、依然として十分な水準には達しておらず、中東情勢に伴う原油価格の高騰を背景に、石油製品のさらなる値上げや供給不足を不安視する声も多い。特に『運輸・倉庫』では、前月から大幅に悪化しており、他業種への影響が広がる可能性も懸念される。賃上げ意欲の低下も指摘されており、景気回復には時間を要するだろう。

・景気DI

景気DI(38.6)は前月比1.3ポイント減少し、2カ月ぶりに悪化した。『全国』(42.9)との格差は4.3で前月比0.1ポイント縮小した。県別では、改善1県(「秋田」)、悪化5県(「青森」「岩手」「宮城」「山形」「福島」)となった。

・規模別DI

「大企業」(42.6)が前月比1.6ポイント、「中小企業」(38.2)が同1.3ポイントそれぞれ減少した。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は4.4となり、同0.3ポイント縮小した。

・業界別DI

改善が『不動産』『サービス』『建設』の3業界、悪化が『運輸・倉庫』『金融』『農・林・水産』などの6業界、横ばいが『その他』の1業界となった。『その他』を除く9業界では『農・林・水産』(47.8)が最も高く、『運輸・倉庫』(30.7)が最も低かった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は39.6(当月比1.0ポイント増)、「6カ月後」は40.0(同1.4ポイント増)、「1年後」は40.6(同2.0ポイント増)となった。前月との比較では3指標すべてで悪化した。

■青森県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.5

-0.2

2カ月連続の悪化

・概況

青森県の景気DIは39.5となり、前月から0.2ポイントダウンし、2カ月連続で悪化した。中東情勢の緊迫化に加え、物価高や最低賃金の高まりなど、依然としてコスト上昇圧力が強まるなか、今後もしばらくは一進一退の足踏み状態が続く可能性が高い。

・景気DI

景気DIは39.5となり、前月から0.2ポイント悪化した。都道府県別順位は35位と前月の42位からアップ、東北6県の中では秋田に次ぐ2位。不安定な原油市場を受け、『運輸・倉庫』がダウンしたほか、原価高騰により『農・林・水産』も悪化した。

・規模別DI

「大企業」が、42.9ポイントと前月から4.7ポイント悪化した一方、「中小企業」と「小規模企業」については改善。特に、「小規模企業」は同5.2ポイント改善の40.9となり、「大企業」と「中小企業」・「小規模企業」との規模間格差は縮小しつつある。

・業界別DI

業界別では、積雪量が少なく、観光需要を取り込むことで、「飲食料品・飼料製造」のほか、関連する「飲食料品卸売」、「飲食料品小売」がいずれも前月から改善した。一方、原油や原材料価格の高騰を受けて投資需要が落ち込み、「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」や「運輸・倉庫」が悪化した。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、「3カ月後」、「6カ月後」、「1年後」がいずれも悪化した。原材料価格の高騰を受けて、『卸売』と『小売』が悪化トレンドにあるうえ、中東情勢の緊迫化を受けて『運輸・倉庫』では「3カ月後」と「6カ月後」が大きく悪化した。

■岩手県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

36.4

-1.4

2カ月ぶりに悪化

・概況

景気DIは2カ月ぶりに悪化し、7カ月連続で40を下回り、都道府県順位が全国46位となった。「大企業」が判断の分かれ目となる50を回復した一方で、「中小企業」は18カ月連続で40を下回った。業界別では引き続き『小売』や『卸売』の苦境が目立つ。先行き見通しの「6カ月後」と「1年後」はブロック最低にとどまった。円安や物価高、金利上昇の影響に加え、中東情勢の行方にも留意が必要であり、当面は一進一退の景気動向が続くと見込まれる。

・景気DI

景気DIは前月比1.4ポイント減の36.4となり、2カ月ぶりに悪化し、7カ月連続でDIが40を下回った。過去1年間で40を上回ったのは2025年8月の1度のみ。都道府県順位は、過去2カ月連続で全国47位であったが、今回調査では46位となった(前年同月は全国47位)。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.7ポイント増の50.0となり、16カ月ぶりに判断の分かれ目となる50を回復した。「中小企業」は同1.5ポイント減の35.2となり、18カ月連続で40を下回った。「大企業」と「中小企業」の格差(大企業-中小企業)は14.8に拡大した(前月は11.6)。

・業界別DI

低水準で推移している『小売』が前月比6.0ポイント減の25.5まで落ち込んだほか、『卸売』が31.0、『製造』が38.4と、いずれも前月からやや低下した。前月悪化した『サービス』は44.8まで持ち直しており、この水準を今後も維持できるか注目される。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が38.4、「6カ月後」が38.1、「1年後」が38.6と、いずれも40を超えた前月から悪化した。「6カ月後」と「1年後」はブロック最低にとどまり、全国の水準にも及ばなかった。

■宮城県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

37.6

-1.9

15カ月連続の30台

・概況

景気DI(37.6)は前月比1.9ポイント悪化し、15カ月連続で30台となった。業界別では8業界で悪化、『小売』をはじめとした4業界で30を下回った。企業からは、ドラッグストアなど大手の出店による価格競争の激化に関する声が聞かれたほか、中東情勢の悪化による原油価格の高騰の影響や、先行きへの不安感が多く聞かれた。今後、物価高が加速する可能性が否めず、さらに石油由来の製品が不足するといった懸念も残る。先行きの不透明感は、消費者にも影響を及ぼすとみられ、景気動向は低調に推移することが見込まれる。

・景気DI

「宮城」の景気DIは前月比1.9ポイント減の37.6となり、15カ月連続で30台となった。『全国』(42.9)との比較では5.3ポイント下回り、格差は前月から0.5ポイント拡大した。都道府県別順位は45位で前年同月比横ばいだった。

・規模別DI

「大企業」(42.1)が前月比4.4ポイント、「中小企業」(37.1)が同1.6ポイントそれぞれ減少した。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は5.0で同2.8ポイント縮小した。

・業界別DI

改善は『不動産』の1業界、悪化は『農・林・水産』『運輸・倉庫』『小売』などの8業界、横ばいは『金融』の1業界となった。『その他』を除く9業界では『金融』(50.0)が最も高く、『小売』(26.2)が最も低かった。『小売』をはじめ、4業界で30を下回った。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は38.1(当月比0.5ポイント増)、「6カ月後」は39.2(同1.6ポイント増)、「1年後」は39.5(同1.9ポイント増)となった。すべての指標で40を下回り、前月から悪化した。

■秋田県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.2

1.6

2カ月連続で改善

・概況

景気DIは、『東北』が前月比1.3ポイント、『全国』は同1.4ポイントそれぞれ悪化している。『東北』では、本県のみが改善したものの、その他5県が悪化した。本県の業界別では『農・林・水産』と『建設』が悪化しており、米の販売低迷と官公庁工事の発注減が主たる要因との見方がある。本県は2カ月連続で改善しているものの、物価高で消費は弱含みで推移しているほか、中東情勢の不安定さもあり、当面は一進一退の景気動向が続くと見込まれる。

・景気DI

「秋田」の景気DIは42.2と2月から1.6ポイントアップした。『東北』6県では前月の第2位から第1位にアップし、『東北』(38.6)を3.6ポイント上回った。また『全国』(42.9)を0.7ポイント下回ったものの、都道府県順位は前月の第36位から第18位にアップした。

・規模別DI

規模別では、「大企業」(41.7)は前月から3.5ポイントダウンしたものの、「中小企業」(42.3)は同2.1ポイントアップした。この結果、「大企業」と「中小企業」のDIは逆転し、「中小企業」の方が高くなった。

・業界別DI

業界別では、『農・林・水産』『建設』の2業界が前月比で悪化したものの、『不動産』『小売』『卸売』『製造』『サービス』『その他』の6業界が改善した。改善した中では『卸売』(47.6)の同9.5ポイント増が目立った。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、特に起爆剤となる要因は見当たらず、「3カ月後」42.8、「6カ月後」42.4、「1年後」43.1と引き続き低位で推移するとの見通しが強い。

■山形県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.9

-1.1

2カ月ぶりに悪化

・概況

「中東情勢による今後の値上げ、品不足に備えて前倒しで商品が売れる」(製造、中小企業)など、3月は新年度からの値上げを見据えた消費動向がみられた。一方で「建築鉄骨加工業界の供給能力に対し昨年暦年度の需要量は約80%、今年度も続いている」(建設、中小企業)や「円安と原油高による物価高騰」(製造、中小企業)など厳しい声も多い。今後についても「デフレの感覚のまま経済活動を行っていることが現在の景況感の要因」、「戦争が終わるまで景気は落ち着かない」(卸売、中小企業)など、当面は不透明な見通しにあるようだ。

・景気DI

「山形」の景気DIは前月比1.1ポイント悪化し38.9となった。『全国』のDIは42.9と同1.4ポイントの悪化を示し、『東北』のDIも同1.3ポイント悪化して38.6となった。「山形」の景気DIは2カ月ぶりに40を下回った。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.8ポイント改善し39.7を示した。一方「中小企業」は同1.3ポイント悪化の38.8となり、うち「小規模企業」は同3.0ポイント悪化して35.3となった。規模別では「大企業」のみ前月比改善した。

・業界別DI

前月比改善したのは『農・林・水産』『建設』『卸売』の3業界のみにとどまった。一方で、『金融』『不動産』『製造』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』の6業界は悪化した。『製造』は5カ月ぶりに、『小売』は4カ月ぶりに悪化に転じた。『運輸・倉庫』は3カ月連続で悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比1.9ポイント減の40.2となり、4カ月ぶりに悪化した。「6カ月後」は同2.3ポイント減の40.9と、3カ月連続で悪化した。「1年後」は同3.8ポイント悪化して41.1となり、今後についてはいずれの指標も厳しい見通しを示した。

■福島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.4

-3.3

7カ月ぶりに30台に悪化

・概況

7業界が悪化して「福島」の景気DI(38.4)は前月比3.3ポイント低下、7カ月ぶりに30台に悪化した。企業からは「産業機械関連の案件が増加」(製造)との声がある一方、「公共、民間ともに工事案件が少ない」(建設)、「材料費高騰分を価格転嫁した結果、販売数量が激減」(製造)、「燃料の値上げ要請がある」(運輸・倉庫)などの声が届いた。物価高に加え、中東情勢が歴史的な緊張局面にあり、エネルギー価格の高騰が中小企業の経営に直接的な影響を及ぼす可能性もあり、当面は不安定な景気動向が続くことも想定しておく必要があろう。

・景気DI

「福島」の景気DIは、38.4と2月を3.3ポイント下回って、2カ月ぶりに低下したほか、7カ月ぶりに30台に悪化した。『全国』の景気DIは、前月(44.3)を1.4ポイント下回り、42.9となった。「福島」の都道府県別順位は、前月の第32位から第42位となった。

・規模別DI

「大企業」(41.7)は前月比1.2ポイント上昇、「中小企業」(38.1)は同3.7ポイント低下、「小規模企業」(33.7)は同5.1ポイント低下した。格差(大企業-中小企業)は3.6となり、2カ月ぶりに「大企業」が「中小企業」を上回った。

・業界別DI

『金融』は改善したが、『農・林・水産』『運輸・倉庫』『建設』『卸売』『小売』『サービス』『製造』の7業界が悪化した。『建設』は11カ月ぶり、『卸売』は7カ月ぶりに30台に悪化したほか、『小売』は19カ月連続で30台にとどまった。

・先行き見通しDI

「1年後」の先行き見通しDIは5業界が当月からの改善を見込んでいる。特に『運輸・倉庫』は当月(33.3)から12.5ポイント、『金融』は同(33.3)から5.6ポイントの改善を見込んでいる。一方、業界比率の突出している『建設』の「1年後」が、同(38.9)から1.4ポイント低下を見込んでおり、やや懸念される。

「東北ブロック(2026年3月)」の詳細(青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)