レポート

TDB景気動向調査2026年3月(南関東ブロック:埼玉・千葉・東京・神奈川)

■南関東ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

46.3

-0.9

2カ月ぶりに悪化、中東情勢の影響を懸念

・概況

『南関東』の景気DIは全国順位でトップを維持したものの、2カ月ぶりに悪化した。規模別、業界別、先行きのいずれも多くが悪化し、ホルムズ海峡閉鎖による原油高の影響が表われた形となった。「原材料費があまりに高騰しており、需要もコロナ禍以降で最も弱い」(その他製造)、「消費者による買い控えが顕著」(家具卸売)との声もある。企業・消費者ともコスト上昇により需要が低下しているため、さらなる下振れのリスクも高まっていると言える。

・景気DI

『南関東』の景気DIは前月から0.9ポイント減の46.3となり、2カ月ぶりに悪化したが、全国順位は13カ月連続でトップを維持した。都県別では、「神奈川」(前月比0.1ポイント増)が3カ月ぶりに改善したが、「埼玉」が同2.4ポイント減となったほか、「東京」は同1.0ポイント、「千葉」は同0.1ポイント悪化した。

・規模別DI

「大企業」「中小企業」「小規模企業」の全ての規模で2カ月ぶりに悪化した。「大企業」「中小企業」は前月比0.9ポイント低下、「小規模企業」は同1.3ポイント低下した。規模間格差は前月同様4.3ポイントとなった。

・業界別DI

業界別では『農・林・水産』『金融』は改善したが、そのほか8業界は悪化した。特に、『小売』は前月比4.3ポイント低下し、金利上昇や中東情勢の影響によるコスト高で消費者需要が低迷することを懸念する声が多かった。原油高の影響が大きい『運輸・倉庫』も同2.4ポイント低下した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は45.1(前月48.6)、「6カ月後」は45.3(同49.2)、「1年後」は46.6(同49.6)とすべて悪化した。規模別でも全てで50を下回った。業界別では、「1年後」のDIが前月を上回ったのは『金融』のみで、そのほかの9業界はいずれも悪化した。

■埼玉県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.2

-2.4

4年2カ月ぶりの2.0ポイントを超える悪化

・概況

埼玉県の景気DIは前月比2.4ポイント減の42.2となり、2カ月ぶりに悪化した。2月は同1.6ポイント増の改善であったが、3月は大幅に悪化。企業からの声も厳しい声が相次ぎ、プラスの見方は建機関係など一部に限られる。予想していた通り、イラン情勢に関して懸念の声を示す企業が多く、燃料費をはじめ、物価高に対する警戒心は相当に高い。先行き見通しも悲観的な見方が目立ち、前月比の悪化幅はここ数年みられないレベル。さらに、一部メーカーでは、モノが入らないと足元で既に影響が出ている企業もある。

・景気DI

景気DIは42.2となり、前月比2.4ポイント減で2カ月ぶりに悪化した。全国、『南関東』もそれぞれ悪化。管内都県は「神奈川」のみ改善して他は悪化。「埼玉」の悪化幅は最大で、2.0ポイントを超える悪化幅は2022年1月以来4年2カ月ぶり。「埼玉」の全国順位は18位で前月(14位)から4ランクダウン。

・規模別DI

「大企業」は前月比2.0ポイント減の44.8、「中小企業」は同2.5ポイント減の41.8、「小規模企業」は同3.7ポイント減の41.2となり、いずれの規模も悪化した。「大企業」と「中小企業」規模間格差は3.0ポイント。「小規模企業」の悪化幅3.0ポイント超えは2021年1月以来5年2カ月ぶり。

・業界別DI

前月と比較可能な8業界中、『金融』のみ横ばいで、他は全て悪化。悪化幅最大は『小売』で前月比5.4ポイント減、『運輸・倉庫』(同4.7ポイント減)、『建設』(同4.3ポイント減)が続く。DI40台と50台は前月から一つずつ減り、30台がその分増えて3業界となった。7業界の悪化は2025年5月以来10カ月ぶり。

・先行き見通しDI

「3カ月後」41.8(前月46.3)、「6カ月後」42.9(同47.8)、「1年後」45.1(同48.7)となり、3指標ともに前月を下回った。先へ行くほど上昇の傾向に変化はないが、いずれも前月から大きくダウン。3指標全てが1.0ポイントを超える悪化幅となったのは、2025年4月以来11カ月ぶり。

■千葉県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.8

-0.1

4カ月ぶりに悪化

・概況

「千葉」の景気DIは44.8となり、4カ月ぶりに悪化。イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖により原油高や供給不安の広まりによって、先行き見通しDIも悪化した。企業からは、「イラン情勢の収束が見通せず、先行き不透明」(食料品製造)などの声が聞かれ、燃料や原材料としての原油供給が長期にわたり滞ることになれば、各方面に多大な影響が出ることが見込まれる。さらに、消費者の買い控えなども予想され、景気の先行きが懸念される。

・景気DI

「千葉」の景気DIは44.8となり、前月比0.1ポイント減少し、4カ月ぶりに悪化した。全国は前月から1.4ポイント減の42.9となり、「千葉」は全国を1.9ポイント上回り、全国順位は6位で前月(12位)から上昇した。

・規模別DI

「大企業」は44.6で前月比1.0ポイント減少し、「中小企業」は同横ばいの44.8となったことから「大企業」と「中小企業」が逆転し、規模間格差は▲0.2ポイント(前月0.8ポイント)となった。

・業界別DI

『その他』を除く9業界のうち、『農・林・水産』『金融』『建設』『卸売』『運輸・倉庫』の5業界は前月比改善した一方で、『不動産』『製造』『小売』『サービス』の4業界は悪化。また、『サービス』以外の8業界は、「3カ月後」の見通しが足元の景気DIを下回った。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は43.2(前月46.8)、「6カ月後」は43.5(同47.6)、「1年後」は45.5(同48.5)となり、3指標とも前月比3ポイント以上悪化、足元のDI(44.8)を下回った。中東情勢の悪化により原油価格の高騰や供給不安が起きており、収束の見通しが立たないことで不透明感が広がっている。

■東京都

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

47.2

-1.0

2カ月ぶりに悪化

・概況

「東京」の景気DIは47.2で、2カ月ぶりに悪化した。企業からは、中東情勢による影響を不安視する声が多く「中東情勢の悪化で原油高騰の影響が出始めている」(製造)や「高市政権に期待していたが、中東戦争で見通しが立たなくなった」(サービス)といった声が聞かれた。原油価格の高騰にとどまらず、物流網の混乱や物価上昇、金融市場の不安定化を通じた企業経営への影響は今後も続くとみられる。

・景気DI

「東京」の景気DIは47.2(前月48.2)で、2カ月ぶりに悪化した。都道府県別順位は2位で前月(2位)と横ばい、『南関東』では前月1.4ポイント差のあった神奈川(6位→3位)とは0.3ポイント差に縮まっている。

・規模別DI

「大企業」は50.2(前月比0.9ポイント減)、「中小企業」は46.3(同1.1ポイント減)とどちらも直近7カ月で、「小規模企業」は46.1(同2.0ポイント減)と直近10カ月で最も低い数値となった。なお、規模間格差は3.9ポイントに拡大した。

・業界別DI

全10業界中、1業界が改善、8業界が悪化、1業界が横ばい。原油高の影響を最も受けやすい『運輸・倉庫』(39.8)は前月から6.3ポイント悪化した。6ポイント以上悪化したのは2020年3月以来6年ぶり。『小売』(41.6、同3.7ポイント減)も2カ月連続で悪化するなど物価高の影響が顕著に表れた。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(46.0、前月49.5)、「6カ月後」は(46.2、同49.8)、「1年後」は(47.1、同50.0)と、いずれも2カ月連続で悪化した。業界別では、『金融』以外の9業界で3指標がいずれも悪化し、特に「小規模企業」からの先行きに関する不安の声があがった。

■神奈川県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

46.9

0.1

3カ月ぶりの前月比改善

・概況

「神奈川」のDIは3カ月ぶりの前月比改善となった。「運賃アップの影響」(運輸・倉庫)、「AIやDXなどIT投資機運がある」(情報サービス)などの声が聞かれた。一方で、「原材料の高騰に価格転嫁が追いついていない」(メンテナンス・警備・検査)など、引き続き物価高や人手不足など構造的課題への対応に苦慮する企業は多い。加えて、中東情勢の緊迫化による影響を警戒する声も多く、「石油の高騰により、さらに原材料、経費の負担が大きくなる」(建設)など、しばらくは不安定な景況感が続くと見込まれる。

・景気DI

「神奈川」の景気DIは46.9と前月(46.8)から0.1ポイント増加し、3カ月ぶりの前月比改善となった。全国順位は3位で、前月の5位から上昇。2025年度の景気DIの平均は45.6と2024年度の平均(45.5)をわずかに上回ったものの、景気回復の足取りは依然として鈍い状況が続いた。

・規模別DI

「大企業」は52.7(前月比0.2ポイント減)、「小規模企業」は43.7(同0.1ポイント減)とそれぞれ悪化、「中小企業」は46.0(同横ばい)となった。「小規模企業」は3カ月連続の悪化となり、「大企業」と「中小企業」の格差は6.7ポイントと乖離幅の大きい状況が続いた。

・業界別DI

9業界中、5業界で前月比改善となった。『建設』は横ばいで9カ月連続で50.0を上回り、『不動産』は2カ月ぶり、『製造』は小幅ながらも2カ月連続の改善で、それぞれこの1年での最高値となった。一方で、飲食料品小売や自動車・同部品小売などの悪化を背景として、『小売』は3カ月連続の悪化となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は45.2(前月48.4)、「6カ月後」は44.8(同49.2)、「1年後」は46.6(同49.9)とそれぞれ前月から悪化した。いずれも当月(46.9)を下回り、『小売』は3指標ともに40.0を下回るなど、先行きへの警戒感が高まっている。

「南関東ブロック(2026年3月)」の詳細(埼玉・千葉・東京・神奈川)