レポート

TDB景気動向調査2026年3月(九州ブロック:福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)

■九州ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.8

-1.9

2カ月ぶりに悪化

・概況

『九州』の景気DIは、43.8と2カ月ぶりに悪化した。企業からは「TSMC第二工場の設計変更による工事着手順延により、工事関係者の入居者数が減少し、賃貸物件の入居者数も減少している」(熊本県、金融)などの声が聞かれる。DI50台は、県別では「沖縄」のみ。原燃料高、人件費負担増に加え、不安定な中東情勢など懸念材料も多いが、引き続きインバウンド需要に加え、TSMC第二工場や経済政策への期待感もあることから、当面、一進一退の推移が見込まれる。

・景気DI

『九州』(43.8、前月比1.9ポイント減)は2カ月ぶりに悪化した。10業界中8業界、8県中7県で悪化。『九州』8県中10位以内は4県。先行き見通しDIは「3カ月後」が2カ月連続、「6カ月後」が4カ月ぶり、「1年後」は3カ月ぶりに悪化した。ブロック別では13カ月連続で全国2位。

・規模別DI

「大企業」(46.8、前月比2.3ポイント減)は2カ月連続、「中小企業」(43.4、同1.8ポイント減)は2カ月ぶりに悪化。36カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。「小規模企業」は41.3(同2.1ポイント減)と3カ月連続で悪化。

・業界別DI

『農・林・水産』(39.8、前月比0.9ポイント増)など2業界で改善したものの、『金融』(45.8、同1.2ポイント減)、『建設』(45.3、同3.7ポイント減)など10業界中8業界で悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(43.2、前月比4.5ポイント減)は2カ月連続、「6カ月後」(43.9、同4.4ポイント減)は4カ月ぶり、「1年後」(45.5、同3.4ポイント減)は3カ月ぶりに悪化した。業界別では、全指標が改善した業界はなく、『金融』を除く9業界で全指標が悪化した。

■福岡県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.5

-1.8

4カ月ぶりの悪化

・概況

「福岡」の景気DIは、インバウンド需要や設備投資などの高まりはあるものの、先行き不透明な中東情勢などもあって、、4カ月ぶりに悪化した。企業からは「福岡都市圏における建築需要は依然として良好」(建設)などのコメントがある一方で、「資材、人件費、原料の高騰の中で、原油の問題でさらに環境が厳しくなっている」(製造)などの声があった。インバウンド効果などによって一部の業界は好調なものの、人件費増、物価上昇などが多くの業界でマイナスとなっており、今後も一進一退の状況が続こう。

・景気DI

「福岡」(44.5、前月比1.8ポイント減)は、4カぶりの悪化。業界別では、『金融』『不動産』『運輸・倉庫』の3業界で改善。『農・林・水産』『建設』など6業界で悪化。都道府県別順位は7位で前月(8位)からアップ。『九州』8県での順位は前月と同じ3位となった。

・規模別DI

「大企業」45.6(前月比3.9ポイント減)は2カ月連続、「中小企業」44.3(同1.4ポイント減)は4カ月ぶり、「小規模企業」44.4(同0.7ポイント減)は2カ月ぶりの悪化。規模間格差は「大企業」が「中小企業」を1.3ポイント上回った。

・業界別DI

『金融』(55.6、前月比1.4ポイント増)、『不動産』(54.4、同0.9ポイント増)など3業界で改善。『農・林・水産』(41.7、同8.3ポイント減)、『建設』(48.2、同1.5ポイント減)など6業界で悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(44.8、前月比3.9ポイント減)は2カ月連続、「6カ月後」(45.2、同5.0ポイント減)は4カ月ぶり、「1年後」(47.0、同4.1ポイント減)は3カ月ぶりに悪化。すべての業界で、3指標いずれも悪化した。

■佐賀県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.4

-1.0

2026年も改善と悪化を繰り返す

・概況

「佐賀」の景気DIは43.4と前月より1.0ポイント悪化し、前年同様に改善と悪化を繰り返す形となっている。九州地区では「沖縄」を除くすべての県で悪化し、「佐賀」はその中でも悪化幅は小さく、都道府県別順位が向上した。先行きとしては、イラン情勢を背景とした原油価格の高騰が色濃く影響を及ぼしてくるとみられ、いずれの業界においても厳しい経営環境が続く可能性があり、その動向が注目される。

・景気DI

「佐賀」の景気DIは43.4と前月より1.0ポイント後退した。2025年に続き、2026年も改善と悪化を繰り返す様相で、力強さに欠ける状況が続いている。九州および全国的にも前月より悪化したことから、「佐賀」の都道府県別順位は前月の15位から10位に上昇した。

・規模別DI

「大企業」は44.4で前月比4.3ポイント悪化、「中小企業」は43.2と同0.1ポイントの小幅な悪化にとどまったが、そのうち「小規模企業」は38.3と同4.3ポイントの大幅悪化となり、全規模で悪化した。規模間格差は1.2と前月より4.2ポイント縮小した。

・業界別DI

『卸売』『小売』では商材によって良否が分かれたが、前月より大幅に改善した。一方で、『製造』『建設』は材料高の影響が大きく、年度末ながら案件の少なさが反映され、大きく悪化した。悪化は2業界にとどまったが、原油相場の高騰を懸念する声が多く聞かれた。

・先行き見通しDI

「3か月後」は41.0(前月47.9)、「6か月後」は43.2(同48.1)、「1年後」は44.0(同47.4)と、各指標で悪化した。上述のように、イラン情勢に伴う原油価格の高騰は多方面への影響を及ぼす可能性が高く、業界を問わず先行きが不安視されている。

■長崎県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.2

-2.0

3カ月連続で悪化

・概況

「長崎」の景気DIは前月比2.0ポイント減の40.2と3カ月連続で悪化した。「原材料価格の高騰、輸送費に関連する原油価格の上昇の影響は当社だけでは対処できない」(製造)や「イラン問題が不透明」(製造)といった原価上昇要因や安全保障問題の影響がうかがえた。他方で「AI市場の拡大で半導体関連は活況が続く」(サービス)の意見もあり、業種によっての差が浮き彫りになる結果となった。今後は公共投資よりも民間投資が中心になると考えられるが、「長崎」の景況感は一進一退の状況が継続していくと思われる。

・景気DI

「長崎」の景気DIは前月比2.0ポイント減の40.2で3カ月連続の悪化となった。『九州』8県中7件が悪化し、九州ブロック内順位は8県中7位のままであった。都道府県別順位は前月の28位から5つ落として33位となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.4ポイント増の43.6、「中小企業」は同2.5ポイント減の39.7、「中小企業」のうち「小規模企業」は同7.2ポイント減の33.3となった。「大企業」が改善した一方で「中小企業」が悪化したため、規模間格差は前期から3.9ポイント拡大して3.9となった。

・業界別DI

前月から改善した業界は『農・林・水産』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』の4業界となった。悪化した業界は『建設』『不動産』『製造』『卸売』の4業界となった。中でも『建設』『不動産』の悪化が顕著であった。『金融』は前月と同水準であった。

・先行き見通しDI

「3か月後」39.2(前月比5.7ポイント減)「6か月後」39.4(同6.1ポイント減)「1年後」41.1(同5.8ポイント減)と各項目とも前月から悪化したが、先へ行くほど改善見通しとなった。業種別にみると『運輸・倉庫』が先へ行くほど改善の見通しとなっている。

■熊本県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.8

-2.7

2カ月ぶりに悪化

・概況

「熊本」の景気DIは前月比2.7ポイント減の42.8と2カ月ぶりに悪化した。「設備や不動産の需要が続いている」(サービス)など明るい話題が見られた一方で、「イラン情勢の悪化で取扱商品の仕入値が急上昇、欠品も続いている」(卸売)と不安を示す声は多い。物価や人件費は上昇を続けており、1世帯当たりの消費支出も物価変動を除いた実質で減少しているため、景気は足踏みの状況が続くとみられる。

・景気DI

「熊本」の景気DIは42.8で前月比2.7ポイント減と2カ月ぶりに悪化した。また、『九州』(43.8)も前月比1.9ポイント減となり、「全国」(42.9)も同1.4ポイント減となった。なお、「熊本」の都道府県別順位は第15位(前月第10位、前年同月第3位)と前月から5ランク下がった。

・規模別DI

「大企業」の景気DIは50.0と前月から4.2ポイント減となり、「中小企業」も42.0と同2.5ポイント減となった。32カ月連続で「大企業」が「中小企業」の景気DIを上回り、規模間格差(大企業-中小企業)に関しては「中小企業」よりも「大企業」の悪化した幅が大きかったため、差は8.0ポイントに縮小した。

・業界別DI

9業界中、改善した業界は『製造』『小売』の2業界となった。一方で悪化した業界は『農・林・水産』『金融』『建設』『不動産』『卸売』『運輸・倉庫』『サービス』の7業界となった。アメリカのイラン侵攻により原油価格が引き上げられたことが影響し、悪化した業界が増加した。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは「3カ月後」が41.8(前月46.6)、「6カ月後」は43.3(同47.1)、「1年後」は45.6(同46.9)となった。不安定な世界情勢により日経平均株価も安定せず、「3カ月後」「6カ月後」「1年後」はいずれも悪化した。

■大分県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.5

-0.9

2カ月連続で悪化

・概況

『製造』は前月から悪化したものの、引き続き半導体や自動車向けの世界的な需要と資材高に対する価格転嫁の進展が期待され、DIは依然として高い。『運輸・倉庫』は、中東情勢の急変を受けて大幅に悪化した。日銀による3月の金利は据え置かれたものの、4月以降の「利上げ」に含みを持たせており、更なる金利上昇は中小企業にとって支払利息の負担増となる。原油高に対する政府施策は一服感があるが、足元では物価高は止まらず、更なる購買意欲の低下や買い控えが懸念され、県内の景気動向は一段と減速すると推察される。

・景気DI

「大分」の景気DIは45.5となり、2カ月連続で悪化した。全国順位は第4位(前月第7位・前年同月第2位)と前月から順位は上がった。判断の分かれ目となる「50」は15カ月連続で下回っている。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.3ポイント増の47.9となった。「中小企業」は同1.1ポイント減の45.2、「中小企業」のうち「小規模企業」は同1.6ポイント増の46.7となった。規模間格差は1.4となり、5カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。

・業界別DI

業界別では『小売』『サービス』が大きく改善した。『小売』は前月比7.2ポイント増の47.9、『サービス』は同4.1ポイント増の52.2となった。一方、『運輸・倉庫』は同8.9ポイント減の30.0と大幅に悪化した。『建設』も同5.8ポイント減の42.9、『製造』『卸売』でも悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」44.4(前月47.4)、「6カ月後」45.3(同47.4)、「1年後」45.1(同48.3)と3指標のいずれも前月から悪化した。業界別では、『建設』『卸売』『運輸・倉庫』が3指標ともに「50」以下となり、『サービス』のみが50以上となった。

■宮崎県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.2

-3.7

3カ月ぶりに悪化

・概況

「宮崎」の景気DIは38.2で、前月比3.7ポイント減と3カ月ぶりに悪化した。背景には緊迫する中東情勢がある。3月初旬の米軍によるイランへの作戦実行を受け、原油価格が高騰。ホルムズ海峡の封鎖懸念が物流コストを押し上げ、スタグフレーションのリスクが強まった。宮崎県内でもコスト増による採算悪化への警戒が広がっている。月下旬に緊張緩和の兆しが見え、株価は反発したが依然として物価動向が景気の重荷となっている。

・景気DI

「宮崎」の景気DIは38.2で、前月比3.7ポイント減と3カ月ぶりに悪化した。『九州』(43.8)と比較して5.6ポイント減、全国(42.9)と比較しても4.7ポイント減となった。全国順位に関しては、43位となり前月順位よりも12位下降した。

・規模別DI

「大企業」は50.0で前月と変わらず(4カ月連続)、「中小企業」は37.3で4.0ポイント減となった。規模間格差(大企業-中小企業)は12.7となり、同4.0ポイント拡大した。「中小企業」に含む「小規模企業」は37.5で同1.4ポイント減と悪化した。

・業界別DI

『製造』は35.0で前月比6.7ポイント減、『非製造』は38.6で同3.3ポイント減となり、『製造』は再び悪化した。『製造』は「電気機械製造」が悪化、改善した業種は「建材・家具・窯業・土石製品製造」だった。『非製造』は、「飲食料品小売」など改善する一方で、「飲食料品卸売」等が悪化した。

・先行き見通しDI

景気「3カ月後」見通しに関しては、37.1で前月比8.0ポイント減、「6カ月後」は38.4で同5.6ポイント減、「1年後」は41.2で同3.5ポイント減とそれぞれ前月と比較して悪化した。『九州』と『全国』の「3か月後」、「6カ月後」、「1年後」と比較しても宮崎の先行き見通しDIはそれぞれ下回った。

■鹿児島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.1

-2.0

2カ月ぶり悪化

・概況

「鹿児島」の景気DIは42.1と2カ月ぶりの悪化となり、12カ月連続で悪化と改善が続いた。近時のトレンドである「物価高」や「人手不足」のほか「原料調達難」、「金利上昇」を危惧する声は依然として多く、「原油価格の高騰」や「世界情勢の不安」、「案件の減少」などの声も多く上がった。一方、前向きな声は限定的なものとなっており、県内情勢は今しばらくの苦戦を強いられるであろう。

・景気DI

「鹿児島」の景気DIは42.1と前月比2.0ポイント悪化した。「九州」は同1.9ポイント悪化の43.8、「全国」も同1.4ポイント悪化の42.9となった。全国的に悪化が進んだが、「鹿児島」の悪化幅が大きく、都道府県別順位は前月の16位から21位に後退した。12カ月連続で悪化と改善を繰り返しており、文字通り一進一退の状況が続いている。

・規模別DI

「大企業」は前月から横ばいの52.4であったほか、「中小企業」のうち「小規模企業」も横ばいとなる39.4となった。ただし、「中小企業」全体では同2.1ポイント悪化の41.3となったことで、規模間隔差(大企業-中小企業)は、2.1ポイント拡大した。

・業界別DI

『農・林・水産』、『製造』の2業界が改善したものの、『金融』は横ばいとなり、残る『建設』、『不動産』、『卸売』、『小売』、『運輸・倉庫』、『サービス』の6業界が悪化した。前々月は17か月ぶりとなる7業界以上の悪化、前月が6業界の改善、今月が6業界の悪化と、各業界において悪化と改善を繰り返している。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は41.9と前月比4.0ポイントの悪化、「6カ月後」も42.8と同2.7ポイントの悪化となったほか、「1年後」も44.7と同2.1ポイントの悪化となった。前月は全項目で改善がみられたが、今月は同程度の悪化となるなど、先行きについても各種DI同様に改善と悪化を繰り返す結果となっている。

■沖縄県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

53.8

0.3

2カ月ぶりに改善

・概況

「沖縄」の景気DIは、2カ月ぶりに改善した。これまで同様、観光客数の増加が続き、公共工事の大型投資や民間の不動産投資が牽引役となって関連業界の業況が改善している。しかし、「物価や労務費上昇への対策が追いつかず利益が悪化している」との声が全体的に増えているほか、イラク情勢の影響で燃料費が高騰し、そのあおりを受けている『運輸・倉庫』の指標の悪化幅が大きくなっている。また、イラク情勢の動向懸念から先行き見通しDIが3指標とも悪化していることから、景況感の状況は引き続き注視していく必要がある。

・景気DI

「沖縄」の景気DIは前月比0.3ポイント(以下、P)増の53.8となった。業種別では8業界中、4業界が改善した。また、都道府県別順位は36カ月連続で全国1位となり、『全国』(42.9)、『九州』(43.8)を上回っている。

・規模別DI

「大企業」(53.3、前月比3.3P増)は6カ月ぶりの改善、「中小企業」(53.8、前月比0.1P増)は2カ月ぶりの改善、「中小企業」のうち「小規模企業」(49.4、前月比2.5P減)は2カ月連続の悪化となった。

・業界別DI

前月と比較可能な8業界中、『金融』が横ばい、『建設』(3.3P増)、『不動産』(1.7P増)、『製造』(3.2P増)、『卸売』(1.6P増)の4業界が改善したが、、『小売』(2.4P減)、『運輸・倉庫』(16.6P減)、『サービス』(2.0P減)の3業界が悪化した。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、「3カ月後」が51.9(前月54.5)、「6カ月後」は51.4(前月53.3)、「1年後」は50.7(前月52.6)で3指標とも2カ月連続の悪化となった。

「九州ブロック(2026年3月)」の詳細(九州ブロック:福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)