レポート

TDB景気動向調査2026年3月(北関東ブロック:茨城・栃木・群馬・山梨・長野)

■北関東ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.9

-1.1

2カ月連続で悪化

・概況

『北関東』の景気DIは41.9となり、2カ月連続の悪化となった。域内5県中4県で悪化、10業界中8業界で悪化する状況のなか、企業からは「イランとアメリカの状況で自由にビジネスができない」(栃木、運輸・倉庫)、「相変わらずの物価高で消費者の財布のひもは固い」(栃木、製造)など、アメリカ・イラン情勢や物価高に対する懸念の声が数多く聞かれた。イラン情勢の収束と原油価格下落が実現するまでは、企業の景況感は引き続き低調に推移するとみられる。

・景気DI

『北関東』の景気DIは前月比1.1ポイント減の41.9となり、2カ月連続で悪化した。県別では「茨城」が改善した一方、「栃木」「群馬」「山梨」「長野」が悪化し、「栃木」は3カ月連続の悪化となった。この結果、全国10地域別の順位は3位(前月6位)となった。

・規模別DI

「大企業」(47.7、前月49.6)、「中小企業」(41.2、同42.2)、「小規模企業」(39.5、同40.9)となり、すべての規模で悪化。「大企業」と「中小企業」は2カ月連続で悪化し、「小規模企業」は5カ月ぶりに40を下回った。規模間格差は前月から縮小し、6.5となった。

・業界別DI

全10業界中、『金融』(前月比9.1ポイント減)、『運輸・倉庫』(同7.1ポイント減)など8業界で悪化し、改善したのは『サービス』のみとなった。『建設』が3カ月連続で悪化したほか、『金融』は2024年6月以来21カ月ぶり、『農・林・水産』は20カ月ぶりに、それぞれ40を下回った。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(40.9、前月45.4)「6カ月後」(42.1、同46.5)「1年後」(44.2、同47.5)となり、全ての区分で前月から悪化した。県別では「栃木」と「群馬」の「3カ月後」で40を下回り、業界別では『農・林・水産』と『小売』がすべての区分で40を下回った。

■茨城県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.4

0.3

横ばい・悪化を経て、3カ月ぶりに改善

・概況

3月の茨城県の景気DIは一部で回復の兆しがみられたものの、全体としては力強さを欠く展開となった。『小売』『サービス』では人流の回復が、『製造』『卸売』では半導体や医療機器関連が下支えとなり、景況感の改善につながった。一方で『不動産』『運輸・倉庫』では、金利上昇による取引の慎重化や慢性的な人手不足が引き続き重荷となっている。さらに、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃に端を発した原油価格の高騰を受け、県内企業はコスト増への対応を迫られており、当面は業種間格差を伴いながら弱含みでの推移が見込まれる。

・景気DI

景気DIは43.4となり、前月から0.3ポイント改善した。調査開始後に原油価格が一時的に下落したことが、景況感の下支え要因となった。一方で、原材料費や人件費の上昇負担は依然として大きく、県内企業の慎重姿勢は根強い。判断基準である50を大きく下回る水準にとどまり、回復局面入りとは言い難い状況下にある。

・規模別DI

「大企業」は41.7と前月から変動はなく、先行き不透明感を背景に慎重な見方が続いた。一方、「中小企業」は43.6で前期比0.4ポイント、「小規模企業」も44.2で同0.8ポイント上昇。緊急的激変緩和措置による石油製品価格の高騰抑制策が、負担軽減につながり、規模の小さい事業者を中心に景況感の改善要因となった。

・業界別DI

業界別では、『小売』(47.0)や『サービス』(46.4)などが改善し、飲食需要や対面サービス需要の回復が追い風となった。一方、『不動産』は41.7と大幅に悪化し、金利上昇への警戒感が取引の停滞を招いた。『運輸・倉庫』も30.0と低水準にとどまり、人手不足や燃料費負担の重さが景況感を下押ししている。

・先行き見通しDI

先行き見通しは、「3カ月後」40.4、「6カ月後」42.1、「1年後」44.6と、いずれも前月から低下した。金融政策の行方や為替動向、エネルギー価格の先行き不透明感が、企業心理に影響を及ぼしている。賃上げや設備投資による中長期的な回復への期待は残るものの、短期的には慎重な見通しが優勢となっている。

■栃木県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.0

-0.5

3カ月連続の悪化、

中東問題が企業マインドを直撃

・概況

3月の景気DIは3カ月連続の悪化となり、総体的に企業マインドの低下に歯止めがかからない。コスト高で、大きく収益を棄損している中小企業では、更なる物価高騰によるコスト高が懸念されている。企業からは、「案件はあるが、コスト高で価格が折り合わないとか、人手不足で現場が成り立たないなど、厳しい環境は否めない」(建設)、「価格は下げられた一方で品質は現状維持という要求で、受けられない」(製造)などの声が寄せられている。『令和版オイルショック』はこれから始まるとの見方が強く、警戒感が増している。

・景気DI

3月の景気DIは41.0、前月比で0.5ポイントの下落となり、3カ月連続で悪化となった。コスト高に加えて、円安やイラン情勢の影響が容赦なく県内企業に悪影響を及ぼす事態だ。県別順位も30位と低位だ。特に、エネルギー価格などは一般消費にも大きな打撃となる。不透明感を払拭する効果的な政策が待たれる。

・規模別DI

「大企業」47.5(前月47.8)、「中小企業」39.8(同40.1)、「小規模企業」41.3(同40.6)と前月比では大きな変化はなく、引き続き「中小企業」は停滞傾向が続く。特に大きな要因が価格転嫁である。商取引の川下にある企業では、不況下において交渉の機会も少なく、低収益に繋がっているとみられる。

・業界別DI

主要業界別では、『サービス』がやや盛り返したものの、牽引役の『建設』(前月比▲1.0)、『製造』(同▲2.5)、『卸売』(同▲1.2)などで軒並み景況感は悪化した。特に『運輸・倉庫』は同11.1ポイント減の大幅悪化となった。総体的にイラン情勢になびく格好で、エネルギー価格への懸念が企業マインドを悪化させている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」39.7(前月44.0)、「6カ月後」41.5(同45.2)、「1年後」42.2(同46.2)と、すべてのカテゴリーで下落が見られた。企業からは、「石油の供給不全は大半の業界に悪影響が蔓延する。エネルギー価格だけでなくあらゆる物価が高騰するだろう。」(小売)などの声が寄せられた。

■群馬県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.3

-0.9

2カ月ぶりに悪化

・概況

群馬県内企業からは「半導体関連の受注が上向いている」(製造)との明るい声が聞かれる。一方で、「暖冬や降雪不足によりスキー場の集客が伸び悩んでいる」(サービス)、「原油高を背景に原材料・燃料・配送料が大幅に上昇」(製造)など厳しい意見もある。この結果、3月の景気DIは2カ月ぶりに悪化した。中東情勢の緊迫化による原油価格上昇、供給制約を懸念する声は多い。各種コスト高、人件費上昇、貸出金利の引き上げなど企業収益の下押し要因が重なっており、景気の下振れリスクは高まりつつある。

・景気DI

景気DIは前月比0.9ポイント減の40.3と2カ月ぶりに悪化した。他方、『全国』は同1.4ポイント減と2カ月ぶりに悪化。「群馬」の悪化幅は『全国』より小さく、47都道府県別順位は32位(前月35位)に上昇した。DIは40台を維持したものの、『北関東3県』においては「茨城」「栃木」より低位にある。

・規模別DI

「大企業」 は前月比5.0ポイント減の50.0と4カ月ぶりに悪化。「中小企業」は同0.5ポイント減、「小規模企業」は同0.4ポイント減とそれぞれ悪化した。「大企業」の悪化幅が「中小企業」より大きく、「大企業」と「中小企業」の規模間格差は10.3に縮小した。

・業界別DI

前月と比較可能な9業界では、 『製造』『サービス』など3業界が改善。他方、『建設』『小売』など4業界が悪化、『農・林・水産』『金融』は横ばいだった。なお、『製造』は2カ月連続で改善。『サービス』は2カ月ぶりに改善した。一方、 『建設』は3カ月連続の悪化で、DIは2025年8月以降で最低となった。 

・先行き見通しDI

「3カ月後」が39.9(前月43.9)、「6カ月後」が40.9(前月45.5)、「1年後」が42.1(前月46.6)となった。「3カ月後」「6カ月後」「1年後」の3指標全てが前月より悪化した。「3カ月後」のDIが40を割り込んだものの、先に行くほどDI は高い。現在2.6ポイントの全国との格差は 「1年後」は2.4となる見通し。

■山梨県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.9

-2.9

3カ月ぶりに悪化

・概況

「山梨」の景気DIは3カ月ぶりに悪化した。企業からは「観光需要は、引き続き国内、インバウンド共に堅調な動きとなっている」(サービス)などの声が聞かれた。一方、「燃料費が一気に高騰して、政府補助も間に合わないので、このままでは、かなりの経費負担となる」(農・林・水産)、「イラン情勢が混迷を極め、物価上昇や材料供給の停滞から、仕事量が激減するのではないかと心配している」(製造)などマイナスの声が多い。先行きについては、中東情勢の緊迫感が高まり、景況感の悪化傾向は続くとみられる。

・景気DI

「山梨」の景気DIは前月比2.9ポイント減の43.9となり、3カ月ぶりに悪化した。全国は同1.4ポイント減の42.9だった。「山梨」は全国を1.0ポイント上回り、都道府県別順位は前月の5位から8位に下がった。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.2ポイント増の51.3、「中小企業」は同3.3ポイント減の42.8、「小規模企業」は同3.0ポイント減の40.2となった。「大企業」と「中小企業」との規模間格差は、「中小企業」が大きく悪化したため、前月より3.5ポイント拡大して8.5ポイント差となった。

・業界別DI

前月と比較可能な10業界中、4業界が改善、5業界が悪化、1業界が横ばいとなった。『製造』は中東情勢の混乱による原油価格の高騰を懸念する声が多く、6カ月ぶりに前月を下回った。判断の分かれ目となる50以上となったのは『金融』『不動産』『サービス』『その他』の4業界。

・先行き見通しDI

「3カ月後」42.3(前月47.2)、「6カ月後」42.8(同48.0)、「1年後」45.8(同48.5)となった。先に行くほどDIは高くなっているが、3指標とも前月を下回った。業界別で3指標ともに50以上となったのは、『農・林・水産』『金融』『不動産』『サービス』の4業界。

■長野県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.6

-1.6

2カ月連続で悪化

・概況

「長野」の景気DIは2カ月連続で前月を下回った。「インバウンド景気が続き、ホテルは建設ラッシュ。高額マンションも完売」(広告)といった好調さが聞かれる一方、「インバウンド客が減少、物価上昇で実質的な購買力が低下し、単価も下落」(ホテル)など厳しい声もあり、現状企業間格差が拡大している。ただし、「政情不安から、計画の遅れが見込まれる」(機械製造)、「イラン戦争でコスト高騰が続けば、現場コストの増加など負の要因が増大。顧客の奪い合いになる」(建設)など、先行きについては不安を訴える声が大半を占める。

・景気DI

「長野」の景気DIは41.6と前月比1.6ポイント低下し、2カ月連続で悪化した。前月から1.4ポイント悪化した「全国」を1.3ポイント下回ったが、都道府県別順位は23位と、前月より1ランクアップした。前年同月からは3.1ポイント上回り、都道府県別順位は20ランク上昇した。

・規模別DI

規模別は、2022年11月以降「大企業」が最も高く推移。次いで「中小企業」で、5カ月ぶりに「小規模企業」を上回った。ただし、いずれも前月より低下し、悪化幅は「小規模企業」、「大企業」、「中小企業」の順で大きかった。

・業界別DI

主要業界別では、キノコや青果物の荷動きが活発化した『運輸・倉庫』が4カ月ぶりに改善。他方、中国からのインバウンド団体客が落ち着いた『サービス』は3カ月連続、コスト上昇に苦しむ『製造』は2カ月連続でそれぞれ悪化。『建設』は2カ月ぶり、『卸売』『小売』は4カ月ぶりにそれぞれ悪化した。

・先行き見通しDI

「長野」全体、主要業界別の『製造』『卸売』、規模別の「中小企業」「小規模企業」は前月に続き長期になるほど改善を予想。「長野」としては、39カ月連続で長期になるほど改善を予想する状況が続く。

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