レポート

TDB景気動向調査2026年2月(近畿ブロック:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)

■近畿ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.5

0.9

前月から一転、全6府県が改善

・概況

衆院選を経て、国内政治の安定と積極財政による経済活性化に対する期待が高まり、企業マインドが改善している。ただ、企業からは「例年なら年度末に向けて納期遅延や協力業者への依頼が頻発するが、今年は仕事が溢れていない」(建材・家具製造、兵庫県)といった声が聞かれるように、全体としてはヒト・モノ・カネの流れに停滞感がある。先行きに関しても“チャイナリスク”に加え、中東情勢の悪化なども景気に影響を及ぼす可能性が出てきた。今春の賃上げ次第の側面もあるが、現状の停滞感を払拭するには時間がかかるとみられる。

・景気DI

『近畿』は前月比0.9ポイント増の43.5と、2カ月ぶりに改善。4カ月ぶりに改善した「奈良」を含めて全6府県が改善した。6府県では「滋賀」(44.9)がトップ。もっとも、水準は全国(44.3、同0.5ポイント増)を下回るが、ブロック別順位は『北関東』を抜いて4位に浮上した(前月は5位)。

・規模別DI

「大企業」(49.2、前月比0.1ポイント増)、「中小企業」(42.5、同1.1ポイント増)とも2カ月ぶりに改善した。改善幅は「中小企業」の方が大きく、規模間格差は6.7ポイントに縮小したが、依然として5ポイントを超える高水準。なお、「小規模企業」(同1.0ポイント増)も2カ月ぶりに改善した。

・業界別DI

10業界中で悪化したのは『運輸・倉庫』のみ。残る9業界は全て改善した。金利上昇に対する警戒感が強まっていた『不動産』のほか、円安が逆風となっていた『卸売』は4カ月ぶりに改善した。停滞感の出ていた『製造』にも底入れの兆し。『小売』の改善幅も大きく、『サービス』でもBtoC関連の業種で改善が目立った。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(前月比0.5ポイント増)、「6カ月後」(同0.9ポイント増)、「1年後」(同1.1ポイント増)の3指標とも2カ月ぶりに改善した。府県別では「滋賀」を除く5府県、業種別では『不動産』『その他』を除く8業界、規模別では全規模で、それぞれ先行き3指標が1月調査時点と同水準以上になった。

■大阪府

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.1

0.6

2カ月ぶりに改善、高市政権に期待の声

・概況

「大阪」は2カ月ぶりに改善した。企業からは「積極財政が経済活動を活発化させると思う」(機械・器具卸売)など、第二次高市政権への期待の声が多く聞かれ、特に『小売』は先行き3指標を含めて大幅に改善した。衆院選で自民党が掲げた2年限定の「食料品の消費税ゼロ」に対する期待感の高まりがうかがわれる。他方、「中国路線の減便が死活問題」(飲食料品小売)など、日中対立の先鋭化を不安視する声が聞かれる。加えて、中東情勢の不安定化など新たなリスクも浮上していることから、景気は一進一退が続く可能性がある。

・景気DI

「大阪」は前月比0.6ポイント増の44.1となり、2カ月ぶりに改善した。全国(44.3、同0.5ポイント増)との格差(大阪-全国)は▲0.2ポイントとなり前月から僅かに縮小したものの、都道府県別順位は前月から横ばいの16位だった。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.5ポイント減の48.6となり2カ月連続で悪化した。「中小企業」は同0.9ポイント増の43.1となり2カ月ぶりに改善した。規模間格差は4カ月連続で縮小し、5.5ポイントとなった。なお、「小規模企業」(42.7、同1.2ポイント増)も2カ月ぶりに改善した。

・業界別DI

9業界中6業界が改善した。『製造』『卸売』は3カ月連続で改善した。中国からの渡航客減少の影響が不安視される「飲食店」や「旅館・ホテル」を含む『サービス』は、2カ月ぶりに改善して50を上回った。なお、金利上昇への警戒感が強まる『不動産』は5カ月連続で悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(前月比0.5ポイント増)、「6カ月後」(同0.2ポイント増)、「1年後」(同1.0ポイント増)の3指標がそろって2カ月ぶりに改善。業界別では『金融』『小売』『運輸・倉庫』の先行き3指標が改善した。規模別では、「大企業」の先行き3指標が改善した。

■京都府

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.9

1.6

3カ月ぶりの改善も、

規模間格差は3カ月連続の2桁台

・概況

「京都」の景気DIは3カ月ぶりに改善したが、「資材価格・地価上昇による需要減退」「住宅需要が大きく落ちている」(卸売)といった声に加え、「中近東の情勢不安」「中国観光客の減少」(卸売)など国際情勢や日中関係の悪化がマイナス要素として聞かれる。また、規模間格差は11.0と3カ月連続の2桁台となり、円安や物価高、人手不足などに対応しきれない「中小企業」の停滞感は強い。今後も物価高から企業のコスト負担が膨らむほか、実質賃金の伸び悩みによる消費低迷も予想されるため、当面は足踏み状態が続くだろう。

・景気DI

「京都」の景気DIは、前月比1.6ポイント増の42.9に改善した。『全国』(44.3)との格差は▲1.4ポイント(前月▲2.5ポイント)に縮小したが、15カ月連続で『全国』を下回った。『近畿』の順位は4位(同4位)と前月と変わらなかったが、都道府県別の順位は26位(同31位)に上昇した。

・規模別DI

「大企業」は52.3(前月52.2)、「中小企業」は41.3(同39.5)、「小規模企業」は41.8(同38.4)となり、全規模で改善した。「大企業」と「中小企業」の規模間格差は11.0(同12.7)に縮小したが、2002年5月の調査開始以降過去最大となった前月に続き3カ月連続の2桁台となった。

・業界別DI

金利上昇の恩恵を受ける『金融』や、インバウンドなどが需要を押し上げる『不動産』は55を上回った。また、『運輸・倉庫』は5カ月ぶりに50台となるなど復調の兆しがみえる業界もあるが、『卸売』は16カ月連続で40を下回るなど、業界間の格差は依然として大きい。

・先行き見通しDI

「3カ月後」45.4(前月44.5)、「6カ月後」46.6(同44.6)、「1年後」46.7(同45.4)となり、全期間で前月を上回った。業界別では『製造』『卸売』は全期間で改善見通し、規模別では全規模・全期間で改善見通し。

■兵庫県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.3

1.1

3カ月ぶりの改善

・概況

「兵庫」の景気DIは3カ月ぶりの改善となった。「観光業はカニシーズンで好調」(サービス)などのコメントがある一方で、「物価高による消費の低迷」(卸売)など個人消費は依然として厳しいとの声や「中国からの原材料輸出制限により生産が停滞している」(製造)など、中国の対日政策の動向や影響を懸念する声も少なくなかった。また先行き面は、「政権地盤が固まり政策に期待できる」(製造)との評価も多かった。今後は高市政権の政策動向政策に加え、緊迫化する中東情勢の動向と原油相場など経済面への影響が注目される。

・景気DI

「兵庫」の景気DIは前月比1.1ポイント増の43.3で3カ月ぶりの改善となった。前年同月比では0.1ポイント下回った。全国順位は21位(前年同月15位)。『全国』は前月比0.5ポイント増の44.3で2カ月ぶりの改善、『近畿』は同0.9ポイント増の43.5で2カ月ぶりの改善となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.1ポイント減の48.9で2カ月連続の悪化となった。「中小企業」は同1.4ポイント増の42.5、うち「小規模企業」は同0.9ポイント増の40.2で2カ月ぶりに40台を回復。規模間格差は6.4ポイント(前月7.9ポイント)と前月比で1.5ポイントの縮小となった。

・業界別DI

10業界中4業界で改善となった。『サービス』は、前月比4.1ポイント増の46.3で2カ月ぶりの改善。『卸売』は同1.6ポイント増の42.7、『小売』も同1.2ポイント増の37.4となった。他方、『製造』は同0.1ポイント減の41.2で、3カ月連続の悪化となった。

・先行き見通しDI

3カ月後は前月比0.5ポイント増、6カ月後は同1.4ポイント増、1年後は同1.4ポイント増と全指標で改善。業界別では『建設』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』の5業界で全指標改善。規模別では「中小企業」「小規模企業」で全指標改善となった。

■滋賀県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.9

0.1

僅かながら2カ月ぶりに改善

・概況

「滋賀」の景気DIは前月比0.1ポイント改善した。企業からは「中国人客の来店客数が減少している」(飲食店)、「物価高・人件費の上昇は中小企業にとって非常につらい」(建材・家具、窯業・土石製品製造業)といった声がある一方、「食品の消費税0%による食品関係の売上増を含む、高市政権による政策を期待する」(専門商品小売業)などの声が聞かれ、政策効果を期待する一方で、対外情勢や物価上昇による影響を不安視する向きもあることから、しばらくは景気動向については注視する必要がある。

・景気DI

「滋賀」の景気DIは44.9と前月比0.1ポイント改善した。業界別では悪化が5業界、改善が2業界、横ばいが2業界となった。近畿ブロック内の2府4県別順位は1位を堅持したなか、全国においては12位(前年同月は22位)となった。

・規模別DI

「大企業」が50.0と前月比4.2ポイント改善したが、「中小企業」が44.1と同0.5ポイント、「小規模企業」は44.0と同0.9ポイント悪化した。また、「大企業」は3カ月連続で「中小企業(うち小規模含む)」を上回った。

・業界別DI

前月と比較可能な9業界中5業界で悪化、2業界で改善、2業界で前月比横ばいとなった。『建設』『不動産』『卸売』『運輸・倉庫』『サービス』が悪化した一方で、『小売』が大幅改善を果たした。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が44.6(前月45.3)、「6カ月後」が46.0(前月44.8)、「1年後」が45.3(前月46.9)だった。2月の衆院選での自民党大勝により政治の安定と成長戦略への期待が高まる一方、緊迫化してきたイラン情勢の変化で原油高や地政学リスクが懸念され、景気は一進一退を繰り返すとみられる。

■奈良県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.1

1.8

4カ月ぶりの改善

・概況

奈良の景気DIは前月から1.8ポイント改善し42.1となった。米国の関税問題や中東情勢の悪化が懸念されるが、高市早苗政権の財政拡張政策を背景とした景気回復の期待が寄せられる。一方で、足元では「物価高などによる消費低迷」(運輸・倉庫)、「奈良への中国人観光客が軒並み低迷している」(サービス)との声が寄せられており、一進一退の状況が続くとみられる。

・景気DI

奈良の景気DIは前月から1.8ポイント改善し42.1となった。都道府県別順位は前月の36位から30位に上昇した。近畿ブロックはすべての府県で改善した。近畿は前月比0.9ポイント改善し43.5、全国では同0.5ポイント改善し44.3となった。

・規模別DI

「大企業」は45.2と前月比1.4ポイント、「中規模」は41.7と同1.9ポイントそれぞれ改善したが、「小規模」は34.4は同4.3ポイント悪化した。なお、規模間格差(「大企業ー中小企業」)は3.5と前月の4.0から0.5ポイント縮小している。

・業界別DI

『製造』(36.4)は前月比2.1ポイント悪化した。『建設』(50.0)は同5.6ポイント、『不動産』(41.7)は同5.0ポイント、『卸売』(48.1)は同0.2ポイント、『小売』(36.7)は同3.4ポイント、『サービス』(48.1)は同6.4ポイントそれぞれ改善した。

・先行き見通しDI

3カ月後は44.1(前月42.8)、6カ月後は45.4(同43.6)、1年後は46.7(同45.9)となった。前月に比べると先行き見通しDIはいずれも改善しており、2月の42.1と比較しても短期的・中長期的には改善見通しとなっている。

■和歌山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.3

2.0

3カ月ぶりに改善

・概況

「和歌山」は前月比2.0ポイント増の40.3と3カ月ぶりに改善した。前月に引き続き、地元大手スーパーの既存店売上高は前年割れが続いており、果物の売れ行きが前年に比べて減少傾向など物価高を背景に消費者の節約志向が鮮明になっている。和歌山県内の2025年の新設住宅着工戸数は3,364戸と昨年から436戸減少するなど、戸建て関連の建築業界は厳しい状況となっている。一方で化学中間体を扱う地元大手化学メーカーでは首都圏の大手企業からの受注は堅調に推移するなど個別企業におけるDIの差が広がりつつある。

・景気DI

「和歌山」は、前月比で2.0ポイント増の40.3と3カ月ぶりに改善し、40ポイント台を回復した。ただ、『全国』(44.3)と『近畿』(43.5)を下回っており、力強い回復には至っていない。

・規模別DI

「大企業」が前月比4.3ポイント増の51.9、「中小企業」が同1.4ポイント増の38.8と「中小企業」のDIは依然として低水準ではあるものの、「大企業」が50ポイントを上回り、全体のDIを押し上げる結果となった。

・業界別DI

『運輸・倉庫』(33.3)や『製造』(39.9)は悪化したものの、『サービス』(43.5)、『建設』(40.6)、『小売』(36.7)、『卸売』(36.4)は前月に比べて改善した。ただ、30ポイント台の業界もあり、全体的に力強さに欠けている。

・先行き見通しDI

3カ月後が43.9(前月43.4)、6カ月後が44.1(同42.4)、1年後が45.1(同42.0)といずれも前月に比べて見通しは改善した。足元の景況感にさほど高くはないものの、最近の日経平均の最高値や衆議院議員選挙の結果を受けて、高市首相の「責任ある積極財政」に期待する声があがった。

「近畿ブロック(2026年2月)」の詳細(近畿ブロック:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)