レポート

TDB景気動向調査2026年1月(九州ブロック:福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)

■九州ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.6

-0.2

2カ月ぶりに悪化

・概況

『九州』の景気DIは、45.6と2カ月ぶりに悪化した。企業からは「TSMC二期工事がストップしたことにともない、関連している業者関係は困っている状況の模様である」(熊本県、建設)などの声が聞かれる。DI50台は、県別では「沖縄」のみ。原燃料高、人件費負担増に対し、価格転嫁も十分ではないものの、引き続きインバウンド需要に加え、TSMC第二工場工事再開や新政権への期待感もあり、当面、一進一退の推移が見込まれる。

・景気DI

『九州』(45.6、前月比0.2ポイント減)は2カ月ぶりに悪化した。10業界中5業界、8県中4県で悪化。『九州』8県中10位以内は4県。先行き見通しDIは「3カ月後」が2カ月連続、「6カ月後」は3カ月ぶり、「1年後」は2カ月ぶりに改善した。ブロック別では11カ月連続で全国2位。

・規模別DI

「大企業」(49.3、前月比0.5ポイント増)は3カ月連続で改善。「中小企業」(45.1、同0.2ポイント減)は2カ月ぶりに悪化。34カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回り、規模間格差は前月から0.7ポイント拡大。「小規模企業」は43.5(同0.3ポイント減)と2カ月ぶりに悪化。

・業界別DI

『建設』(49.8、前月比0.3ポイント増)など3業界で改善したものの、『農・林・水産』(46.3、同1.9ポイント減)、『金融』(44.9、同0.8ポイント減)など10業界中5業界で悪化した。『小売』『その他』は前月比横ばい。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(47.9、前月比0.6ポイント増)は2カ月連続、「6カ月後」(47.9、同0.8ポイント増)は3カ月ぶり、「1年後」(48.2、同0.6ポイント増)は2カ月ぶりに改善した。業界別では、『農・林・水産』など4業界で全指標が改善したが、『不動産』が全指標で悪化した。

■福岡県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

46.2

0.5

2カ月連続の改善

・概況

「福岡」の景気DIは、個人消費などの伸び悩みなどがあった一方で、インバウンド需要や設備投資などの高まりもあり、2カ月連続で改善した。企業からは「原材料高騰が続くものと予測される」(製造)などのコメントがある一方、「上下水道工事はライフラインであるため、物価上昇を加味した発注が行われている」(建設)などの声があった。人件費増、物価上昇などが多くの業界にマイナスとなっているものの、インバウンド効果などによって一部の業界は好調な推移を維持しており、今後も一進一退の状況が続こう。

・景気DI

「福岡」(46.2、前月比0.5ポイント増)は、2カ月連続の改善。業界別では、『建設』『製造』『小売』『サービス』の4業界で改善した。『その他』は横ばい。『農・林・水産』『金融』など5業界で悪化。都道府県別順位は6位で前月(8位)からアップ。『九州』8県での順位も前月(4位)からアップし3位。

・規模別DI

「大企業」50.3(前月比2.6ポイント増)は2カ月ぶりの改善。「中小企業」45.5(同0.2ポイント増)は2カ月連続の改善。「小規模企業」44.8(同0.2ポイント減)は2カ月ぶりの悪化。規模間格差は「大企業」が「中小企業」を4.8ポイント上回った。

・業界別DI

『その他』(50.0)は横ばい。『建設』(50.8、前月比1.1ポイント増)、『製造』(40.6、同1.0ポイント増)など4業界で改善。『農・林・水産』(55.6、同2.7ポイント減)、「金融』(50.0、同8.3ポイント減)など5業界で悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(48.9、前月比1.1ポイント増)は2カ月連続、「6カ月後」(49.4、同1.5ポイント増)、「1年後」(49.6、同1.0ポイント増)は3カ月ぶりに改善。業界別では、『建設』『小売』で3指標全てが改善。『不動産』『運輸・倉庫』ですべて悪化。

■佐賀県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.9

-0.5

2カ月連続で悪化

・概況

「佐賀」の景気DIは改善と悪化が続いているが、12月以降は悪化が続いており、改善の兆しが見えるとは言い難い。業界別でも7業種中3業種が悪化、規模別では中小企業の悪化により規模間格差が拡大した。政府の経済政策などを期待し、先行き見通しDIの各指標は改善しているが、確固たるものはなく人手不足や資材高騰が続くため、依然として厳しい情勢が続きそうだ。

・景気DI

「佐賀」の景気DIは43.9と前月より0.5ポイント悪化した。浮き沈みの結果、2025年1月の景気DIと同ポイントとなり、一年間改善されなかった。「佐賀」の都道府県別順位は13位と前月と同順位であった。

・規模別DI

「大企業」は46.4と前月比0.2ポイント改善した。「中小企業」は43.2で同0.8ポイント悪化、そのうち「小規模企業」は40.6と同1.0ポイント改善した。「中小企業」の悪化幅が大きく、規模間格差は3.2に拡大した。

・業界別DI

2025年9月以降、『卸売』は改善傾向で推移していた。しかし、資材価格の高騰や人員不足に加え、住宅の着工件数減少などを背景に、2026年1月の景気DIは38.1と前月比3.6ポイント悪化した。『小売』は前月比5.0ポイント改善されたが依然として低水準であり、いまだ動向を注視するべき業界は多い。

・先行き見通しDI

「3か月後」は46.3(前月46.1)、「6か月後」は46.3(同45.0)、「1年後」は46.0(同45.0)と、各指標は改善した。人手不足など解消されない事案を抱える企業は多いが、新政権に対する期待が表れた結果となった。

■長崎県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.2

-0.9

2カ月ぶりに悪化

・概況

「長崎」の景気DIは前月比0.9ポイント減と2カ月ぶりに悪化した。「物価高騰が続き選別購入をされている感じ」(卸売)など物価高騰による買い控えの影響を指摘する声が多く聞かれた。このほかにも、暖冬や年度末に向けて需要が低迷することを懸念する声も聞かれた。ただ、競合を避けて独自の展開を行う企業もあり、前向きな取り組みをみせる声もあった。2月の県知事選や衆議院選の結果を見極めたいという姿勢も多く、「長崎」の景況感は、今後も外部環境に影響されながら緩やかな回復状況が続くと見込まれる。

・景気DI

「長崎」の景気DIは前月比0.9ポイント減の43.2と2カ月ぶりに悪化した。『九州』8県中、本県を含めて4県が悪化し、九州ブロック内順位は前月と同じ6位となった。都道府県別順位は、前月の15位から4つ落として19位となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比3.3ポイント減の43.1、「中小企業」は同0.5ポイント減の43.2、「中小企業」のうち「小規模企業」は同0.3ポイント減の39.6となった。各規模とも悪化したことに加え「大企業」が「中小企業」の悪化幅を上回ったため、規模間格差は逆転して▲0.1となった。

・業界別DI

前月から改善した業界は『農・林・水産』『不動産』『製造』の3業界にとどまった。悪化した業界は『金融』『建設』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』の6業界となった。そのような中でも『不動産』は前月から大幅に改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」44.9(前月45.4、前月比0.5ポイント減)「6カ月後」44.0(同44.7、同0.7ポイント減)「1年後」45.9(同44.2、同1.7ポイント増)となった。業界別でみると『卸売』は先へ行くほど改善見通しとなった。

■熊本県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.2

-1.6

2カ月ぶりに悪化

・概況

「熊本」の景気DIは前月比1.6ポイント減の45.2と2カ月ぶりに悪化した。「不動産購入、設備投資の需要が増加傾向にある」(サービス)など明るい話題が見られた一方で、「半導体関連工場の工事が中断し、それに伴う住宅関連も落ち込んでいる」(建設)と不安を示す声は多い。TSMC第2工場の工事が停滞していることへの懸念のほか、金利上昇による返済負担の増大など今後も好転する要素は少なく、景気は足踏みの状況が続くとみられる。

・景気DI

「熊本」の景気DIは45.2で前月比1.6ポイント減と2カ月ぶりに悪化した。また、『九州』(45.6)も前月比0.2ポイント減となり、「全国」(43.8)は同0.6ポイント減となった。なお、「熊本」の都道府県別順位は第7位(前月第6位、前年同月第3位)と前月から1ランク下がった。

・規模別DI

「大企業」の景気DIは48.6と前月から2.9ポイント減となり、「中小企業」は44.8と同1.6ポイント減となった。30カ月連続で「大企業」が「中小企業」の景気DIを上回り、規模間格差(大企業-中小企業)に関しては「中小企業」よりも「大企業」の数値が悪化したため、差は3.8ポイントに縮小した。

・業界別DI

9業界中、改善した業界は『金融』『卸売』『運輸・倉庫』の3業界となった。一方で悪化した業界は『農・林・水産』『建設』『不動産』『製造』『小売』『サービス』の6業界となった。資材価格および人件費上昇分のすべてを転嫁できず、悪化した業界が多かった。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは「3カ月後」が46.2(前月47.3)、「6カ月後」は46.8(同46.0)、「1年後」は46.1(同46.7)となった。「6カ月後」は改善したが、日中関係の停滞や不安定な国際情勢により「3カ月」、「1年後」はいずれも悪化した。

■大分県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

47.9

横ばい

見通しはやや減速見込み

・概況

日中関係の緊張によるサプライチェーンの不透明感は払拭されず、輸入価格の上昇基調と相まって卸売業は悪化。一方、製造業は半導体や自動車向けの世界的な需要回復などから、受注環境の改善や価格転嫁の進展が期待され改善した。金利上昇や最低賃金の大幅引上げ、人手不足に伴う人件費上昇は中小企業のコスト圧力を一段と強め、価格転嫁が遅れる業種ほど採算悪化が続く見通しである。日中摩擦の長期化、円安下での輸入コスト高、金利上昇局面における支払利息増加などが重石なことに変わりはなく、県内景況感はやや減速しよう。

・景気DI

「大分」は47.9となり、前月から横ばいとなった。全国順位は第2位(前月第3位・前年同月第2位)となり、前月から1つ順位を上げた。判断の分かれ目となる「50」は13カ月連続で下回った。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.7ポイント増の50.0となった。「中小企業」は同0.1ポイント減の47.7、「中小企業」のうち「小規模企業」は同5.3ポイント増の50.8となった。規模間格差は2.3となり、3カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。

・業界別DI

業界別では『製造』『建設』『運輸・倉庫』が改善した。『製造』は前月比4.5ポイント増の52.6、『建設』は同2.6ポイント増の52.6、『運輸・倉庫』は同2.2ポイント増の38.9となった。一方、『卸売』は同7.2ポイント減の36.4となり2カ月連続で悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」51.3(前月49.4)、「6カ月後」51.0(同47.9)、「1年後」50.8(同48.1)となり、「3カ月後」「6カ月後」「1年後」のいずれも前月から改善して「50」を上回った。業界別では、『製造』『小売』『サービス』の3指標がともに「50」を上回った。

■宮崎県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.7

1.1

2カ月ぶり改善

・概況

「宮崎」の景気DIは40.7で、前月比1.1ポイント増と2カ月ぶりに改善した。宮崎県経済は、物価高の影響を受けつつも、全体として「底堅い推移」にある。2027年の国スポ開催に向けた大規模な競技施設整備などの公共投資が建設需要を強力に牽引している。雇用面では深刻な人手不足を背景に、春闘での賃上げ実現が焦点となる。一方、個人消費の動向には注意を要するが、観光需要は堅調に維持しており、緩やかな回復基調が続くとみられる。

・景気DI

「宮崎」の景気DIは40.7で、前月比1.1ポイント増と2カ月ぶりに改善した。『九州』(45.6)と比較して4.9ポイント減、全国(43.8)と比較しても3.1ポイント減となった。全国順位に関しては、34位となり前月順位よりも7位上昇した。

・規模別DI

「大企業」は50.0で前月と変わらず、「中小企業」は39.9で1.6ポイント増となった。企業間格差(大企業-中小企業)は10.1となり、同1.6ポイント縮小した。「中小企業」に含む「小規模企業」は36.5で同0.3ポイント増と改善した。

・業界別DI

『製造』は36.4で前月比1.5ポイント減、『非製造』は41.4で同1.5ポイント増で『製造』は2ヵ月連続悪化した。『製造』は「飲食料品・飼料製造」が悪化、改善した業種は「電気機械製造」だった。『非製造』は、「化学品卸売」など改善する一方、「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」、「情報サービス」等が悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」見通しに関しては、45.1で前月比1.0ポイント増、「6カ月後」は45.1で同1.7ポイント増となった。一方、「1年後」は45.3で同0.5ポイント減となった。なお、『九州』と『全国』と比較しても宮崎の先行き見通しDIはそれぞれ下回った。

■鹿児島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.3

-2.3

2カ月ぶり悪化

・概況

「鹿児島」の景気DIは41.3と2カ月ぶりの悪化となり、10カ月連続で悪化と改善が続いた。近時のトレンドである「物価高」や「人手不足」、「原料調達難」などの声は依然として多く、「働き方改革による稼働率低下」などを懸念する声も聞かれた。一方、「減税」や「取適法(旧下請法)の改正」に期待する企業の声もみられたものの、先行きに対し厳しい見方をする企業が多く、今しばらくは一進一退の状況が続くものと推察される。

・景気DI

「鹿児島」の景気DIは41.3と前月比2.3ポイント悪化した。「九州」は同0.2ポイント悪化の45.6、「全国」は同0.6ポイント悪化の43.8となった。全国的に悪化傾向ながら、「鹿児島」の悪化幅が大きかったことで、都道府県別順位は前月の21位から31位に後退した。これで、10カ月連続で悪化と改善を繰り返しており、一進一退の状況にある。

・規模別DI

「大企業」は前月比5.0ポイント悪化の52.1であったほか、「中小企業」は同2.2ポイント悪化の40.3となった。また、「中小企業」のうち「小規模企業」は41.1と同2.5ポイント悪化するなど全規模において悪化したなかで、「大企業」の悪化幅が大きかったことで、規模間隔差(大企業-中小企業)は2.8ポイント縮小し11.8となった。

・業界別DI

改善は『サービス』の1業界にとどまったほか、横ばいも『金融』のみの1業界となった。そのため、『農・林・水産』『建設』『不動産』『製造』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』の7業界が悪化した。7業界以上が悪化となるのは24年5月以来17カ月ぶりで、前月は5業界が改善した反動が出た形となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は43.1と前月比1.9ポイントの悪化、「6カ月後」も43.1と同3.9ポイントの悪化となり、「1年後」も45.3と同2.9ポイントの悪化となった。前月は全項目で一定の改善が進んだが、同程度の悪化となり、依然として予断を許さない状況にある。

■沖縄県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

56.4

1.6

2カ月振りに改善

・概況

「沖縄」の景気DIは、2カ月振りに改善した。1月も沖縄観光が好調さを維持し、卸売業やサービス業などで恩恵があったようで、特にサービス業は3カ月連続で改善している。また、公共及び民間の大型投資、不動産売買案件の多さなどもプラスに働いている。しかし、景気DIは改善と悪化を繰り返していて不安定さは否めず、1年前(2025年1月)の57.2と比べ0.8P減と僅かに低下していることから、景況感は引き続き注視していく必要がある。

・景気DI

「沖縄」の景気DIは前月比1.6ポイント(以下、P)増の56.4となった。業種別では8業界中、3業界が改善した。また、都道府県別順位は34カ月連続で全国1位となり、『全国』(43.8)、『九州』(45.6)を上回っている。

・規模別DI

「大企業」(61.1、前月比5.6P減)で4カ月振りの悪化、「中小企業」(56.2、前月比1.8P増)で2カ月振りの改善、「中小企業」のうち「小規模企業」(54.0、前月比1.3P増)は4カ月連続の改善となった。

・業界別DI

前月と比較可能な8業界中、『金融』(33.4P減)、『不動産』(0.9P減)、『製造』(3.7P減)、『小売』(4.4P減)、『運輸・倉庫』(5.6P減)の5業界が悪化したが、『建設』(1.9P増)、『卸売』(6.8P増)、『サービス』(5.0P増)の3業界が改善した。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、「3カ月後」が57.0(前月55.6)で2カ月振りの改善、「6カ月後」は55.0(前月52.0)で4カ月連続改善、「1年後」は53.7(前月52.0)で3カ月連続改善となった。

「九州ブロック(2026年1月)」の詳細(九州ブロック:福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)