レポート

TDB景気動向調査2026年1月(北関東ブロック:茨城・栃木・群馬・山梨・長野)

■北関東ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.1

0.4

5カ月連続の改善

・概況

『北関東』の景気DIは5カ月連続で改善した。域内5県では『長野』が前月から1.6ポイントの大幅改善となり全体を押し上げた。また、業界別ではトランプ関税への懸念から景況感が低位にあった『製造』(41.3)が、2023年12月以来の40台回復となり大きく改善した。企業からは、依然として人手不足や価格高騰の影響の声が聞こえるが、他方、受注が上向いているといったポジティブな声も聞かれている。衆院選を控え、今後の政策、あるいは海外情勢など不安要素を訴える声も聞かれ、先行き不透明な状況が続いている。

・景気DI

『北関東』の景気DIは前月比0.4ポイント増の43.1となり、5カ月連続で改善した。5カ月改善が続くのは2022年8月以来。域内5県で改善したのは「山梨」「長野」の2県だったが、「長野」が前月から1.6ポイント大きく改善し全体を押し上げた。この結果、全国10地域の順位は4位(前月は7位)となった。

・規模別DI

「大企業」(50.2)、「中小企業」(42.3)、「小規模企業」(40.9)となり、「小規模企業」のみが悪化し、「大企業」「中小企業」は改善した。「大企業」のDIが50台になるのは2019年1月以来。この結果、規模間格差(大企業-中小企業)は7.9となり、前月から2.0ポイント拡大した。

・業界別DI

全10業界中、悪化と改善は各5業界となり景況感は2分した。改善したなかでは『農・林・水産』(50.0)が前月から4.2ポイントの大幅改善となり、『製造』(41.3)は4カ月連続で改善し、2023年12月以来の40台となった。また『建設』(50.0)は6カ月ぶりに悪化したが2カ月連続50台を維持した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(45.3、前月44.4)「6カ月後」(46.1、前月45.5)「1年後」(47.2、前月46.7)となり、全ての区分で前月より改善した。業界別でみると1年後の見通しDIが現状(1月調査)より悪化するのは『建設』など3業界にとどまり、『製造』をはじめ多くの業界で現状よりも回復を見込む。

■茨城県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.1

横ばい

都道府県別順位は上昇

・概況

「茨城」の景気DIは横ばいながらも下振れを避け、足元では緩やかな回復基調がうかがえる状況にある。衆院選で多くの政党が掲げる消費税減税や廃止への期待が景況感を下支えした一方、物価高に対する警戒感は依然として強く、企業活動を取り巻く不透明感は払拭されていない。投開票の結果が、こうした期待と警戒のバランスにどのような影響を及ぼすかは大きな焦点であり、県内企業の判断にも大きく作用するとみられる。茨城県の景況感は、政策の方向性と企業収益環境の変動に左右される可能性が高く、引き続き慎重な見極めが求められる。

・景気DI

「茨城」の景気DIは前月比横ばいの44.1。これまで2カ月連続で改善が続いていた景気DIは、悪化に転じることなく、前月の水準を維持した格好である。依然として物価高に対する懸念は残るものの、2月8日の衆院選投開票に向けて多くの政党が掲げる消費税の減税・廃止が景気回復に寄与するとの思惑が下支えとなった。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.7ポイント増の41.7で、2カ月連続の改善。「中小企業」は同0.2ポイント減の44.2、「小規模企業」も同1.4ポイント減の42.6、ともに3カ月ぶりの悪化となった。「中小企業」「小規模企業」の悪化は、収まる気配をみせない原材料高を背景とした値上げによる、個人消費の冷え込みを危惧したもの。

・業界別DI

改善したのは『農・林・水産』『建設』など4業界。一方、『運輸・倉庫』『不動産』など4業界が悪化し、『金融』は横ばい。改善幅が大きかった『農・林・水産』については、農産物価格の上昇が追い風となった。大きく悪化した『運輸・倉庫』は、繁忙期である12月と比較して荷物量が減少したことが主な要因となっている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は46.0で前月比1.0ポイント上昇、「6カ月後」も46.0と1.3ポイント増、「1年後」においても47.2で2.1ポイント増と、先行き見通しは総じて改善した。企業からは、衆院選で積極財政が支持されることへの期待のほか、減税による個人消費拡大を景気回復要因として評価する声が複数聞かれた。

■栃木県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.8

-0.7

4カ月ぶりに悪化、中小企業の不安感強い

・概況

景気DIは42.8と4カ月ぶりに悪化した。というより、低調がずっと続いているという表現の方が正しい。近時のキーワードは「円安」と「価格転嫁」であり、いずれも中小企業がそのしわ寄せを受ける形。加えて「金利のある世界」が本格化し、八方塞がりといった表現もよく聞かれる。設備投資なども価格高騰を理由に“今がタイミングではない”と判断する企業が多く、経済全体がよどんでいる。新政権への期待が大きいのは、大胆な経済対策によるマインドの活性化が図られることを期待しており、中小企業支援策も含めて政策が待たれる。

・景気DI

1月の景気DIは42.8、前月比0.7ポイントの悪化となった。再び43を割り込み、不安定さが露呈した。県別順位も24位とブロック内でもワースト2、全国の43.8を1.0ポイント下回った。物価高、円安などの悪影響がサプライチェーン全体に及び、結果的に一般消費の伸び悩みにつながっている。

・規模別DI

「大企業」49.2(前月52.9)、「中小企業」41.7(同41.6)、「小規模企業」40.7(同41.3)となり、規模間格差は7.5まで縮小した。単月で論評はできないものの、為替相場の不安定や物価高に伴う消費の減退など、大きなロットで商売をする大企業に多くの影響が及び、価格転嫁にも影響が出てくる。

・業界別DI

業界別では、『サービス』51.0、『建設』48.3などおおむね標準値を上回っている業界がある一方、『小売』『製造』が30台、『運輸・倉庫』は前月比8.3ポイントの悪化など極端な格差が生じている。BtoCの業態に景況感の不振が目立つのも、結局、一般消費の減退の影響から派生していると見て良いだろう。

・先行き見通しDI

「3カ月後」43.9(前月45.3)、「6カ月後」44.4(同45.8)、「1年後」44.3(同45.5)とすべてのカテゴリーで悪化した。「円安気配が続き、多少受注が増えても利幅が食われて元の木阿弥」(製造)や、「春の賃上げに対応できるだけの体力がない」(サービス)といった悲鳴に近い声が多い。

■群馬県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.9

-0.6

2カ月ぶりに悪化

・概況

県内企業からは「工場の設備投資が旺盛。建築案件が多い」(製造)との明るい声が聞かれる。一方で、「物価高と金利上昇で資金繰り負担が増加」(不動産)、「大手メーカーの製造ライン改修に伴い生産量が減少。サプライチェーン全体に影響が出ている」(製造)、「住宅着工数が低迷」(製造)など厳しい意見もある。大企業と中小企業の格差拡大も続いた結果、1月の景気DIは2カ月ぶりに悪化した。円安や利上げ局面、人手不足、賃上げ圧力のほか、衆院選後に本格化が想定される物価高対策などの展開と効果に注目したい。

・景気DI

景気DIは前月比0.6ポイント減の40.9と2カ月ぶりに悪化した。他方、『全国』は同0.6ポイント減と8カ月ぶりに悪化しており、「群馬」の47都道府県別順位は33位(前月35位)に上昇した。DIは40台を維持したものの、『北関東3県』においては「茨城」「栃木」より低位にある。

・規模別DI

「大企業」 は前月比4.8ポイント増の50.0と2カ月連続で改善した。一方、「中小企業」は同0.9ポイント減となり2カ月ぶりに悪化。「小規模企業」は横ばいで推移した。「大企業」が改善した一方で、「中小企業」は悪化したため、「大企業」と「中小企業」の規模間格差は9.8と大幅に拡大した。

・業界別DI

前月と比較可能な9業界では、 『サービス』『小売』など3業界が改善。『サービス』は全業界のなかで唯一50を超えている。他方、『製造』『卸売』など4業界が悪化し、『金融』『不動産』は横ばいだった。なお、『小売』の改善は4カ月ぶり。『卸売』は2カ月連続の悪化となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が43.2(前月43.3)、「6カ月後」が45.1(前月44.3)、「1年後」が46.8(前月45.9)となった。「3カ月後」が前月より悪化。「6カ月後」と「1年後」の2指標が前月より改善した。先に行くほどDI は高く、現在2.9ポイントの全国との格差は 「1年後」はゼロとなった。

■山梨県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.8

0.9

2カ月ぶりに改善

・概況

「山梨」の景気DIは2カ月ぶりに改善した。企業からは「物価上昇の影響により需要は減退している」(卸売)などの声が聞かれた。一方、「観光需要は、年末から年始にかけて堅調な推移が継続している。ビジネス関連は、業種によるばらつきは見られるが、相対的には底堅い動きとなっている」(サービス)、「燃料費の補助金があるので、かなり経費の節減ができている」(農・林・水産)などプラスの声が多い。先行きについては、半導体製造装置関連の市況が春から夏にかけて回復すると聞かれることから、景況感の改善傾向は続くとみられる。

・景気DI

「山梨」の景気DIは前月比0.9ポイント増の43.8となり、2カ月ぶりに改善。全国は同0.6ポイント減の43.8だった。「山梨」は全国と同水準となり、都道府県別順位は前月の26位から14位に上がった。

・規模別DI

「大企業」は前月比3.6ポイント増の52.4、「中小企業」は同0.5ポイント増の42.4、「小規模企業」は同1.7ポイント減の37.0となった。「大企業」と「中小企業」との規模間格差は、「大企業」が大きく改善したため、前月より3.1ポイント拡大して10.0ポイント差となった。

・業界別DI

前月と比較可能な9業界中、5業界が改善、2業界が悪化、2業界が横ばいとなった。『製造』は半導体製造装置関連の受注が戻り始めたことから、4カ月連続改善している。判断の分かれ目となる50を上回ったのは、『農・林・水産』『建設』『サービス』の3業界。

・先行き見通しDI

「3カ月後」46.1(前月44.1)、「6カ月後」46.5(同46.8)、「1年後」48.7(同48.3)となった。先に行くほどDIは高くなっている。業界別で3指標ともに50以上となったのは、『農・林・水産』『建設』『不動産』『サービス』の4業界。

■長野県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.8

1.6

2カ月ぶりに改善、

都道府県順位は14位に上昇

・概況

「長野」の景気DIは、2年9カ月ぶりの43.8となり、2023年5月以来で最高になった。「受注量が落ちるということであったが、実際には2026年の年明けでも増加している」(鉄鋼・非鉄・鉱業)、「半導体装置向け製品の受注が春に向かって増えてきている。研究開発向けの案件がよく動いている」(電気機械製造)など低迷していた製造業で前向きなコメントが増えている。一方で、「地政学リスクが顕在化しており、不透明感が強く良く見通せない」(パルプ・紙・紙加工品製造)など先行きについては依然として不安な声が多い。

・景気DI

「長野」の景気DIは43.8と前月比1.6ポイント上昇し、2カ月ぶりに改善した。前年同月も4.8ポイント上回り、前月から0.6ポイント悪化した「全国」と並んだ。都道府県別順位は14位と、前月より18ランク、前年同月からは26ランクともに上昇した。

・規模別DI

「大企業」は前月比5.6ポイント、「中小企業」は同1.3ポイント、「小規模企業」は同0.8ポイントそれぞれ改善。改善幅は規模に比例した。規模間格差は「大企業」と「中小企業」は同4.3ポイント、「大企業」と「小規模企業」は同4.8ポイントともに拡大。「小規模企業」と「中小企業」は同0.5ポイント縮小。

・業界別DI

案件増が続いているとの声が聞かれる『製造』は前月から6.9ポイントと顕著に改善。『小売』も同1.4ポイント、『卸売』も同0.1ポイントそれぞれ改善。一方、荷動きが良くないとのコメントが多い『運輸・倉庫』は同12.3ポイントの大幅な悪化。『建設』も同4.0ポイント、『サービス』も同1.7ポイント悪化。

・先行き見通しDI

「長野」全体、業界別の『製造』『卸売』『サービス』、規模別の「中小企業」「小規模企業」は長期になるほど改善を予想した。『小売』『建設』は現在から一度上がって悪化、『運輸・倉庫』は一進一退、「大企業」は長期になるほど悪化を見込む。「長野」としては、37カ月連続で長期になるほど改善を予想する状況が続く。

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