レポート

TDB景気動向調査2026年1月(近畿ブロック:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)

■近畿ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.6

-1.0

8カ月ぶりに全6府県が悪化

・概況

『近畿』の景況感は一進一退の状況が続く。中国からのインバウンド客が落ち込むなか、年末年始に関しても「宴会がダメ」(飲食サービス、和歌山県)、「例年よりオーダーが少ない」(人材派遣・紹介サービス、兵庫県)といった声が聞かれ、ヒト・モノ・カネの流れに停滞感が強まっている様子がうかがえる。先行きに関しては、規模・業界を問わず“チャイナリスク”への言及が多い。また、衆院選後も国内政治が一気に安定するとは考えにくく、経済政策の浸透にも時間がかかる可能性が高い。景気は当面、足踏み状態が続くだろう。

・景気DI

『近畿』は前月比1.0ポイント減の42.6と、2カ月ぶりに悪化した。4カ月ぶりに悪化した「滋賀」をはじめとして全6府県が悪化したため、8カ月ぶりに悪化した全国(43.8、同0.6ポイント減)よりも悪化幅が大きくなり、格差は▲1.2ポイントに拡大。ブロック別順位は5位に後退した(前月は3位)。

・規模別DI

「大企業」(49.1、前月比0.6ポイント減)は2カ月ぶり、「中小企業」(41.4、同1.1ポイント減)は6カ月ぶりに、それぞれ悪化した。円安に伴うマイナスの作用が「中小企業」に広がったことで、規模間格差は、過去最大だった2025年8月(7.6ポイント)を上回る7.7ポイントに拡大した。

・業界別DI

『農・林・水産』『建設』を除く8業界が悪化した。物価高に伴う消費の鈍化、中国政府による日本への渡航自粛勧告を受けたインバウンド減少により、『サービス』『小売』などが悪化。とりわけ『サービス』では「飲食店」「旅館ホテル」が新型コロナ5類移行後の最低となった。『小売』には年末商戦の反動が出た。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(前月比0.6ポイント減)、「6カ月後」(同0.5ポイント減)、「1年後」(同0.6ポイント減)の3指標とも、2カ月ぶりに悪化した。先行き3指標がそろって悪化したのは、府県別では「奈良」以外の5府県、業界別では『建設』『卸売』『サービス』など5業界、規模別では全規模。

■大阪府

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.5

-0.6

2カ月ぶりに悪化し、BtoC業種を中心に不安が表面化

・概況

「大阪」は一進一退が続いた。企業からは「万博が終わり、反動で需要が減少している」(機械製造)や「日中関係悪化で訪日客が激減」(その他の卸売)など、大阪・関西万博閉幕後の需要減と日中対立の先鋭化を不安視する声が多く聞かれた。調査結果からは、『小売』や『サービス』の中でもBtoC業種での悪化が読み取れる。2月8日には、自維連立政権の信を問う解散総選挙が行われる。国内の政局・経済政策への期待と懸念が交錯し、先行きも足踏み状態となる見通しだ。

・景気DI

「大阪」は前月比0.6ポイント減の43.5となり、2カ月ぶりに悪化し、一進一退が続いている。全国(43.8、同0.6ポイント減)との格差は横ばいの0.3ポイントとなり、5カ月連続で下回った。都道府県別順位も前月の15位から16位へ後退した。

・規模別DI

「大企業」(49.1、前月比0.8ポイント減)、「中小企業」(42.2、同0.7ポイント減)ともに2カ月ぶりに悪化した。規模間格差は6.9ポイントに縮小したものの、依然として高水準にある。なお、「小規模企業」(41.5、同1.1ポイント減)も2カ月ぶりの悪化となった。

・業界別DI

9業界中6業界が悪化した。『サービス』は2年11カ月ぶりに50を割り込み、特に日中関係悪化の影響が不安視される「飲食店」(31.0、前月比12.3ポイント減)の悪化幅が大きかった。『不動産』は唯一50を上回っているが、4カ月連続で悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(前月比0.9ポイント減)、「6カ月後」(同0.3ポイント減)、「1年後」(同0.7ポイント減)の3指標が揃って2カ月ぶりに悪化。業界別では『小売』『サービス』『建設』など5業界の先行き3指標が悪化した。他方で、『不動産』『製造』の2業界は3指標とも改善した。

■京都府

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.3

-1.2

規模間格差が2カ月連続で過去最大を更新

・概況

「京都」の景気DIは2カ月連続で悪化した。円安などを追い風に「大企業」は好調が続くが、「中小企業」では物価高や人件費高騰が業績を圧迫しており、規模間格差は2カ月連続で過去最大を更新した。「中国人観光客の減少で売り上げが減少」(卸売)、「中国企業との関係が悪化」(サービス)など、中国依存やチャイナリスクがマイナス要素として露見し始め、景況感を下押ししている。今後は金利上昇による借入金負担の増加や、物価高騰による消費意欲の低下が続くことが予想されるため、当面は足踏み状態が続くだろう。

・景気DI

「京都」の景気DIは、前月比1.2ポイント減の41.3に悪化した。『全国』(43.8)との格差は▲2.5ポイント(前月▲1.9ポイント)に拡大し、14カ月連続で『全国』を下回った。『近畿』の順位は4位(同4位)と前月と変わらなかったが、都道府県別の順位は31位(同30位)に後退した。

・規模別DI

「大企業」は52.2(前月52.2)、「中小企業」は39.5(同40.8)、「小規模企業」は38.4(同40.4)となった。「大企業」は前月比横ばいとなったが、「中小企業」は同1.3ポイント悪化した。規模間格差は、2002年5月の調査開始以降過去最大となった前月を上回り、12.7に拡大した。

・業界別DI

金利上昇を追い風とする『金融』、地価高騰の恩恵を受ける『不動産』が50を上回った。また、『小売』が2カ月連続で47を上回るなど回復の兆しがみえる業界もあるが、『製造』は3カ月ぶり、『卸売』は15カ月連続で40を下回るなど、業界ごとに明暗が分かれた。

・先行き見通しDI

「3カ月後」44.5(前月44.7)、「6カ月後」44.6(同44.7)、「1年後」45.4(同45.8)となり、全期間で前月を下回った。『製造』『小売』は全期間で改善見通しだが、『金融』『不動産』『卸売』は全期間で悪化見通し。「大企業」は全期間改善見通しに対して、「中小企業」は全期間悪化見通し。

■兵庫県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.2

-1.1

2カ月連続の悪化

・概況

「兵庫」の景気DIは2カ月連続の悪化となった。「設備投資が堅調である」(建設)とのコメントがある一方で、「物価高による買い控えにより、消費の低迷」(卸売)、「円安による輸入品、輸入食材高騰」(小売)など物価高による個人消費の悪影響は依然として厳しいとの声が多かった。また先行き面でも「中国人の来店がない」(サービス)など、中国の対日政策の動向や影響を懸念する声も多かった。今後は総選挙後の経済政策の動向に加え、為替・金利動向や不安定化する国際情勢の影響が注目される。

・景気DI

「兵庫」の景気DIは前月比1.1ポイント減の42.2で2カ月連続の悪化となった。前年同月比では0.1ポイント上回った。全国順位は28位(前年同月24位)。『全国』は前月比0.6ポイント減の43.8で8カ月ぶりの悪化、『近畿』は同1.0ポイント減の42.6で2カ月ぶりの悪化となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.0ポイント減の49.0で2カ月ぶりの悪化となった。「中小企業」は同1.3ポイント減の41.1、うち「小規模企業」は同1.1ポイント減の39.3で5カ月ぶりの30台となった。規模間格差は7.9ポイント(前月7.6ポイント)と前月比で0.3ポイントの拡大となった。

・業界別DI

10業界中8業界で悪化となった。『小売』は、前月比4.7ポイント減の36.2で3カ月ぶりの悪化で再び30台となった。『運輸・倉庫』は同4.7ポイント減の41.7、『サービス』も同2.8ポイント減の42.2となった。他方、『建設』は同2.0ポイント増の46.7で、2カ月連続の改善となった。

・先行き見通しDI

3カ月後は前月比0.1ポイント減、6カ月後は同0.7ポイント減、1年後は同0.2ポイント減と全指標で悪化。業界別では『金融』『小売』『運輸・倉庫』の3業界で全指標悪化。他方、『建設』は全指標改善だった。規模別では「中小企業」で全指標悪化となった。

■滋賀県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.8

-1.7

4か月ぶりに悪化するも、近畿ブロック内順位は1位を堅持

・概況

「滋賀」の景気DIは前月比1.7ポイント悪化した。企業からは「年末のガソリン価格の低下が影響してか、客数が前年比プラスに転じた」(サービス業)といった声がある一方、「3か月後に自動車業界での減産が予定されている」(運輸・倉庫業)、「食料品の消費税を撤廃する案が浮上しており、外食産業においては逆風になる」(飲食店)などの声が聞かれ、不透明感が強い状況が続くとみられることから、当面は物価や金利上昇に対する対応策を含め今後の経緯について注意深く見守ることが肝要であろう。

・景気DI

「滋賀」の景気DIは44.8と前月比1.7ポイント悪化した。業界別では悪化が4業界、改善が3業界、横ばいが2業界となった。近畿ブロック内の2府4県別順位は1位を堅持したなか、全国においては10位(前年同月は9位)となった。

・規模別DI

「大企業」が45.8と前月比2.7ポイント、「中小企業」が44.6と同1.6ポイント、「小規模企業」は44.9と同2.2ポイントそれぞれ悪化した。また、「大企業」は2カ月連続で「中小企業(うち小規模含む)」を上回った。

・業界別DI

前月と比較可能な9業界中4業界で悪化、3業界で改善、2業界で前月比横ばいとなった。『不動産』『卸売』『運輸・倉庫』が改善した一方で、『建設』『製造』『小売』『サービス』が悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が45.3(前月47.2)、「6カ月後」が44.8(前月45.7)、「1年後」が46.9(前月47.2)だった。不安定な国際情勢が続いているほか、国内では物価高や人手不足などの問題が解消されていない。そのなかで、2月に行われる衆院選での選挙結果が、国内外情勢に影響を及ぼすと思われる。

■奈良県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.3

-0.2

3カ月連続悪化

・概況

奈良の景気DIは前月から0.2ポイント悪化し40.3となった。中長期的には為替が円安基調で進む中でホテル開業が増えるなど観光をはじめとするサービス業の景況感は明るいものとなっている。しかし、足元では「円安や地政学リスクによる物価高で仕入れ価格が上昇する一方、価格転嫁が十分にできていない」(製造)、「設備投資および製品の動きが悪い」(製造)との声が寄せられており、一進一退の状況が続くとみられる。

・景気DI

奈良の景気DIは前月から0.2ポイント悪化し40.3となった。都道府県別順位は前月の38位から36位に上昇した。近畿では全府県が悪化した。近畿は前月比1.0ポイント悪化し42.6、全国では同0.6ポイント悪化し43.8となった。

・規模別DI

「大企業」は43.8と前月比2.1ポイント、「小規模」は38.7と同1.1ポイントそれぞれ改善したが、「中小企業」は39.6と同0.6ポイント悪化した。なお、規模間格差(「大企業-中小企業」)は4.0と前月の1.3から2.7ポイント拡大している。

・業界別DI

『卸売』(47.9)は前月比11.2ポイント改善した。『小売』(33.3)は同2.8ポイント、『製造』(38.5)は同0.6ポイント、『サービス』(41.7)は同6.6ポイント、『運輸・倉庫』(33.3)は同8.4ポイントそれぞれ悪化した。

・先行き見通しDI

3カ月後は42.8(前月41.8)、6カ月後は43.6(同42.8)、1年後は45.9(同42.8)となった。前月に比べると先行き見通しDIはいずれも改善しており、1月の40.3と比較しても短期的・中長期的には改善見通しとなっている。

■和歌山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.3

-2.4

2ヵ月連続で悪化

・概況

「和歌山」は前月比2.4ポイント減の38.3と2カ月連続で悪化した。1月度の地元大手スーパーの既存店売上高は前年割れとなっており、物価高を背景に消費者の節約志向が高まっている。また、和歌山の特産品である「みかん」は今年は豊作で卸価格がやや下落するなど地元では利益面が圧迫される業者が多い。公共工事については大型案件や件数がやや少なく、新設住宅着工戸数も前年割れであることを踏まえると、県内の景気の見通しは当面足踏み状態が続きそうである。

・景気DI

「和歌山」は、前月比で2.4ポイント減の38.3と2カ月連続で悪化した。『全国』(43.8)と『近畿』(42.6)を下回ったほか、近畿圏で唯一40ポイント台を割り込んだ。

・規模別DI

「大企業」が前月比3.8ポイント増の47.6、「中小企業」が同2.9ポイント減の37.4と「大企業」は改善したもの「中小企業」が40ポイントを割り込み、全体のDIを押し下げた。

・業界別DI

『運輸・倉庫』(41.7)や『製造』(41.3)は改善したものの、『サービス』(38.2)『建設』(36.3)、『卸売』(34.6)、『小売』(30.0)は前月に比べて悪化し、総じて30ポイント台の業界が多く、全体的に足踏みの状況となっている。

・先行き見通しDI

3カ月後が43.4(前月43.5)、6カ月後が42.4(同45.2)、1年後が42.0(同45.2)といずれも前月に比べて見通しは悪化し、景気の先行きについてはやや不透明感が高まっている。

「近畿ブロック(2026年1月)」の詳細(近畿ブロック:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)