レポート

TDB景気動向調査2025年12月(南関東ブロック:埼玉・千葉・東京・神奈川)

■南関東ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

47.2

0.3

全国トップを維持、先行きDIはいずれも改善

・概況

『南関東』の景気DIは47.2となり、全国順位でトップを維持。「東京」「神奈川」は、全国を大きく上回った。特に「見積依頼が増えてきた」「人手不足を理由に一部では新規注文を断っている」との声が寄せられた『建設』が全体を牽引する。また、先行き見通しDIがいずれも改善するなど、景況の回復への兆しがみられる。一方で「急激な円安、物流費・原材料高騰で景況感は悪い」(卸売)、「物価高による買い控えが続いている」(小売)などの声もあり、業種や規模によっては先行きの不透明感が依然として残る。

・景気DI

『南関東』の景気DIは前月から0.3ポイント増の47.2となり、全国順位は10カ月連続でトップを維持。都県別では、「神奈川」が7カ月連続、「東京」が6カ月連続の改善となった。特に「神奈川」「千葉」が前月より大きく改善、また「東京」「神奈川」が全国を上回り地域を牽引した。

・規模別DI

「大企業」は51.0と、2カ月連続で50を超えた。「中小企業」は46.4と3カ月連続で改善し、そのうち「小規模企業」が0.8ポイント改善したことで、規模間格差は4.6ポイントと前月より0.3ポイント縮小した。

・業界別DI

業界別では4業界で悪化と前月より1業界増加したが、『金融』が前月より1.7.ポイント改善したほか、『建設』が前月より1.2ポイント上昇したことが全体を押し上げた。50以上となったのは5業界。しかし、2025年に入り低い水準で推移している『製造』『卸売』『小売』は、いずれも小幅な動きとなり回復は鈍い。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は48.3(前月47.9)、「6カ月後」は48.2(同48.1)、「1年後」は48.9(同48.7)とすべてで改善し、いずれも2025年で最高。業界別では、『建設』『サービス』『農・林・水産』はすべてで50を上回ったが、『製造』『卸売』『小売』はすべてで50を下回った。

■埼玉県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.0

横ばい

2カ月連続で横ばい、景気は足踏み

・概況

「埼玉」の景気DI(44.0)は、2カ月連続で横ばいと足踏み状態となった。「中国からのインバウンドがやや少なくなっているが大きな影響がない」といった声が聞かれる「旅館・ホテル」のほか、「情報サービス」などがけん引する『サービス』は、5カ月連続でDIが50を超えて全体をけん引。他方、価格高騰や金利上昇の影響で『不動産』や『建設』は2カ月連続で悪化するなど、業界間で差異がみられた。多くの業界で先行きは現状より緩やかな回復を見込むが、対中関係の悪化など不安要素もあり、当面は力強さに欠ける展開が予想される。

・景気DI

「埼玉」の景気DIは44.0となり、2カ月連続で横ばいとなった。『南関東』では、「埼玉」を除く1都2県が改善するなかで、唯一足踏みする形となった。全国のDIが7カ月連続で改善し、『南関東』でも横ばい挟んで6カ月連続で改善が続くなか、「埼玉」の全国順位は前月から5ランクダウンの19位となった。

・規模別DI

「大企業」(49.2)、「中小企業」(43.4)、「小規模企業」(42.9)となり、「中小企業」「小規模企業」が悪化。「大企業」のみ改善し、全体をけん引した。「大企業」のDIが49台になるのは2019年8月(この時は49.7)以来。この結果、規模間格差は5.8と前月から3.0ポイントも拡大した。

・業界別DI

全業界中、『金融』『卸売』など5業界が改善、『建設』『不動産』など3業界が悪化した。悪化したなかでは『不動産』『運輸・倉庫』が2カ月連続で悪化。他方、改善したなかでは『サービス』が2カ月連続で改善し、DIも判断の分かれ目となる50を5カ月連続で上回る53.0となり、『金融』も2カ月連続で改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(46.0.前月46.0)「6カ月後」(46.6、前月46.4)「1年後」(48.1、前月48.6)となり、「6カ月後」のみが前月から改善、他方、「1年後」は悪化し「3カ月後」は横ばいだった。1年後の見通しDIを業界別でみると、『不動産』『製造』など7業界で現状より改善を見込む。

■千葉県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.2

0.7

4カ月ぶりに改善

・概況

「千葉」の景気DIは44.2となり、4カ月ぶりに改善した。企業からは、「得意先の設備投資の予算が絞られている」(機械製造)、「売り上げが伸びないなかで、仕入れ原価は上昇している」(食料品小売)などの声が聞かれた。一方で、「輸出・輸入ともコンテナの扱いが増加」(運輸・倉庫)、「今のところソフトウエアの受託開発は堅調」(情報サービス)などの声もあり、企業の景況感はまだら模様となっている。先行きについては、政府の物価対策に期待を寄せる声があるものの、消費や為替の動向、金利の上昇を懸念する声もある。

・景気DI

「千葉」の景気DIは44.2となり、前月比0.7ポイント改善した。2025年では3月(44.5)に次ぐ2番目の水準となった。全国は前月から0.3ポイント増の44.4となり、「千葉」は全国を0.2ポイント下回ったが、全国順位は14位で前月(18位)から上昇した。

・規模別DI

「大企業」は45.2で前月比1.7ポイント減少し、2カ月ぶりに悪化した。一方で、「中小企業」は1.1ポイント増の44.1となった。「大企業」と「中小企業」との規模間格差は1.1ポイント(前月3.9ポイント)へと2.8ポイント縮小した。

・業界別DI

『その他』を除く9業界のうち、『農・林・水産』『金融』『建設』『卸売』『運輸・倉庫』『サービス』の6業界は前月比改善したが、『不動産』『製造』『小売』の3業界は悪化した。『建設』は8カ月ぶりに50を超え、『製造』は6カ月ぶりに40を割り込んだ。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は45.8(前月46.0)、「6カ月後」は45.9(同46.3)、「1年後」は46.7(同47.5)となり、3指標とも前月比悪化したが、先へ行くほど高くなっている。業界別で、「1年後」が足元のDIを上回っているのは、『製造』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』の4業界。

■東京都

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

48.1

0.1

6カ月連続で改善

・概況

「東京」の景気DIは48.1で、6カ月連続で改善し2025年の最高値を更新した。企業からは「新規案件の引き合いが多く、景気としてはやや良いと感じる」(金融)、「首都圏は需要が多く、供給が追いつかない部分もある」(建設)などの声が聞かれる一方で、「トランプ関税、自動車業界の方向性の問題による需要の減少」(製造)など、業種や規模によって景況感に乖離がある。新政権や年末特需で浮揚したともみられるが、日中関係やアメリカを中心とする地政的リスクなども孕んでおり、先行きに懸念は残る。

・景気DI

「東京」の景気DIは48.1(前月48.0)で、6カ月連続で改善し、2025年の最高値を更新した。都道府県別順位は2位で前月(2位)と横ばい、1位の沖縄(54.8)との差は0.3ポイント縮小した。

・規模別DI

「大企業」は51.4(前月比0.2ポイント減)と4カ月ぶりに減少したものの、「中小企業」は47.2(同0.2ポイント増)と5カ月連続で改善した。規模間格差は4.2ポイントと2カ月ぶりに縮小している。なお、「小規模企業」は47.7(同1.0ポイント増)で2カ月ぶりに改善した。

・業界別DI

全10業界中3業界が改善、7業界が悪化。『建設』が4カ月連続で改善し、30カ月連続で50を超えた。『サービス』も2カ月連続で改善。『不動産』(55.5)は前月比1.1ポイント悪化したが、全業界で最も高い数値となっている。『製造』(41.1)は2カ月連続で悪化、全業界で『その他』(31.8)に次いで数値が低い。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(48.9、前月48.5)、「6カ月後」(48.8、同48.7)、「1年後」(49.3、同48.8)と、4カ月ぶりにすべて悪化した前月と一転、すべて改善した。業界別では、『金融』『建設』『製造』『運輸・倉庫』で3指標がいずれも改善し、特に「中小企業」の先行き指標が改善の方向にある。

■神奈川県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

47.9

0.9

7カ月連続の前月比改善

・概況

「神奈川」のDIは7カ月連続の前月比改善となった。「受注状況が良く、売り上げも前年対比でプラス推移」(輸送用機械・器具製造)など好意見がやや増えてきた印象を受ける。ただし、「海外向け建機需要が停滞気味」(機械・器具卸売)、「価格の高止まり、消費離れ」(飲食料品小売)など、厳しさを示す声が上回っている状況に変わりはない。依然として物価高や価格転嫁、人手不足などへの対応に苦慮する企業は多く、自動車業界や中国との関係性の懸念など、県内のDIは改善傾向にあるが、2026年も予断を許さない状況が続くとみられる。

・景気DI

「神奈川」の景気DIは47.9と前月(47.0)から0.9ポイント増加し、7カ月連続の前月比改善となった。全国順位は3位で、前月の6位から上昇。2025年の景気DIの平均は45.1(2024年は46.0、2023年は46.7)と2年連続で後退したが、年後半にかけて持ち直し傾向が続いた。

・規模別DI

「大企業」は51.9(前月比0.4ポイント減)と悪化したのに対し、「中小企業」は47.4(同1.0ポイント増)、「小規模企業」は45.5(同1.3ポイント増)とそれぞれ改善した。「中小企業」「小規模企業」はそれぞれ2025年の最高値となった。「大企業」と「中小企業」の格差は4.5ポイントとなった。

・業界別DI

9業界中、『サービス』を除く8業界で前月比改善となった。『建設』『製造』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』がそれぞれ2025年の最高値となり、なかでも『建設』『運輸・倉庫』はコロナ禍以降でも最高値となった。『小売』は依然として低水準にとどまっているが、4カ月連続の改善で、1年2カ月ぶりに40.0を上回った。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は49.1(前月48.1)、「6カ月後」は48.9(同48.4)、「1年後」は49.2(同49.1)でそれぞれ前月から改善した。『金融』『建設』『サービス』は3指標ともに50.0を上回り、先行きの不透明感は未だ残るものの、軽減傾向にある。

「南関東ブロック(2025年12月)」の詳細(埼玉・千葉・東京・神奈川)