レポート

TDB景気動向調査2025年12月(北関東ブロック:茨城・栃木・群馬・山梨・長野)

■北関東ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.7

0.6

4カ月連続で改善

・概況

『北関東』の景気DIは4カ月連続で改善した。10業界中6業界が改善し、なかでも年度末を控え「引き続き官庁向け案件の出件数は多く、良好に推移している」といった声が聞かれる『建設』(50.7)は6年ぶりに判断の分かれ目となる50を上回ったほか、トランプ関税の影響が薄らいできたとの声がある『製造』も3カ月連続の改善となった。先行きの見通しでも、全10業界中8業界が現状から1年後に改善する見通しで、先行きへの期待感がうかがえるた。一方で物価高騰や対中関係悪化の不安材料もあり、当面は一進一退の状況が続くとみられる。

・景気DI

『北関東』の景気DIは前月比0.6ポイント増の42.7となり、4カ月連続で改善した。改善が4カ月続くのは2024年10月以来。域内5県では「山梨」「長野」が悪化、「茨城」「栃木」「群馬」が改善し、なかでも「群馬」が同2.7ポイント増と大きく改善した。全国10地域の順位は前月比1ランクアップの7位となった。

・規模別DI

「大企業」(47.9)、「中小企業」(42.0)、「小規模企業」(41.2)となった。すべての規模が改善するのは2カ月ぶり。特に「大企業」が前月比1.8ポイント増と、2025年中では2番目に大きな改善幅となった。この結果、規模間格差(大企業-中小企業)は5.9となり、前月から1.4ポイント拡大した。

・業界別DI

全10業界中、悪化したのは『不動産』『金融』など4業界、改善は『建設』『製造』など6業界だった。なかでも『建設』は5カ月連続で改善して50.7となり、2019年12月以来の50台回復となった。他方、悪化した『不動産』(38.5)は前月から4.6ポイント減と大きく悪化、5カ月ぶりに40台を割り込んだ。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(44.4、前月43.5)「6カ月後」(45.5、前月44.8)「1年後」(46.7、前月46.5)となり、全ての区分で前月より改善した。業界別でみると1年後の見通しDIが現状(12月調査)より悪化するのは、『農・林・水産』『建設』の2業界にとどまり、多くの業界で現状よりも回復を見込む。

■茨城県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.1

1.4

2カ月連続改善

・概況

「茨城」の景気DIは前月比1.4ポイント増の44.1となり、2カ月連続で改善した。しかし、回復局面に入ったとは言い難く、判断基準である「50」には依然として遠い。2年ぶりに「44」台を回復したものの、原材料高に対する中小企業の価格転嫁は進まず、消費者の節約志向も強まっている。新政権発足後も円安基調が続き、コスト高の環境は変わらない見通しだ。さらに金利上昇の影響も避けられず、企業収益や設備投資に重しとなる可能性がある。こうした要因を踏まえると、茨城の景況感は引き続き一進一退の展開が続くとみられる。

・景気DI

「茨城」の景気DIは前月比1.4ポイント上昇し、44.1となった。改善は2カ月連続。高市政権が掲げる「責任ある積極財政」を裏付ける2025年度補正予算の可決・成立が県内企業に評価され、景気回復への期待を押し上げた。「茨城」の景気DIが「44」を上回ったのは2023年12月(45.2)以来、2年ぶり。

・規模別DI

「大企業」は前月比4.8ポイント増の40.0で3カ月ぶりの改善。「中小企業」は同1.3ポイント増の44.4、「小規模企業」も同2.3ポイント増の44.0となり2カ月連続で改善。全規模が揃って改善したのは2025年9月以来、3カ月ぶり。しかし、依然として判断の基準となる「50」を大きく下回り、不透明感が残る。

・業界別DI

改善したのは『運輸・倉庫』『建設』など5業界。悪化は『卸売』1業界のみ、『農・林・水産』『金融』『不動産』は横ばい。改善幅が大きかった『運輸・倉庫』は貨物・旅客ともに季節要因が追い風。悪化となった『卸売』は仕入コスト上昇や人手不足がマイナス材料に。業界間で明暗が分かれ、回復基調にばらつきがみられる。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は45.0で前月比1.0ポイント増、「6カ月後」も44.7と同0.7ポイント上昇。一方、「1年後」は45.1で同0.3ポイント減。企業からは「積極財政で株価は堅調に推移しているが、金利を上げても円安基調が続いており、今後の景気動向は不透明」といった、先行きを厳しくみる声は依然として多い。

■栃木県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.5

0.1

3カ月連続改善も不安感漂う

・概況

景気DIは43.5と3カ月連続で改善したものの、鮮明な回復局面といった印象はまだない。特に中小企業の景況感は低いままで、大きな課題でもある価格転嫁に進展は表れていない。他方、県内の企業倒産は過去最多を更新し、企業の消滅による経済のシュリンクも大きな懸念がある。当面、一般消費にも明るい兆しは見られず、今後もコスト高の環境は変わらない。加えて春先には再び賃上げという新たなコストにも対応しなければならない。円安、金利上昇など懸念材料は後を絶たない。当面厳しい環境が続くことは否めない。

・景気DI

12月の景気DIは43.5、3カ月連続で改善したものの上昇幅は小さく、不況感が漂う状況で本格的な回復とは言えない。県別順位も22位と中位であり、全国の44.4と比較すると0.9ポイントも下回っている。昨今の円安や金利の上昇、引き続き価格転嫁が進まない現状など、中小企業の受難が影響している。

・規模別DI

「大企業」52.9(前月51.5)、「中小企業」41.6(同41.7)、「小規模企業」41.3(同40.7)と、大企業の改善が著しいが、中小企業は悪化しており、規模間格差は11.3と、環境の違いが鮮明だ。下請けに対するコストを抑える大手企業と、価格転嫁が進まない下請企業という構図も垣間見える。

・業界別DI

業界別では、『運輸・倉庫』『建設』『サービス』のDIが高水準だった一方で、『小売』『卸売』などは30台にとどまっており、業界間の格差も大きい。一般消費の停滞からBtoCの業態では不振が続く様子もうかがえ、円安などの影響から、原材料を海外に頼る『製造』でも不振が散見される。

・先行き見通しDI

「3か月後」45.3(前月44.3)、「6か月後」45.8(同43.9)、「1年後」45.5(同44.7)と、すべてのカテゴリーで改善した。「高市政権の経済政策に期待」という声が多く今後への期待がDIを下支えしたものの、地政学的な不安や、トランプ関税の影響の顕在化にも注目が集まっている印象だ。

■群馬県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.5

2.7

3カ月ぶりに改善

・概況

県内企業からは「トランプ関税の影響が一段落、半導体や自動車関連の受注が回復傾向にある」(製造)との明るい声が聞かれる一方、「物価高騰による買い控えがみられる」(小売)、「高騰していた玄米価格が下落局面に。高値在庫を抱えるリスクがある」(卸売)と厳しい声もある。12月の景気DIは3カ月ぶりに改善したが、継続的な浮揚要素は少なく力強さに欠ける。賃上げ圧力や人手不足、物価高、実質賃金低迷による個人の生活防衛拡大、金利上昇、住宅着工低迷などを考慮しながら、景況感を慎重にモニタリングしていく必要がある。

・景気DI

景気DIは前月比2.7ポイント増の41.5と3カ月ぶりに改善した。他方、『全国』は同0.3ポイント増と7カ月連続で改善した。「群馬」の改善幅が大きく、47都道府県別順位は35位(前月42位)に上昇した。DIは3カ月ぶりに40台へ回復したものの、『北関東3県』においては「茨城」「栃木」より低位にある。

・規模別DI

「大企業」 は前月比5.9ポイント増の45.2と3カ月ぶりに改善した。「中小企業」は同2.3ポイント増で3カ月ぶりの改善。「小規模企業」は同3.0ポイント増と2カ月ぶりに改善した。「大企業」の改善幅が「中小企業」よりも大きく、「大企業」と「中小企業」の規模間格差は4.1に拡大した。

・業界別DI

前月と比較可能な9業界では、 『建設』『製造』など4業界が改善、『サービス』が最も高かった。他方、『小売』『不動産』など4業界が悪化し、『金融』は横ばいだった。なお、『建設』『製造』の改善は2カ月ぶり。『小売』は3カ月連続の悪化となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が43.3(前月41.3)、「6カ月後」が44.3(前月43.9)、「1年後」が45.9(前月46.3)となった。「3カ月後」と「6カ月後」の2指標が前月より改善。「1年後」は悪化した。先に行くほどDI は高く、現在2.9ポイントの全国との格差は 「1年後」には1.2ポイントに縮小。

■山梨県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.9

-1.1

2カ月ぶりに悪化

・概況

「山梨」の景気DIは2カ月ぶりに悪化した。企業からは「燃料費が政府補助により下がってきたので、直接的には良い方向」(農・林・水産)などの声が聞かれた。一方、「自動車の減産の影響が大きい」(製造)、「材料高騰が続き、得意先からの発注がとても少ない」(卸売)などマイナスの声も多い。先行きについては、中国政府による訪日自粛要請で観光業への影響は出始めている。人手不足・物価高を懸念する声は多く、景況感の悪化傾向は続くとみられる。

・景気DI

「山梨」の景気DIは前月比1.1ポイント減の42.9となり、2カ月ぶりに悪化。全国は同0.3ポイント増の44.4だった。「山梨」は全国を1.5ポイント下回り、都道府県別順位は前月の14位から26位に下がった。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.2ポイント減の48.8、「中小企業」は同1.4ポイント減の41.9、「小規模企業」は同0.2ポイント増の38.7となった。「大企業」と「中小企業」との規模間格差は、「中小企業」の悪化幅が大きく、前月より0.2ポイント拡大して6.9ポイント差となった。

・業界別DI

前月と比較可能な9業界中、2業界が改善、3業界が悪化、4業界が横ばいとなった。『小売』は物価高による消費マインドの低下が影響し、前月比4.8ポイント減の大幅悪化となった。判断の分かれ目となる50を上回ったのは、『農・林・水産』『金融』『建設』『サービス』の4業界。

・先行き見通しDI

「3カ月後」44.1(前月44.5)、「6カ月後」46.8(同46.1)、「1年後」48.3(同47.2)となった。先に行くほどDIは高くなっている。業界別で3指標ともに50を上回ったのは、『農・林・水産』『不動産』『サービス』の3業界。

■長野県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.2

-0.1

わずかに悪化するも、全国順位は上昇

・概況

「長野」の景気DIは、前月より微減となったが、2023年10月以来、2年2カ月ぶりに連続して42を上回った。「工事案件が多い。仕事を選べるほど引き合いがある」(建設)、「信州の基幹産業である観光業が盛況」(広告関連)など改善傾向を示すように、前向きなコメントが聞かれるようになった。一方で、「中国経済の低迷と関税による生産調整、物価高など負の要因が多すぎる」(輸送用機械・器具製造)など海外情勢や、「高齢化、人手不足が進んでいる」(建材・家具卸)など人手不足により先行きを懸念する声は依然として多い。

・景気DI

「長野」の景気DIは42.2と前月比0.1ポイント低下し、3カ月ぶりにわずかながら悪化したが、前年同月は1.5ポイント上回った。「全国」を2.2ポイント下回り、格差は0.4ポイント拡大した。ただし、都道府県別順位は32位と、前月より1ランク、前年同月からは8ランクともに上昇。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.4ポイント改善したが、「中小企業」は0.3ポイント、「小規模企業」は0.4ポイントそれぞれ悪化。改善幅は規模に比例。規模間格差は「大企業」と「中小企業」は0.7ポイント、「大企業」と「小規模企業」は0.8ポイントともに拡大。「中小企業」と「小規模企業」は0.1ポイント縮小した。

・業界別DI

『建設』は前月から1.4ポイント、『サービス』は0.4ポイント、『卸売』は0.8ポイント、『小売』は2.0ポイント改善。一方、『運輸・倉庫』は4.4ポイント、『製造』は0.8ポイント悪化。特に『建設』は3カ月連続、『サービス』は2カ月連続で改善した。主要6業界中で、悪化は前月同数の2業界であった。

・先行き見通しDI

「長野」全体、業界別の『製造』『卸売』、すべての規模別は長期になるほど改善を予想した。『小売』『サービス』はそれぞれ一進一退、『運輸・倉庫』は悪化の後に改善推移、『建設』は長期になるほど悪化を見込む。「長野」としては、36カ月連続で長期になるほど改善を予想する状況が続いている。

「北関東ブロック(2025年12月)」の詳細(茨城・栃木・群馬・山梨・長野)