レポート

TDB景気動向調査2025年11月(四国ブロック:徳島・香川・愛媛・高知)

■四国ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.1

1.1

前月比・前年同月比ともに5カ月連続で改善

・概況

『四国』の景気DIは、5カ月連続で改善した。企業からは「既存顧客の案件で既に年度目標売上を確保できている」(サービス、香川県)、「住宅改修工事の受注が順調に推移している」(建設、愛媛県)などの声がある一方で、「商品の需要が低迷しており、回復の兆しもみえない」(卸売、高知県)や「今年のゴールデンウィーク以降、利用者が減少している」(小売、徳島県)などの厳しい声がある。また、高市政権に期待を寄せる声もあるが、依然として物価高や人手不足の影響を懸念する声も多く、不安要素を払拭できない状況が続いている。

・景気DI

『四国』の景気DIは前月比1.1ポイント増の43.1となり、前月比・前年同月比ともに5カ月連続で改善した。県別では、「香川」「愛媛」「高知」が改善、「徳島」のみ悪化した。また、『全国』(44.1)を59カ月連続で下回ったものの、全国10ブロック別の順位は6位(前月7位)に上昇した。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.6ポイント増の50.3で、4カ月連続で改善して85カ月ぶりの50台。「中小企業」は同1.0ポイント増の41.9で、5カ月連続で改善して今年最高を更新、うち「小規模企業」は同1.3ポイント増の39.7で、4カ月連続で改善した。「大企業」が「中小企業」を上回るのは29カ月連続。

・業界別DI

主要7業界では、『卸売』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』が改善、『不動産』『製造』が悪化、『建設』は横ばい。『卸売』が23カ月ぶりに40台となるなど6業界が40台となった一方で、『小売』は20カ月連続で40割れとなるなど業界間格差がみられる。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は43.3(前月43.8)、「6カ月後」は43.7(同44.0)、「1年後」は44.1(同44.3)となり、4カ月ぶりに3指標が揃って悪化した。ただ、前年同月との比較では「3カ月後」が4カ月連続で悪化するも、「6カ月後」「1年後」は2カ月連続で改善しており、先行きに対する期待感がうかがえる。

■香川県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

47.4

2.1

2カ月ぶりに改善し、今年最高を記録

・概況

「香川」の景気DIは、今年最高を記録した。企業からは「既存顧客の案件で既に年度目標売上を確保できている」(サービス)や「地域経済は全般に回復傾向である」(金融)などの声がある一方で、「コスト高と人口減少で業績が悪化している」(小売)や「食品メーカーにおいては、昨今の原材料高騰を受けて収益性がかなり悪くなっている」(製造)などの厳しい声がある。景気DIは改善傾向ながら、依然として物価高や人手不足の影響を懸念する声も多く、不安要素を払拭できない状況が続いている。

・景気DI

『香川』の景気DIは前月比2.1ポイント増の47.4で、2カ月ぶりに改善し、今年最高を記録した。また、7カ月連続で前年同月を上回るなど改善傾向が続いた。『全国』(44.1)との比較では3.3ポイント上回り、全国都道府県別の順位は3位(前月8位)に上昇し、2008年12月に並び過去最高位を記録した。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.5ポイント増の52.5となり、2カ月ぶりに改善したほか、4カ月連続の50台。「中小企業」は同2.0ポイント増の46.3となり、2カ月ぶりの改善、うち「小規模企業」も同4.8ポイント増の46.2となり、2カ月ぶりに改善した。4カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。

・業界別DI

主要7業界では、『卸売』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』が改善、『不動産』『製造』が悪化、『建設』は横ばい。『運輸・倉庫』(61.1)が初めて60台となり過去最高を記録するなど4業界が50以上となった一方で、『小売』は6カ月連続で40割れとなるなど、業界間の格差が顕著になっている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は46.2(前月45.2)、「6カ月後」は46.4(同45.3)、「1年後」は46.5(同45.5)で、2カ月ぶりに3指標が揃って改善した。また、前年同月比では4カ月ぶりに3指標が揃って改善したほか、先へ行くほど改善しているものの、その改善幅は小幅で、先行きに対する慎重な見方がうかがえる。

■徳島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

37.2

-1.7

2カ月ぶりに悪化

・概況

「徳島」の景気DIは、37.2となり、2カ月ぶりの悪化となった。先行き見通しDIも、10月調査の改善傾向から一転して、3指標が揃って悪化したほか、「3カ月後」「6カ月後」は40を下回った。一方で、「1年後」は2カ月連続で40以上となっており、先行きへの期待感は辛うじて残っている。企業からも、「5月の連休以降、利用者が減少している」(飲食店経営)、「暫定税率の廃止前の買い控えが年内は続きそうだ」(小売業)といった警戒の声が多数を占めている。徳島県の景況感は、しばらく一進一退の状況が続きそうだ。

・景気DI

「徳島」の景気DIは前月比1.7ポイント減の37.2となり、2カ月ぶりに悪化した。一方で、前年同月との比較では0.5ポイント増となり、2カ月連続で改善した。『全国』(44.1)との比較では6.9ポイント低く、全国を下回るのは47カ月連続となった。都道府県別の順位は47位(前月43位)だった。

・規模別DI

「大企業」(50.0)は前月比3.3ポイント増で2カ月連続の改善。「中小企業」(36.3)は同2.0ポイント減で2カ月ぶりに悪化、うち「小規模企業」(33.3)は同1.4ポイント減で同じく2カ月ぶりに悪化した。「大企業」が50以上となるのは9カ月ぶり。「中小企業」が40を下回るのは21カ月連続。

・業界別DI

主要7業界では、『卸売』『運輸・倉庫』『サービス』が改善、『建設』『不動産』『製造』『小売』が悪化となった。『卸売』(37.2)は3カ月ぶりの改善、『運輸・倉庫』(50.0)は2カ月ぶりの改善、『サービス』(40.5)は2カ月連続の改善となった。『建設』(43.3)は2カ月ぶりの悪化となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は39.7(前月比1.5ポイント減)、「6カ月後」は39.5(同3.2ポイント減)、「1年後」は40.0(同3.4ポイント減)となった。3指標が揃って悪化するのは2カ月ぶりとなった。「3カ月後」と「6カ月後」は2カ月ぶりに40を下回った。「1年後」は2カ月連続で40以上となった。

■愛媛県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.4

1.6

4カ月連続で改善

・概況

「愛媛」の景気DIは、4カ月連続で改善した。業界別でも大半が改善し、特にインバウンド消費需要の取り込みなどで『サービス』の改善幅が大きくなった。ただ、物価高と人手不足が続き、12月に最低賃金の引き上げを迎えるなか、楽観視できる状況にはない。足元では倒産件数も前年を上回るペースで推移しており、今後も一進一退の推移が予想される。

・景気DI

「愛媛」の景気DIは前月比1.6ポイント増の42.4と4カ月連続で改善した。前年同月は下回ったものの、2025年では最も高い水準となった。『全国』もわずかに改善し、県別順位は31位と前月(37位)より上昇した。

・規模別DI

「大企業」、「中小企業」、うち「小規模企業」のいずれも改善した。規模間格差(大企業-中小企業)も7.6ポイントと前月から1.1ポイント縮小した。「中小企業」は8カ月ぶりに40ポイント台に回復したが、うち「小規模企業」は8カ月連続で40ポイントを下回った。

・業界別DI

回答数10社超の5業界中4業界が改善した。特に『サービス』は前月比7.4ポイント増の大幅改善となり、3カ月ぶりに40ポイントを上回った。また、『製造』も4カ月連続の改善となった。連続で改善していた『建設』はやや悪化したが、他業界との比較では高い水準を維持している。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が前月比0.9ポイント減、「6カ月後」が同0.6ポイント減、「1年後」が同0.3ポイント減となり、全てで悪化した。主要業界では『建設』『卸売』『小売』が全ての期間で悪化した一方で、『サービス』が全ての期間で改善した。

■高知県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.3

1.2

3カ月連続で改善

・概況

「高知」の景気DIは、前月比1.2ポイント増の43.3となり、3カ月連続で改善した。「災害復興需要」(建設)、「売り上げや引き合いが順調である」(小売)、「補助金活用などで成長しているところもある」(卸売)など、一部の業種ながら明るい声が聞かれ、景況感の改善に繋がっているものとみられる。一方で、「物価高、資材高騰、人手不足」(建設)、「商品需要回復の兆しが見えてこない」(卸売)など、引き続き物価高や人手不足などを背景として先行きの見通しを懸念する声も根強く、今後景況感が悪化する可能性も内包している。

・景気DI

「高知」の景気DIは、前月比1.2ポイント増の43.3となり、3カ月連続で改善したほか、2カ月連続で40を上回った。一方で、『全国』(44.1)を0.8ポイント下回ったものの、『四国』(43.1)を0.2ポイント上回り、全国順位は前月の28位から22位に上昇した。

・規模別DI

「大企業」は50.0と前月(47.2)から2.8ポイント上昇したほか、「中小企業」も42.4と前月(41.5)から0.9ポイント上昇し、「小規模企業」についても40.7と前月(40.4)から0.3ポイント上昇した。「大企業」と「中小企業」の格差は1.9ポイントで、前月(5.7ポイント)から縮小した。

・業界別DI

前月と比較可能な7業界中、「改善」が3業界となったのに対して、「悪化」は2業界となり、「横ばい」も2業界となった。業界別にみると、『卸売』『小売』『サービス』が前月から改善した一方で、『建設』『製造』が各々悪化し、『金融』『運輸・倉庫』が横ばいとなった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は41.7(前月43.3)と前月を下回ったものの、「6カ月後」は42.0(前月41.2)と前月を上回り、また「1年後」についても42.6(前月41.2)と同じく前月を上回ることとなった。

「四国ブロック(2025年11月)」の詳細(四国ブロック:徳島・香川・愛媛・高知)