レポート

TDB景気動向調査2025年11月(北陸ブロック:新潟・富山・石川・福井)

■北陸ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.7

0.1

微増ながら5カ月連続の改善

・概況

『北陸』の景気DIは41.7(前月比0.1ポイント増)と5カ月連続で改善。「震災復興関連で仕事量はあるが、人材不足で消化出来ない」(運輸・倉庫)、「物価高対策で災害対策や公共事業の予算は縮小するのでは」(サービス)との懸念の声はあるものの、「業界環境は悪いが当社の受注は旺盛」(アパレル)、「観光シーズンに入り人流が活発化」(飲食店)、「来年も賃上げが継続されれば恩恵がある」(食品小売)といい、IT関連も総じて好調を維持している。日中関係悪化の影響が本格化してくるのは来月以降だろう。

・景気DI

『北陸』の景気DIは41.7(前月比0.1ポイント増)と5カ月連続で改善した。「石川」が46.5(前月比0.8ポイント増)と2カ月連続、「富山」が45.3(同0.7ポイント増)と3カ月連続で改善した。「福井」は横ばい、「新潟」は38.1(同0.5ポイント減)と2カ月連続で悪化した。

・規模別DI

「大企業」は46.4(前月比1.4ポイント増)と2カ月ぶりに改善したが、「中小企業」は40.8(同0.1ポイント減)と2カ月ぶりに悪化、「うち小規模」も40.6(同1.3ポイント減)と3カ月ぶりに悪化した。大企業と中小企業の規模間格差は5.6(前月4.1)と1.5ポイント拡大した。

・業界別DI

『製造』が全業種中最も低水準ながら37.0(前月比0.4ポイント増)と2カ月連続で改善し、『金融』も2023年12月以来となる50台に回復した。『不動産』『サービス』も好調。反面、『建設』が47.6(同0.7ポイント減)と2カ月連続で悪化、『小売』『運輸・倉庫』もそれぞれ2カ月ぶりに悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が42.6(前月43.2)、「6カ月後」が44.1(同44.3)、「1年後」は45.7(同46.1)と3指標いずれも悪化。日中関係の悪化がマインドに影響している可能性がある。「石川」「富山」は前月から改善したが、「新潟」は悪化し「福井」も振るわず。北陸4県内の二極化傾向が根強くある。

■新潟県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.1

-0.5

2カ月連続で悪化、全国第44位

・概況

「新潟」の景気DIは38.1(前月比0.5ポイント減)と2カ月連続で悪化した。「設備投資関連の商談が増えている」(機械商社)、「DX化の引き合いは多い」(情報サービス)との声もあるものの、「買い控えが続いている」(食品小売)、「冬物商戦も在庫過多」(アパレル)と消費不振は深刻で、「物価高騰に賃金上昇が追いつかない。行き過ぎた円安の是正を求める」(サービス業)との声があった。また、各地に出没するクマが消費に悪影響を与えているとの指摘もあった。

・景気DI

「新潟」の景気DIは38.1(前月比0.5ポイント減)と2カ月連続で悪化。全国順位は44位(前月45位)。首位は「沖縄」の55.0、2位は「東京」、3位は「香川」。最下位は「徳島」の37.2、46位は「山形」、45位は「岩手」。北陸4県では「石川」が7位、「富山」が9位、「福井」が35位。

・規模別DI

「大企業」が40.5(前月比1.5ポイント減)と2カ月連続で悪化、全体の景況感に大きく影響した。「中小企業」も37.8(同0.3ポイント減)、「うち小規模」も33.9(同1.4ポイント減)とそれぞれ2カ月連続で悪化。大企業と中小企業の規模間格差は2.7ポイント(前月3.9、前々月5.7)と縮小傾向。

・業界別DI

『卸売』が35.8(前月比2.1ポイント減)と4カ月ぶりに悪化、『建設』が40.3(同1.6ポイント減)、『サービス』も46.3(同1.7ポイント減)と各2カ月連続で悪化。一方、『製造』が31.7(同1.5ポイント増)と3カ月ぶりに改善し、『金融』も47.9(同0.9ポイント増)と4カ月連続で改善。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が39.7(前月41.3)、「6カ月後」が42.2(同43.7)、「1年後」が44.4(同46.4)と、先行き見通しは3指標いずれも悪化。直近3カ月は改善傾向となっていたが失速した。特に、業種別では『建設』『卸売』『小売』『サービス』など、規模別では「うち小規模」が良くない。

■富山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.3

0.7

3カ月連続で改善

・概況

「富山」の景気DIは前月比0.7ポイント増の45.3と改善したが、全国順位は前月同様の9位であった。「北陸」DIは41.7、全国DIは44.1と、ともに改善が続いた。「販売数減少」(出版)、「冬前の駆け込み需要が弱い」(資源卸)などの声が聞かれた一方、「旅行者需要が堅調」(ホテル)、「復興需要が下支え」(サービス)などの声もあった。いずれにせよ、景気DIは連続改善ながら楽観視できず、今後も状況を注意深く見守って行く必要があろう。

・景気DI

「富山」の景気DIは、45.3と前月比で0.7ポイント改善した。新潟は若干悪化したものの、福井は横ばい、石川は改善し「北陸」のDIは前月比0.1ポイント増の41.7と5カ月連続で上昇した。全国もDI44.1と、小幅ながら上昇が続いた。「富山」の都道府県別順位は前月同様の9位となった。

・規模別DI

「大企業」(44.7)は前月比2.3ポイント増、「中小企業」(45.5)は同0.2ポイント増、「小規模企業」(47.2)は同0.9ポイント増と、全て改善した。結果、「大企業」と「中小企業」の規模間格差は-0.8(前月-2.9ポイント)と、前月に続き「中小・小規模企業」が上回る結果となった。

・業界別DI

10業界中、前月比悪化は『建設』『サービス』『運輸・倉庫』など4業界となった一方、同改善は『製造』『卸売』『小売』『金融』の4業界となった。景気判断の分かれ目となるDI50以上となったのは6業界(前月7)であった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(当月比0.5ポイント増)、「6カ月後」(同0.7ポイント増)、「1年後」(同1.9ポイント増)と、改善する見通しとなった。業界別では、『建設』『卸売』『小売』『サービス』などは不安感が払拭できない結果となった一方、『金融』『運輸・倉庫』などは先行きに対する期待感が窺えた。

■石川県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

46.5

0.8

2カ月連続改善も

前年対比では依然として低迷

・概況

「石川」の景気DIは、前月比0.8ポイント改善の46.5となった。7カ月ぶりに2カ月連続の改善となったものの、前年同月比では5カ月連続で下回った。都道府県順位も前年同月より2ランク低い7位となった。先行き見通しDIは総じて改善傾向となり、後退が続いた「1年後」も4カ月連続の悪化は免れた。県内の景気を下支えする『サービス』では、前月の大幅な後退からの反動で改善。それでも、先行き見通しDIは各業界、期待感の表れは見られず静観しているともとれる結果となっており、引き続き動向は注視する必要があろう。

・景気DI

「石川」の11月の景気DIは、前月比0.8ポイント改善の46.5となった。今年4月以来7カ月ぶりの2カ月連続の改善となったものの、前年に比べると依然として低く、前年同月比では1.1ポイント低い状況となった。都道府県別順位は前月より1ランク低下の7位、対前年比では2ランク低下した(前年同月5位)。

・規模別DI

「大企業」のDIは5カ月連続で改善し、「中小企業」も2カ月連続で改善した。「大企業」が前月比1.2ポイントの改善に対して「中小企業」は0.7ポイントの改善にとどまったため、両者の格差は前月比0.5ポイント拡大の11.7となった。「中小企業」のうち小規模企業の指標は3カ月ぶりに悪化した。

・業界別DI

8業界のうち3業界で改善、2業界で横ばい、3業界で悪化した。『製造』『小売』で2カ月連続の改善となったほか、前月大きく後退していた『サービス』で大きく改善した。『サービス』では、冬の降雪シーズンを目前に控え、除雪機械などの事前整備のほか、秋冬観光シーズンで人流の活性化が回復の要因となっている。

・先行き見通しDI

今年7月以来4カ月ぶりに3指標全てが改善した。特に先月まで3カ月連続で悪化していた「1年後」は前月比1.9ポイント改善の48.0となった。ただし前年同月比では全指標で5カ月連続のマイナス。「1年後」の指標が他の指標よりも高くなったものの、各指標はほぼ横ばいで、景気回復への期待感は様子見の状況。

■福井県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.7

横ばい

前月比横ばいながら、前年比では悪化

・概況

『福井』の景気DIは前月比では横ばいながらも、前年同月比では悪化する結果になった。『運輸・倉庫』は燃料費の軽減措置や価格転嫁により改善がみられ、『建設』では補正予算による公共投資の拡大を期待する声が聞かれた。また、北陸新幹線の延伸効果で『サービス』が改善した一方、飲食料品や繊維・服飾品の不振から『製造』ならびに『小売』が落ち込むなど、今後は政府による物価高対策が消費回復の鍵となる見通し。

・景気DI

『福井』の11月景気DIは41.7となり、前月比は横ばい、前年同月比で1.5ポイント悪化した。都道府県別順位は35位で、前月(32位)や前年同月(23位)より低下した。業界別では『運輸・倉庫』の回復がみられた一方、繊維や食料品を中心に『製造』および『小売』が落ち込んだ。

・規模別DI

『大企業』の11月景気DIは47.1となり、前月比で3.6ポイント改善した一方、『中小企業』は40.5で0.8ポイント低下、『うち小規模企業』は42.4で3.2ポイント低下した。大企業と中小企業の格差は6.6で、前月より4.4ポイント拡大した。

・業界別DI

比較可能な8業界のうち、前月比で改善を示した業界は4業界、悪化は2業界、横ばいは2業界。前月比では『運輸・倉庫』が25.0ポイントと大幅な改善、『建設』が4.0ポイントと改善を示した一方、『製造』は3.3ポイント、『小売』は4.7ポイント悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は41.1、「6カ月後」は42.9、「1年後」は44.8で、短期的には悲観した見方ながらも、長期的には改善の期待感が窺える。業界別では、『製造』で1年後まで改善が続く見通しとなった一方、月次で改善がみられた『運輸・倉庫』において長期的には厳しい見方となった。

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