レポート

TDB景気動向調査2025年11月(中国ブロック:鳥取・島根・岡山・広島・山口)

■中国ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.3

0.6

2カ月連続の改善

・概況

『中国』の景気DIは2カ月連続で改善した。7月調査以降、改善ペースが続いている。インバウンド客に加え、秋の観光シーズンや連続ドラマ放映の影響で「旅館・ホテル」が改善した『サービス』は49.6と好調を維持している。一方、『製造』では原材料高騰にともなう価格転嫁の状況によってまだら模様となり、再び40を割り込んだ。物価高などから前年同月比では11カ月連続で下回っているなか、先行きは高市新政権の積極財政に対する期待がある一方で、日中関係の悪化を懸念する声も挙がっている。

・景気DI

『中国』の景気DIは前月比0.6ポイント増の43.3で、2カ月連続で改善した。前月まで4カ月連続で改善していた「広島」が悪化したが、「岡山」「鳥取」「島根」が改善し、「山口」は横ばいだった。「島根」は5カ月連続の改善。「全国」(44.1)より0.8ポイント低く、12カ月連続で「全国」を下回った。全国10ブロック別の順位は、前月の6位から3位に上昇した。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.9ポイント増の47.4で、2カ月連続で改善した。「中小企業」は同0.4ポイント増の42.7で、5カ月連続で改善した。うち「小規模企業」は同0.2ポイント増の41.7で、2カ月連続で改善した。3指標ともに改善するのは2カ月連続。「大企業」と「中小企業」の格差は、3カ月ぶりに拡大した。

・業界別DI

5業界が改善、4業界が悪化した(その他を除く)。『運輸・倉庫』は45.8で、7.1ポイント増と大幅に改善した。『建設』(44.9)は4カ月連続で改善し、『卸売』(43.2)は3カ月連続で改善した。一方、『製造』は39.7で、2カ月ぶりに悪化し、再び40を割り込んだ。『小売』は38.2で、2カ月ぶりに悪化し、3カ月連続の30台となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比0.1ポイント増の45.0となり、2カ月ぶりに改善した。「6カ月後」は同0.4ポイント増の45.6となり、4カ月連続で改善した。「1年後」は同0.2ポイント増の46.3となり、6カ月連続で改善した。3指標ともに前月から改善したが、前年同月比では悪化した。「3カ月後」「6カ月後」は、ともに12カ月連続の悪化となった。

■広島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.8

-0.5

5カ月ぶりに悪化

・概況

「広島」の景気DIは5カ月ぶりに悪化した。インバウンド客を中心した観光需要により『サービス』は横ばい、『運輸・倉庫』『卸売』は改善となった。一方、物価高や冬物衣料が伸び悩んだ影響で『小売』は大幅に悪化し、『製造』も悪化した。「広島」の景気DIは引き続く物価高、実質賃金のマイナス基調などで先行き不透明感は強いものの、高市新政権の誕生による積極財政に期待がある一方で、日中関係の悪化を懸念する声も挙がっている。

・景気DI

「広島」の景気DIは前月比0.5ポイント減の42.8で、5カ月ぶりに悪化した。前年同月比では2.1ポイント低く、8カ月連続で悪化した。「全国」(44.1)より1.3ポイント低く、12カ月連続で「全国」を下回った。都道府県別の順位は、前月の21位から25位に後退。中国5県では、「島根」と並び最も低かった。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.2ポイント減の47.4で、2カ月ぶりに悪化した。「中小企業」は同0.7ポイント減の41.9で、5カ月ぶりに悪化した。うち「小規模企業」は同1.6ポイント減の41.3で、2カ月ぶりに悪化した。7カ月ぶりに3指標がそろって悪化した。「大企業」と「中小企業」の格差は2カ月連続で拡大した。

・業界別DI

2業界が改善、4業界が悪化、3業界が横ばいとなった(その他を除く)。秋の観光シーズンで『運輸・倉庫』(45.8)は前月から8.3ポイント増と大幅に改善。『サービス』は前月比横ばいの45.6、『卸売』は42.1で改善した。一方、『製造』(41.3)、『小売』(37.4)はともに2カ月ぶりに悪化した。『建設』も4カ月ぶりの悪化となったが、43.2で40台を維持した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比0.9ポイント減の44.5で、2カ月連続で悪化した。「6カ月後」は0.7ポイント減の44.8で4カ月ぶり、「1年後」は0.6ポイント減の46.1で7カ月ぶりに悪化した。3指標が悪化となった。前年同月比では、「3カ月後」が10カ月連続、「6カ月後」が11カ月連続で悪化した。

■鳥取県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.9

2.0

再び改善

・概況

「鳥取」の景気DIは前月比2.0ポイント増の42.9となった。『建設』は2カ月連続の悪化となり先行き見通しも6カ月後のみ期待感があるものの、「先行き不透明感がある」(建設、中小企業)との声が聞かれた。『製造』や『建設』などでは人手不足も深刻で、コストプッシュ型のインフレ懸念がある。物価高に賃金が追いつかない状況下、高市政権による積極財政による景気対策などを鑑みれば、企業は更に価格転嫁を進める必要があろう。

・景気DI

「鳥取」は前月比2.0ポイント増の42.9となった。『全国』は同0.2ポイント増の44.1、『中国』は同0.6ポイント増の43.3となるなど全体的に前月から改善傾向になった。「鳥取」の全国順位は前月から12ランクアップの24位となった。

・規模別DI

「大企業」は2カ月連続改善の45.8となったほか、「中小企業」は前月比1.9ポイント増の42.6となったために、規模間格差は3.2となった。「うち小規模」は同1.2ポイント増の47.6となった。

・業界別DI

『金融』、『不動産』、『卸売』、『運輸・倉庫』、『サービス』の5業界で前月から改善した一方で、企業数の多い『建設』、『製造』の2業界は前月から悪化した。改善傾向が続く業界はなく全ての業種において一進一退であるが、『サービス』は比較的堅調に推移している。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比2.2ポイント増の44.9、「6カ月後」は前月比2.8ポイント増の46.4、「1年後」は前月比2.5ポイント増の45.8となり、3指標ともに前月から改善した。特に「6カ月後」の改善が大きく『全国』45.8、『中国』45.6を上回った。

■島根県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.8

1.1

5カ月連続で改善

・概況

「島根」の景気DIは5カ月連続で改善した。規模別では集計の大半を占める「中小企業」が5カ月連続で改善、大企業も前月から13.9ポイント増となるなど全体を押し上げた。企業からの声では、「島根」をゆかりとする「NHK連続テレビ小説ばけばけ効果が認められる」(サービス)ほか、「高市政権の積極財政に期待、戦略的投資分野へ効果が及ぶことを願う」(建設)など期待の声が散見される。一方、「価格が高騰して商品が売れない」(小売)、「設備まで投資ができない」(製造)など業種間格差があり、予断を許さない状況が続く。

・景気DI

「島根」の景気DIは前月比1.1ポイント増の42.8となり、5カ月連続で改善した。5カ月連続は2009年12月から10カ月連続の改善以来、約16年ぶり。『中国』の景気DIも「広島」「山口」を除く3県が改善し、43.3と同0.6ポイント増となった。なお、都道府県順位は前年同月24位から25位と順位を下げた。

・規模別DI

「大企業」(47.2)は前月比13.9ポイント増と前月から大幅に改善した。「小規模企業」(40.4)は同2.3ポイント減となったが、「中小企業」(42.5)は同0.3ポイント増と5カ月連続で改善した。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は4.7ポイントとなり、前月から一転し、プラスとなった。

・業界別DI

前月と比較可能な8業界中、4業界が改善し、2業界が横ばい、悪化が2業界となった。『サービス』は4カ月連続で改善、『運輸・倉庫』、『建設』は前月から大幅に改善した。なお、前月40台に回復した『小売』が再び悪化したほか、『製造』は15カ月連続で30台にとどまる結果となり、業界間の格差が鮮明となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は44.1(前月43.7)、「6カ月後」は44.9(同44.1)、「1年後」は46.3(同45.2)となり、3指標すべて改善するなど、先行きへの期待感が高まった。なお、これまで乖離があった全国(45.2、45.8、46.8)との比較でも格差が縮小する結果となった。

■岡山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.3

2.2

2カ月連続で改善

・概況

「岡山」の景気DIは、前月比2.2ポイント増の44.3となり、2カ月連続で改善した。業界別では多くの業界で改善となり、先行きの見通しも3指標がそろって2カ月連続で改善した。新政権発足による期待感や、ガソリンの暫定税率廃止に向けた議論の活発化がプラスに働いたとみられる。しかし、円安による物価高が続いているほか、12月1日からは岡山県の最低賃金が過去最高の引き上げ額となる時給1047円に改定される。多くの中小企業がコスト上昇の影響から避けられないことが懸念され、当面は一進一退の展開が続くであろう。

・景気DI

「岡山」の景気DIは、前月比2.2ポイント増の44.3となり、2カ月連続で改善した。前年同月と比べても0.1ポイント高く、8カ月ぶりに前年同月を上回った。『全国』(44.1)を8カ月ぶりに上回り、47都道府県別の順位は前月の28位から12位にランクアップ、中国5県では6カ月ぶりに1位となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比5.2ポイント増の48.1となり、3カ月ぶりに改善した。「中小企業」は同1.7ポイント増の43.6となり、2カ月連続で改善、うち「小規模企業」も同2.1ポイント増の40.8となり、2カ月連続で改善した。6カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回り、格差は1.0から4.5に拡大した。

・業界別DI

9業界中、「改善」が7業界、「悪化」が2業界だった。『不動産』は2カ月ぶりに悪化した。一方、『小売』は3カ月ぶりに改善、『運輸・倉庫』は5カ月ぶりに40台を回復したほか、『建設』『製造』『卸売』が改善した。また、全体を下支えしている『サービス』も改善して2カ月ぶりに50台を回復した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比0.4ポイント増の45.3、「6カ月後」は同1.9ポイント増の46.4、「1年後」は同1.7ポイント増の46.5となり、3指標がそろって2カ月連続で改善した。前年同月と比べると、「3カ月後」は悪化したものの、「6カ月後」は13カ月ぶり、「1年後」は15カ月ぶりに改善した。

■山口県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.9

横ばい

前月比横ばい、43台を維持

・概況

「山口」の景気DIは43.9と前月と横ばいであったが、12カ月連続で前年同月を下回った。一方、都道府県順位は16位と前月から2ランク低下し、『全国』との比較では0.2ポイント下回った。『製造』では原価高騰と価格転嫁が進んでいないとの声が多く聞かれ、『サービス』では「新規の依頼に対応できない」(メンテナンス・警備・検査業)と人手不足により売り上げの減少や生産性の低下、機会損失に影響が広がっている。また、物価上昇により、消費者の節約志向も続いており、今後の景気は一進一退の状況が続くとみられる。

・景気DI

「山口」の景気DIは、前月と同様の43.9となり、43台を維持した。都道府県順位は16位(前月は14位)と低下し、『全国』44.1との比較では0.2ポイント低く2カ月ぶりに下回った。また、12カ月連続で前年同月を下回っており、昨年来の傾向は続いている。

・規模別DI

「大企業」は前月比3.1ポイント減の46.9と2カ月ぶりに悪化したが、「中小企業」は同0.4ポイント増の43.5と2カ月連続で改善し、「小規模企業」は同2.1ポイント増の42.4と2カ月ぶりに改善した。「大企業」と「中小企業」の差は3.4となり7カ月連続で「大企業」が上回ったが、格差は縮まった。

・業界別DI

『小売』は4カ月連続で改善し50台となった。『建設』は2カ月連続で改善、『サービス』も改善に転じた。『運輸・倉庫』は横ばいながら50台を維持した。一方、『農・林・水産』『不動産』『卸売』『製造』は前月より悪化し、特に『農・林・水産』『不動産』は前月より大きく下がった。前月より改善した業界数は減少した。

・先行き見通しDI

3カ月後が46.3(前月46.0)、6カ月後は46.5(同46.8)、1年後も46.5(同48.6)と6カ月後と1年後では前月より悪化し、現状より改善に期待する見通しながらやや後退している。業界別では『建設』『不動産』『製造』『卸売』が全ての期間で改善の見通しを示している。

「中国ブロック(2025年11月)」の詳細(中国ブロック:鳥取・島根・岡山・広島・山口)