レポート

TDB景気動向調査2025年10月(四国ブロック:徳島・香川・愛媛・高知)

■四国ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.0

0.8

前月比・前年同月比ともに4カ月連続で改善

・概況

『四国』の景気DIは、4カ月連続で改善した。企業からは「昨年に比べて受注件数・金額が多い」(建設、愛媛県)、「需要がやや好転してきた」(製造、高知県)などの声がある一方で、「来店客数が少なく、高額品の売れ行きが悪い」(小売、香川県)や「物価高による買い控えや、人口減少・高齢化にともなう個人消費の低下がみられる」(小売、徳島県)などの厳しい声がある。景気DIは改善傾向ながら、依然として続く物価高や人手不足に加え、最低賃金の上昇で収益面への影響を懸念する声も多く、不安要素を払拭できない状況が続いている。

・景気DI

『四国』の景気DIは前月比0.8ポイント増の42.0となり、前月比・前年同月比ともに4カ月連続で改善した。県別では、「徳島」「愛媛」「高知」が改善、「香川」のみ悪化した。また、『全国』(43.9)を58カ月連続で下回ったものの、全国10ブロック別の順位は7位(前月9位)に上昇した。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.3ポイント増の48.7で、3カ月連続で改善して今年最高を更新。「中小企業」は同0.8ポイント増の40.9で、4カ月連続で改善して同じく今年最高を記録、うち「小規模企業」も同0.5ポイント増の38.4で、3カ月連続で改善した。「大企業」が「中小企業」を上回るのは28カ月連続。

・業界別DI

主要7業界では、『建設』『不動産』『製造』『サービス』が改善、『卸売』『小売』『運輸・倉庫』が悪化した。『不動産』が18カ月ぶりに40台となるなど5業界が40台となった一方で、『卸売』は22カ月連続、『小売』は19カ月連続で40割れとなるなど業界間格差がみられる。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は43.8(前月42.6)、「6カ月後」は44.0(同42.7)、「1年後」は44.3(同42.5)となり、4カ月ぶりに3指標が揃って改善した。また、前年同月との比較では「3カ月後」が3カ月連続で悪化したものの、「6カ月後」「1年後」は改善しており、先行きに対する期待が感じられる。

■香川県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.3

-1.7

4カ月ぶりに悪化するも、改善傾向続く

・概況

「香川」の景気DIは、4カ月ぶりに悪化した。企業からは「自社賃貸物件の稼働率が向上したほか、賃貸オフィスに関する問い合わせが増加している」(サービス)などの声がある一方で、「来店客数が少なく、高額品の売れ行きが悪い」(小売)などの厳しい声がある。景気DIは前年同月から改善傾向ながら、依然として続く物価高や人手不足に加え、最低賃金の上昇で収益面への影響を懸念する声も多く、不安要素を払拭できない状況が続いている。

・景気DI

「香川」の景気DIは前月比1.7ポイント減の45.3で、4カ月ぶりに悪化したが、32カ月連続で40台を維持したほか、6カ月連続で前年同月を上回るなど改善傾向が続いた。『全国』(43.9)との比較では1.4ポイント上回り、全国都道府県別の順位は8位(前月4位)に後退も、4カ月連続で10位以内となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.0ポイント減の51.0となり、3カ月ぶりに悪化したが、3カ月連続の50台。「中小企業」は同1.8ポイント減の44.3となり、2カ月ぶりの悪化、うち「小規模企業」も同3.7ポイント減の41.4となり、2カ月ぶりに悪化した。3カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。

・業界別DI

主要7業界では、『不動産』のみ改善、『製造』『卸売』『小売』『サービス』が悪化、『建設』『運輸・倉庫』は横ばい。4業界が50台となった一方で、『小売』は前月から7.9ポイント悪化して25カ月ぶりの30割れとなったほか、『卸売』も2カ月ぶりに40割れとなるなど、業界間の格差が続いている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は45.2(前月47.1)、「6カ月後」は45.3(同45.8)、「1年後」は45.5(同46.2)で、6カ月ぶりに3指標が揃って悪化した。また、先へ行くほど改善しているが改善幅は小幅で、前年同月比では「3カ月後」「1年後」が3カ月連続で悪化するなど、先行きに対する不透明感がうかがえる。

■徳島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.9

3.3

2カ月ぶりに改善

・概況

「徳島」の景気DIは、38.9となり、40には届かないながらも、2カ月ぶりの改善を見せた。先行き見通しDIも、3指標が揃って改善したほか、いずれも40を上回った。3指標全てが40を上回るのは18カ月ぶりであり、先行きへの期待感がうかがえる結果となった。企業からは、「内閣が変わり株式市場も活気付いている。明るい雰囲気が出てきた」(不動産)など、新内閣に期待する声が多い。一方で、「明るい兆しはみえるが人手不足で稼働が上がらない」(小売)といった警戒の声もある。徳島県の景況感は、当面一進一退が続きそうだ。

・景気DI

「徳島」の景気DIは前月比3.3ポイント増の38.9となり、2カ月ぶりに改善した。前年同月との比較では1.8ポイント増となり、こちらも2カ月ぶりの改善となった。『全国』(43.9)との比較では5.0ポイント低く、全国を下回るのは46カ月連続となった。都道府県別の順位は43位(前月47位)だった。

・規模別DI

「大企業」(46.7)は前月比16.7ポイント増で2カ月ぶりに改善。「中小企業」(38.3)は同2.3ポイント増で同じく2カ月ぶりに改善、うち「小規模企業」(34.7)も同1.4ポイント増で同じく2カ月ぶりに改善した。「大企業」が40を上回るのは4カ月ぶり。「中小企業」が40を下回るのは20カ月連続。

・業界別DI

主要7業界では、『建設』『不動産』『製造』『小売』『サービス』が改善、『卸売』『運輸・倉庫』が悪化となった。『建設』(43.9)は3カ月ぶりの改善、『不動産』(41.7)は2カ月連続の改善となった。長らく低迷していた『不動産』の改善が顕著となっている。『卸売』(35.4)は2カ月連続の悪化となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は41.2(前月比4.0ポイント増)、「6カ月後」は42.7(同3.9ポイント増)、「1年後」は43.4(同5.3ポイント増)となった。3指標が揃って改善するのは4カ月ぶりとなった。また、3指標が揃って40を上回るのは2024年4月以来18カ月ぶりとなった。

■愛媛県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.8

0.8

3カ月連続で改善

・概況

「愛媛」の景気DIは、3カ月連続で改善した。主な業界別では『建設』『製造』が改善しているが、『卸売』『小売』『サービス』は悪化しており、大半の業界で40を下回る状況に変わりは無い。値上げや賃上げが与えるよい影響を期待する声がある一方で、人材獲得競争の激化や物価高騰による消費の冷え込みにより、依然として業界を問わず厳しい状況にある。12月に最低賃金の引き上げを控えるなか、設備投資や賃金アップなどの対応が可能な「大企業」と余力のない「中小企業」との差は大きく、今後も一進一退の推移が予想される。

・景気DI

「愛媛」の景気DIは前月比0.8ポイント増の40.8と3カ月連続で改善した。『全国』もわずかに改善し、県別順位は37位と前月(39位)よりわずかに上昇した。

・規模別DI

「大企業」「中小企業」うち「小規模企業」のいずれも改善した。規模間格差(大企業-中小企業)も8.7ポイントと前月から縮小したものの、「中小企業」うち「小規模企業」はいずれも7カ月連続で40ポイントを下回った。

・業界別DI

回答数10社超の5業界中では『建設』『製造』が改善した。『建設』は2カ月連続、『製造』は3カ月連続での改善となり、全体を牽引した。一方で、『サービス』は2カ月連続で悪化し、大きく悪化した『小売』とともに40を下回る水準で低迷が続いている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が前月比1.4ポイント増、「6カ月後」が同1.8ポイント増、「1年後」が同2.3ポイント増となり、全てで改善した。主要業界では『製造』『卸売』が全ての期間で改善した一方で、『小売』が全ての期間で悪化した。

■高知県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.1

2.3

2カ月連続で改善

・概況

「高知」の景気DIは、前月比2.3ポイント増の42.1となり、2カ月連続で改善した。「需要はやや好転してきた」(製造)、「ペットケア用品は全体的にやや良い」(製造)、「旅行業はわずかながら上向き傾向」など(運輸)、一部の業種では明るい声が聞かれ、景況感の改善に繋がっているものとみられる。一方で、「物価高、資材高騰、増税」(建設)、「取扱商品需要の低迷」(卸売)など、引き続き物価高や需要低迷などを背景として先行きの見通しを懸念する声もあり、今後景況感が悪化する可能性も内包している。

・景気DI

「高知」の景気DIは、前月比2.3ポイント増の42.1となり、2カ月連続で改善したほか、3カ月ぶりに40を上回った。一方で、『全国』(43.1)を1.8ポイント下回ったものの、『四国』(42.0)を0.1ポイント上回り、全国順位は前月の41位から28位に上昇した。

・規模別DI

「大企業」は47.2と前月(55.6)から8.4ポイント低下したが、「中小企業」は41.5と前月(37.8)から3.7ポイント上昇したほか、「小規模企業」も40.4と前月(35.2)から5.2ポイント上昇した。「大企業」と「中小企業」の格差は5.7ポイントで、前月(17.8ポイント)から縮小した。

・業界別DI

前月と比較可能な8業界中、「改善」が3業界となったのに対して、「悪化」は2業界となり、「横ばい」も2業界となった。業界別にみると、『製造』『サービス』『卸売』が前月から改善した一方で、『建設』『小売』が各々悪化し、『金融』『運輸・倉庫』が横ばいとなった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は43.3(前月40.1)と前月を上回ったほか、「6カ月後」も41.2(同40.4)と前月を上回り、また「1年後」についても41.2(同40.1)と同じく前月を上回ることとなった。

「四国ブロック(2025年10月)」の詳細(四国ブロック:徳島・香川・愛媛・高知)