レポート

TDB景気動向調査2025年10月(北陸ブロック:新潟・富山・石川・福井)

■北陸ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.6

0.2

4カ月連続改善、ただし改善幅は小幅

・概況

『北陸』の景気DIは41.6(前月比0.2ポイント増)と4カ月連続で改善。ただしこの間の改善幅は1.6ポイントにとどまる。企業からは、「公共工事が減少している」(建設)、「得意先の建機メーカーの生産・販売台数が前年比1割低下」(鉄鋼・非鉄)、「今後数カ月の見積もり案件が大幅に少なくなっている」(機械製造)と厳しい声の方が多いものの、「震災復興」(建設)、「北陸新幹線、季節需要でインバウンドは引き続き好調」(ホテル)、「顧客も値上がりを承認している」(自動車整備)などの声が聞かれた。

・景気DI

『北陸』の景気DIは41.6(前月比0.2ポイント増)と4カ月連続で改善した。もっとも貢献したのは「福井」で41.7(同1.1ポイント増)、「石川」も3カ月ぶりに改善し45.7(同0.9ポイント増)。「富山」も44.6(同0.1ポイント増)と僅かだが2カ月連続で改善。「新潟」が唯一悪化した。

・規模別DI

「大企業」は45.0(前月比1.9ポイント減)と3カ月ぶりに悪化したが、「中小企業」は40.9(同0.6ポイント増)と2カ月ぶりに改善、「うち小規模」は41.9(同2.5ポイント増)と改善し12カ月ぶりに40台に回復した。大企業と中小企業の規模間格差は4.1(前月6.6)と2.5ポイント縮小。

・業界別DI

絶対水準が最も低いのは『製造』の36.6(前月比1.1ポイント増)。30台は2023年8月以来、27カ月連続。『製造』に関しては、他県に比較して「新潟」の低迷が全体を押し下げている。そのほか『卸売』『小売』『運輸・倉庫』が改善したが水準は低く、『金融』『建設』『サービス』など悪化したものの水準は高い。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が43.2(前月43.0)、「6カ月後」が44.3(同43.7)、「1年後」は46.1(同44.8)と3指標いずれも改善。「石川」の水準が総じて高いが過去数カ月の推移をみると慎重な見方も増えつつある。一方では「福井」が改善、「新潟」も「1年後」が大幅改善と格差縮小が見込まれている。

■新潟県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.6

-0.3

3カ月ぶりに悪化、全国順位は45位へ後退

・概況

「新潟」の景気DIは38.6(前月比0.3ポイント減)と3カ月ぶりに悪化した。「行楽シーズンとなり、人の動きが出てきた」(観光業)、「長岡の自動車関連は活況」(サービス業)との声はあるものの、「賃金、資材の高騰に受注金額が追いつかない」(建設業)、「米価(原料米)が高騰している」(食品)、「製品値上げに対する得意先からの満額回答は困難」(化学品)、「夜の界隈が振るわない」(食品卸)と、物価高や消費不振を指摘する声が目立つ。「倒産、廃業が目立つ」(鉄鋼・非鉄)と不況感を肌で感じることも多いようだ。

・景気DI

「新潟」の景気DIは38.6(前月比0.3ポイント減)と3カ月ぶりに悪化。全国順位は45位(前月42位)へ後退した。1位は「沖縄」の53.3で新潟と14.7ポイント差。2位は「熊本」と「東京」、最下位は「山形」、46位は「宮城」。北陸4県では「石川」が6位、「富山」が9位、「福井」が32位。

・規模別DI

「大企業」が42.0(前月比2.0ポイント減)と3カ月ぶりに悪化したことが全体の景況感に大きく影響している。「中小企業」も38.1(同0.2ポイント減)と5カ月ぶりに悪化、「うち小規模」は35.3(同0.6ポイント減)。大企業と中小企業の規模間格差は3.9(前月5.7)と1.8ポイント縮小した。

・業界別DI

絶対水準が最も低いのは『製造』の30.2(前月比0.5ポイント減)。2カ月連続で悪化した。『建設』が41.9(同3.6ポイント減)、『サービス』も48.0(同1.2ポイント減)と低調。反面、『金融』が47.0(同0.7ポイント増)、『卸売』が37.9(同1.4ポイント増)とそれぞれ3カ月連続で改善。

・先行き見通しDI

「1年後」が46.4(前月44.6)と改善するなど、先行き見通しは上向いている。「6カ月後」も43.7(同43.4)と改善し、「3カ月後」は41.3(同41.3)で変わらず。トランプ関税や物価高など厳しい環境にかかわらず前月に続き改善傾向にあり、先行きへの不安を期待感が上回る傾向が強まっている。

■富山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.6

0.1

前月から改善も、小幅にとどまる

・概況

「富山」の景気DIは前月比0.1ポイント増の44.6と若干改善し、全国順位は9位(前月8位)となった。「北陸」DIは41.6、全国DIは43.9と、ともに改善が続いた。「購買意欲が低迷」(小売)「先の案件が少ない」(製造)などの声が聞かれた一方、「高市政権に期待」(サービス)「商品単価が上昇」(金融)などの声もあった。いずれにせよ、富山の景気DIは小幅改善にとどまり、今後も状況を注意深く見守って行く必要があろう。

・景気DI

「富山」の景気DIは、44.6と前月比で0.1ポイント改善した。新潟は若干悪化したものの、福井、石川は改善し「北陸」のDIは前月比0.2ポイント増の41.6と4ヵ月連続で改善した。また、全国もDI43.9と上昇が続いた。「富山」の都道府県別順位は前月の8位から9位へと若干低下した。

・規模別DI

「大企業」(42.4)は前月比3.4ポイント減となった一方、「中小企業」(45.3)は同1.2ポイント増、「小規模企業」(46.3)は同3.8ポイント増と改善した。結果、「大企業」と「中小企業」の規模間格差は-2.9ポイント(前月1.7ポイント)と、「中小・小規模企業」が上回る結果となった。

・業界別DI

10業界中、前月比悪化は『製造』『サービス』『小売』の3業界にとどまった一方、同改善は『卸売』『建設』『運輸・倉庫』『農・林・水産』の4業界となった。景気判断の分かれ目となるDI50以上となったのは7業界(前月6)であった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(当月比0.4ポイント増)、「6カ月後」(同0.4ポイント増)、「1年後」(同2.0ポイント増)と、改善する見通しとなった。業界別では、『建設』『製造』『卸売』『小売』などは不安感が払拭できない結果となった一方、『サービス』『金融』『農・林・水産』などは先行きに対する期待感が窺えた。

■石川県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.7

0.9

前月より改善も先行きの見通しは悪化傾向

・概況

「石川」の景気DIは、前月比0.9ポイント改善の45.7となった。3カ月ぶりに改善したものの、前年同月に比べると2.0ポイント低く、都道府県順位は前年同月より2ランク低い6位となった。先行き見通しDIは「1年後」の後退が続き、「3カ月後」の指標をピークに徐々に悪化する結果となった。特にこれまで県内の景気指標を牽引してきた『サービス』で、「3カ月後」以降、指標が大きく低下していることは看過できない。現状よりも「1年後」の景気が良くなっていると予想する業界は限定的で、引き続き注視が必要であろう。

・景気DI

「石川」の10月の景気DIは、前月比0.9ポイント改善の45.7となった。3カ月ぶりの改善となったが、直近1年間では前月比悪化となる頻度が高く、前年同月比では2.0ポイント低い状況となっている。都道府県別順位は前月より1ランク上昇の6位となったものの、対前年比では2ランク低下した(前年同月4位)。

・規模別DI

「大企業」のDIは4カ月連続で改善し、「中小企業」も3カ月ぶりに改善した。「大企業」に比べて「中小企業」の改善幅は大きく、両者の格差は前月比0.7縮小の11.2となった。「中小企業」のうち小規模企業の指標も2カ月連続の改善で、3指標とも改善は今年3月以来7カ月ぶり。

・業界別DI

8業界のうち3業界で改善、3業界で横ばい、2業界で悪化した。『卸売』で2カ月連続の悪化となったほか、県内の景気DIを牽引している『サービス』で前月比7.5ポイントの大幅な悪化となった。同業界では、6カ月後、1年後の指標も前月より大きく悪化しており、先行きを厳しく見る向きが反映されている。

・先行き見通しDI

3指標のうち「1年後」は3カ月連続の悪化となった。一方、「3カ月後」、「6カ月後」は改善がみられたものの、前年同月比では全ての指標で悪化したことに加え、「3カ月後」が最も高く、時間の経過に伴い指標が悪化する結果となった。先行きの見通し難から、景気の減退を予想する企業が増えてきているといえる。

■福井県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.7

1.1

2ヶ月ぶりの改善

・概況

「福井」の景気DIは前年同月比で若干悪化したものの、前月比では改善がみられた。『運輸・倉庫』は人手不足から改善の見通しがたっておらず、『卸売』も消費低迷から繊維・服飾品を中心に厳しい状況が予想される。『小売』は賃金上昇や政治体制の安定化を期待して改善が見込まれるほか、『サービス』は北陸新幹線の延伸効果を受けて好調が続く見通しとなり、新内閣が最優先に掲げる物価高対策などで景況感の回復を期待する声が聞かれた。

・景気DI

「福井」の10月景気DIは41.7となり、前年同月比で0.3ポイント悪化したものの、前月比では1.1ポイント改善。都道府県別順位は32位で、前月(36位)や前年同月(35位)から上昇した。業界別では、『運輸・倉庫』が大きく落ち込んだ一方、『製造』『小売』の改善が顕著。

・規模別DI

「大企業」の10月景気DIは43.5となり、前月比で0.9ポイント悪化。「中小企業」は41.3で1.5ポイント改善、「うち小規模企業」は45.6で5.8ポイントと大きく改善した。「大企業」と「中小企業」の格差は2.2で、前月より2.4ポイント縮小した。

・業界別DI

比較可能な8業界のうち、景気DIが改善を示した業界は2業界、悪化は5業界、横ばいは1業界。前月比では『運輸・倉庫』が11.1ポイント、『サービス』が8.6ポイントと大幅な悪化を示した一方、『製造』は2.2ポイント、『小売』は9.9ポイントとそれぞれ改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は42.3、「6カ月後」は43.2、「1年後」は44.7と、先行きに対して小幅ながら改善の期待感が窺える。業界別では、人手不足が続く『運輸・倉庫』などの先行きが厳しい見通しの一方、『製造』などで1年後まで改善が続く見通し。

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