レポート

TDB景気動向調査2025年10月(中国ブロック:鳥取・島根・岡山・広島・山口)

■中国ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.7

0.6

2カ月ぶりに改善

・概況

『中国』の景気DIは2カ月ぶりに改善した。前月は横ばいとなったが、改善ペースが続いた。『サービス』は2カ月連続で悪化したものの、インバウンド客を中心とした観光需要により好調を維持している。自動車産業を中心に関税交渉が落ち着いた『製造』は2カ月ぶりに前月を上回り、2024年12月以来10カ月ぶりに40台に改善した。『中国』の景気DIは引き続く物価高、実質賃金のマイナス基調などで、10カ月連続で前年同月を下回り、先行き不透明感は強いものの、高市新政権の誕生による積極財政を期待する声も挙がっている。

・景気DI

『中国』の景気DIは前月比0.6ポイント増の42.7で、2カ月ぶりに改善した。「鳥取」が2カ月連続で悪化したが、他県は改善した。なかでも、「広島」「島根」はともに4カ月連続で改善した。「全国」(43.9)より1.2ポイント低く、11カ月連続で「全国」を下回った。全国10ブロック別の順位は、6カ月連続の6位。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.1ポイント増の45.5で、2カ月ぶりに改善した。「中小企業」は同0.7ポイント増の42.3で、4カ月連続で改善した。うち「小規模企業」は同1.3ポイント増の41.5で、2カ月ぶりに改善した。3指標とも改善するのは2カ月ぶり。「大企業」と「中小企業」の格差は、2カ月連続で縮小した。

・業界別DI

6業界が改善、3業界が悪化、1業界が横ばい。『建設』は43.9で、3カ月連続で改善した。『製造』は40.3で2カ月ぶりに改善し、2024年12月以来10カ月ぶりに40を超えた。一方、『運輸・倉庫』は38.7で、2カ月ぶりに悪化した。『サービス』は47.0で、2カ月連続で悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比0.2ポイント減の44.9となり、5カ月ぶりに悪化した。「6カ月後」は同0.3ポイント増の45.2となり、3カ月連続で改善した。「1年後」は同0.6ポイント増の46.1となり、5カ月連続で改善した。前年同月比では、「1年後」は2024年9月以来13カ月ぶりに改善した。

■広島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.3

0.5

4カ月連続の改善

・概況

「広島」の景気DIは4カ月連続で改善、改善ペースが続いている。『サービス』は4カ月ぶりに悪化したものの、インバウンド客を中心した観光需要により堅調に推移している。自動車産業を中心に関税交渉が落ち着いた『製造』は2カ月ぶりに前月を上回り、今年の最高値となった。「広島」の景気DIは引き続く物価高、実質賃金のマイナス基調などで先行き不透明感は強いものの、高市新政権の誕生による積極財政を期待する声も挙がっている。

・景気DI

「広島」の景気DIは前月比0.5ポイント増の43.3で、4カ月連続で改善した。前年同月比では0.2ポイント低く、7カ月連続で悪化した。「全国」(43.9)より0.6ポイント低く、11カ月連続で「全国」を下回った。都道府県別の順位は、前月の18位から21位にわずかに後退した。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.8ポイント増の47.6で、2カ月ぶりに改善した。「中小企業」は同0.5ポイント増の42.6で、4カ月連続で改善した。うち「小規模企業」は同1.5ポイント増の42.9で、2カ月ぶりに改善した。2カ月ぶりに3指標がそろって改善した。「大企業」と「中小企業」の格差は3カ月ぶりに拡大した。

・業界別DI

3業界が改善、3業界が悪化、4業界が横ばい。『建設』は46.2で、前月から6.3ポイント増と大幅に改善した。45を超えるのは2024年12月以来。『小売』は前月比4.0ポイント増の43.1で、2カ月ぶりに改善した。一方、『サービス』は4カ月ぶりに悪化し、『卸売』『運輸・倉庫』はともに2カ月ぶりに悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比0.1ポイント減の45.4で、5カ月ぶりに悪化した。「6カ月後」は同0.6ポイント増の45.5、「1年後」は同1.0ポイント増の46.7で、ともに3カ月連続で改善した。前年同月比では、「3カ月後」が9カ月連続、「6カ月後」が10カ月連続で悪化した。なお、「1年後」は横ばいだった。

■鳥取県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.9

-0.5

2カ月連続悪化

・概況

「鳥取」の景気DIは2カ月連続の悪化となった。比較的堅調に推移してきた『建設』や『サービス』が前月から悪化し、基準となる50を上回るのは『不動産』と『運輸・倉庫』のみであった。前月より悪化した業界で共通する声は「賃金上昇」や「物価高」などで、これらに対する価格転嫁が課題となっていることが窺える。人手不足は暫く続く見込みで、インフレ傾向も継続するものとみられるため、価格交渉が企業存続の鍵となるが、中小企業と大企業での転嫁には差が見られることを勘案すれば、先行きの不透明感は否めない。

・景気DI

「鳥取」は前月比0.5ポイント減の40.9となり、中国ブロックで唯一前月から悪化した。『全国』は5カ月連続で改善し43.9、『中国』も前月比0.6ポイント増の42.7となった。「鳥取」の全国順位は前月から7ランクダウンの36位となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比5.5ポイント増の44.4となった一方で、『中小企業』は2カ月連続悪化の40.7となり、規模間格差の逆転現象は解消され、格差は3.7となった。「うち小規模」は前月比2.4ポイント減の46.4となった。

・業界別DI

『製造』、『小売』、『運送・倉庫』の3業界は前月から改善したものの、『金融』、『建設』、『不動産』、『卸売』、『サービス』の5業界は前月から悪化した。『製造』は2カ月連続で改善したものの、38.9と低調に推移しているほか、『小売』も37.0と厳しい。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比2.5ポイント減の42.7、「6カ月後」は同0.4ポイント減の43.6、「1年後」は同2.2ポイント減の43.3と3指標ともに前月から悪化した。3指標ともに前月から悪化したのは2カ月連続で、『全国』や『中国』より2~3ポイント低い状態にある。

■島根県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.7

0.6

4カ月連続改善

・概況

「島根」の景気DIは4カ月連続で改善した。規模別では集計の大半を占める「中小企業」が前月比1.2ポイント、うち「小規模企業」は同3.5ポイント増となった一方、「大企業」が同10ポイント減と落ち込むなど、小幅な回復状況が続く。企業からの声では、「原料不足、原価高、人件費高」(製造)、「消費が進まず先が見えない」(卸売)、「物価高や中小企業が多い地域での最低賃金への対応で少しづつ、悪くなっている様に感じる」(サービス)など、先行きを不安視する声が多く聞かれる。

・景気DI

「島根」の景気DIは前月比0.6ポイント増の41.7となり4カ月連続で改善した。4カ月連続はコロナが発生した2020年以降初めて。『中国』の景気DIも42.7と同0.6ポイント増となった。なお、都道府県順位は前年同月36位から32位に上昇したが、全国(43.9)との比較では2.2ポイント下回った。

・規模別DI

「大企業」(33.3)は前月比10ポイント減と大幅に悪化した一方、「中小企業」(42.2)は同1.2ポイント増、「小規模企業」(42.7)は同3.5ポイント増と、それぞれ4カ月連続で改善した。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は▲8.9ポイントとなり、大幅な乖離を示す結果となった。

・業界別DI

前月と比較可能な8業界中、3業界が改善し、3業界が横ばい、悪化が2業界となった。うち『サービス』は3カ月連続、『製造』、『小売』は2カ月連続で改善した。ただ、『製造』は14カ月連続で30台にとどまっており、低水準での推移が続くなど依然として本格的な回復の兆しが見えない。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は43.7(前月45.4)、「6カ月後」は44.1(同45.4)、「1年後」は45.2(同45.0)となり、「3カ月」と「6カ月」は前月を下回ったが、「1年後」は改善の声が強まった。なお、全国(45.5、46.1、46.9)は先行きへの期待がさらに強まり、格差が広がる結果となった。

■岡山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.1

0.9

2カ月ぶりに改善

・概況

「岡山」の景気DIは、前月比0.9ポイント増の42.1となり、2カ月ぶりに改善した。関税交渉が決着した『製造』は3カ月ぶりに改善したほか、『卸売』は2カ月連続で改善した。一方、毎月多くの品目で値上げが実施される『小売』は2カ月連続で悪化して3カ月ぶりに40を下回った。また、『サービス』も悪化して4カ月ぶりに50を下回った。先行き見通しは2カ月ぶりに3指標がそろって改善したものの、物価高や賃金上昇の流れに対して、多くの中小企業がコスト上昇の影響を受けているため、当面は一進一退の展開が続くであろう。

・景気DI

「岡山」の景気DIは、前月比0.9ポイント増の42.1となり、2カ月ぶりに改善した。前年同月と比べると2.2ポイント低く、6カ月連続で前年同月を下回った。『全国』より1.8ポイント低く、7カ月連続で『全国』を下回ったが、都道府県別順位は前月の32位から28位へ、中国5県では4位から3位へ上昇した。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.6ポイント減の42.9となり2カ月連続で悪化した。「中小企業」は同1.2ポイント増の41.9となり2カ月ぶりに改善、うち「小規模企業」も同2.1ポイント増の38.7となり2カ月ぶりに改善した。「大企業」が「中小企業」を上回るのは5カ月連続だが、格差は2.8から1.0に縮小した。

・業界別DI

9業界中、「改善」が5業界、「悪化」が4業界だった。『製造』は3カ月ぶり、『卸売』は2カ月連続で改善し、ともに40台を回復した。一方で『建設』は3カ月ぶりに悪化したほか、『小売』は前月比6.8ポイント減と大幅に悪化した。また、全体を下支えしている『サービス』も悪化して4カ月ぶりに50を下回った。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比1.2ポイント増の44.9、「6カ月後」は同1.2ポイント増の44.5、「1年後」は同1.0ポイント増の44.8となり、3指標がそろって2カ月ぶりに改善した。米国の関税政策の落ち着きや新政権発足による期待感もプラスに働いたとみられる。

■山口県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.9

1.2

2カ月ぶりに改善

・概況

「山口」の景気DIは43.9と2カ月ぶりに改善したが、11カ月連続で前年同月を下回った。『サービス』は3カ月連続で悪化しており、「物価高騰と貸出金利上昇懸念」(医療・福祉・保健衛生業)の声がきかれ、『製造』では「顧客の設備投資への意思決定の足踏み・遅れが長期化」(機械製造業)とコスト上昇や先行き不透明感により、売上減などの影響も広がっている。物価上昇に対して賃上げが追いつかず、消費者の節約志向も顕著であり、今後の景気は一進一退の状況が続くとみられる。

・景気DI

「山口」の景気DIは、前月比1.2ポイント増の43.9となり、2カ月ぶりに改善した。都道府県順位は14位(前月は20位)と上昇し、『全国』43.9とは同水準となった。また、11カ月連続で前年同月を下回っており、昨年来の傾向は続いている。

・規模別DI

「大企業」が前月比2.8ポイント増の50.0、「中小企業」は同1.1ポイント増の43.1となったが、「小規模企業」は同0.4ポイント減の40.3と3カ月ぶりに悪化した。「大企業」と「中小企業」の差は6.9で6カ月連続で「大企業」が上回り、格差は広がった。

・業界別DI

『サービス』は3カ月連続で前月比悪化、『運輸・倉庫』は2カ月ぶりに前月比悪化を示した。一方、『小売』は3カ月連続、『卸売』と『農・林・水産』は2カ月連続、『製造』、『建設』は2カ月ぶりに改善を示した。『農・林・水産』は前月比11.6ポイント増と大きく改善、前月より改善した業界数は増加した。

・先行き見通しDI

3カ月後が46.0(前月46.2)、6カ月後は46.8(同46.7)、1年後も48.6(同47.6)と3カ月後は悪化したものの、6カ月後、1年後は前月より改善を示しており、現状より改善に期待する見通しに変わりはない。業界別では『建設』、『製造』、『小売』が全ての期間で改善の見通しを示している。

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