TDB景気動向調査2025年09月（四国ブロック：徳島・香川・愛媛・高知）

■四国ブロック

・概況

『四国』の景気DIは、3カ月連続で改善した。企業からは「米価の上昇にともなう生産意欲の向上で、受注が多い」（卸売、香川県）、「旅行の申し込みが上向いてきた」（運輸・倉庫、高知県）などの声がある一方で、「価格転嫁ができず、人手不足による影響がある」（サービス、徳島県）や「消費者の購買意欲が低く、仕事量が減少している」（卸売、愛媛県）などの厳しい声がある。仕入価格や人件費の上昇に対する価格転嫁の難しさに加え、人手不足による受注面への影響を懸念する声も多く、当面の景気DIは一進一退での推移が続くとみられる。

・景気DI

『四国』の景気DIは前月比0.6ポイント増の41.2となり、前月比・前年同月比ともに3カ月連続で改善した。県別では、「香川」「愛媛」「高知」が改善、「徳島」のみ悪化した。また、『全国』（43.4）を57カ月連続で下回り、全国10ブロック別の順位は4カ月連続で9位となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.8ポイント増の48.4で、2カ月連続で改善して今年最高を記録。「中小企業」は同0.5ポイント増の40.1で、3カ月連続で改善して6カ月ぶりの40台に、うち「小規模企業」は同0.5ポイント増の37.9で、2カ月連続で改善した。「大企業」が「中小企業」を上回るのは27カ月連続。

・業界別DI

主要7業界では、『建設』『製造』『卸売』『運輸・倉庫』『サービス』が改善、『小売』が悪化、『不動産』は横ばい。『運輸・倉庫』が前月比5.2ポイントの大幅増となるなど4業界が40台となった一方で、『不動産』は17カ月連続、『卸売』は21カ月連続、『小売』は18カ月連続で40割れの状態が続いている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は42.6（前月42.2）、「6カ月後」は42.7（同41.7）、「1年後」は42.5（同42.6）となった。「3カ月後」「6カ月後」が改善したものの、「1年後」が悪化した。前年同月との比較では2カ月連続で3指標が揃って悪化しており、先行きに対する慎重な見方がうかがえる。

■香川県

・概況

「香川」の景気DIは、3カ月連続で改善し、今年最高を記録した。企業からは「米価の上昇にともなう生産意欲の向上で、受注が多い」（卸売）、「昨年より売り上げが良い」（建設）などの声がある一方で、「価格が上がり、転嫁が難しい」（不動産）や「来店客数が少ない」（小売）などの厳しい声がある。仕入価格や人件費の上昇に対する価格転嫁の難しさに加え、人手不足による受注面への影響を懸念する声も多く、当面の景気DIは一進一退での推移が続くとみられる。

・景気DI

「香川」の景気DIは前月比2.2ポイント増の47.0となり、3カ月連続で改善し、今年最高を記録した。また、31カ月連続で40台を維持したほか、5カ月連続で前年同月を上回った。『全国』（43.4）との比較では3.6ポイント上回り、全国都道府県別の順位は4位（前月6位）に上昇した。

・規模別DI

「大企業」は前月比2.0ポイント増の52.0となり、2カ月連続で改善したほか、2カ月連続の50台。「中小企業」は同2.5ポイント増の46.1となり、2カ月ぶりの改善、うち「小規模企業」は同3.2ポイント増の45.1となり、2カ月ぶりに改善した。2カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。

・業界別DI

主要7業界では、『製造』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』が改善、『不動産』が悪化、『建設』は横ばい。『製造』が3カ月連続、『運輸・倉庫』が2カ月連続で改善するなど4業界が50台となったが、『小売』は4カ月連続で40割れとなるなど、業界間の格差が顕著になっている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は47.1（前月45.7）、「6カ月後」は45.8（同45.1）、「1年後」は46.2（同46.1）となり、2カ月ぶりに3指標が揃って改善した。ただ、「6カ月後」「1年後」が「3カ月後」を下回っており、前年同月比では2カ月連続で3指標が揃って悪化するなど、先行きに対する不透明感がうかがえる。

■徳島県

・概況

徳島の景気DIは、3カ月ぶりに悪化、19カ月連続で40を下回った。最後に40を上回ったのは、コロナ禍からの回復が期待された2024年2月（41.3）であり、以降は40を下回る低水準が続く。先行き見通しDIも、3指標が揃って悪化したほか、いずれも3カ月連続で40を下回っており、先行きへの不透明感も払拭できない。企業からは、「諸経費の高騰を価格転嫁できない」（医療サービス）、「衣料品への消費支出が減少している」（繊維品卸）といった後ろ向きの声が多い。徳島県の景況感は、当面厳しい状況が続きそうだ。

・景気DI

「徳島」の景気DIは前月比2.4ポイント減の35.6となり、3カ月ぶりに悪化した。前年同月との比較では1.1ポイント減となり、こちらも3カ月ぶりの悪化となった。『全国』（43.4）との比較では7.8ポイント低く、全国を下回るのは45カ月連続となった。都道府県別の順位は47位（前月45位）だった。

・規模別DI

「大企業」（30.0）は前月比5.4ポイント減で2カ月ぶりに悪化。「中小企業」（36.0）は同2.3ポイント減で3カ月ぶりの悪化、うち「小規模企業」（33.3）は同3.5ポイント減で2カ月ぶりの悪化となった。「大企業」が40を下回るのは3カ月連続。中小企業が40を下回るのは19カ月連続となった。

・業界別DI

主要7業界では、『不動産』『運輸・倉庫』が改善、『建設』『製造』『卸売』『小売』『サービス』が悪化となった。『運輸・倉庫』（58.3）は2カ月連続で改善した。『建設』（34.7）や『サービス』（31.8）は2カ月連続で悪化、『製造』（34.6）は4カ月ぶりの悪化となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は37.2（前月比2.2ポイント減）、「6カ月後」は38.8（同1.0ポイント減）、「1年後」は38.1（同1.5ポイント減）となった。「3カ月後」「6カ月後」はいずれも2カ月ぶりの悪化となった。「1年後」は3カ月連続で悪化した。また、3指標が揃って40を下回るのは3カ月連続となった。

■愛媛県

・概況

「愛媛」の景気DIは、2カ月連続で改善し、4カ月ぶりに40台へと回復した。主な業界別では『サービス』以外は全て改善しているが、大半の業界で40を下回る状況に変わりは無い。比較的高い『建設』でも「中規模以上の新築物件が少なくなり、物価上昇の影響で新築案件もない」といった声も聞かれ、、依然として業界を問わず厳しい状況にあると言える。12月に最低賃金の引き上げを控えるなか、設備投資や賃金アップなどの対応が可能な「大企業」と余力のない「中小企業」との差は大きく、今後も一進一退の推移が予想される。

・景気DI

「愛媛」の景気DIは前月比0.3ポイント増の40.0と2カ月連続で改善し、4カ月ぶりに40台となった。『全国』もわずかに改善し、県別順位は39位と前月（37位）よりわずかに低下した。

・規模別DI

「大企業」が大きく改善した一方で、「中小企業」はわずかに悪化した。ただし、うち「小規模企業」は改善した。規模間格差（大企業-中小企業）は9.5ポイントと拡大した。

・業界別DI

回答数10社超の5業界中では『サービス』以外の4業界が改善した。『建設』は7カ月ぶりに45を上回った。『建設』『卸売』以外の業界は依然として40割れが続き、低迷が続いている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が前月比0.5ポイント増、「6カ月後」が同1.6ポイント増、「1年後」が同0.1ポイント増となり、全てで改善した。主要業界では『製造』『小売』が全ての期間で改善し、全ての期間で悪化した業界はなかった。

■高知県

・概況

「高知」の景気DIは、前月比1.3ポイント増の39.8となり、2カ月ぶりに改善した。「旅行業を営んでいるが、最近旅行の申し込み数が上向いてきた」（運輸・倉庫）、｢受注増｣（建設）など、一部の業界では明るい材料が散見され、景況感の改善に繋がっているものとみられる。一方で、「商品需要が長期にわたり低迷している」（卸売）、「半導体不況の影響」（製造）など、引き続き物価高や需要増などを背景として先行きの見通しを懸念する声も多く、今後景況感が悪化する可能性も内包している。

・景気DI

「高知」の景気DIは、前月比1.3ポイント増の39.8となり、2カ月ぶりに改善したものの、2カ月連続で40を下回った。一方で、『全国』（43.4）を3.6ポイント下回ったほか、『四国』（41.2）を1.4ポイント下回り、全国順位は前月の44位から41位に低下した。

・規模別DI

「大企業」は55.6と前月（55.6）から横ばいであったほか、「小規模企業」は35.2と前月（35.5）から0.3ポイント低下したが、「中小企業」については37.8と前月（36.7）から1.1ポイント上昇した。「大企業」と「中小企業」の格差は17.8ポイントで、前月（18.9ポイント）から縮小した。

・業界別DI

前月と比較可能な7業界中、「改善」が2業界となったのに対して、「悪化」も2業界となり、｢横ばい｣が3業界となった。業界別にみると、『建設』『製造』が前月から改善した一方で、『サービス』『卸売』が各々悪化し、『小売』『金融』『運輸・倉庫』が横ばいとなった。

・先行き見通しDI

｢6カ月後｣は40.4（前月38.3）と前月を下回ったものの、｢3カ月後｣は40.1（前月39.3）と前月を上回り、また｢1年後｣についても40.1（前月39.6）と同じく前月を上回ることとなった。