レポート

TDB景気動向調査2025年09月(北陸ブロック:新潟・富山・石川・福井)

■北陸ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.4

0.4

3カ月連続で改善、「富山」「新潟」が寄与

・概況

『北陸』の景気DIは41.4(前月比0.4ポイント増)と3カ月連続で改善。「関税の影響が出てきている」(機械器具卸売)、「値上げが進まない」(食品小売)、「災害復旧工事も終わりに近付いている」(建材・窯業)との声はあるものの、「商談活況」(情報サービス)とIT業界からは需要旺盛であるとの声が多く聞かれ、「前年比で明らかに受注が増加」(アパレル)、「売り上げが伸びている」(鉄鋼・非鉄)、「同業者の撤退、廃業等で当社の顧客が増えている」(サービス)などの声があった。

・景気DI

『北陸』の景気DIは41.4(前月比0.4ポイント増)と3カ月連続で改善。最も寄与したのは「富山」で44.5(同1.3ポイント増)。「新潟」も2カ月連続で改善した。反面、「石川」が44.8(前月比0.8ポイント減)と2カ月連続で悪化、「福井」も40.6(同1.3ポイント減)と3カ月ぶりに悪化した。

・規模別DI

「大企業」が46.9(前月比2.7ポイント増)と2カ月連続で改善したが、「中小企業」は40.3(同0.1ポイント減)と3カ月ぶりに悪化、「うち小規模」は39.4(同0.5ポイント増)と改善した。大企業の良好な景況感を反映し、中小企業との規模間格差は6.6(前月3.8)へ2.8ポイント拡大。

・業界別DI

『金融』が48.8(前月比6.6ポイント増)と大幅改善。『サービス』も51.9(同3.3ポイント増)と2カ月ぶりに改善し、8カ月ぶりに50の大台に回復した。反面、『小売』が35.2(前月比3.4ポイント減)と2カ月連続で悪化し、『製造』も35.5(同1.8ポイント減)と低迷が続いている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が43.0(前月43.2)と0.2ポイント悪化したものの、「6カ月後」が43.7(同42.6)、「1年後」が44.8(同44.2)とそれぞれ1.1ポイント、0.6ポイントの改善。特に明るい見通しが示されているのは「富山」「石川」で、業種別では『製造』『卸売』『小売』などの改善期待が高い。

■新潟県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.9

0.9

2カ月連続で改善、大企業が牽引役に

・概況

「新潟」の景気DIは38.9(前月比0.9ポイント増)と2カ月連続で改善。「物価高に賃金上昇が追いつかない」(サービス)、「金利上昇、働き方改革の影響も大きくもうしばらく辛抱」(建材・窯業)、「大手自動車メーカーからの受注減少」(機械製造)、「人手不足と最低賃金上昇でコストが増大」(化学品製造)と厳しい声は多いものの、「価格転嫁は半分程度。しかし原材料費は下がり始めた」(その他の卸売)、「ソフト開発案件多数」(情報サービス)、「海外投資家が関心を持つ案件が増えている」(娯楽サービス)などの声もあった。

・景気DI

「新潟」の景気DIは38.9(前月比0.9ポイント増)と2カ月連続で改善した。2カ月以上連続の改善は2024年9月以来。全国順位は42位(前月45位)へ上昇した。トップは「沖縄」、2位は「大分」、3位は「東京」で、最下位は「徳島」。北陸4県では「石川」が7位、「富山」が8位、「福井」が36位。

・規模別DI

「大企業」が44.0(前月比4.1ポイント増)と2カ月連続の改善。大企業と中小企業の規模間格差は5.7ポイント(前月2.2ポイント)と拡大したが、「中小企業」も38.3(同0.6ポイント増)と僅かだが2カ月連続で改善。「うち小規模」も35.9(同2.8ポイント増)と3カ月ぶりの改善。

・業界別DI

『建設』や『サービス』が全体の伸びを牽引した。『建設』は45.5(前月比4.7ポイント増)と大幅に改善し、『サービス』は49.2(同3.0ポイント)と3カ月連続で改善。『金融』は46.3(前月比3.0ポイント増)、『卸売』も36.5(同1.0ポイント増)とそれぞれ2カ月連続で改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が41.3(前月40.7)、「6カ月後」が43.4(同40.6)、「1年後」が44.6(同43.1)と、3指標いずれも改善した。特にトランプ関税の影響緩和を見込んだ大企業の「6カ月後」が46.0(先月43.5)、「1年後」が51.3(同47.6)へ大幅に改善し、全体の牽引役となっている。

■富山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.5

1.3

前月から改善も、一進一退

・概況

「富山」の景気DIは前月比1.3ポイント増の44.5に改善し、全国順位は8位と前月の16位から上昇した。「北陸」は41.4、全国は43.4と、ともに改善した。「飼料高止まりで収益圧迫」(農・林・水産)、「慢性的な人材不足」(医療・福祉)などの声が聞かれた一方、「インバウンド需要好調」(サービス)、「需要が増加」(建設)などの声もあった。いずれにせよ、富山の景気DIは一進一退が続いており、今後も状況を注意深く見守って行く必要があろう。

・景気DI

「富山」の景気DIは、44.5と前月比で1.3ポイント改善した。石川、福井は悪化した一方、新潟は改善し「北陸」のDIは前月比0.4ポイント増の41.4となった。全国は前月と概ね同様のDI43.4となり足踏みが続いた。「富山」の都道府県別順位は前月の16位から8位へと上昇した。

・規模別DI

「大企業」(45.8)は前月比2.8ポイント増、「中小企業」(44.1)は同0.9ポイント増となった一方、「小規模企業」(42.5)は同1.5ポイント減と悪化した。結果、「大企業」と「中小企業」の規模間格差は1.7ポイント(前月-0.2ポイント)と拡大し、再び「大企業」が上回った。

・業界別DI

10業界中、前月比悪化は『製造』『農・林・水産』『運輸・倉庫』の3業界にとどまった一方、同改善は『建設』『卸売』『サービス』『金融』などの5業界となった。景気判断の分かれ目となるDI50以上となったのは6業界(前月3)であった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(当月比1.4ポイント増)、「6カ月後」(同0.6ポイント増)、「1年後」(同1.4ポイント増)と、改善する見通しとなった。業界別では、『建設』『卸売』『サービス』などは不安感が払拭できない結果となった一方、『製造』『小売』などは先行きに対する改善への期待感が窺えた。

■石川県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.8

-0.8

2カ月連続の悪化で今年3番目の低水準

・概況

「石川」の景気DIは、前月比0.8ポイント悪化の44.8となった。2カ月連続の悪化で今年3番目に低い水準。都道府県順位は前月より3ランク下がり7位となった。さらに、先行き見通しDIも3指標そろって悪化し、「6カ月後」までは現状と変わらず、「1年後」も業況が大きく改善しない結果となった。特に『小売』では3カ月連続の悪化で今年最低を更新。原材料の相次ぐ値上げに価格転嫁が追いついていない状況や人手不足への対応など、厳しい経営環境に変化は見られない。各業界明るい話題に乏しく、引き続き注視が必要であろう。

・景気DI

「石川」の9月の景気DIは、前月比0.8ポイント悪化の44.8となった。2カ月連続の悪化で、今年3番目に低い水準。45.0を下回るのも今年3回目で、前年同月と比較しても1.0低い状況。都道府県別順位は前月より3ランク低下の7位で、対前年比でも1ランク低下した(前年同月6位)。

・規模別DI

「大企業」のDIは3カ月連続で改善した一方、「中小企業」は2カ月連続で悪化した。そのため、両者の格差は11.9まで拡大した。これは今年3月と同水準で今年最大。中小企業のうち「小規模企業」では5カ月ぶりの改善となり、前月比0.8ポイント改善の43.7となった。

・業界別DI

8業界のうち4業界で改善、1業界で横ばい、3業界で悪化した。悪化した業界は少なかったものの3カ月連続で悪化した『小売』では、前月比7.4ポイント悪化の35.0で今年最低。『製造』も前月比3.3ポイント悪化の36.7で今年最低となった。『建設』は乱高下が続き、当月は前月比5.6ポイント改善となった。

・先行き見通しDI

3指標ともに2カ月連続の悪化となった。全指標の2カ月連続悪化は24年9月以来1年ぶり。特に「3カ月後」の下げ幅は2.8で大きく、当月と「3カ月後」の指標はほぼ横ばい、「3カ月後」と「6カ月後」が45.0で横ばいとなったことから、引き続き先行きの見通し難が数値に反映される結果となった。

■福井県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.6

-1.3

前月より1.3ポイント悪化

・概況

「福井」の景気DIは前月比、前年同月比いずれも悪化した。『サービス』は新幹線延伸効果を受け、『金融』は政策次第としながらも当面は落ち着くと見通し、『不動産』は地価上昇などにより、景気DIはいずれも50以上を示している。『小売』は酷暑や物価上昇による買い控え、賃金増加による収益性圧迫、『運輸・倉庫』は人手不足の改善が見通せておらず、全体の景況感を押し下げる状況が続くだろう。

・景気DI

「福井」の9月景気DIは40.6となり、前月比で1.3ポイント、前年同月比で1.8ポイントそれぞれ悪化した。都道府県別順位は36位で、前月(29位)や前年同月(31位)から下がった。業界別では、『小売』や『運輸・倉庫』の落ち込みが顕著。

・規模別DI

「大企業」の9月景気DIは44.4となり、前月比1.3ポイント改善。「中小企業」は39.8で1.9ポイント悪化、「うち小規模企業」は39.8で3.5ポイント悪化した。大企業と中小企業の格差は4.6で、前月より3.2ポイント拡大した。

・業界別DI

比較可能な8業界のうち、景気DIが改善した業界は3業界、悪化は4業界、横ばいは1業界。前月比で『運輸・倉庫』が5.5ポイント、『小売』が5.0ポイントの大幅な悪化をそれぞれ示した。『金融』は8.3ポイント、『サービス』は2.2ポイントそれぞれ改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は41.7、「6カ月後」は41.7、「1年後」は42.9と改善の停滞を見通している。業界別では『運輸・倉庫』が人手不足で1年後までの先行き見通しDIはいずれも20台を示した。『不動産』は地価上昇と新幹線延伸で1年後まで50.0を維持する見通し。

「北陸ブロック(2025年09月)」の詳細(新潟・富山・石川・福井)