レポートTDB景気動向調査2025年08月(四国ブロック:徳島・香川・愛媛・高知)

■四国ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.6

0.7

2カ月連続で改善し、3カ月ぶりの40台

・概況

『四国』の景気DIは、3カ月ぶりに40台へ改善した。企業からは「インバウンド効果や県立アリーナのイベント効果による地域経済の活性化がみられる」(サービス、香川県)などの声がある。一方で、「タオル業界は8月が生産のピークであるが、産地全体で仕事量が少なく、厳しい状況」(卸売、愛媛県)、「公共工事が少なく、生コンの出荷が減少している」(製造、高知県)などの厳しい声がある。人件費の上昇による収益面への影響や物価高による消費者の買い控えを危惧する声も多く、当面の景気DIは一進一退での推移が続くとみられる。

・景気DI

『四国』の景気DIは前月比0.7ポイント増の40.6となり、2カ月連続で改善したほか、3カ月ぶりに40台となった。県別では、「徳島」「香川」「愛媛」が改善、「高知」のみ悪化した。また、『全国』(43.3)を56カ月連続で下回り、全国10ブロック別の順位は3カ月連続で9位となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比3.7ポイント増の46.6となり2カ月ぶりに改善、「中小企業」は同0.2ポイント増の39.6となり2カ月連続の改善、うち「小規模企業」は同1.5ポイント増の37.4となり5カ月ぶりに改善した。26カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回り、格差は7.0ポイントに拡大した。

・業界別DI

主要7業界では、『不動産』『製造』『卸売』『運輸・倉庫』が改善、『建設』『小売』『サービス』が悪化した。『運輸・倉庫』が2カ月ぶりに40台へ改善するなど4業界が40台となった一方で、『不動産』は16カ月連続、『卸売』は20カ月連続、『小売』は17カ月連続で40割れの状態が続くなど業界間格差がみられる。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は42.2(前月42.1)、「6カ月後」は41.7(同42.1)、「1年後」は42.6(同42.4)となった。「3カ月後」「1年後」が改善したものの改善幅は小さく、「6カ月後」が悪化した。前年同月との比較では3指標が揃って悪化しており、先行きに対する慎重な見方がうかがえる。

■香川県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.8

1.1

2カ月連続で改善

・概況

「香川」の景気DIは、2カ月連続で改善した。企業からは「インバウンド効果や県立アリーナのイベント効果による地域経済の活性化がみられる」(サービス)などの声がある一方で、「売り上げ、問い合わせの件数が減少している」(農・林・水産)や「仕入価格が高騰している」(小売)などの厳しい声がある。先行きに対する期待感の回復がみられるものの、人件費の上昇による収益面への影響や物価高による消費者の買い控えを危惧する声も依然として多く、当面の景気DIは一進一退での推移が続くとみられる。

・景気DI

「香川」の景気DIは前月比1.1ポイント増の44.8となり、2カ月連続で改善した。また、30カ月連続で40台を維持したほか、4カ月連続で前年同月を上回った。『全国』(43.3)との比較では1.5ポイント上回り、全国都道府県別の順位は6位(前月10位)に上昇した。

・規模別DI

「大企業」は前月比8.3ポイント増の50.0で2カ月ぶりの改善、「中小企業」は同0.5ポイント減の43.6で2カ月ぶりの悪化、うち「小規模企業」は同0.3ポイント減の41.9で2カ月ぶりに悪化した。「大企業」の改善幅が大きく、2カ月ぶりに「大企業」が「中小企業」を上回った。

・業界別DI

主要7業界では、『建設』『不動産』『製造』『卸売』『運輸・倉庫』が改善、『小売』『サービス』が悪化。『建設』が6カ月ぶり、『運輸・倉庫』が2カ月ぶりに50台となったほか、『不動産』は4カ月連続で50台を維持したが、『卸売』『小売』が3カ月連続で40割れとなるなど、業界間の格差が拡がっている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は45.7(前月45.9)、「6カ月後」は45.1(同45.0)、「1年後」は46.1(同44.9)となり、「6カ月後」「1年後」が改善、「3カ月後」が悪化した。「3カ月後」が悪化したものの、3指標が揃って45を上回り、先行きに対する期待感の回復がうかがえる。

■徳島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.0

2.0

2カ月連続で改善

・概況

「徳島」の景気DIは、2カ月連続で改善したものの、18カ月連続で40を下回った。最後に40を上回ったのは、コロナ禍からの回復が期待された2024年2月(41.3)であり、以降は40を下回る低水準が続く。先行き見通しDIも、3指標がいずれも2カ月連続で40を下回っており、先行きへの不透明感も拭えない。企業からは、「不確実性が高く、6カ月後、1年後の景気動向が判断できない」(化学品卸)、「販路の方向転換に取り組まなければならない」(繊維品卸)などの声がある。徳島県の景況感は、当面厳しい状況が続きそうだ。

・景気DI

「徳島」の景気DIは前月比2.0ポイント増の38.0となり、2カ月連続で改善した。前年同月との比較では1.8ポイント増となり、こちらも2カ月連続の改善となった。『全国』(43.3)との比較では5.3ポイント低く、全国を下回るのは44カ月連続となった。都道府県別の順位は45位(前月47位)だった。

・規模別DI

「大企業」(35.4)は前月比5.4ポイント増で3カ月ぶりに改善。「中小企業」(38.3)は同1.8ポイント増で2カ月連続の改善、うち「小規模企業」(36.8)は同4.9ポイント増で3カ月ぶりの改善となった。「大企業」が40を下回るのは2カ月連続。「中小企業」が40を下回るのは18カ月連続となった。

・業界別DI

主要7業界では、『製造』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』が改善、『建設』『サービス』が悪化、『不動産』が横ばいとなった。『製造』(38.9)は3カ月連続で改善、『卸売』(39.2)は3カ月ぶりの改善。『建設』(40.5)は2カ月ぶりの悪化。『不動産』(16.7)は5カ月連続で20を下回る低水準だった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は39.4(前月比2.4ポイント増)、「6カ月後」は39.8(同1.8ポイント増)、「1年後」は39.6(同0.1ポイント減)となった。「3カ月後」「6カ月後」はいずれも2カ月ぶりの改善となった。「1年後」は2カ月連続で悪化した。また、3指標が揃って40を下回るのは2カ月連続となった。

■愛媛県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.7

1.6

3カ月ぶりに改善

・概況

「愛媛」の景気DIは、3カ月ぶりに改善した。ただし、DIは3カ月連続で40を下回り、記録的な低水準となった前月の反動の意味合いが強いとみられる。主な業界別では『建設』以外は全て改善しているが、大半の業界で40を下回る状況に変わりは無く、依然として業界を問わず厳しい状況にあると言える。原材料価格や物流費の高騰などコスト上昇が続くなか、設備投資や賃金アップなどの対応が可能な「大企業」と余力のない「中小企業」との差は大きく、今後も厳しい推移が予想される。

・景気DI

「愛媛」の景気DIは前月比1.6ポイント増の39.7で3カ月ぶりに改善した。『全国』もわずかに改善し、県別順位は37位と前月(43位)より上昇した。

・規模別DI

「大企業」が下落した一方で、「中小企業」「小規模企業」はともに2ポイント以上改善した。規模間格差(大企業-中小企業)は6.4ポイントと縮小した。

・業界別DI

回答数が10社を超える5業界中、『建設』以外の4業界が改善した。前月まで下落が続いていた『卸売』『サービス』も改善に転じ、『サービス』は2カ月ぶりに40を上回った。ただ、『建設』『サービス』以外は40を下回る水準にとどまっており、依然として低迷していると言える。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が前月比0.4ポイント増、「6カ月後」が同1.0ポイント減、「1年後」が同0.6ポイント増となった。全てが大きく悪化した前月と比べ、いずれも限定的な動きにとどまっている。業界別では『建設』『サービス』が全ての期間で改善し、『製造』『卸売』が全ての期間で悪化した。

■高知県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.5

-2.1

3カ月ぶりに悪化

・概況

「高知」の景気DIは、前月比2.1ポイント減の38.5となり、3カ月ぶりに悪化した。「雇用環境良好、人手不足も変わらず」(製造)、「値上げ効果」(製造)など、一部の業種で明るい材料が散見されるものの、一方で「公共土木工事の発注が少ないため、生コンの出荷が減少している」(製造)、「資材価格上昇に歯止めがかからないのは懸念材料」(製造)など、引き続き物価高や資材高にともなう負担増などから先行きの見通しを懸念する声も多く、景況感の悪化に繋がっているものとみられる。

・景気DI

「高知」の景気DIは、前月比2.1ポイント減の38.5となり、3カ月ぶりに悪化したほか、2カ月ぶりに40を下回った。一方で、『全国』(43.3)を4.8ポイント下回ったほか、『四国』(40.6)を2.1ポイント下回り、全国順位は前月の30位から44位に低下した。

・規模別DI

「大企業」は55.6と前月(45.8)から9.8ポイント上昇したが、「小規模企業」は35.5と前月(36.7)から1.2ポイント低下し、「中小企業」についても36.7と前月(40.2)から3.5ポイント低下した。「大企業」と「中小企業」の格差は18.9ポイントで、前月(5.6ポイント)から拡大した。

・業界別DI

前月と比較可能な7業界中、「改善」が3業界となったのに対して、「悪化」も3業界となり、「横ばい」が1業界となった。業界別にみると、『金融』『建設』『卸売』が前月から改善した一方で、『製造』『小売』『サービス』が各々悪化し、『運輸・倉庫』が横ばいとなった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は39.3(前月41.2)と前月を下回ったほか、「6カ月後」も38.3(同40.6)と前月を下回った。また、「1年後」についても39.6(同41.2)と同じく前月を下回ることとなった。

「四国ブロック(2025年08月)」の詳細(四国ブロック:徳島・香川・愛媛・高知)