レポートTDB景気動向調査2025年08月(中国ブロック:鳥取・島根・岡山・広島・山口)

■中国ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.1

0.8

2カ月連続で改善

・概況

『中国』の景気DIは2カ月連続で改善した。輸出産業を中心に関税交渉が一旦決着した『製造』は、3カ月連続で改善したが、8カ月連続で40を下回った。食品を中心に価格転嫁が進む『小売』は、3カ月ぶりに改善し40を上回った。労務費や資材高の影響を受け続ける『建設』は5カ月ぶりに改善した。最低賃金(目安)の引き上げ額が過去最大となるなか、人件費の上昇を由来とした物価高が再燃している。結果、実質賃金は6カ月連続で前年比マイナスとなり、個人消費が下押しされ、国内景気の下振れリスクが高まっている。

・景気DI

『中国』の景気DIは前月比0.8ポイント増の42.1となり、2カ月連続で改善した。42を上回るのは5カ月ぶり。5県すべてが改善するのは、2024年7月以来。「全国」(43.3)より1.2ポイント低く、「全国」を9カ月連続で下回った。全国10ブロック別の順位は、前月から横ばいの6位だった。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.0ポイント増の46.6となり、3カ月連続で改善した。「中小企業」は0.8ポイント増の41.4となり、2カ月連続で改善した。うち「小規模企業」は2.3ポイント増の40.6となり、4カ月ぶりに改善した。「大企業」が「中小企業」を横ばいを挟んで30カ月連続で上回り、格差は拡大した。

・業界別DI

6業界が改善、3業界が悪化、1業界が横ばいとなった。『建設』の改善が大きく、前月比2.4ポイント増の42.5となり、5カ月ぶりに改善した。『小売』は1.7ポイント増の40.8となり、3カ月ぶりに改善し、40を上回った。『製造』は0.7ポイント増の39.0となり、3カ月連続で改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比1.4ポイント増の44.6で、3カ月連続で改善した。「6カ月後」は0.9ポイント増の44.3で、2カ月連続改善した。「1年後」は0.5ポイント増の44.6で、3カ月連続で改善した。2カ月ぶりに3指標がそろって改善した。一方、前年同月比は9カ月連続で3指標がそろって悪化した。

■広島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.5

0.7

2カ月連続で改善

・概況

「広島」の景気DIは2カ月連続で改善した。輸出産業を中心に関税交渉が一旦決着した『製造』は2カ月連続で改善した。食品を中心に価格転嫁が進む『小売』は、2カ月連続で改善して40を上回った。労務費や資材高の影響を受ける『建設』は2カ月ぶりに改善したが、4カ月連続で40を下回った。2025年度の最低賃金(目安)の引き上げ額が過去最大となるなか、人件費の上昇を由来とした物価高が再燃している。実質賃金は6カ月連続で前年比マイナスとなり、個人消費が下押しされ、国内景気の下振れリスクが高まっている。

・景気DI

「広島」の景気DIは前月比0.7ポイント増の42.5となり、2カ月連続で改善した。42を上回るのは5カ月ぶり。前年同月比では、5カ月連続で悪化した。「全国」(43.3)より0.8ポイント低く、9カ月連続で「全国」を下回った。都道府県別の順位は、前月から横ばいの22位だった。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.1ポイント増の48.2で、4カ月連続で改善した。「中小企業」は0.9ポイント増の41.6で、2カ月連続で改善した。うち「小規模企業」は3.6ポイント増の42.9で、2カ月ぶりに改善して40を上回った。格差は3カ月ぶりに縮小したが「大企業」が「中小企業」を27カ月連続で上回った。

・業界別DI

5業界が改善、4業界が悪化、1業界が横ばいとなった。『建設』は前月比2.7ポイント増の39.4となり、2カ月ぶりに改善したものの、4カ月連続で40を下回った。『小売』は1.4ポイント増の41.1となり、2カ月連続で改善した。『製造』は1.2ポイント増の41.5となり2カ月連続で改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比1.1ポイント増の44.9で、3カ月連続で改善した。「6カ月後」は1.5ポイント増の44.8で、「1年後」は1.1ポイント増の44.9で、それぞれ2カ月ぶりに改善した。3指標がそろって2カ月ぶりに改善した。一方、前年同月比では、3指標がそろって7カ月連続で悪化した。

■鳥取県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.8

0.9

2カ月連続改善

・概況

「鳥取」の景気DIは2カ月連続で改善し41.8となった。特に『サービス』が良く、「現在はインバウンドが好調で平日を埋めてくれる」(サービス、中小)の声が聞かれる一方で、「車の販売が減少している」(小売、中小)、「建築土木、生産ともに受注が低調」(卸売、中小)など、売上の減少が見え始めた業界もあるなど、業界や地域によりバラツキがみられた。今後は、物価高や人件費負担増に対する価格転嫁を進めることが更に必要だが、価格転嫁が遅れていることが散見されるため、暫くは一進一退で推移するとみられる。

・景気DI

「鳥取」は前月比0.9ポイント増の41.8となり2カ月連続で改善した。『全国』は3カ月連続改善の43.3であったほか、『中国』も2カ月連続改善の42.1となった。中国ブロックは全県で前月から改善した。「鳥取」の全国順位は前月比2ランクダウンの30位となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比5.5ポイント減の38.9となり一進一退である。「中小企業」は2カ月連続改善の42.0となったために、規模間格差は再び逆転現象となった。「うち小規模」は45.6となり、規模が小さいほど好調な結果となった。

・業界別DI

前月から改善したのは『建設』、『卸売』、『運輸・倉庫』、『サービス』の4業界、『不動産』、『製造』、『小売』の3業界が前月から悪化となった。基準となる50を越えたのは『サービス』、『運輸・倉庫』、『不動産』であった一方で、企業数の多い『製造』が35.6と厳しい結果となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比2.8ポイント増の45.3、「6カ月後」は同1.3ポイント増の44.7、「1年後」は同0.6ポイント減の45.6となり、1年後のみ前月から悪化した。『全国』や『中国』も、「鳥取」と同様に現在より改善する見通しであり、明るい状況が窺える。

■島根県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.7

0.2

2カ月連続の改善も小幅

・概況

「島根」の景気DIは2カ月連続で改善したものの、3カ月連続で30台にとどまり依然として低調な状況が続く。規模別では「大企業」が今年3月にDIが50となった以外は過去1年を遡り、全企業規模で40台以下となり、30台の状況も目立つなど精彩を欠く。企業からの声では、「建設業の専門工事業者。案件が無く、見込みも無い」(建設)、「酷暑のため来店されるお客さまの数が減っている」(小売)など、業界全体的に停滞感が広がっている。

・景気DI

「島根」の景気DIは前月比0.2ポイント増の39.7となり2カ月連続で改善したものの、依然30台にとどまる。『中国』の景気DIは42.1と同0.8ポイント増となり、小幅ながらも中国5県すべてが改善した。都道府県順位は前年同月22位から37位に後退し、全国(43.3)との比較では3.6ポイント下回った。

・規模別DI

「大企業」(43.3)は前月比横ばいであった。一方、「中小企業」(39.5)は同0.2ポイント増、「小規模企業」(38.3)は同0.3ポイント増と、それぞれ2カ月連続で改善したが、3カ月連続30台と低調である。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は3.8ポイントとなり、格差はわずかに縮小した。

・業界別DI

前月と比較可能な8業界中、2業界が改善したが、横ばい、悪化がそれぞれ3業界となった。前月まで比較的堅調だった『運輸・倉庫』が大幅に悪化したほか、『小売』は前月比3.1ポイント悪化し、4カ月連続で30台となった。また『製造』も同0.2ポイント悪化し、12カ月連続で30台にとどまり、長い低迷が続く。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は42.1(前月41.8)、「6カ月後」は42.4(前月42.1)、「1年後」は42.6(前月42.8)となり、わずかに先行きへの期待感がみられるものの、「1年後」は前月をやや下回り、依然不透明感が強い。全国(45.1、45.0、45.5)との比較では全指標で下回り、弱含みの状況が続く。

■岡山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.0

1.4

2カ月連続で改善

・概況

「岡山」の景気DIは、前月比1.4ポイント増の42.0となり、2カ月連続で改善した。関税交渉が一旦決着した『製造』は2カ月ぶりに悪化したほか、人手不足や依然として価格転嫁が進まない『運輸・倉庫』は2カ月連続で悪化した。一方で、『建設』は5カ月ぶりに改善して40台を回復したほか、食品を中心に価格転嫁が進む『小売』は大幅な改善がみられた。しかしながら先行きは楽観視できず、未だ実行されていない米国との関税問題など、多くの業界が影響を受けることが想定されるため、当面は一進一退の展開が続くであろう。

・景気DI

「岡山」の景気DIは、前月比1.4ポイント増の42.0となり、2カ月連続で改善した。前年同月と比べると2.1ポイント低く、4カ月連続で前年同月を下回った。『全国』より1.3ポイント低く5カ月連続で『全国』を下回ったが、都道府県別順位は前月の30位から26位へ、中国5県では前月4位から3位へ上昇した。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.2ポイント増の43.8となり3カ月連続で改善した。「中小企業」は同1.7ポイント増の41.7となり2カ月連続で改善した。うち「小規模企業」は同3.0ポイント増の38.7となり2カ月連続で改善した。3カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回ったが格差は3.6から2.1へ縮小した。

・業界別DI

9業界中、「改善」が5業界、「悪化」が4業界だった。『運輸・倉庫』は2カ月連続で悪化したほか、『製造』『卸売』も小幅ながら2カ月ぶりに悪化した。一方、『建設』は5カ月ぶりに改善して40台を回復、『小売』は前月比6ポイント増と大幅に改善した。『サービス』は2カ月連続で50台を維持し、全体を引き上げた。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比2.0ポイント増の44.3となり、2カ月連続で改善した。「6カ月後」は同2.2ポイント増の44.3となり、2カ月ぶりに改善した。「1年後」は同1.9ポイント増の44.4となり、2カ月ぶりに改善した。3指標がそろって改善するのは7カ月ぶり、すべて44を超えるのは6カ月ぶりとなった

■山口県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.2

0.6

2カ月ぶり改善

・概況

「山口」の景気DIは43.2と2カ月ぶりに前月比0.6ポイント改善した。一方、都道府県順位は16位と前月から1ランク低下したほか、9カ月連続で前年同月を下回り、『全国』43.3に比べ0.1ポイント低く、5カ月連続で『全国』を下回った。規模別DIで大企業の改善はみられるが、先行きDIや業界別DIでは、業種や期間による濃淡が引き続き大きい。山口県内の企業からは、トランプ関税による先行き不安や物価高が続いている状況を懸念する声も聞かれるなど、しばらくは一進一退の状況が続くものと思われる。

・景気DI

「山口」の景気DIは43.2と2カ月ぶりに前月比0.6ポイント改善したが、都道府県順位は16位と前月から1ランク低下した。『全国』43.3に比べ0.1ポイント低く、5カ月連続で『全国』を下回り、9カ月連続で前年同月を下回っているなど、いまだ改善途上の段階と言えそうだ。

・規模別DI

「大企業」が前月比6.0ポイント改善の50.0、「中小企業」は同0.3ポイント悪化の42.2、「小規模企業」は同1.3ポイント改善の38.8と、規模による変動は更に広がった印象である。「大企業」と「中小企業」の差は7.8で4カ月連続で「大企業」が上回った。

・業界別DI

主要業界では、『製造』は3カ月連続、『建設』は2カ月ぶり、『小売』は3カ月ぶりに改善を示した。一方で、『サービス』は5カ月ぶり、『卸売』は2カ月ぶり、『運輸・倉庫』は2カ月連続で前月比悪化を示した。『製造』は比較的安定しているが、全体としては一進一退の印象である。

・先行き見通しDI

3カ月後が45.9(前月44.4)、6カ月後は44.6(同46.1)、1年後も45.3(同46.8)と長期的には厳しい見方となったようだ。業界別では『卸売』『運輸・倉庫』が全ての期間で悪化したが、その他の業界で期間により変動するなど、業種による変動は大きい。

「中国ブロック(2025年08月)」の詳細(中国ブロック:鳥取・島根・岡山・広島・山口)