レポートTDB景気動向調査2025年07月(東海ブロック:愛知・岐阜・三重・静岡)

■東海ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.6

0.2

2カ月ぶりに小幅改善

・概況

『東海』の景気DIは、2カ月ぶりに小幅ながら改善。米国の関税問題には流動的な要素もあるが一服感がみられたことで、景況感は小幅回復した。しかし、原材料高や人手不足などの課題は残ったままで、不透明感は強く、7月にはタイとカンボジアの間で紛争が起きるなど、世界的に政情が不安定となっている。7月からの異常なほどの猛暑で外出を手控える人も出てきているなど、小売業や飲食店の集客や夏の観光シーズンに与える影響が注目される。国内の政局にも不透明感が強いなか、好材料は乏しく景況感は力強さを欠いた展開となりそうだ。

・景気DI

流動的な面は残るものの、米国との関税問題に一服感がみられたこともあって、『東海』の景気DIは41.6と前月から0.2ポイントと小幅ながら2カ月ぶりに改善した。全国10地域中の『東海』の順位は、前月から1ランクアップの4位。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.9ポイント、「小規模企業」は同0.5ポイントそれぞれ改善となった一方、「中小企業」は前月から横ばいとなった。「大企業」が改善となるのは2カ月連続で、「大企業」の改善幅が大きかったため、規模間格差は2カ月連続で拡大した。

・業界別DI

10業界中、改善は6業界、悪化は2業界、横ばいが2業界。トランプ関税問題の一服感はあるが、原材料価格高騰の影響を受ける『製造』は2カ月連続で悪化、「天候不順で集客が悪い」との声もある『サービス』が2カ月ぶりに悪化となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は42.8で前月から0.5ポイント、「6カ月後」は43.2で同0.6ポイント、「1年後」は44.3で同0.6ポイントそれぞれ悪化。すべての指標が悪化となるのは3カ月ぶり。

■愛知県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.2

0.2

小幅ながら2カ月ぶり改善

・概況

「愛知」の景気DIは、小幅ながら2カ月ぶりの改善。朝令暮改が続いていたトランプ関税が、ひとまずの妥結を見たことが好感された格好だ。ただし、先行き不透明感が払しょくされたわけではなく、今後出てくるであろう具体的な影響への警戒感は根強いままだ。また、参院選の結果を受け国内政局は不安定化しており、事業運営や個人消費を下支えするための施策が決まりにくくなる恐れがある。明るい材料は乏しく、景況感は引き続き一進一退から下押しへの警戒が必要な状況となりそうだ。

・景気DI

意外なタイミングでトランプ関税が妥結となり不透明感が和らいだこともあって、「愛知」の景気DIは42.2と前月から0.2ポイント改善した。ただし改善幅は限定的で、「1年後」見通しは前月よりも低下しており、先行き懸念は根強く認められる。都道府県別の順位は前月から変わらず18位。

・規模別DI

「大企業」(46.4)は2カ月連続、「小規模企業」(40.3)は4カ月ぶりにそれぞれ改善、「中小企業」(41.3)は前月から横ばい。「大企業」と「中小企業」の規模間格差は5.1ポイントと、2カ月連続で拡大した。

・業界別DI

前月と比較可能な9業界中、改善が5業界、悪化が2業界、横ばいが2業界。暑さへの対策グッズなどの売れ行きが好調な『小売』が2カ月連続改善となった以外は、改善も悪化も続いた業界はなく、方向感の乏しさが業界別の動向にも表れている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は42.9(前月43.3)で前月から0.4ポイント、「6カ月後」は42.7(同43.4)で同0.7ポイント、「1年後」は44.2(同44.8)で同0.6ポイントとそれぞれ悪化。すべての指標が悪化となるのは3カ月ぶりで、依然として先行き不透明感は強い。

■岐阜県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.6

-0.2

2カ月連続悪化。4カ月連続で40を下回る

・概況

「岐阜」の景気DIは38.6で2カ月連続悪化、4カ月連続30台となった。改善業界は3業界から4業界となったが、8業界中4業界で30台に留まっている。そうした中、インバウンドの効果以外に『製造』の一部で駆け込み需要によるプラスの声が聞かれた。一方原料高が続く中で価格転嫁が進まない声や猛暑による悪影響を指摘する声が聞かれたほか、『建設』では引き続き公共工事や新規着工の減少を指摘する声が散見された。トランプ関税はひとまず決着をみたものの、その影響を含めて今後も動向を注視する必要がある。

・景気DI

岐阜県内企業の景気DIは前月比0.2ポイント減の38.6となり、2カ月連続悪化し、4カ月連続30台に留まった。前月比悪化は東海4県で岐阜県のみ。また30台も岐阜県のみ。全国DIは10カ月連続で下回り、全国順位は41位(前月39位、前年同月33位)に後退。東海4県では5カ月連続で最下位。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.6ポイント増の43.7で2カ月ぶりに改善。一方「中小企業」は同0.4ポイント減の37.9で2カ月ぶりに悪化。中小企業のうち「小規模」は同0.6ポイント減の35.6で2カ月連続悪化。「中小企業」が低位に留まったため、規模間格差は同2.0ポイント増の5.8となった。

・業界別DI

前月と比較できる8業界中、4業界で改善、3業界で悪化。『製造』は2カ月ぶり、『小売』、『サービス』は3カ月ぶりに悪化。一方『農・林・水産』は3カ月ぶり、『建設』、『運輸・倉庫』は2カ月ぶり、『卸売』は5カ月ぶりに改善するも、『建設』、『卸売』は30台に留まっている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」40.4(前月41.7)、「6カ月後」41.0(同43.2)、「1年後」41.6(同43.6)となり、3カ月ぶりに全ての指標で前月DIを下回った。とりわけトランプ関税の方向性やその影響など不確実性が高まる中で、先行きは厳しい見立てとなった。

■三重県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.0

0.1

2カ月連続改善も依然低位にとどまる

・概況

「三重」県内企業の景況感は僅かな改善にとどまった。大企業の改善が進んだ一方で中小企業は低迷。長びくコスト上昇を背景とする低収益環境や猛暑による農産物・観光業への影響等が景気回復への足かせとなった。県内企業からは「自動車や住宅設備関係の受注が低調。特に自動車関係は急激に受注減」(化学品製造)、「コスト高による価格の値上げを予想し、厳しい状況が続く」(食品製造)と聞かれた。自動車への追加関税の引下げ時期、不安定な政権運営が続く状況など注視すべき点もあり、県の景況感回復へは未だ時間を要するものとみる。

・景気DI

三重県内企業の景気DIは前月比0.1ポイント増の41.0となり、2カ月連続の改善。しかし、改善は僅かで前年同月および全国DIも下回る。これにより、都道府県別順位は27位となり、前月の25位から2ランク後退、東海4県の中では前月に続き、3番目にとどまった。

・規模別DI

「大企業」は前月比2.7ポイント増の45.8と2カ月連続で改善。一方、「中小企業」は同0.4ポイント減の40.3、このうち「小規模企業」は同0.3ポイント減の39.9とそれぞれ2カ月ぶりに悪化。結果、「大企業」が「中小企業」を4カ月連続で上回り、規模間格差は5.5ポイントに拡がった。

・業界別DI

前月と比較可能な8業界では、3カ月ぶりに改善した『運輸・倉庫』をはじめ『製造』、『卸売』、『小売』の4業界が改善。業界別でDIが最も高い『不動産』は横ばい。一方、DIが最も低い『農・林・水産』をはじめ『建設』、『サービス』の3業界が悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」43.4(前月43.1)、「6カ月後」45.0(同43.8)、「1年後」45.3(同44.5)となり、それぞれの期間で前月よりも改善された。足許の景況感と比べ、中長期的には回復への期待が表れている。

■静岡県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.0

0.5

3カ月連続で改善

・概況

「静岡」の景気DIは42.0と3カ月連続で改善した。企業からは、「2番茶の価格が良く、秋冬番に関しても良い価格で取引されそう」(製造)との明るい声もあったが、一方で「原価(原材料、水道光熱費、賃金)が増えているにもかかわらず、販売単価に転嫁ができない」(製造)、「燃料費、人件費、資材等の高騰の影響が大きい」(運輸・倉庫)など厳しい声も多くあがった。また、トランプ関税の影響や国内の政治動向を懸念する企業も多く、先行きの見通しを懸念する見方が拡がっている。

・景気DI

「静岡」は前月比0.5ポイント増の42.0となり、3カ月連続で改善した。全国(42.8)との比較では0.8ポイント下回ったが、全国順位では第19位となり、前月の第23位より上昇した。なお、東海4県のなかでは、「愛知」の42.2に次いで2番目に高くなった。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.4ポイント増の46.7となったが、良否判断の分かれ目となる50を5カ月連続で下回った。「中小企業」では同0.5ポイント増の41.2となった。「大企業」と「中小企業」の規模間格差は前月より0.1ポイント縮まり、5.5ポイント差となった。

・業界別DI

主要6業界では『建設』が前月比2.8ポイント増の51.4となり、7カ月連続でトップ。一方で、『卸売』は同1.8ポイント増の37.3となったが、3カ月連続で最下位となった。なお、改善した業界は『建設』『卸売』『運輸・倉庫』『サービス』の4業界、悪化した業界は『製造』『小売』の2業界となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は43.7(前月44.0)、「6カ月後」は44.5(同44.9)、「1年後」は45.2(同45.8)となり、3カ月ぶりに3指標ともに前月を下回った。また、規模別では「小規模企業」が何れも前月を上回ったが、「大企業」と「中小企業」では何れも前月を下回り、規模感で差が生じた。

■山梨県、長野県は、北関東エリアに含んで集計しています。

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