レポートTDB景気動向調査2025年07月(四国ブロック:徳島・香川・愛媛・高知)

■四国ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.9

0.2

2カ月ぶりに改善も、2カ月連続の40割れ

・概況

『四国』の景気DIは、2カ月連続で40割れとなった。企業からは「瀬戸芸2025の開催で来島者が増加し、関連業種に活気がある」(建設、香川県)や「売り上げが伸びつつある」(小売、愛媛県)など好況な声が聞かれる一方で、「景気の落ち込みが酷く、経営が困難になる企業が増えている」(サービス、高知県)、「受注は増えているが利益は伴っていない」(サービス、徳島県)などの声がある。仕入価格などの上昇に対する価格転嫁の難しさや、消費者の買い控えを危惧する声も多く、当面の景気DIは一進一退での推移が続くとみられる。

・景気DI

『四国』の景気DIは前月比0.2ポイント増の39.9となり、2カ月ぶりに改善したものの、2カ月連続で40割れとなった。県別では、「徳島」「香川」「高知」が改善、「愛媛」のみ悪化した。また、『全国』(42.8)を55カ月連続で下回り、全国10ブロック別の順位は前月と同じ9位であった。

・規模別DI

「大企業」は前月比2.7ポイント減の42.9となり3カ月ぶりに悪化、「中小企業」は同0.6ポイント増の39.4となり2カ月ぶりの改善、うち「小規模企業」は前月と同じ35.9となった。25カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回り、格差は3.5ポイントに縮小した。

・業界別DI

主要7業界では、『建設』『製造』が改善、『不動産』『卸売』『運輸・倉庫』『サービス』が悪化、『小売』は横ばい。『製造』が2カ月ぶりに40台へ改善するなど3業界が40台となった一方で、『不動産』は15カ月連続、『卸売』は19カ月連続、『小売』は16カ月連続で40割れの状態が続くなど業界間格差がみられる。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は42.1(前月42.3)、「6カ月後」は42.1(同43.9)、「1年後」は42.4(同43.4)となり、3カ月ぶりに3指標が揃って悪化した。前年同月との比較では「3カ月後」が8カ月ぶり、「1年後」が9カ月ぶりに上回るも、改善幅は小さく、先行きに対する慎重な見方がうかがえる。

■香川県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.7

1.2

2カ月ぶりに改善

・概況

「香川」の景気DIは、2カ月ぶりに改善した。企業からは「瀬戸芸2025の開催で来島者が増加し、関連業種に活気がある」(建設)や「自社賃貸物件の入居率が上昇している」(サービス)など好況な声が聞かれる一方で、「消費が悪く、2割・4割引きで買う人が急増し、利益が出ない」(卸売)や「来客数が減少しており、高額品の動きが悪い」(小売)などの声がある。仕入価格などの上昇に対する価格転嫁の難しさや、消費者の買い控えを危惧する声も多く、当面の景気DIは一進一退での推移が続くとみられる。

・景気DI

「香川」の景気DIは前月比1.2ポイント増の43.7となり、2カ月ぶりに改善した。また、29カ月連続で40台を維持したほか、3カ月連続で前年同月を上回った。『全国』(42.8)との比較では0.9ポイント上回り、全国都道府県別の順位は10位(前月15位)に上昇した。

・規模別DI

「大企業」は前月比4.6ポイント減の41.7で2カ月ぶりに悪化、「中小企業」は同2.4ポイント増の44.1で2カ月ぶりに改善、うち「小規模企業」も同1.3ポイント増の42.2で2カ月ぶりに改善した。「大企業」の悪化幅が大きく、2カ月ぶりに「中小企業」が「大企業」を上回った。

・業界別DI

主要7業界では、『建設』『製造』『サービス』が改善、『不動産』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』が悪化。改善した『建設』『製造』『サービス』の3業界が45を上回ったほか、『不動産』は50台を維持したが、『卸売』『小売』が2カ月連続で40割れとなるなど、業界間の格差が顕著になっている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は45.9(前月43.8)、「6カ月後」は45.0(同44.9)、「1年後」は44.9(同44.4)となり、2カ月ぶりに3指標が揃って改善した。前年同月比でも、8カ月ぶりに3指標が揃って改善しているが、先へ行くほど悪化しており、先行きに対する慎重な見方が窺える。

■徳島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

36.0

0.1

2カ月ぶりに改善

・概況

徳島の景気DIは、2カ月ぶりに改善したものの、17カ月連続で40を下回った。最後に40を上回ったのは、コロナ禍からの回復が期待された2024年2月(41.3)であり、以降は40を下回る低水準が続く。先行き見通しDIは、3カ月ぶりに3指標が揃って悪化したほか、2カ月ぶりに3指標が揃って40を下回っており、先行きへの不透明感も拭えない。企業からは、「猛暑により衣類関連の購買が減額」(繊維卸)、「企業間の格差が拡大」(建設)といった後ろ向きの声が多い。徳島県の景況感は、当面厳しい状況が続きそうだ。

・景気DI

「徳島」の景気DIは前月比0.1ポイント増の36.0となり、2カ月ぶりに改善した。前年同月との比較では0.5ポイント増となり、こちらも2カ月ぶりの改善となった。『全国』(42.8)との比較では6.8ポイント低く、全国を下回るのは43カ月連続となった。都道府県別の順位は47位(前月47位)だった。

・規模別DI

「大企業」(30.0)は前月比15.8ポイント減で2カ月連続の悪化。「中小企業」(36.5)は同1.3ポイント増で2カ月ぶりに改善、うち「小規模企業」(31.9)は同0.1ポイント減で2カ月連続の悪化となった。「大企業」が40を下回るのは6カ月ぶり。「中小企業」が40を下回るのは17カ月連続となった。

・業界別DI

主要7業界では、『建設』『不動産』『製造』『サービス』が改善、『卸売』『小売』が悪化、『運輸・倉庫』は横ばいとなった。『建設』(45.5)は4カ月ぶりの改善となった。『卸売』(32.4)は2カ月連続の悪化、『小売』は3カ月ぶりの悪化。『不動産』(16.7)は4カ月連続で20を下回る低水準が続いた。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は37.0(前月比1.4ポイント減)、「6カ月後」は38.0(同1.9ポイント減)、「1年後」は39.7(同0.7ポイント減)となった。3指標が揃って悪化するのは3カ月ぶりとなった。また、3指標が揃って40を下回るのは2カ月ぶりとなった。「3カ月後」は15カ月連続で40を下回った。

■愛媛県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.1

-1.7

2カ月連続で悪化

・概況

「愛媛」の景気DIは、2カ月連続で悪化した。DIが39を下回るのは2022年4月以来となる低水準で、主な業界別では『建設』以外は全て40を下回っている。唯一40を超え、今月は改善に転じている『建設』も先行きではいずれも悪化しており、業界を問わず厳しい結果となった。原材料価格や物流費の高騰などコスト上昇が続くなか、設備投資や賃金アップなどの対応が可能な「大企業」と余力のない「中小企業」との差が拡大している。愛媛県内の倒産も高止まりで推移しており、今後も厳しい推移が予想される。

・景気DI

「愛媛」の景気DIは前月比1.7ポイント減の38.1で2カ月連続で落ち込んだ。『全国』はわずかに改善したため、県別順位は43位と前月(33位)より下落した。

・規模別DI

「大企業」は大きく改善した一方で、「中小企業」「小規模企業」はともに大きく悪化した。「中小企業」と「小規模企業」は4カ月連続で40を下回る水準となり、規模間格差(大企業-中小企業)は10.3ポイントと大幅に拡大した。

・業界別DI

回答数が10社を超える5業界中3業界が悪化した。前月下落した『建設』が改善に転じ、『小売』も横ばいとなったが、改善が続いていた『製造』が悪化に転じたほか、『卸売』『サービス』は2カ月連続で悪化となった。『建設』以外の全ての業界が、40を下回る水準にとどまっている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が前月比2.0ポイント減、「6カ月後」が同3.1ポイント減、「1年後」が同2.5ポイント減といずれも前月に比べ悪化した。業界別では『建設』『製造』『卸売』『サービス』が全ての期間で悪化した。全ての期間で改善している業界はなかった。

■高知県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.6

1.7

2カ月連続で改善

・概況

「高知」の景気DIは、前月比1.7ポイント増の40.6となり、2カ月連続で改善した。「仕事量は相対的には盛り返しているような気がする」(建設)、「車両購買意欲は若干良い」(小売)など、一部の業種の堅調推移が景況感を押し上げているものとみられる。ただ、一方で「資材高騰、物価高、増税」(建設)、「物価高や増税などの要因も相まって非常に見通しは悪い」(金融)、など、引き続き物価高や資材高に伴う負担増、納税負担などから先行きの見通しを立てにくい声も多く、今後においては景況感が再度悪化する可能性もある。

・景気DI

「高知」の景気DIは、前月比1.7ポイント増の40.6となり、2カ月連続で改善したほか、8カ月ぶりに40を上回った。一方で、『全国』(42.8)を2.2ポイント下回ったが、『四国』(39.9)を0.7ポイント上回り、全国順位は前月の38位から30位に上昇した。

・規模別DI

「大企業」は45.8と前月(46.7)から0.9ポイント低下したが、「小規模企業」は36.7と前月(31.4)から5.3ポイント上昇したほか、「中小企業」も40.2と前月(38.0)から2.2ポイント上昇した。「大企業」と「中小企業」の格差は5.6ポイントで、前月(8.7ポイント)から減少した。

・業界別DI

前月と比較可能な7業界中、「改善」が4業界となったのに対して、「悪化」が3業界となった。業界別にみると、『建設』『製造』『運輸・倉庫』『小売』が前月から改善した一方で、『金融』『卸売』『サービス』が各々悪化した

・先行き見通しDI

「6カ月後」は40.6(前月42.5)と前月を下回ったものの、「3カ月後」は41.2(同40.8)と前月を上回ったほか、「1年後」についても42.4(同42.2)と同じく前月を上回ることとなった。

「四国ブロック(2025年07月)」の詳細(四国ブロック:徳島・香川・愛媛・高知)