レポートTDB景気動向調査2025年07月(南関東ブロック:埼玉・千葉・東京・神奈川)

■南関東ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.7

0.2

2カ月連続改善

・概況

『南関東』の景気DIは45.7と2カ月連続で改善し、自動車を中心とした製造業の生産回復がけん引した。また、5カ月連続で全国トップとなり、2位の「東京」がけん引したほか、他3県も20位以内となった。業界別の先行き見通しでは「1年後」で50以上の業界はなく、「人件費・資材の価格が高すぎる」(建設)などのほか、人手不足の影響を懸念する声が聞かれるが、トランプ関税の日米合意により後退局面は緩和され、横ばいでの推移が見込まれる。

・景気DI

『南関東』の景気DIは45.7で、2カ月連続で改善。全国順位は5カ月連続のトップとなった。都県別では、「埼玉」が0.4ポイント悪化したものの、「東京」は2カ月ぶりに前月から改善、「千葉」「神奈川」は2カ月連続で改善となった。

・規模別DI

「中小企業」は44.7で前月比で横ばいとなったが、「大企業」(49.8)と「小規模企業」(44.3)は、前月からそれぞれ0.4ポイント、0.2ポイント改善した。規模間格差は5.1ポイントとなり、前月から0.4ポイント拡大した。

・業界別DI

業界別では4業界で改善、1業界で横ばい、5業界で悪化した。『運輸・倉庫』(44.9)は3カ月連続で改善。他方、『農・林・水産』と『不動産』は2カ月連続で悪化となった。『建設』『不動産』『サービス』の3業界は50以上を維持した一方で、『小売』『その他』の2業界は2カ月連続で40を下回った。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は46.7(前月46.9)、「6カ月後」は46.5(同47.1)、「1年後」は46.8(同47.3)となり、いずれも前月から悪化。依然として先行きへの警戒感は根強い。業界別では、『建設』『サービス』の「3カ月後」「6カ月後」と『不動産』の「3カ月後」で50以上となった。

■埼玉県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.3

-0.4

2カ月ぶりに悪化

・概況

埼玉県の景気DIは前月比0.4ポイント減の42.3となり、2カ月ぶりに悪化した。参議院選挙や政治の混乱、トランプ関税や中国経済の低迷といった不確実性の高まりを受け、総じて企業の声は慎重。「先行きの不透明感から新規の設備投資を控えているように感じる」(卸売)という意見に代表されるように、当月も景気減速への警戒感は強く、複数「様子見」といった声も聞かれた。また、厳しい暑さが足下の業績に影響しているとの見方も多く、こちらはプラス・マイナス双方に作用している。さらに、物価高への懸念の声は当月も多数みられる。

・景気DI

景気DIは42.3となり、前月比0.4ポイント減で2カ月ぶりに悪化した。前月は1.0ポイントを超える変化であったが、再び小幅な動きに戻った格好。全国、『南関東』ともに若干のプラスで、管内各都県では「埼玉」のみ悪化、他はいずれも微増。「埼玉」の全国順位は17位となり、前月(12位)から5つ後退した。

・規模別DI

「大企業」は前月と変わらず45.0、「中小企業」は同0.6ポイント減の41.8、「小規模企業」は同0.5ポイント減の41.7となり、前月比で改善した規模はなかった。「大企業」が横ばい、「中小企業」が悪化したことで、規模間格差は3.2ポイントとなり、前月から0.6ポイント拡大した。

・業界別DI

前月と比較可能な9業界中、前月比改善は3業界、横ばいが2業界、悪化が4業界となった。改善業界はいずれも1.0ポイント未満の小幅なプラス、悪化業界では『不動産』が前月比4.6ポイント減と大きく落としている。当月は、全業界を通じてDI50台はなくなり、この結果は2024年1月以来1年6カ月ぶり。

・先行き見通しDI

「3カ月後」43.6、「6カ月後」45.1、「1年後」45.8となり、前月(44.8、45.8、47.1)と比べ全ての指標が下回った。「埼玉」では、先へ行くほど上昇の傾向が続いているが、全国や『南関東』管内では異なる見通しを示す都県もある。また、先行きDIは上がってはいるが、小幅で力強さに欠く。

■千葉県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.2

0.7

2カ月連続で改善

・概況

「千葉」の景気DIは43.2となり、2カ月連続で改善した。企業からは、「半導体や自動車関連を除き、食品、薬品、電子部品産業などは上向いている」(機械製造)、「住宅関連は小休止、民間の設備投資や公共投資は堅調」(建設)などの声が聞かれた。一方で、「食品などの価格高騰で、日用品の購買が抑えられている」(化学品卸)、「消費者の節約志向がみられる」(商品小売)などの声もあがっている。景気の先行きについては、政治の不安、物価高騰、為替動向などの懸念材料があり、不透明感が残る。

・景気DI

「千葉」の景気DIは43.2となり前月比0.7ポイント増加、2カ月連続で改善した。全国は前月から0.1ポイント増の42.8となり、「千葉」は全国を0.4ポイン上回ったことから、全国順位は前月(15位)から13位へと上昇した。

・規模別DI

「大企業」は48.1で前月比1.3ポイント増加、2カ月ぶりに改善した。「中小企業」も同0.5ポイント増の42.4となり、2カ月連続で改善した。これにより、「大企業」と「中小企業」との規模間格差は5.7ポイント(前月4.9ポイント)へと0.8ポイント拡大した。

・業界別DI

『その他』を除く9業界のうち、『金融』『建設』『製造』『卸売』『運輸・倉庫』『サービス』の6業界は前月比改善、『農・林・水産』は横ばい、『不動産』『小売』の2業界は悪化した。『サービス』は2カ月連続で改善し4カ月ぶりに50を超え、『製造』は4カ月ぶりに40台へ回復した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は45.1(前月44.4)、「6カ月後」は44.2(同43.8)、「1年後」は44.6(同43.6)となり、3指標とも足元の43.2を上回っている。『建設』『不動産』『製造』『サービス』の4業界は先へ行くほど低く、不透明感が拭い切れない。

■東京都

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

47.1

0.1

2カ月ぶりに改善

・概況

「東京」の景気DIは47.1となり、2カ月ぶりに改善した。企業からは「インバウンドが多く売り上げアップ」(小売)、「昼時間帯の売り上げが2019年に追いついてきた」(サービス)など、BtoC業種で好況の声が多い。一方で、「人手不足、不安定な経済、社会を包む閉塞感」(農・林・水産)、「人口減少、高齢化、コスト増」(金融)、「長引く戦争」(サービス)など、長期化して先の見えない国内外の諸問題を憂う声も多く、業界や企業間格差も拡大している。新政権の舵取りも不透明で、当面は一進一退での推移が見込まれる。

・景気DI

「東京」の景気DIは47.1(前月47.0)で、2カ月ぶりに改善した。全国(42.8)を4.3ポイント上回った。都道府県別順位は2位となり、前月(3位)より上昇。『南関東』(45.7)を大きく上回り、1都3県でトップとなっている。

・規模別DI

「大企業」(50.7)は前月比0.6ポイント改善、「中小企業」(46.0)、「小規模企業」(46.2)はいずれも同横ばいとなった。規模間格差は4.7ポイントとなり、前月より0.6ポイント拡大した。

・業界別DI

全10業界中、5業界が改善し、5業界が悪化した。『小売』(43.1)は前月比で2.2ポイント増となり、2カ月ぶりに改善した。『運輸・倉庫』(47.7、同1.5ポイント増)なども改善。一方で、『農・林・水産』(42.9、同3.8ポイント減)、『金融』(46.1、同2.6ポイント減)などは悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(47.7、前月47.8)、「6カ月後」(47.2、同47.9)、「1年後」(47.2、同47.8)となり、3指標ともに悪化した。

■神奈川県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.7

0.5

2カ月連続の前月比改善

・概況

「神奈川」のDIは2カ月連続の前月比改善となった。「先の仕事量は見えている」(建設)など、景況感の改善を示す声はやや増えたものの、「工事量が少ない」(建設)、「国内需要、特に自動車関連が弱い」(化学品製造)、「飲食店などが不振」(飲食料品卸売)など、足下の厳しさを口にする企業が約半数を占めた。自動車業界やトランプ関税の動向に対する懸念も依然として強く、「市場変化が激しく読み切れない」(リース・賃貸)など、先行きの不確実性が高い状態は当面続くと見込まれる。

・景気DI

「神奈川」の景気DIは44.7と前月(44.2)から0.5ポイント増加し、2カ月連続の前月比改善となった。全国順位は7位で、前月の7位から横ばいとなった。依然として低水準にとどまっているものの、2カ月連続の改善は今年初で、このまま持ち直し傾向が続くのか注目される。

・規模別DI

「大企業」は48.3(前月比1.4ポイント減)と悪化したのに対し、「中小企業」は44.3(同0.7ポイント増)、「小規模企業」は42.4(同0.7ポイント増)とともに2カ月連続の改善となった。「大企業」と「中小企業」の格差は4.0ポイントで、乖離幅は2カ月ぶりに縮小した。

・業界別DI

9業界中、5業界で前月比改善となった。『建設』が5カ月ぶりに50.0を上回り、『不動産』は今年最高値となった。『製造』『小売』は依然として低水準が続いたが、2カ月連続の改善となった。一方で、『運輸・倉庫』は横ばい、『金融』『サービス』は2カ月ぶり、『卸売』が3カ月ぶりの悪化となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は46.6(前月46.6)、「1年後」は47.3(同47.3)で、それぞれ前月比横ばいとなり、「6カ月後」は46.7(同46.9)と前月から悪化した。『金融』『建設』『サービス』で「3カ月後」が50.0以上となったが、「1年後」は全業界で50.0を下回り、不透明感は依然として強い。

「南関東ブロック(2025年07月)」の詳細(埼玉・千葉・東京・神奈川)