レポートTDB景気動向調査2025年07月(北陸ブロック:新潟・富山・石川・福井)

■北陸ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.9

0.9

「新潟」を除く3県が改善、「石川」は全国3位

・概況

『北陸』の景気DIは40.9(前月比0.9ポイント増)と2カ月ぶりに改善した。もっとも、景況感については総じて厳しい声の方が多い。好調の「石川」からは「復興需要で業務量が増えてきている」(サービス)、「インバウンド需要で売り上げを維持」(小売)などの声があるものの、『北陸』では「自動車関連、輸出関連の動きが鈍くなってきた」(繊維)、「自動車部品メーカーへの納入が減少」(化学)と、トランプ関税の影響が多く指摘されるようになっている。物価高に加え、猛暑が消費に与える影響も懸念されている。

・景気DI

『北陸』の景気DIは40.9(前月比0.9ポイント増)。2カ月ぶりに改善し、全国10ブロック中第8位。「新潟」を除く3県が改善し、「石川」は47.0(前月比2.0ポイント増)と3カ月ぶりに改善、47都道県中で第3位(前月5位)に浮上した。「富山」も45.0(同1.9ポイント増)、第6位と好調。

・規模別DI

「中小企業」が40.3(前月比1.5ポイント増)と5カ月ぶりに40台に回復し、「うち小規模」も39.1(同1.2ポイント増)と改善。一方、「大企業」が44.1(前月比2.4ポイント減)と悪化したことで、拡大傾向にあった大企業と中小企業の規模間格差は3.8(前月7.7)と大幅に縮小した。

・業界別DI

『小売』が39.4(前月比3.2ポイント増)と2カ月連続の改善。『サービス』が48.6(同1.4ポイント増)、『建設』も46.8(同2.2ポイント増)と好調。反面、『卸売』が36.3(同0.1ポイント減)と5カ月連続の悪化。10業種中で最も水準が低いのは『製造』で35.6(同0.8ポイント減)。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は42.3(前月41.7)と改善したものの、「6カ月後」が42.3(同42.6)、「1年後」が44.2(同44.3)と僅かながら悪化した。不透明感の漂う政治・経済情勢を反映しているものとみられるが、強気の「石川」「富山」と弱気の「新潟」「福井」で二極化傾向が鮮明になっている。

■新潟県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

37.8

-0.3

全国第45位、先行き見通し厳しく

・概況

「新潟」の景気DIは37.8(前月比0.3ポイント減)と2カ月ぶりに悪化した。IT関連等で需要は堅調であるものの、それ以外は「公共工事も民間工事も減少」(建設)、「大型案件なし」(建設)、「原料米価格高騰」(食品)、「多忙感まったくなし」(非鉄)、「設備投資低調、JSファンダリ倒産でマインド悪化」(機械製造)、「車載部品低調」(機械部品)、「消費者は生活防衛」(食品卸)、「住宅着工低迷」(建材卸)、「トランプ関税で下請け迷走」(専門商社)と、総悲観一色の状況となっている。

・景気DI

「新潟」の景気DIは37.8(前月比0.3ポイント減)と2カ月ぶりに悪化。昨年10月以降、10カ月連続で40台を割り込んでおり、全国順位は45位(前月43位)と引き続き低迷している。ちなみに46位は「宮城」、47位は「徳島」。1位は「沖縄」、2位は「東京」、3位は「石川」。

・規模別DI

「大企業」は39.4(前月比2.6ポイント減)と2カ月ぶりに悪化。「中小企業」は37.6と前月比変わらず、「うち小規模」が33.9(同2.0ポイント減)と悪化した。大企業と中小企業の規模間格差は1.8(前月4.4)へ2.6ポイント縮小したが、「うち小規模」は2023年1月以来の低水準。

・業界別DI

『製造』が29.7ともっとも低く、前月比でも4.2ポイントの大幅悪化。『卸売』が34.9(前月比0.8ポイント減)と2カ月連続、『運輸・倉庫』が36.1(同2.8ポイント減)と3カ月連続で悪化した。反面、『建設』『不動産』が2カ月連続で改善し、『小売』も5カ月ぶりに改善。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が39.7(前月39.8)、「6カ月後」が39.4(同41.4)「1年後」は41.4(同42.7)と3指標いずれも悪化した。「3カ月後」が40台を割り込むのは4カ月連続。「6カ月後」と「1年後」も2021年初頭以来の非常に低い水準となっており、先行き見通しは明らかに厳しくなっている。

■富山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.0

1.9

2か月連続の改善

・概況

「富山」の景気DIは前月比1.9ポイント増の45.0に改善し、直近12か月で高い水準となった。全国順位は6位と前月の9位から上昇した。「北陸」DIも40.9と改善したが、全国DIは42.8で概ね前月並みとなった。「自動車関連が低調」(化学製品)などの声が聞かれた一方、「秋以降の案件増加」(建設)などの声もあった。いずれにせよ、富山の景気DIは楽観視できる状況にはなく、今後も状況を注意深く見守って行く必要があろう。

・景気DI

「富山」の景気DIは、45.0と前月比で1.9ポイント改善した。新潟は若干悪化した一方、石川、福井は改善し「北陸」のDIは前月比0.9ポイント増の40.9となった。全国は前月と概ね同様のDI42.8となり足踏みが続いた。「富山」の都道府県別順位は前月の9位から6位へと上昇した。

・規模別DI

「大企業」(46.5)は前月比5.0ポイント減と大幅に悪化した一方、「中小企業」(44.7)は前月比4.2ポイント増、「小規模企業」(47.9)は同7.7ポイント増と共に改善した。結果、「大企業」と「中小企業」の規模間格差は1.8ポイント(前月11.0ポイント)と大幅に縮小した。

・業界別DI

10業界中、前月比改善は『製造』『建設』『サービス』『小売』『運輸・倉庫』などの6業界となった一方、同悪化は『卸売』の1業界にとどまった。景気判断の分かれ目となるDI50以上となったのは7業界(前月3)であった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(当月比1.4ポイント増)、「6カ月後」(同2.1ポイント増)、「1年後」(同3.1ポイント増)と、先に行くほど改善する見通しとなった。業界別では、『製造』『卸売』『小売』などは先行きに対する改善への期待感が窺えた。一方、『サービス』『金融』などはやや不安感が払拭できない結果となった。

■石川県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

47.0

2.0

3カ月ぶりの改善で今年2番目の高水準

・概況

「石川」の景気DIは、前月比2.0ポイント改善の47.0となった。3カ月ぶりの改善で、都道府県順位は前月より2ランク上昇の3位となった。大災害が7月に起こるとする書籍の影響からインバウンド需要の一時的な落ち込みはあったものの、引き続き『サービス』が県内の各景気指標を牽引している。一方、飲食料品の値上げラッシュから『小売』の各指標が悪化しているほか、トランプ関税に伴う『製造』への影響は看過できず、石川の景気動向は中長期的な視点での観察が求められよう。

・景気DI

「石川」の7月の景気DIは、前月比2.0ポイント改善の47.0となった。2カ月続いた後退をほぼ帳消しとする2.0ポイントの改善(2カ月での後退は合計2.1ポイント)で、今年4月の47.1に次ぐ2番目の高水準まで回復した。また、都道府県別順位も前月より2ランク上昇し3位(前年同月4位)となった。

・規模別DI

「大企業」および「中小企業」のDIは前月からともに改善した。「大企業」が前月比0.6ポイント改善の52.4に対して、「中小企業」は同比2.3ポイント改善の45.4で、両者の格差は7.0(前月8.7)まで縮小した。一方で『中小企業』のうち小規模企業では前月比1.1ポイント悪化の46.1となった。

・業界別DI

8業界のうち6業界で改善ないしは横ばい、2業界で悪化した。2カ月連続で後退し、分水嶺の50を下回っていた『建設』では前月から4.7ポイント改善し51.9となった。一方で前月大幅改善だった『小売』および『運輸・倉庫』では、再び悪化し、増減を繰り返す不安定な状況が続いている。

・先行き見通しDI

改善幅に差はあるものの「3カ月後」「6カ月後」「1年後」ともに改善した。全指標が改善となるのは昨年10月以来9カ月ぶり。飲食料品の値上げ品目数が増加傾向にあることから、『小売』では全指標で悪化。また『建設』では「3カ月後」と「6カ月後」で改善した一方、公費解体が終了している「1年後」で悪化した。

■福井県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.8

1.4

前月よりやや改善も、規模・業種でまだら模様

・概況

「福井」の景気DIは前月比で改善、前年同月比で悪化した。『卸売』『小売』は新幹線開業効果が持続的に表れている反面、企業間の格差は広がっている。『建設』は公共工事や住宅着工数など目ぼしい建設需要は見当たらず、『製造業』はトランプ関税による輸出の見合せ、出荷の停滞、在庫調整の影響を顕著に受けている。先行き見通しDIは「富山」「石川」と比較して振るわず、依然として県内経済の牽引役となる業界も不在のため、不透明な情勢が続くだろう。

・景気DI

「福井」の7月景気DIは38.8となり、前月比で0.9ポイント改善、前年同月比で5.4ポイント悪化した。都道府県順位は39位で、前月(45位)から上がるも、前年同月(14位)から下げた。過去1年間で最低だった前月(6月)からは改善したが、景況感は規模・業種でまだら模様。

・規模別DI

「大企業」の7月景気DIは39.8となり、前月比で1.3ポイント悪化、前年同月比で7.3ポイント悪化した。「うち小規模企業」は38.5となり、前月比で4.0ポイント改善、前年同月比で6.2ポイント悪化した。

・業界別DI

比較可能な8業界のうち、景気DIが改善した業界は4業界、悪化は3業界、横ばいは1業界。前月比で『小売』が6.3ポイント、『卸売』が3.7ポイントそれぞれ改善したものの、『不動産』は8.3ポイント、『建設』は3.1ポイントそれぞれ悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は38.6、「6カ月後」は39.3、「1年後」は42.2と改善を見通している。業界別では7月の景気DIが最も高い『サービス』や最も落ち込んだ『不動産』は1年後までの見通しDIは50以上だが、『建設』『製造』『卸売』『小売』の見通しDIは30台から40台前半となっている。

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