レポートTDB景気動向調査2025年07月(中国ブロック:鳥取・島根・岡山・広島・山口)

■中国ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.3

0.4

4カ月ぶりに改善

・概況

『中国』の景気DIは4カ月ぶりに改善した。輸出産業を中心に関税交渉の渦中にある『製造』は、2カ月連続で改善したが、7カ月連続で40を下回った。労務費や資材高の影響を受ける『建設』は4カ月連続で悪化し、40割れに近づいた。食品を中心に物価上昇が再燃し、買い控えが続く『小売』は2カ月連続で40を下回った。7月23日にトランプ関税は一旦決着したが、サービスを含む物価高に加え、個人消費の低迷や人件費の上昇が重なり、外需・内需ともに回復が鈍く、国内景気の下振れリスクが高まっている。

・景気DI

『中国』の景気DIは前月比0.4ポイント増の41.3で、4カ月ぶりに改善した。「山口」を除く4県が改善したが、4カ月連続で42を下回った。前年同月比は7カ月連続で悪化。「全国」(42.8)より1.5ポイント低く、「全国」を8カ月連続で下回った。全国10ブロック別の順位は前月から横ばいの6位だった。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.5ポイント増の45.6となり、2カ月連続で改善した。「中小企業」は0.2ポイント増の40.6となり、4カ月ぶりに改善した。うち「小規模企業」は1.1ポイント減の38.3となり、3カ月連続で悪化した。「大企業」が「中小企業」を横ばいを挟んで29カ月連続で上回り、格差は拡大した。

・業界別DI

5業界が改善、5業界が悪化となった。『製造』は1.6ポイント増の38.3となり2カ月連続で改善した。40を下回るのは7カ月連続。『卸売』は1.2ポイント増の41.6となり2カ月ぶりに改善した。一方、『運輸・倉庫』は悪化幅が業界別で最も大きく前月比3.2ポイント減の41.4となり2カ月ぶりに悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比0.4ポイント増の43.2となり、2カ月連続で改善した。「6カ月後」は前月から横ばいの43.4だった。「1年後」は0.3ポイント増の44.1となり、2カ月連続で改善した。前年同月比では、3指標がそろって8カ月連続で悪化した。

■広島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.8

0.6

2カ月ぶりに改善

・概況

「広島」の景気DIは2カ月ぶりに改善した。輸出産業を中心に関税交渉の渦中にある『製造』は4カ月ぶりに40を上回った。食品を中心に物価上昇が再燃し、買い控えが続く『小売』は2カ月ぶりに改善したものの、40には届かなかった。労務費や資材高の影響を受ける『建設』は3カ月連続で40を下回り、2020年8月以降で最も低くなった。7月23日にトランプ関税は一旦決着したが、サービスを含む物価高に加え、個人消費の低迷や人件費の上昇が重なり、外需・内需ともに回復が鈍く、国内景気の下振れリスクが高まっている。

・景気DI

「広島」の景気DIは前月比0.6ポイント増の41.8となり、2カ月ぶりに改善した。42を下回るのは4カ月連続。前年同月比では、4カ月連続で悪化した。「全国」(42.8)より1.0ポイント低く、8カ月連続で「全国」を下回った。都道府県別の順位は、前月の24位から22位へ上昇した。

・規模別DI

「大企業」は前月比3.2ポイント増の48.1となり、3カ月連続で改善した。「中小企業」は0.1ポイント増の40.7となり、2カ月ぶりに改善した。うち「小規模企業」は2.5ポイント減の39.3となり、3カ月ぶりに悪化して40を下回った。「大企業」が「中小企業」を26カ月連続で上回り、格差は拡大した。

・業界別DI

7業界が改善、2業界が悪化、1業界が横ばいとなった。『製造』は前月比2.2ポイント増の40.3となり、2カ月ぶりに改善して40を上回った。『卸売』は1.4ポイント増の42.2となり、2カ月ぶりに改善した。一方で、『建設』は2.4ポイント減の36.7で2カ月ぶりに悪化し、3カ月連続で40を下回った。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比0.4ポイント増の43.8で、2カ月連続で改善した。「6カ月後」は0.3ポイント減の43.3となり、3カ月ぶりに悪化した。「1年後」は前月から横ばいの43.8だった。前年同月比では、3指標がそろって6カ月連続で悪化した。

■鳥取県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.9

0.6

2カ月ぶりに改善

・概況

「鳥取」の景気DIは2カ月ぶりに改善された。業界別に2業界が改善であるのに対して3業界が悪化となった一方で、規模別には全ての規模で改善となった。選挙の結果やトランプ関税を不安視する声がある一方で、価格転嫁が進み受注が堅調であるとの声もあるなど、業界や規模により意見にバラツキがみられた。今後も、最低賃金の更なる引き上げから人件費の負担は増すとみられるが、これを創出するだけの利益確保は課題であり、インフレが継続することを勘案すれば、暫くは一進一退で推移するものとみられる。

・景気DI

「鳥取」は前月比0.6ポイント増の40.9となり2カ月ぶりに改善した。全国順位は前月比2ランクアップの28位となった。『中国』も改善し41.3となったほか、『全国』は2カ月連続改善となり42.8となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比5.5ポイント増の44.4と大幅改善となり過去1年で最高となった。「中小企業」も同0.3ポイント増の40.7となり、「うち小規模」も同4.8ポイント増の48.6となった。13カ月連続で続いてきた規模間格差の逆転現象から反転し、規模間格差は3.7となった。

・業界別DI

前月から改善したのは『建設』、『サービス』の2業界、『製造』、『卸売』、『小売』の3業界が悪化となった。『サービス』では「駅前にホテルが建設され、駅構内もリニューアルが進み、人流が増えている」(サービス、中小)などの声が聞かれ、前月から大幅な改善となったほか、先行き見通しも基準となる50を超えた。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比0.6ポイント増の42.5、「6カ月後」は同1.7ポイント増の43.4、「1年後」は同4.0ポイント増の46.2となり、3指標ともに前月から改善された。徐々に改善するとの見通しで、特に「1年後」への期待感は大きく、業界別にみてもほとんどの業界で現状を上回る見通しとなった。

■島根県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.5

0.1

3カ月ぶりに改善するも依然低調

・概況

「島根」の景気DIは3カ月ぶりに改善したが、依然として低調な状況が続く。規模別では集計の大半を占める「中小企業」が2カ月連続で30台に低迷、業界別でも『不動産』、『運輸・倉庫』のDI50が最も高いレベルとなるなど、総体的に落ち込みが目立つ。企業からの声では、「物価の高騰で購買意識が低迷しているように感じる」(小売)、「米関税の行方が予想できないため民間の投資意欲が低い」(製造)、「米の価格高騰に伴い資金手当の準備が必要だが、信用力のない会社は倒産している」(卸売)など、悲観的な声が多く聞かれる。

・景気DI

「島根」の景気DIは前月比0.1ポイント増の39.5となり3カ月ぶりに改善したが、2カ月連続の30台は約3年ぶり。『中国』の景気DIは41.3と同0.4ポイント増となったが、改善は小幅であった。道府県順位は前年同月29位から36位に後退し、全国(42.8)との比較では3.3ポイント下回った。

・規模別DI

「大企業」(43.3)は前月比1.1ポイント減となり、2カ月ぶりに悪化した。一方、「中小企業」(39.3)、「小規模企業」(38.0)とも各0.2ポイント増となったが、いずれも2カ月連続30台となった。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は4.0ポイントとなり、格差は縮小した。

・業界別DI

前月と比較可能な8業界中、改善は4業界、悪化も4業界であった。前月まで比較的堅調だった『不動産』、『運輸・倉庫』が悪化、また『卸売』は30台に低下した。他方、『建設』は40台に回復、『製造』、『小売』も改善を示したが、依然30台にとどまる。特に『製造』の30台は11カ月連続となり、低迷が続く。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は41.8(前月42.3)、「6カ月後」は42.1(前月42.6)、「1年後」は42.8(前月41.9)となり、先行きの改善を期待するも「3カ月後」、「6カ月後」は前月を下回り、依然不透明感が強い。全国(44.4、44.4、44.9)との比較では全指標で下回り、弱含みの状況が続く。

■岡山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.6

0.5

7カ月ぶりに改善

・概況

「岡山」の景気DIは、前月比0.5ポイント増の40.6となり、7カ月ぶりに改善に転じた。トランプ関税における不確実性が残るなか、『製造』は5カ月ぶりに改善した。また、『卸売』は2カ月ぶりに改善し40台を回復した。一方で、『建設』は2カ月連続で40を下回ったほか、物価高による買い控えなどの影響で『小売』は2カ月連続で悪化し、直近1年間で最低水準となった。米国との関税交渉は15%で合意したものの、多くの業界が影響を受けることが想定され、当面は一進一退の展開が続くであろう。

・景気DI

「岡山」の景気DIは、前月比0.5ポイント増の40.6となり、7カ月ぶりに改善した。前年同月と比べると5.1ポイント低く、3カ月連続で前年同月を下回った。『全国』(42.8)より2.2ポイント低く、4カ月連続で『全国』を下回ったが、「岡山」の47都道府県別順位は前月の31位から30位にランクアップ。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.7ポイント増の43.6となり2カ月連続で改善した。「中小企業」は同0.5ポイント増の40.0となり2カ月ぶりに改善した。うち「小規模企業」は同0.1ポイント増の35.7となり3カ月ぶりに改善した。「大企業」が「中小企業」を上回るのは2カ月連続で格差は3.4から3.6に拡大した。

・業界別DI

9業界中、「悪化」が5業界、「改善」が4業界だった。『製造』は5カ月ぶり、『卸売』は2カ月ぶりに改善した。『サービス』も2カ月ぶりに改善し、50台を回復した。一方、『建設』は4カ月連続、『小売』は2カ月連続の悪化となった。また、『運輸・倉庫』は前月比8.6ポイント減と大幅に悪化して40を下回った。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比0.1ポイント増の42.3となり、6カ月ぶりに改善した。「6カ月後」は同1.5ポイント減の42.1となり、3カ月ぶりに悪化した。「1年後」も同1.4ポイント減の42.5となり、3カ月ぶりに悪化した。前年同月と比べると、3指標のいずれも4ポイント以上の悪化となった。

■山口県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.6

0.0

横ばいながら楽観視できず

・概況

「山口」の景気DIは42.6と前月比横ばいとここ数年にない動きとなった。都道府県順位は15位と前月から2ランク低下した。8カ月連続で前年同月を下回ったほか、『全国』42.8に比べ0.2ポイント低く、4カ月連続で『全国』を下回った。先行きDIは改善を示したが、規模別DIや業界別DIでは、業種や期間による濃淡が引き続き大きい。山口県内の企業からは、トランプ関税への不安や物価高や燃料費高騰という声が継続しており、しばらくは一進一退の状況が続くものと思われる。

・景気DI

「山口」の景気DIは42.6と前月比横ばいとなり、都道府県順位は15位と前月から2ランク低下した。『全国』42.8に比べ0.2ポイント低く、4カ月連続で『全国』を下回り、8カ月連続で前年同月を下回っているなど、改善基調とは言い難い状況となっている。

・規模別DI

「大企業」が前月比1.5ポイント悪化の44.0、「中小企業」は同0.2ポイント改善の42.5、「小規模企業」は同2.9ポイント悪化の37.5と、規模による変動は大きくなっている。「大企業」と「中小企業」の差は1.5で3カ月連続で「大企業」が上回った。

・業界別DI

主要業界では、『製造』は2カ月連続、卸売は2カ月ぶりに改善を示し、『サービス』は横ばいを維持している。一方、『建設』は2カ月ぶり、『運輸・倉庫』は3カ月ぶり、『小売』は2カ月連続で前月比悪化を示した。『サービス』は比較的安定しているが、全体としては一進一退の印象である。

・先行き見通しDI

3カ月後が44.4(前月43.1)、6カ月後は46.1(同44.4)、1年後も46.8(同46.0)と2カ月連続で全ての期間で前月比改善を示した。業界別では『卸売』が4カ月ぶりに、『サービス』が5カ月ぶりに全ての期間で改善したが、その他の業界で期間により変動がみられるなど、業種による変動は大きい。

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