■東海ブロック
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
41.4 | -0.1 | 小幅ながら2カ月ぶりに悪化 |
・概況
『東海』の景気DIは、小幅ながら再び悪化となった。トランプ関税の動向は引き続き懸念材料で、まだ受注減には至っていないとの声がある一方、設備投資の延期など具体的な影響も出始めている。中東情勢の緊迫化もコスト増要因などでマインドを下押しする要素となる。夏の観光シーズンに向けてインバウンド需要への期待は高いが、ここ数年のような酷暑となれば消費には悪影響を及ぼす恐れもある。一進一退が続きそうな景況感だが、大きく景気を浮揚させる要素は見当たらず、ダウンサイドリスクへの警戒が必要だろう。
・景気DI
引き続き情勢不透明な関税問題や、中東情勢への懸念が高まったことでマインドは低迷し、『東海』の景気DIは41.4と前月から0.1ポイント下落し、2カ月ぶりに悪化した。全国10地域中の『東海』の順位は、前月から横ばいの5位。
・規模別DI
「大企業」は前月比0.8ポイント改善となった一方、「中小企業」は同0.3ポイント、「小規模企業」は同0.6ポイントそれぞれ悪化した。「大企業」が改善となるのは横ばいを挟んで5カ月ぶりで、規模間格差は2カ月ぶりに拡大した。
・業界別DI
10業界中、改善は3業界、悪化は6業界、横ばいが1業界。トランプ関税による先行き不透明感の高まりから設備投資の延期・中止といった声も聞かれ、『建設』『製造』は2カ月ぶりに悪化。一方、DX関連など設計開発の動きのある『サービス』は3カ月ぶりに改善。
・先行き見通しDI
「3カ月後」は43.3で前月から1.1ポイント、「6カ月後」は43.8で同1.3ポイント、「1年後」は44.9で同1.4ポイントそれぞれ改善。すべての指標が改善となるのは9カ月ぶり。業界別で「1年後」が当月を上回ったのは『製造』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』の4業界。
■愛知県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
42.0 | -0.4 | 2カ月ぶり悪化 |
・概況
5月に一旦改善した「愛知」の景気DIは、再び悪化した。トランプ関税による不透明感に多くの企業が不安を感じている反面、「関税問題がクリアすれば」「半導体分野に期待」といった声があり、足元の景況感は不透明であるが、将来に期待する企業が増えている。その一方で、さらなる物価高、コストアップによる警戒感も根強く、企業はこれから本格的に稼ぐ力が問われることになるであろう。特にブランド力に乏しい中小零細企業は、自社の強み、存在意義を改めて再確認し、得意先へ遡及する必要がある。
・景気DI
朝礼暮改のトランプ氏の発言による影響を受けたか、景況感も行ったり来たりと方向感が定まらず「愛知」の景気DIは42.0と前月から0.4ポイント悪化した。為替相場が1ドル140円台前半で、前年水準よりも円高傾向であることも、輸出産業の多い地域として、景況感を冷えこませる要因の一つと言える。
・規模別DI
企業規模による格差が広がる結果となった。「大企業」(45.6)は5カ月ぶりの改善、それに対し、「中小企業」(41.3)、「小規模企業」(39.3)は前月から悪化。特に「小規模企業」は3カ月連続で悪化し30台に突入した。
・業界別DI
前月と比較可能な9業界中、改善が3業界、悪化が5業界、横ばいが1業界。『卸売』の改善はあったものの、『製造』や『不動産』などが悪化した。特に『運輸・倉庫』は4カ月連続での悪化となっており、「荷量の伸び悩みが持続している」との声がある。
・先行き見通しDI
「3カ月後」は43.3(前月42.9)で前月から0.4ポイント、「6カ月後」は43.4(同42.6)で同0.8ポイント、「1年後」は44.8(同43.3)で同1.5ポイントと各改善。全ての期間で改善するのは2024年7月以来11カ月ぶり。
■岐阜県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
38.8 | -0.5 | 2カ月ぶり悪化。3カ月連続で40を下回る |
・概況
「岐阜」の景気DIは38.8で2カ月ぶりに悪化したほか、3カ月連続30台に留まった。前月と比較すると改善は5業界から3業界に減ったほか、前月同様に4業界の景気DIが30台に留まった。そうした中、前月同様プラスの声はインバウンドの恩恵が大半だった一方、『建設』を中心に公共工事の減少を指摘するマイナスの声がより目立った。またトランプ大統領は「日本車に関税25%」を譲らない姿勢を示唆したことで米国関税政策による影響が改めて懸念される状況となっており、県内企業の景況感は今後も厳しい推移が続くものとみられる。
・景気DI
岐阜県内企業の景気DIは前月比0.5ポイント減の38.8となり、2カ月ぶりに悪化し、3カ月連続30台に留まったほか、東海4県では岐阜県のみ30台となった。また9カ月連続で全国DIを下回り、全国順位は39位(前月36位、前年同月26位)に後退し、東海4県では4カ月連続で最下位となった。
・規模別DI
「大企業」(42.1)は前月比5.4 ポイント減で2カ月ぶりに悪化。「中小企業」(38.3)は同0.2ポイント増で4カ月ぶりに若干改善した。中小企業のうち「小規模」(36.2)は同1.1ポイント減となった。「大企業」の悪化に伴い規模間格差(3.8)は同5.6ポイント減となり、2カ月ぶりに縮小した。
・業界別DI
前月と比較できる8業界中、3業界で改善、3業界で悪化。『製造』(37.4)は4カ月ぶり、『小売』(40.6)、『サービス』(47.4)は2カ月連続改善。一方『建設』(32.6)は2カ月ぶり悪化、『卸売』(35.9)は4カ月連続悪化。『運輸・倉庫』(37.5)は前月比12.5ポイント減で大幅悪化。
・先行き見通しDI
「3か月後」(41.7)は前月比1.9ポイント増、「6カ月後」(43.2)は同1.8ポイント増、「1年後」(43.6)は同1.6ポイント増となり、全ての指標で2カ月連続改善となったが、いずれも全国および東海4県のDIを下回っており、岐阜県内企業の先行き見通しは依然として厳しい。
■三重県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
40.9 | 0.1 | 3カ月ぶり改善も依然低位にとどまる |
・概況
「三重」県内企業のDIは僅かな改善にとどまった。政府備蓄米の安価な市場投入や食品などの価格値上げ効果も一部寄与したが、高コストに伴う買い控えや設備投資の鈍化、米国関税問題などが景況感全体を押し下げた。県内企業からは「関税の問題がクリアできれば、自動車関連の受注が回復すると思われる」(化学品製造)、「世界情勢、物価高、気候変動、トランプ関税等、変動要因が多い」(鉄鋼非鉄製造)と、先行きへの期待と不安、双方の意見が混在している。混沌とした状況下から県の景況感は今暫くは一進一退の情勢が続くとみる。
・景気DI
三重県内企業の景気DIは前月比0.1ポイント増の40.9となり、3カ月ぶりの改善。しかし、改善は僅かで前年同月および全国DIも下回る。都道府県別順位は25位と前月の28位から3ランク上昇、東海4県の中では前月同様、3番目にとどまった。
・規模別DI
「大企業」は前月比0.8ポイント増の43.1と2カ月ぶりに改善。「中小企業」は同0.1ポイント増の40.7と3カ月ぶりに改善、このうち「小規模企業」は同0.8ポイント増の40.2と2カ月ぶりに改善。これらの結果、「大企業」が「中小企業」を3カ月連続で上回り、規模間格差は2.4ポイントに拡大した。
・業界別DI
前月と比較可能な8業界では『農・林・水産』、『サービス』の2業界が改善。DIが最も高い『不動産』および『小売』の2業界が横ばい。ほかDIが最も低い『運輸・倉庫』をはじめ『建設』、『製造』、『卸売』の4業界が悪化した。
・先行き見通しDI
「3カ月後」43.1(前月42.1)、「6カ月後」43.8(同42.7)、「1年後」44.5(同43.9)となり、それぞれの期間で前月よりも改善された。また、先行き見通しについても大企業が中小企業を上回っている。
■静岡県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
41.5 | 0.2 | 2カ月連続で改善 |
・概況
「静岡」の景気DIは41.5と2カ月連続で改善した。企業からは、「物件の規模は小さいながらも案件が増えてきている」(建設)との明るい声もあったが、一方で「中国のレアメタル規制の影響が出ている」(製造)、「物価高、人件費高騰、インバウンド需要の減少などにより、景気は下がってきている」(サービス)など厳しい声も多くあがった。「静岡」では、一時期の低迷からは脱しつつあるものの、トランプ政権による相互関税の影響が出始めているほか、設備投資を先送りにする声も多数聞かれ、景況感は総じて停滞している。
・景気DI
「静岡」は前月比0.2ポイント増の41.5となり、2カ月連続で改善した。全国(42.7)との比較では1.2ポイント下回り、全国順位では第23位となり、前月の第21位より低下した。なお、東海4県のなかでは、「愛知」の42.0に次いで2番目に高くなった。
・規模別DI
「大企業」は前月比2.1ポイント増の46.3となったが、良否判断の分かれ目となる50を4カ月連続で下回った。「中小企業」では同0.1ポイント減の40.7となった。「大企業」と「中小企業」の規模間格差は前月より2.2ポイント拡がり、5.6ポイント差となった。
・業界別DI
主要6業界では『建設』が前月横ばいの48.6となり、6カ月連続でトップ。一方で、『卸売』は同0.8ポイント増の35.5となったが、2カ月連続で最下位となった。なお、改善した業界は『製造』『卸売』の2業界、悪化した業界は『小売』『サービス』『運輸・倉庫』の3業界となった。
・先行き見通しDI
「3カ月後」は44.0(前月42.0)、「6カ月後」は44.9(同42.8)、「1年後」は45.8(同44.5)となり、10カ月ぶりに3指標ともに前月を上回った。また、規模別でも「大企業」「中小企業」「小規模企業」の何れも前月を上回った。