■東北ブロック
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
39.1 | 0.9 | 2カ月連続の改善 |
・概況
景気DI(39.1)は2カ月連続で改善したものの、6カ月連続で40を割り込み、力強さに欠ける状態が続いている。「農業機械の販売が活況」(機械・器具卸売、秋田県)や「売り上げペースは前年より多少上昇している」(運輸・倉庫、山形県)など、一部業界・企業では好調な様子がみられるものの、多くの企業で個人消費の低迷や設備投資意欲の減退などを理由に後ろ向きな声が目立った。先行きの見通しに関しても好転の兆しがみえないことから慎重にならざるを得ない実情がうかがわれ、当面の間足踏み状態が続くと思われる。
・景気DI
景気DI(39.1)は前月比0.9ポイント増加し、2カ月連続で改善した。『全国』(42.7)との格差は3.6で同0.8ポイント縮小した。県別では、改善5県(「青森」「岩手」「宮城」「山形」「福島」)、悪化1県(「秋田」)となった。
・規模別DI
「大企業」(40.7)が前月比2.1ポイント減少、「中小企業」(38.9)が同1.1ポイント増加した。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は1.8となり、同3.2ポイント縮小した。
・業界別DI
改善が『建設』『サービス』『卸売』などの6業界、悪化は『不動産』『農・林・水産』『金融』などの4業界となった。『農・林・水産』(51.4)が最も高く、『小売』(34.8)が最も低かった。
・先行き見通しDI
「3カ月後」は41.6(当月比2.5ポイント増)、「6カ月後」は41.2(同2.1ポイント増)、「1年後」は41.7(同2.6ポイント増)となった。前月との比較では「3カ月後」を除く2指標で悪化した。
■青森県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
42.0 | 0.8 | 2カ月連続改善 |
・概況
「青森」の景気DIは42.0となり、前月から0.8ポイント改善し、2カ月連続での改善となった。前月に続き、悪化傾向にあった『建設』、『卸売』、『小売』で改善傾向が見られるほか、「旅館・ホテル」についても改善しており、観光シーズンを迎えた観光地への客入りが回復傾向を示した。全体としては、物価高に対しても価格転嫁が徐々に進むことで、一時期の低位の状態から改善傾向を示している。ただし、人件費の上昇圧力が強まるなか、今後もしばらくは一進一退の足踏み状態が続く可能性が高い。
・景気DI
景気DIは42.0となり、前月から0.8ポイント改善した。都道府県別順位は18位と前月からアップし、東北6県の中では前月に続きトップとなった。物価高の影響を受けて、企業を取り巻く環境は厳しいながらも、『卸売』や『小売』で景気DIが改善した。
・規模別DI
「大企業」は大手製造業の稼働率が低下したこともあり、44.4と前月より2.3ポイント悪化した。一方、「中小企業」は41.8と同0.9ポイント、さらに「小規模企業」では45.3と同3.9ポイントそれぞれ改善した。特に、「中小企業」と「小規模企業」では年明けから景況感が回復傾向にある。
・業界別DI
業界別では、前月に続き『卸売』と『小売』がともに改善しており、同業者の廃業による顧客の流入のほか、仕入単価の上昇を価格転嫁することで販売単価が上昇した。悪化傾向にあった『建設』についても、2カ月連続で前月を上回る改善を見せており、リフォームなど一部業種での回復が全体を押し上げる構図となっている。
・先行き見通しDI
先行き見通しDIは、「3カ月後」、「6カ月後」、「1年後」がいずれも前月より改善し、2カ月連続での改善となった。『卸売』と『小売』が全体を押し上げる構図となっており、公共工事の発注量が減少傾向にあるため『建設』では「6カ月後」と「1年後」の見通しが前月比で悪化している。
■岩手県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
38.5 | 0.6 | 3カ月連続の改善 |
・概況
景気DIは前月比0.6ポイント増となったが、7カ月連続で40を下回った。「大企業」は判断の分かれ目となる50を7カ月連続で下回り、「中小企業」は9カ月連続で40を下回った。業界別では引き続き『卸売』『小売』『サービス』の苦境が目立つ。先行き見通しの「1年後」はブロック最低にとどまる。物価高や人件費上昇に加えて、地政学的リスクの影響も懸念される状況にあり、当面は一進一退の景気動向が続くと見込まれる。
・景気DI
景気DIは前月比0.6ポイント増の38.5となり、3カ月連続で改善したが、都道府県順位は全国41位にとどまった(前月は全国39位、前年同月は全国45位)。なお、DIが40を下回ったのは7カ月連続。
・規模別DI
「大企業」は前月比10.4ポイント減の37.5となり、判断の分かれ目となる50を7カ月連続で下回った。「中小企業」は同1.4ポイント増の38.5となり、9カ月連続で40を下回ったが、「大企業」と「中小企業」の格差(大企業-中小企業)は▲1.0と逆転した(前月は10.8)。
・業界別DI
『建設』は前月比1.1ポイント減となったが、辛うじて40を上回った。『製造』は同5.0ポイント増となり、42.5まで持ち直した。一方で、『小売』と『サービス』は40に届かず、『卸売』は30をも割り込んだ。
・先行き見通しDI
「3カ月後」が40.9、「6カ月後」が41.0、「1年後」が39.6と、いずれも前月よりやや改善した。しかし、『東北』の中で「1年後」が40を下回るのは2県のみで、岩手の厳しい先行き見通しが改めて浮き彫りとなった。
■宮城県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
37.3 | 0.8 | 2カ月連続の改善 |
・概況
景気DI(37.3)は2カ月連続で改善したが、都道府県別順位は46位と依然として低位で推移している。規模別では「大企業」が4カ月連続で悪化し、2カ月連続で40を下回った。業界別では、『小売』が再び20台に落ち込んだ。帝国データバンクが行った「食品主要195社」価格改定動向調査において、7月の飲食料品の値上げは2105品目にのぼった。長引く物価高により個人消費の低迷に歯止めがきかず、先行き見通しでは、全ての指標で40を下回るなど、好転する要素に欠けることから、景気回復にはしばらく時間を要するものと思われる。
・景気DI
景気DI(37.3)は前月比0.8ポイント増加し、2カ月連続で改善した。『全国』(42.7)との比較では5.4ポイント下回り、格差は0.7ポイント縮小したが、6カ月連続で40台を下回った。都道府県別順位は3カ月ぶりに最下位を脱したものの46位にとどまっている。
・規模別DI
「大企業」(38.2)は前月比0.7ポイント減少し、「中小企業」(37.2)は同1.0ポイント増加した。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は1.0で同1.7ポイント縮小した。
・業界別DI
改善は『農・林・水産』『卸売』『建設』『サービス』など5業界、悪化は『小売』『運輸・倉庫』『不動産』の3業界、横ばいは『金融』など2業界となった。『金融』『農・林・水産』(各50.0)が最も高く、『小売』(25.8)が最も低かった。
・先行き見通しDI
「3カ月後」は39.2(当月比1.9ポイント増)、「6カ月後」は38.9(同1.6ポイント増)、「1年後」は39.7(同2.4ポイント増)となった。全ての指標で40を下回り、前月と比較して3指標全てで悪化した。
■秋田県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
39.7 | -1.1 | 2カ月連続で悪化 |
・概況
景気DIは、『東北』が前月比0.9ポイント改善、『全国』が同0.1ポイント増とわずかに改善した。『東北』では、本県のみが悪化、他の5県がやや改善した。備蓄米の放出等により、緩やかに米価は下がりつつあるが、依然として値上げされる商品も多く、一般個人の買い控えが目立つ。物価高対策が相次いで発表されているが、当面は物価高が続くとの見方も多い。関税政策も先行き不透明感を与えている。
・景気DI
「秋田」の景気DIは39.7と5月を1.1ポイント下回り、2カ月連続で悪化した。『東北』6県では前月の第2位から第3位にダウンしたものの、『東北』を0.6ポイント上回った。また、『全国』(42.7)を3.0ポイント下回り、前月の第28位から第34位にダウンした。
・規模別DI
規模別では、「大企業」(46.7)が前月を1.7ポイント上回ったものの、「中小企業」(39.0)は1.3ポイントダウンした。これにより、「大企業」と「中小企業」の格差は拡大した。
・業界別DI
業界別では、『建設』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』の4業界が改善したものの、『農・林・水産』『卸売』『不動産』『製造』『その他』の5業界が前月比で悪化した。悪化したなかでは、『不動産』(45.8)の前月比8.4ポイント減が目立った。
・先行き見通しDI
先行き見通しDIは、「3カ月後」41.8、「6カ月後」41.7、「1年後」41.7と現状よりは改善しながらも低調に推移するという見方が多く、物価高の影響で引き続き消費が伸び悩み、景況は低位で推移するとの声が多かった。
■山形県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
39.0 | 1.5 | 2カ月連続改善 |
・概況
「SDGsやカーボンニュートラルへの取り組みなど企業の関心が高く、リサイクルへのシフトチェンジが重要視されている」(再生資源卸売、中小企業)、「昨年に比べ物量の回復傾向がみられる」(運輸・倉庫、大企業)など、一部前向きなコメントがある。半面、「相次ぐ値上げラッシュが原因で消費者の生活防衛がより強固に」(繊維製品小売、小規模企業)、「トランプ関税の影響が出始めた」(機械製造、小規模企業)、「設備投資の動きがみえない」(建設、小規模企業)など、物価高や関税などの懸念材料を背景に厳しい声が多く聞かれた。
・景気DI
「山形」の景気DIは前月比1.5ポイント上昇し39.0と2カ月連続で改善した。『東北』も同0.9ポイント上昇の39.1となり2カ月連続で改善したが、依然40を下回る低調な水準にある。『全国』は同0.1ポイント上昇し42.7と6カ月ぶりに改善した。
・規模別DI
「大企業」は前月比2.4ポイント悪化し39.3、「中小企業」は同1.8ポイント改善の38.9、うち「小規模企業」は同0.2ポイント改善の38.7となり、「大企業」以外は2カ月連続で改善した。
・業界別DI
業界別では『不動産』『金融』を除く比較可能な7業界において、『農・林・水産』『製造』『小売』の3業界が前月比悪化を示し、『建設』『卸売』『運輸・倉庫』『サービス』の4業界が前月比改善を示した。『サービス』は3カ月連続の改善がみられたほか、『建設』は3カ月ぶりに改善した。
・先行き見通しDI
「3カ月後」は前月比1.6ポイント改善し42.7、「6カ月後」は同1.1ポイント悪化し41.5、「1年後」は同1.5ポイント悪化の42.8を示した。「3カ月後」の目先については、先行き改善の期待がみられるが、中長期的には厳しい見通しが示された。
■福島県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
39.9 | 2.1 | 4カ月ぶりに改善 |
・概況
6業界が改善して「福島」の景気DI(39.9)は前月比2.1ポイント改善したが、4カ月連続で30台にとどまった。企業からは「米価高騰が継続」(農・林・水産)との声がある一方、「地域内の公共工事が減少」(建設)、「注文数が減少」(製造)、「仕入れコストと人件費増に加え、採用難」(卸売)、「米をはじめ価格高騰で消費意欲が低下」(小売)などの声が届いている。景気DIを裏付けるように厳しいコメントが多数を占めているほか、トランプ関税の影響を懸念するコメントもみられ、今後の景気動向は弱含み推移となる可能性を否定できない。
・景気DI
「福島」の景気DIは、39.9と5月を2.1ポイント上回って、4カ月ぶりに改善したが、4カ月連続で30台にとどまった。『全国』の景気DIは、前月(42.6)を0.1ポイント上回り、42.7であった。「福島」の都道府県別順位は、前月の第41位から第32位となった。
・規模別DI
「大企業」(41.1)は前月比1.8ポイント低下、「中小企業」(39.8)は同2.5ポイント上昇、「小規模企業」(40.4)は同4.4ポイント上昇した。格差(大企業-中小企業)は1.3となり、2カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。
・業界別DI
『不動産』『運輸・倉庫』は悪化したが、『農・林・水産』『サービス』『製造』『卸売』『小売』『建設』の6業界が改善した。『建設』は2カ月連続で40台を維持したものの、『小売』は10カ月連続、『製造』においては17カ月連続で30台にとどまった。
・先行き見通しDI
「1年後」の先行き見通しDIは6業界が当月からの改善を見込んでいる。特に『製造』は当月(36.1)から10.7ポイント、『小売』は同(35.6)から4.4ポイントの改善を見込んでいる。一方、業界比率の突出している『建設』の「1年後」は、同(40.9)から1.5ポイントの悪化を見込んでいる。