■北陸ブロック
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
40.0 | -0.4 | 2カ月ぶりに悪化、『北陸』内で二極化傾向 |
・概況
『北陸』の景気DIは前月比0.4ポイント減の40.0と2カ月ぶりに悪化。企業からは「補助金によるインフラ整備が活況」(建設)、「受注好調」(アパレル)、「原発工事が進捗」(建材・窯業)、「トランプ関税による前倒し発注」(化学品製造)、「金沢の公共工事が大活況」(サービス)といった声がある一方、「金曜休業の工場が出始めた」(金融)、「案件数、絶対量とも極端に減少」(建設)、「原料米が高騰」(食品)、「川上の原料原糸ほとんど動かず」(アパレル)、「車載部品や電池の生産減少」(機械)などの声があった。
・景気DI
『北陸』の景気DIは40.0(前月比0.4ポイント減)。2カ月ぶりに悪化した。「福井」が37.4(同3.1ポイント減)と大幅に悪化、全国順位も45位(前月32位)に後退した。「福井」および「新潟」(43位)と、ランキング上位の「石川」(5位)、「富山」(9位)の二極化傾向が強まっている。
・規模別DI
「中小企業」が38.8(前月比0.5ポイント減)、「うち小規模」が37.9(同0.6ポイント減)と、それぞれ2カ月ぶりに悪化した。一方、「大企業」は46.5(前月比1.1ポイント増)と改善し、大企業と中小企業の規模間格差は7.7(同1.6ポイント増)に拡大した。
・業界別DI
『運輸・倉庫』が39.3(前月比4.0ポイント減)と3カ月ぶりに悪化した。『卸売』も36.4(同1.6ポイント減)と4カ月連続で悪化。反面、『不動産』が47.9(前月比2.7ポイント増)、『製造』が36.4(同2.0ポイント増)と改善した。『金融』も45.4(同1.6ポイント増)と6カ月ぶりに改善。
・先行き見通しDI
「3カ月後」が41.7(前月42.0)、「6カ月後」が42.6(同42.8)とそれぞれ悪化、「1年後」は44.3(同44.3)と変わらず。短期的には厳しいがトランプ関税のショックも収束しつつあり、「3カ月後」で2.8ポイントある全国との格差は「1年後」に1.1ポイントへ縮小する見通し。
■新潟県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
38.1 | 1.0 | 4カ月ぶりに改善、全国順位は43位 |
・概況
「新潟」の景気DIは38.1(前月比1.0ポイント増)と4カ月ぶりに改善した。企業からは原材料価格高騰を懸念する声が多く聞かれ、「価格転嫁すると販売価格が高くなり過ぎるため終売にした製品がある」(食品)、「経費は増加しているが納品価格は据え置き」(生花店)、「燃料油の仕入が安定しない」(小売)、「消費者が生活防衛に入っている」(サービス)など、依然として厳しい声が多い。反面、「IT投資は増えている」(情報サービス)など、新年度に入って設備投資関連が増加しているとの声が少なからずあった。
・景気DI
「新潟」の景気DIは38.1(前月比1.0ポイント増)と4カ月ぶりに改善。全国順位は43位(前月45位)に上昇し、北陸4県の中では「福井」の45位(同32位)を上回った。一方、「石川」は5位(前月4位)、「富山」は9位(同13位)であり、北陸4県内における格差が激しくなっている。
・規模別DI
「大企業」は42.0(前月比4.0ポイント増)と大幅な改善。「中小企業」が37.6(同0.7ポイント増)、「うち小規模」が35.9(同1.2ポイント増)と3指標揃って改善した。「大企業」は3カ月ぶり、「中小企業」と「うち小規模」は4カ月ぶりの改善だが、規模間格差は4.4(前月1.1)へ拡大した。
・業界別DI
『製造』が33.9(前月比5.9ポイント増)と4カ月ぶりに改善し、30ポイント台に回復。『金融』も45.5(同5.5ポイント増)と大幅な改善。反面、『運輸・倉庫』が38.9(前月比4.4ポイント減)と大幅な悪化、『小売』も29.8(同1.0ポイント減)と4カ月連続で悪化し30ポイント台を割り込んだ。
・先行き見通しDI
「3カ月後」が39.8(前月39.6)、「6カ月後」が41.4(同41.0)とそれぞれわずかながら改善し、「1年後」は42.7(同43.2)と悪化した。3指標いずれも『北陸』、全国の水準に及ばない状況が続いているが、短期的には自律反発の見通しとなっている。
■富山県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
43.1 | 0.5 | 前月から改善も、一進一退 |
・概況
「富山」の景気DIは前月比0.5ポイント増の43.1に改善し、全国順位は9位と前月の13位から上昇した。『北陸』は石川、福井の悪化などから40.0と前月40.4から若干悪化した。全国DIは42.7で富山は若干上回った。「取扱量が低迷」(製造)、「自動車関連が低調」(化学製品)などの声が聞かれた一方、「補助金でインフラ整備が増加」(建設)などの声もあった。いずれにせよ、富山の景気DIは一進一退が続いており、今後も状況を注意深く見守って行く必要があろう。
・景気DI
「富山」の景気DIは、43.1と前月比で0.5ポイント改善した。新潟も改善したが、石川、福井が悪化し『北陸』のDIは前月比0.4ポイント減の40.0となった。全国は前月と概ね同様のDI42.7となり足踏みが続いた。「富山」の都道府県別順位は前月の13位から9位へと上昇した。
・規模別DI
「大企業」(51.5)は前月比5.3ポイント増と大幅に上昇した一方、「中小企業」(40.5)は前月比0.9ポイント減、「小規模企業」(40.2)は同1.5ポイント減と共に悪化した。結果、「大企業」と「中小企業」の規模間格差は11.0ポイント(前月4.8ポイント)と大幅に拡がった。
・業界別DI
10業界中、前月比改善は『製造』『卸売』『小売』『不動産』の4業界となった一方、同悪化は『建設』『サービス』『運輸・倉庫』『金融』などの5業界となった。改善した業界でもDIは40程度にとどまったうえ、景気判断の分かれ目となるDI50を上回った業界は無かった。
・先行き見通しDI
「3カ月後」(当月比1.6ポイント増)、「6カ月後」(同1.2ポイント増)、「1年後」(同3.4ポイント増)と、先に行くほど改善する見通しとなった。業界別では、「サービス」「運輸・倉庫」などは先行きに対する改善への期待感が窺えた。一方、「建設」「卸売」「小売」などは不安感が払拭できない結果となった。
■石川県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
45.0 | -1.6 | 2か月連続の悪化で前年同月とほぼ同水準 |
・概況
「石川」の景気DIは、前月比1.6ポイント悪化の45.0となった。2カ月連続の悪化で、都道府県順位は前月よりさらに1ランク落とし5位となった。好調が続くインバウンド需要を背景に、『サービス』では各種指標で高い水準を維持している一方、『建設』の復興特需による好調は落ち着きを見せ始めている。また、各業界、調達コストに加え人件費の高騰は引き続き経営を圧迫している。さらに米トランプ政権や、世界各地の紛争による不安定な世界情勢が県内企業に与える影響を勘案すれば、中期的な視点で景気動向を見守る必要があろう。
・景気DI
「石川」の6月の景気DIは、前月比1.6ポイント悪化の45.0となった。昨秋から2月まで続いた後退で大きく落ち込んだ県内の景気DIは、春先の2カ月連続の改善で若干持ち直したものの、再び後退傾向となったことで都道府県別順位は前月よりさらに1ランク下がり5位(前年同月9位)となった。
・規模別DI
「大企業」のDIは前月から3.2ポイント悪化の51.8、「中小企業」は2カ月連続悪化の43.1(前月44.3)となった。また、小規模事業者は前月横ばいの47.2となった。大企業、中小企業共に後退したものの、大企業の減少幅が中小企業よりも大きかったことで両者の格差は8.7(前月10.7)まで縮小した。
・業界別DI
8業界のうち4業界で改善ないしは横ばい、4業界で悪化した。『建設』では前月から5.6ポイント悪化し、半年ぶりに分水嶺の50を下回った。一方で低迷が続いていた『運輸・倉庫』では、前月比5.6ポイント改善し6カ月ぶりに50まで回復した。また『サービス』は引き続き好調を維持し、54.8となった。
・先行き見通しDI
「3カ月後」が3カ月ぶりに悪化した一方、「6カ月後」「1年後」は3カ月ぶりの改善に転じた。『建設』の復興特需による見通しは、「3カ月後」と「6カ月後」で50を下回っている。好調が続く『サービス』では、「1年後」を厳しく見る向きが強まってきているが、それでも分水嶺の50を維持した。
■福井県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
37.4 | -3.1 | 全規模で前月より悪化、牽引役不在 |
・概況
「福井」の景気DIは前月比、前年同月比、都道府県順位で悪化した。『サービス』は「北陸新幹線延伸で来客増」「人件費高騰分の価格転嫁の理解が進む」の声が聞かれる一方、『卸売』は「アパレルがかなり悪い」「高級品の消費が悪い」、『製造』は「輸出の減少」「欧州などで在庫調整」「輸入資材の高騰」「国内資材の値上がり」などが景気DI悪化の要因としている。先行き見通しDIは振るわず、県内経済の牽引役となる業界も不在のため、トランプ関税やウクライナ・中東紛争の動向と合わせて、不透明な情勢が続くだろう。
・景気DI
「福井」の6月景気DIは37.4となり、前月比で3.1ポイント悪化、前年同月比で4.9ポイント悪化した。都道府県順位は45位で、前月(32位)、前年同月(20位)から下げた。北陸4県は、「新潟」は38.1で43位だが、「富山」は43.1で9位、「石川」は45.0で5位であり、「福井」の悪化が目立つ。
・規模別DI
全ての規模で前月比と前年同月比で悪化した。「大企業」の6月景気DIは41.1となり、前月比で5.8ポイント悪化、前年同月比で4.4ポイント悪化した。「うち小規模企業」は34.5となり、前月比で3.9ポイント悪化、前年同月比で9.8ポイント悪化した。
・業界別DI
比較可能な8業界のうち、景気DIが改善した業界はなし、横ばいは2業界、悪化は6業界となった。景気DIが50超は『サービス』(51.9)のみだが、前月比で3.1ポイント悪化した。50未満で最も低い『卸売』(30.6)は前月比で9.4ポイント悪化、次の『運輸・倉庫』(33.3)は4.2ポイント悪化した。
・先行き見通しDI
「3カ月後」は38.6、「6カ月後」は40.1、「1年後」は42.3と改善を見通しているが、業界別では6月景気DIが最も高い『サービス』は悪化を見通している。「1年後」に改善を見込む『製造』『卸売』も先行き見通しDIは50を下回っており、県内経済の牽引役となる業界は不在となっている。