レポートTDB景気動向調査2025年06月(中国ブロック:鳥取・島根・岡山・広島・山口)

2025/07/03
景気動向  アンケート

■中国ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.9

-0.5

2カ月ぶりに悪化

・概況

『中国』の景気DIは2カ月ぶりに悪化し40台にまで後退した。仕入れコスト上昇の影響を受ける『卸売』は2カ月ぶりに悪化し、この1年間で最も低くなった。物価上昇が再燃し、買い控えが続く『小売』は、2カ月ぶりに40を下回った。自動車をはじめ、輸出関連産業を中心に関税の影響を受ける『製造』は、0.5ポイント改善したものの、トランプ政権が誕生した1月以降、6カ月連続で40を下回った。多くの業界がトランプ関税の影響を受けるなか、物価高に加え、個人消費の低迷が重なり、国内景気の下振れリスクが高まり始めている。

・景気DI

『中国』の景気DIは前月比0.5ポイント減の40.9となり、2カ月ぶりに悪化した。40台に低下したのは、2022年8月以来。「山口」を除く4県が悪化した。「全国」(42.7)より1.8ポイント低く、「全国」を7カ月連続で下回った。全国10ブロック別の順位は、前月から横ばいの6位だった。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.2ポイント増の44.1となり、3カ月ぶりに改善した。「中小企業」は0.8ポイント減の40.4となり、2カ月ぶりに悪化した。うち「小規模企業」は0.3ポイント減の39.4となり、2カ月連続で悪化した。「大企業」が「中小企業」を28カ月連続で上回り、格差は拡大した。

・業界別DI

6業界が悪化、4業界が改善した。『卸売』は前月比2.9ポイント減で悪化幅が大きく、2カ月ぶりに悪化して40.4となった。『小売』は0.9ポイント減の39.4となり、2カ月ぶりに悪化した。『サービス』は0.5ポイント減の47.3となり、2カ月ぶりに悪化した。50を下回るのは6カ月連続。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比0.1ポイント増の42.8で、7カ月ぶりに改善した。「6カ月後」は0.3ポイント増の43.4で、3カ月ぶりに改善した。「1年後」は0.2ポイント増の43.8で、7カ月ぶりに改善した。7カ月ぶりに3指標がそろって改善したが、前年同月比では7カ月連続で3指標がそろって悪化した。

■広島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.2

-0.2

2カ月ぶりに悪化

・概況

「広島」の景気DIは2カ月ぶりに悪化した。物価上昇が再燃し、買い控えが続く『小売』は2カ月ぶりに悪化し、再び40を下回った。仕入れコスト上昇の影響を受ける『卸売』は3カ月ぶりに悪化し、この1年間で最も低くなった。輸出関連産業を中心に関税の影響を受ける『製造』は、大手自動車メーカーの生産状況を反映し、2カ月ぶりに悪化し、3カ月連続で40を下回った。多くの業界がトランプ関税の影響を受けるなか、物価高に加え、個人消費の低迷や人件費の上昇が重なり、国内景気の下振れリスクが高まり始めている。

・景気DI

「広島」の景気DIは前月比0.2ポイント減の41.2となり、2カ月ぶりに悪化した。3カ月連続で42を下回った。前年同月比では、3カ月連続で悪化した。「全国」(42.7)より1.5ポイント低く、7カ月連続で「全国」を下回った。都道府県別の順位は、前月の20位から24位へ後退した。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.5ポイント増の44.9で、2カ月連続で改善した。「中小企業」は0.3ポイント減の40.6で、2カ月ぶりに悪化した。うち「小規模企業」は1.8ポイント増の41.8で、2カ月連続で改善した。「大企業」が「中小企業」を25カ月連続で上回り、格差は2カ月ぶりに拡大した。

・業界別DI

6業界が悪化、4業界が改善した。『小売』は前月比1.8ポイント減の39.3となり2カ月ぶりに悪化した。40を下回るのは2カ月ぶり。『卸売』は1.6ポイント減の40.8となり、横ばいを挟んで3カ月ぶりに悪化した。『製造』は0.2ポイント減の38.1となり、3カ月連続で40を下回った。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比1.9ポイント増の43.4で、3カ月ぶりに改善した。「6カ月後」は1.2ポイント増の43.6で、2カ月連続で改善した。「1年後」も1.2ポイント増の43.8となり、2カ月連続で改善した。7カ月ぶりに3指標がそろって改善した。前年同月比では、5カ月連続で3指標がそろって悪化した。

■鳥取県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.3

-0.7

再び悪化

・概況

「鳥取」の景気DIは4カ月ぶりに悪化となった。企業数の多い『建設』は5カ月ぶりの悪化となったが、「公共工事が見込める」(建設・中小企業)など先行き見通しは明るい材料がある。一方で『サービス』では「財布の紐は更に固くなる」(サービス・中小企業)など厳しい声も多く聞かれた。物価高に給与所得が追いついていないために、消費が弱含みであるほか、暫くインフレ傾向が続くものとみられることを勘案すれば、中小と大企業や、都市圏や地方などの格差は懸念であり、暫くは情勢を見守っていく必要があろう。

・景気DI

「鳥取」は前月比0.7ポイント減の40.3となり4カ月ぶりの悪化となった。全国順位は前月比6ランクダウンの30位となった。『全国』は前月比0.1ポイント増の42.7となったが、『中国』は山口県を除く4県が前月から悪化となったため、前月比0.5ポイント減の40.9となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比5.6ポイント増の38.9となった一方で、「中小企業」は前月比1.1ポイント減の40.4となった。それでも企業間格差の逆転現象は埋まらず、13カ月連続で逆転現象が続いている。「うち小規模」は前月比1.4ポイント減の43.8となり、近時は規模が大ききほど厳しい結果に変わりは無い。

・業界別DI

前月から改善したのは『不動産』、『製造』、『小売』の3業界で、『金融』、『建設』、『サービス』の3業界が悪化となった。『小売』は2カ月連続の改善となり過去1年で最高となった。比較的堅調に推移してきた『サービス』は大幅に悪化となり、先行き見通しも弱含みである。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比2.2ポイント減の41.9、「6カ月後」は同2.1ポイント減の41.7、「1年後」は同2.7ポイント減の42.2となり、3指標ともに前月から悪化となった。「鳥取」は前月からの悪化幅が大きく『中国』や『全国』との比較では3指標ともに下回る結果となった。

■島根県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.4

-1.2

2カ月連続で悪化

・概況

「島根」の景気DIは2カ月連続で悪化した。業界別では比較的企業数が多い『製造』、『卸売』、『建設』、『小売』が低迷しており、集計の大半を占める「中小企業」へ影響が波及し、DIが30台に落ち込んだ。企業からの声では、「公共工事の発注量と民間投資が見通せない」(建設)、「資材価格が高止まりして、今後も仕入れ価格が不安定になりそう」(製造)、「物価高で、商品購入になかなか至らない」(小売)など、低迷する業界から今後の景気動向の悪化を懸念する声が多く聞かれる。

・景気DI

「島根」の景気DIは前月比1.2ポイント減の39.4となり、2カ月連続で悪化した。DIが30台となるのは2022年5月以来。『中国』の景気DIも40.9と同0.5ポイント減となるなど、4県が悪化した。都道府県順位は前年同月32位から35位に後退し、全国(42.7)との比較では3.3ポイント下回った。

・規模別DI

「大企業」(44.4)は前月比2.7ポイント増となり、3カ月ぶりに改善した。一方、「中小企業」(39.1)は同1.4ポイント減、「小規模企業」(37.8)も同2.6ポイント減となり、いずれも30台まで落ち込み、全体を押し下げた。「大企業」と「中小企業」の格差は5.3ポイントへ拡大した。

・業界別DI

前月と比較可能な集計対象8業界中、改善と悪化が各3業界、2業界で横ばいとなった。『運輸・倉庫』は前月から大幅に改善したが、2カ月連続改善した『建設』が前月比7.5ポイント、『卸売』は同5.7ポイント下回るなど変動が激しい。『製造』は小幅な悪化ながら10カ月連続で30台となり、改善の兆しが見えない。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は42.3(前月43.9)、「6カ月後」は42.6(前月43.1)、「1年後」は41.9(前月43.4)となり、2カ月ぶりに全指標で悪化した。「1年後」が42を下回るのは2020年11月以来。全国(44.5、44.9、45.4)との比較でも全指標で下回り、先行きの不透明感が強まっている。

■岡山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.1

-2.3

6カ月連続で悪化

・概況

「岡山」の景気DIは、前月比2.3ポイント減の40.1となり、6カ月連続で悪化した。トランプ関税における不確実性が残るなか、『製造』は4カ月連続で悪化したほか、『建設』は6カ月ぶり、『卸売』は4カ月ぶりに40を下回った。また、『サービス』は物価高騰による消費者の節約志向から2カ月ぶりに悪化して50を下回るなど、6つの業界が悪化したことで全体を押し下げた。米国との関税交渉も大詰めとなるなか、状況によっては多くの業界が影響を受けることが懸念されるため、景気回復には今しばらく時間を要するであろう。

・景気DI

「岡山」の景気DIは、前月比2.3ポイント減の40.1となり、6カ月連続で悪化した。前年同月と比べると3.4ポイント低く、2カ月連続で前年同月を下回った。『全国』より2.6ポイント低く、3カ月連続で『全国』を下回ったほか、「岡山」の47都道府県別順位は前月の14位から31位に大きくランクダウンした。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.2ポイント増の42.9となり6カ月ぶりに改善した。「中小企業」は同3.0ポイント減の39.5となり2カ月ぶりに悪化した。うち「小規模企業」は同3.7ポイント減の35.6となり、2カ月連続で悪化した。「中小企業」の悪化幅が大きく、2カ月ぶりに「大企業」が「中小企業」を上回った。

・業界別DI

9業界中、「悪化」が6業界、「改善」が2業界、「横ばい」が1業界だった。『運輸・倉庫』は2カ月ぶりに改善した一方で、『製造』は4カ月連続、『建設』は3カ月連続の悪化となった。前月まで改善傾向だった『卸売』は前月比7.3ポイント減と大幅に悪化したほか、『サービス』は2カ月ぶりに悪化して50を下回った。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比1.0ポイント減の42.2となり、5カ月連続で悪化した。「6カ月後」は同0.4ポイント増の43.6、「1年後」は同0.3ポイント増の43.9となり、いずれも2カ月連続で改善した。前年同月比では「3カ月後」は7カ月連続、「6カ月後」は8カ月連続、「1年後」は10カ月連続で悪化した。

■山口県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.6

1.7

3カ月ぶりの改善

・概況

「山口」の景気DIは42.6と前月比1.7ポイント、3カ月ぶりに前月比改善し、都道府県順位は13位と前月から14ランク上昇した。一方、7カ月連続で前年同月を下回ったほか、『全国』42.7に比べ0.1ポイント低く、3カ月連続で『全国』を下回った。規模別DIや先行きDIは改善を示したが、業界別DIでは、業種による濃淡が引き続き大きい。山口県内の企業からは、トランプ関税への不安や物価高や燃料費高騰という声も増えており、手放しの楽観は禁物と言えそうだ。

・景気DI

「山口」の景気DIは42.6と前月比1.7ポイント、3カ月ぶりに前月比改善を示し、都道府県順位は13位と前月から14ランク上昇した。ただ、『全国』42.7に比べ0.1ポイント低く、3カ月連続で『全国』を下回り、7カ月連続で前年同月を下回っているなど、手放しに楽観できる状況にはない。

・規模別DI

「大企業」が前月比1.5ポイント改善の45.5、「中小企業」は同1.8ポイント改善の42.3、「小規模企業」は同2.8ポイント改善の40.4と、3カ月ぶりに全ての規模で前月比改善を示した。「大企業」と「中小企業」の差は3.2で2カ月連続で「大企業」が上回った。

・業界別DI

主要業界では、『サービス』は3カ月連続、『建設』は3カ月ぶり、『製造』は8カ月ぶりに前月比改善となったが、『小売』『卸売』は2カ月ぶりに前月比悪化を示した。『製造』の改善は明るい材料だが、全体としては一進一退の印象である。

・先行き見通しDI

3カ月後が43.1(前月42.9)、6カ月後は44.4(同43.9)、1年後も46.0(同44.9)と3カ月ぶりに全ての期間で前月比改善を示した。業界別では『製造』が15カ月ぶりに全ての期間で改善した一方で、『小売』『卸売』『サービス』が全ての期間で悪化するなど、引き続き業種による変動は大きい。

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