レポートTDB景気動向調査2025年05月(東海ブロック:愛知・岐阜・三重・静岡)

2025/06/04
景気動向  アンケート

■東海ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.5

0.1

6カ月ぶりに改善

・概況

『東海』の景気DIは6カ月ぶりに改善。しかし、0.1ポイントとわずかな改善にとどまっており景況感に勢いは感じられない。米国の関税問題についての不安感は強いが、現時点では当初のような強硬な姿勢からはトーンダウンしている。国内では物価高が続いており、コメ問題への緩和策も行われているがどこまで効果があるかは未知数だ。インバウンドは引き続き多いものの為替がやや円高に振れたことで高額商品の販売が低下しているとも聞かれる。関税問題の先行きが不透明ななか先行き警戒感は強く、景況感は一進一退の推移となりそうだ。

・景気DI

トランプ関税による不安感は強いものの、当初よりはトーンダウンしている面もみられることもあり、『東海』の景気DIは41.5と前月から0.1ポイントではあるが改善した。前月から改善となるのは6カ月ぶり。全国10地域中の『東海』の順位は、前月から横ばいの5位。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.7ポイント悪化、一方、「中小企業」は同0.3ポイント、「小規模企業」は同0.1ポイントそれぞれ改善した。「中小企業」が改善となるのは6カ月ぶりで、規模間格差は2カ月ぶりに縮小した。

・業界別DI

10業界中、7業界が改善、3業界が悪化。大型連休による観光の活発化や気温上昇による夏物需要もあって『小売』『運輸・倉庫』が改善したほか、一部に「公共工事の受注があった」との声がある『建設』も改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は42.2で前月から0.2ポイント悪化、「6カ月後」は42.5で同0.3ポイント改善、「1年後」は43.5で前月から横ばい。業界別で、「1年後」が当月を下回ったのは『金融』『建設』『不動産』『サービス』の4業界で、先行きへの警戒感は強い。

■愛知県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.4

0.5

5カ月ぶり改善

・概況

「愛知」の景気DIは5カ月ぶりに改善となった。米トランプ政権による追加関税問題への警戒感は依然として根強いものの、英国とは交渉合意となり、中国との税率引き上げ合戦も最悪の事態は免れたことで、一息ついた格好だ。しかし、先行き不透明感を払拭するにはほど遠く、設備投資需要減少や消費マインドへの悪影響を懸念する声も聞かれ、「トランプショック」は『製造』以外の業界へも波及し始め、関税問題の影響をより色濃く受ける当地区の景況感は、引き続き頭の重い状況となりそうだ

・景気DI

「トランプショック」は根強いなか、対中追加関税の引き下げなどが好感され、「愛知」の景気DIは42.4と前月比0.5ポイント上昇し、5カ月ぶりに改善した。全国は横ばいを挟んで悪化が4カ月連続となっており、都道府県順位は前月から8ランク上がって14位。

・規模別DI

「大企業」(44.1)は4カ月連続、「小規模企業」(40.3)は2カ月連続で前月から悪化。「中小企業」(42.1)は6カ月ぶりの改善となった。「大企業」の悪化が4カ月連続となるのは5年ぶり。

・業界別DI

前月と比較可能な9業界中、改善が5業界、悪化が3業界、横ばいが1業界。「トランプショック」への一服感もあり、『製造』『卸売』はそれぞれ3カ月ぶりに改善。一方、物価高騰による購買意欲の低下などの声がある『小売』は2カ月ぶりに悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は42.9(前月42.7)で前月から0.2ポイント、「6カ月後」は42.6(同42.4)で同0.2ポイント上昇したが、「1年後」は43.3(同43.4)で同0.1ポイント減少。「1年後」見通しは21年1月(41.5)以来の水準まで落ち込んでおり、先行き不透明感は強まっている。

■岐阜県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.3

0.1

ごく僅かな改善に留まり、2カ月連続で30台

・概況

「岐阜」の景気DIは39.3で2カ月連続30台となった。前月と比較すると改善業界は1業界から5業界に増えたが、内実としては4業界の景気DIが30台に留まっている。当月も『小売』、『サービス』を中心にインバウンドやAIを活用した設備投資の動きによるプラスの声があったが、「関税問題が収束しない限り、先の見通しは立てられない」(製造)、「トランプ大統領次第」(製造)といった声に代表されるように米国関税政策による不透明感が増している状況に変わりはなく、県内企業の景況感は厳しい推移が続く公算が大きい。

・景気DI

岐阜県内企業の景気DIは前月比0.1ポイント増の39.3となり、2カ月連続30台に留まった。30台に留まるのは東海4県で岐阜県のみ。また8カ月連続で全国DIを下回り、全国順位は前月と同じく36位(前年同月35位)となったほか、東海4県では3カ月連続で最下位となった。

・規模別DI

「大企業」(47.5)は前月比4.5 ポイント増で2カ月ぶりに改善。「中小企業」(38.1)は同0.6ポイント減で3カ月連続悪化し、30台に留まった。中小企業のうち「小規模」(37.3)は同2.0ポイント増となった。規模間格差(9.4)は前月比5.1ポイント増となり、14カ月ぶりに9を超えた。

・業界別DI

前月と比較できる8業界中、5業界で改善。『金融』(58.3)、『運輸・倉庫』(50.0)で大きく改善。一方『建設』(37.0)、『小売』(39.3)は改善したものの、30台に留まったほか、『製造』(35.8)、『卸売』(37.7)は3カ月連続で悪化して30台に留まるなど、4業界で30台となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(39.8)は前月比0.7ポイント増、「6カ月後」(41.4)は同1.4ポイント増、「1年後」(42.0)は同1.2ポイント増となり、全ての指標で前月を上回り、ひとまずの改善がみられたが、いずれの指標も全国DIを下回っており、根強い警戒感が窺える状況が続いている。

■三重県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.8

-2.9

2カ月連続で悪化

・概況

「三重」県内企業のDIは2カ月連続で悪化した。原材料やエネルギーの高騰に伴う収益環境の悪化や米トランプ政権による関税問題など、停滞感が全般に波及している。県内企業からは「食品類、エネルギーの高騰によって消費者の買い控えが出ている」(食品製造)や「トランプ関税の影響で自動車開発が止まった」(鉄鋼非鉄製造)、「関税の混乱がいつまで続くかが鍵となる」(化学品製造)といった声が聞かれた。大手企業のサプライチェーンを支える企業が多い地域柄や外的要因も考慮すると、県の景況感は当面は不透明な情勢が続くとみる。

・景気DI

三重県内企業の景気DIは前月比2.9ポイント減の40.8となり、2カ月連続で悪化し、前年同月および全国DIも下回った。なお、DIが41を下回るのは2022年11月以来となる低水準で、都道府県別順位は28位と前月の8位から20ランク後退、東海4県の中では3番目にとどまった。

・規模別DI

「大企業」は前月比3.9ポイント減の42.3と3カ月ぶりに悪化。「中小企業」は同2.8ポイント減の40.6と2カ月連続の悪化、このうち「小規模企業」は同6.6ポイント減の39.4と3カ月ぶり且つ大幅な悪化。これらの結果、規模間格差は「大企業」が「中小企業」を1.7ポイント上回っている。

・業界別DI

前月と比較可能な8業界では、DIが最も高い『不動産』が唯一横ばい。ほか7業界が悪化した。最もDIが低い『農・林・水産』をはじめ『運輸・倉庫』、『小売』、『卸売』の4業界はDIが40未満にとどまった。『サービス』は前月から8.0ポイント減の大幅悪化。

・先行き見通しDI

「3カ月後」42.1(前月45.2)、「6カ月後」42.7(同44.8)、「1年後」43.9(同44.8)と全ての時期で現状からの改善を見込んでいるが、前月調査時点と比べると全ての時期で見通しや期待感が鈍化している。

■静岡県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.3

0.8

8カ月ぶりに改善

・概況

「静岡」の景気DIは41.3と8カ月ぶりに改善した。企業からは、「連休の観光需要があった」(小売)との明るい声もあったが、一方で「関税の影響による先行きの不透明感が、生産や受注低下に影響を及ぼしている」(建設)、「国産原料の高騰と輸入原料の円安によるコスト高」など厳しい声も多くあがった。「静岡」では、輸出に対する関税の影響を懸念する動きがみられ、景気は低調な推移となっている。

・景気DI

「静岡」は前月比0.8ポイント増の41.3となり、8カ月ぶりに改善した。全国(42.6)との比較では1.3ポイント下回ったが、全国順位では第21位となり、前月の第33位より上昇した。なお、東海4県のなかでは、「愛知」の42.4に次いで2番目に高くなった。

・規模別DI

「大企業」は前月比2.3ポイント減の44.2となり、良否判断の分かれ目となる50を3カ月連続で下回った。「中小企業」では同1.3ポイント増の40.8となった。「大企業」と「中小企業」の規模間格差は前月より3.6ポイント縮まり、3.4ポイント差となった

・業界別DI

主要6業界では『建設』が前月比3.0ポイント増の48.6となり、5カ月連続でトップ。一方で、『卸売』は同2.6ポイント減の34.7にとどまり、5カ月ぶりに最下位。なお、改善した業界は『小売』『建設』『製造』の3業界、悪化した業界は『卸売』『運輸・倉庫』『サービス』の3業界となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は42.0(前月42.3)で前月を下回ったが、「6カ月後」は42.8(同42.2)、「1年後」は44.5(同44.3)となり、前月を上回った。なお、規模別では「大企業」は3指標ともに前月を上回ったが、「中小企業」「小規模企業」では3カ月後は前月を下回った。

■山梨県、長野県は、北関東エリアに含んで集計しています。

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