■東北ブロック
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
38.2 | 0.3 | 6カ月ぶりの改善 |
・概況
景気DI(38.2)は6カ月ぶりに改善したものの、40台には届かず僅かな改善にとどまった。業界ごとに好不況が鮮明化しており、コメを中心に農作物の販売価格高騰が続く『農・林・水産』や、貸出金利の上昇が追い風となる『金融』は高い水準で推移している半面、物価高に加えて高齢化の進行が進む地域での消費低迷から『小売』はしばらく最低水準に落ち込んでいる。さらにトランプ関税下で、『製造』や設備投資意欲の減退を懸念して『建設』は悪化基調が進んでおり、本格的な景況感の回復には時間を要すると思われる。
・景気DI
景気DI(38.2)は前月比0.3ポイント増加し、6カ月ぶりに僅かに改善した。『全国』(42.6)との格差は4.4で同0.4ポイント縮小した。県別は改善4県(「青森」「岩手」「宮城」「山形」)、悪化2県(「秋田」「福島」)となった。
・規模別DI
「大企業」(42.8)が前月比0.9ポイント、「中小企業」(37.8)が同0.3ポイントそれぞれ増加した。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は5.0となり、同0.6ポイント拡大した。
・業界別DI
改善が『不動産』『農・林・水産』『製造』などの6業界、悪化は『卸売』『サービス』の2業界、横ばいが『金融』『建設』の2業界となった。『農・林・水産』(55.0)が最も高く、『小売』(34.2)が最も低かった。
・先行き見通しDI
「3カ月後」は41.2(当月比3.0ポイント増)、「6カ月後」は41.5(同3.3ポイント増)、「1年後」は42.0(同3.8ポイント増)と全ての指標で改善し、前月との比較でも3指標全てで改善した。
■青森県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
41.2 | 0.8 | 2カ月ぶりに改善 |
・概況
青森の景気DIは41.2となり、前月から0.8ポイント改善した。悪化傾向にあった『建設』、『卸売』、『小売』などで改善に転じている。全体としては、地元での水揚げ不振や公共投資の抑制、物価高の影響により、各DIは低位にある。しかし、同業者の廃業により顧客の流入が見られたほか、物価高に対しても価格転嫁が徐々に進むことで、一時期の低位の状態から改善を示したと言える。ただし、依然として人件費の上昇圧力が強まるなか、価格転嫁が難しい中小企業の収益環境は厳しく、また企業規模や業種による格差も拡がっている。今後もしばらくは一進一退の足踏み状態が続く可能性が高い。
・景気DI
景気DIは41.2となり、前月から0.8ポイント改善した。都道府県別順位は22位と前月の34位からアップし、東北6県の中ではトップとなった。企業を取り巻く環境は厳ししいながらも、『卸売』や『小売』で景気DIが改善した。
・規模別DI
「大企業」は46.7と前月より2.3ポイント改善したほか、「中小企業」も40.9と同0.8ポイント、更に「小規模企業」では41.4と同3.7ポイント改善した。全体の景況感としては前月より改善した。
・業界別DI
業界別では、『卸売』と『小売』がともに改善しており、同業者の廃業による顧客の流入などが全体を押し上げた。また、悪化傾向にあった『建設』についても、一部で持ち直しの動きが見られ、改善した。
・先行き見通しDI
先行き見通しDIは、3カ月後、6カ月後、1年後がいずれも前月より改善している。ただし、先行き見通しが明るくなった、とは判断しがたく、価格転嫁が徐々に受け入れられるなど、一時期に比較してマインドが改善されたと言える。
■岩手県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
37.9 | 0.1 | 2カ月連続の改善 |
・概況
景気DIは前月比0.1ポイント増となったが、6カ月連続で40を下回った。「大企業」は判断の分かれ目となる50を6カ月連続で下回り、「中小企業」は8カ月連続で40を下回った。業界別では引き続き『製造』卸売』『小売』の苦境が目立つ。先行き見通しは「1年後」「6カ月後」「3カ月後」の全てでブロック最低にとどまる。物価高や人件費上昇に加えて、トランプ関税の影響も懸念される状況にあり、当面は一進一退の景気動向が続くと見込まれる。
・景気DI
景気DIは前月比0.1ポイント増の37.9となり、2カ月連続で改善した。前月の都道府県順位は全国42位であったが、当月は39位となった(前年同月の順位は全国46位)。なお、DIが40を下回ったのは6カ月連続。
・規模別DI
「大企業」は前月比4.6ポイント増の47.9となったが、判断の分かれ目となる50を6カ月連続で下回った。「中小企業」は同0.1ポイント減の37.1となり、8カ月連続で40を下回った。この結果、「大企業」と「中小企業」の格差は10.8となった(前月は6.1)。
・業界別DI
前月から一転して、『農・林・水産』と『サービス』を除くすべての業界で悪化または変動なしとなり、『小売』は9カ月連続で30を割り込んだほか、『卸売』は30.8、『製造』も37.5と40に届かなかった。
・先行き見通しDI
「3カ月後」と「6カ月後」が39.2、「1年後」が38.7と、いずれも40を割り込み前月より悪化した。『東北』の他県はいずれも40を超えており、岩手の厳しい先行き見通しが改めて浮き彫りとなった。
■宮城県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
36.5 | 0.9 | 2カ月ぶりの改善 |
・概況
景気DI(36.5)は2カ月ぶりに改善したが、都道府県別順位は2カ月連続最下位となった。業界別では、6業界で依然として40を下回っている。『建設』は、資材高や金利上昇による投資控えが影響して、6カ月連続で40を下回った。規模別では「大企業」が2022年8月(39.1)以来40を下回るなど米国関税政策の影響も見受けられる。今後、物価は高止まり傾向が続くとみられ、買い控えや投資控えが加速する恐れもあり、景気の急上昇は期待しにくいと言わざるを得ないことから、当面は低調に推移するだろう。
・景気DI
景気DI(36.5)は前月比0.9ポイント増加し、2カ月ぶりに改善した。『全国』(42.6)との比較では6.1ポイント下回り、格差は1.0ポイント縮小したが、5カ月連続で40台を下回った。都道府県別順位は2カ月連続で最下位となった。
・規模別DI
「大企業」(38.9)は前月比4.4ポイント減少し、「中小企業」(36.2)は同1.5ポイント増加した。「大企業」と「中小企業」の格差は2.7で同5.9ポイント縮小した。
・業界別DI
改善は『農・林・水産』『運輸・倉庫』『小売』など7業界、悪化は『卸売』『サービス』の2業界、横ばいは『金融』の1業界となった。『金融』(50.0)が最も高く、『卸売』(30.2)が最も低かった。
・先行き見通しDI
「3カ月後」は40.5(当月比4.0ポイント増)、「6カ月後」は40.6(同4.1ポイント増)、「1年後」は41.0(同4.5ポイント増)となった。前月との比較でも全ての指標で改善した。
■秋田県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
40.8 | -0.4 | 2カ月ぶりにやや悪化 |
・概況
景気DIは、『東北』が前月比0.3ポイント改善したものの、『全国』が同0.1ポイント減とわずかに悪化した。『東北』では、本県と「福島」の2県が悪化、「青森」「宮城」「岩手」「山形」の4県が改善した。一時的だが政府によるガソリンに対する補助の復活や備蓄米の放出等により、今後、一般消費が持ち直す可能性もある。しかし、6月からの調味料や加工品等、食品の値上げも相次いでいるほか、トランプ米国大統領の関税政策が依然として不透明であり、当面は一進一退の状況が続くとの見方が多い。
・景気DI
「秋田」の景気DIは40.8と4月を0.4ポイント下回り、2カ月ぶりにやや悪化した。『東北』6県では前月の第1位から第2位にダウンしたが、『東北』を2.6ポイント上回った。また、『全国』(42.6)を1.8ポイント下回り、前月の第25位から第28位にダウンした。
・規模別DI
規模別では、「大企業」(45.0)が前月を0.8ポイント下回ったほか、「中小企業」(40.3)は同0.4ポイントダウンした。これにより、「大企業」と「中小企業」の格差は3カ月連続で縮小した。
・業界別DI
業界別では、『建設』『不動産』『サービス』『製造』の4業界が改善したほか、『その他』は横ばいであった。しかし、『農・林・水産』『卸売』『小売』の3業界が前月比で悪化した。悪化したなかでは、『農・林・水産』(53.3)の前月比3.8ポイント減が目立った。
・先行き見通しDI
先行き見通しDIは、「3カ月後」44.2、「6カ月後」43.6、「1年後」44.1と現状よりは改善するという見方が多いが、物価高の中、特に明るい材料は見当たらず、引き続き低調な推移が続くとの見方が多い。
■山形県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
37.5 | 1.0 | 4カ月ぶりに改善 |
・概況
企業からは、「消費が積極的と感じる」(金融、小規模企業)、「電力会社の大型設備が計画されており、安定受注が見込まれる」(サービス、中小企業)など、前向きな声が増えた一方で、「地方の人口減少や消費者の節約志向から回復の気配は見えない」(小売、小規模企業)、「自動車メーカーの認証不正問題が払拭できず、トランプ関税の影響も出始めている」(製造、小規模企業)など厳しい声も多い。物価高、関税問題に加え、山形県の人口が100万人を割り込み、将来的な市場環境を懸念する企業も増えているように見受けられる。
・景気DI
「山形」の景気DIは前月比1.0ポイント上昇して37.5となり、4カ月ぶりに改善した。全国のブロック別では、『東北』は同0.3ポイント改善の38.2を示し、6カ月ぶりに改善したが、依然として40を下回り、全国では最低水準にある。なお、「全国」は同0.1ポイント悪化の42.6で、2カ月連続で悪化した。
・規模別DI
「大企業」は前月比2.4ポイント改善の41.7、「中小企業」は同0.9ポイント改善の37.1、うち「小規模企業」は同3.0ポイント改善の38.5と、いずれも前月から改善した。「中小企業」および「小規模企業」の改善は4カ月ぶり、「大企業」は2カ月連続で改善した。
・業界別DI
『不動産』を除く比較可能な8業界において、『農・林・水産』は横ばい、『建設』、『卸売』の2業界が前月から悪化を、『金融』、『製造』、『運輸・倉庫』、『小売』、『サービス』の5業界が前月から改善を示した。『製造』が4カ月ぶりに改善した一方、『建設』は2カ月連続して悪化を示し、業界ごとの格差がみられる。
・先行き見通しDI
「3カ月後」は前月から0.8ポイント改善の41.1、「6カ月後」は同1.6ポイント改善の42.6、「1年後」は同1.7ポイント改善の44.3を示し、3指標ともに前月から改善した。「6カ月後」と「1年後」は4カ月ぶりの改善、「3カ月後」は3カ月ぶりの改善となった。
■福島県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
37.8 | -1.1 | 3カ月連続で悪化 |
・概況
6業界が悪化して「福島」の景気DI(37.8)は前月比1.1ポイント悪化、3カ月連続で30台にとどまった。企業からは「半年先までの案件は確保している」(製造)との声がある一方、「案件が減少傾向」(建設)、「注文数が減少」(製造)、「製品単価は上がっているが出荷数は減少」(卸売)、「物価高による個人消費マインドが低下」(小売)等の声が届いている。景気DIが示すように厳しいコメントが多数を占めているほか、トランプ関税の影響を懸念するコメントもみられ、今後の景気動向は弱含み推移となる可能性が高いとみられる。
・景気DI
「福島」の景気DIは、37.8と4月を1.1ポイント下回って、3カ月連続で悪化、30台にとどまった。『全国』の景気DIは、前月(42.7)から0.1ポイント下回り、42.6であった。「福島」の都道府県別順位は、前月の第38位から第41位となった。
・規模別DI
「大企業」(42.9)は前月比5.4ポイント上昇、「中小企業」(37.3)は同1.7ポイント低下、「小規模企業」(36.0)は同2.4ポイント低下した。格差(大企業-中小企業)は5.6となり、2カ月ぶりに「大企業」が「中小企業」を上回った。
・業界別DI
『建設』は改善したが、『金融』『サービス』『運輸・倉庫』『製造』『卸売』『小売』の6業界が悪化した。『運輸・倉庫』は2カ月連続で40台を維持したほか、『建設』は2カ月ぶりに40台に改善したものの、『小売』は9カ月連続、『製造』においては16カ月連続で30台にとどまった。
・先行き見通しDI
「1年後」の先行き見通しDIは6業界が当月からの改善を見込んでいる。特に『製造』は当月(32.9)から8.8ポイント、『金融』は同(37.5)から8.3ポイントの改善を見込んでいる。一方、『サービス』の「1年後」は、同(40.7)から2.0ポイントの悪化を見込んでいる。