レポートTDB景気動向調査2025年05月（四国ブロック：徳島・香川・愛媛・高知）

■四国ブロック

・概況

『四国』の景気DIは、2カ月ぶりに40台へ改善した。企業からは「瀬戸芸2025の開催で来島者が増加しており、関連業種が好況である」（建設、香川県）など好況な声が聞かれる一方で、「建築資材など物価高騰で不動産が動かず、問い合わせが激減している」（不動産、徳島県）や「全体的に受注が減少しており、そのため受注価格の低下もみられる」（卸売、愛媛県）などの声がある。人件費の上昇や資材価格の高止まりに加え、トランプ関税の影響が不透明であることから、当面の景気DIは40前後での推移が続くとみられる。

・景気DI

『四国』の景気DIは前月比1.0ポイント増の40.6となり、2カ月ぶりに改善したほか、2カ月ぶりの40台となった。県別では、「徳島」「香川」「愛媛」が改善、「高知」のみ悪化した。また、『全国』（42.6）を53カ月連続で下回ったものの、全国10ブロック別の順位は7位（前月9位）に上昇した。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.9ポイント増の45.2で3カ月ぶりに改善、「中小企業」は同0.9ポイント増の39.9で2カ月ぶりに改善、うち「小規模企業」は同0.5ポイント減の36.9となり2カ月連続で悪化した。23カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回り、格差は5.3ポイントに拡大した。

・業界別DI

主要7業界では、『建設』『不動産』『製造』『卸売』『運輸・倉庫』『サービス』が改善、『小売』のみ悪化。前月から改善した業界が多く、業界間の格差が縮まるなかで、『不動産』は13カ月連続、『卸売』は17カ月連続、『小売』は14カ月連続で40割れの状態が続くなど、厳しさがうかがえる。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は41.6（前月40.6）、「6カ月後」は42.0（同41.8）、「1年後」は42.0（同41.9）となり、2カ月ぶりに3指標が揃って改善した。ただし、3指標がいずれも40台前半であることや、前年同月との比較では3指標が6カ月連続で揃って悪化しており、先行きに対する期待感が薄れつつある。

■香川県

・概況

「香川」の景気DIは、2カ月ぶりに改善した。企業からは「瀬戸芸2025の開催で来島者が増加しており、関連業種が好況である」（建設）など好況な声が聞かれる一方、「原油や材料費が高止まりしている上に、米国関税措置による影響が不透明」（金融）や「耐久消費財の動きが悪い」（小売）などの声がある。主要7業界がいずれも40以上へと改善したものの、先行き見通しでは「6カ月後」「1年後」ともに「3カ月後」を下回るなど慎重な見方がうかがえるため、景気DIは一進一退での推移が続くとみられる。

・景気DI

「香川」の景気DIは前月比1.4ポイント増の44.0となり、2カ月ぶりに改善した。また、27カ月連続で40台を維持したほか、2カ月ぶりに前年同月を上回った。『全国』（42.6）との比較では1.4ポイント上回り、全国都道府県別の順位は7位（前月14位）に上昇した。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.6ポイント減の43.8で2カ月連続の悪化、「中小企業」は同1.9ポイント増の44.1で2カ月ぶりの改善、うち「小規模企業」は同3.3ポイント増の41.9で3カ月ぶりに改善した。「中小企業」の改善幅が大きく、7カ月ぶりに「中小企業」が「大企業」を上回った。

・業界別DI

主要7業界では、『建設』『不動産』『製造』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』が改善、『サービス』のみ悪化。『不動産』が10ポイント以上改善して4カ月ぶりに50台となったほか、『小売』も8カ月ぶりに40台となるなど、9カ月ぶりに主要7業界が揃って40以上となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は44.9（前月43.6）、「6カ月後」は44.2（同43.8）、「1年後」は43.9（同43.6）となり、3カ月ぶりに3指標が揃って改善した。ただ、「6カ月後」「1年後」ともに「3カ月後」を下回ったほか、「1年後」は前年同月を6カ月連続で下回るなど、先行きに対する慎重な見方がうかがえる。

■徳島県

・概況

徳島の景気DIは、2カ月ぶりに改善したものの、15カ月連続で40を下回った。最後に40を上回ったのは、コロナ禍からの回復が期待された2024年2月（41.3）であり、以降は40を下回る低水準が続く。先行き見通しDIも、3指標が揃って40を下回っており、先行きへの不透明感も拭えない。背景には、人口減、物価高のほか、トランプ政権の関税政策などがみられる。企業からも、「若者の流出により少子高齢化が加速している」（不動産）といった後ろ向きの声が多数を占める。徳島県の景況感は、当面厳しい状況が続きそうだ。

・景気DI

「徳島」の景気ＤＩは前月比1.7ポイント増の37.7となり、2カ月ぶりに改善した。前年同月との比較では2.0ポイント増となり、こちらも2カ月ぶりの改善となった。『全国』（42.6）との比較では4.9ポイント低く、全国を下回るのは41カ月連続となった。都道府県別の順位は42位（前月46位）だった。

・規模別DI

「大企業」（47.2）は前月比7.2ポイント増で3カ月ぶりに改善。「中小企業」（36.9）は同1.2ポイント増で2カ月ぶりに改善、うち「小規模企業」（34.6）は同1.3ポイント増で同じく2カ月ぶりに改善した。「大企業」が50を下回るのは3カ月連続。中小企業が40を下回るのは15カ月連続となった。

・業界別DI

主要7業界では、『卸売』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』が改善、『建設』『製造』が悪化、『不動産』が横ばいとなった。『サービス』（41.7）は2カ月連続で改善。『建設』（44.4）は2カ月連続で悪化、『製造』（34.4）は3カ月連続で悪化。『不動産』（16.7）は2カ月連続で20を下回る低水準。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は36.6（前月比0.4ポイント増）、「6カ月後」は37.3（同1.1ポイント減）、「1年後」は39.1（同0.6ポイント減）となった。「3カ月後」は2カ月ぶりに改善したが、13カ月連続で40を下回った。「6カ月後」は7カ月連続、「1年後」は2カ月連続で40を下回った。

■愛媛県

・概況

「愛媛」の景気DIは、2カ月ぶりに改善した。ゴールデンウィークの人出増加で『サービス』が改善したほか、前月まで大幅な悪化が続いていた『建設』『製造』が下げ止まった。一方で、「インフレにより、雑貨品まで消費が回ってこない」（繊維・繊維製品・服飾品卸売）など物価高騰による消費の落ち込みから『小売』は大幅な下落となった。値上げにより売上高は増加しているものの、人手不足や物価高騰など収益圧迫要因の改善は進んでいない。ここ6カ月は改善と悪化を繰り返す一進一退の推移となっており、6月の動向も注目される。

・景気DI

「愛媛」の景気DIは前月比0.6ポイント増の40.6となり、10カ月連続で40台を維持した。『全国』はわずかに下落したため、県別順位は30位と前月（35位）より上昇した。ここ6カ月は一進一退の推移となっている。

・規模別DI

「大企業」「中小企業」はともに改善し、「小規模企業」が悪化した。「中小企業」と「小規模企業」は前月に続き40ポイントを下回る水準にとどまっているが、規模間格差（大企業-中小企業）は4.9ポイントとわずかに縮小した。

・業界別DI

回答数が10社を超える5業界3業界が改善した。『サービス』が3カ月連続で改善し、下落が続いていた『建設』『製造』も下げ止まり、『卸売』も40を上回った。一方で、2カ月連続で改善していた『小売』が大幅な悪化となった。また、改善したものの『製造』は依然として40を下回っており、厳しい見方が続いている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が前月比0.4ポイント増、「6カ月後」が同0.2ポイント減、「1年後」が横ばいとなった。業界別では『製造』が全ての期間で大幅に改善している一方で、『建設』が全ての期間で大幅に悪化し、前月と対照的な動きとなった。

■高知県

・概況

「高知」の景気DIは、前月比0.1ポイント減の37.0となり、2カ月連続で悪化した。「旅行業を営んでいるが、仕事の入り具合は普通」（運輸・倉庫）など、一部の業種によっては堅調な声が聞かれるものの、一方で「原料高、余剰人員、過剰投資」（卸売）、「余りにも仕入値、人件費、設備費、維持費が高い」（サービス）、など、引き続き物価高や資材高にともなう負担増や人件費増、需要低迷などを懸念する声が多く、景況感の悪化に繋がっているものとみられる。

・景気DI

「高知」の景気DIは、前月比0.1ポイント減の37.0となり、2カ月連続で悪化したほか、6カ月連続で40を下回った。一方で、『全国』（42.6）を5.6ポイント下回ったほか、『四国』（40.6）を3.6ポイント下回り、全国順位は前月の44位から46位に低下した。

・規模別DI

「大企業」は50.0と前月（37.5）から12.5ポイント上昇した。しかし、「中小企業」は35.7と前月（37.1）から1.4ポイント低下したほか、「小規模企業」も31.5と前月（35.8）から4.3ポイント低下した。「大企業」と「中小企業」の格差は14.3ポイントで、前月（0.4ポイント）から拡大した。

・業界別DI

前月と比較可能な7業界中、「改善」が3業界となったのに対して、｢横ばい｣が2業界、「悪化」が2業界となった。業界別にみると、『建設』『サービス』『製造』が前月から改善した一方で、『金融』『運輸・倉庫』が横ばいとなり、『卸売』『小売』が各々悪化した。

・先行き見通しDI

｢3カ月後｣は39.2（前月37.4）と前月を上回ったほか、｢6カ月後｣も41.4（同39.2）と前月を上回り、また｢1年後｣についても40.4（同40.1）と同じく前月を上回ることとなった。