■南関東ブロック
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
45.3 | -0.2 | 2カ月連続で悪化 |
・概況
『南関東』の景気DIは45.3で、3カ月連続で全国トップではあるものの、2カ月連続で悪化した。業界別では、相場高などを背景に『農・林・水産』の改善幅が大きいが、『製造』『卸売』『小売』は2カ月連続の悪化で、DIも40前後と低位の状態が続いている。先行き見通しでは『小売』の厳しさが目立ち、物価の高止まりやトランプ関税などを背景とした販売価格への転嫁を不安視する声が多い。「東京」や「大企業」の景気改善はみられるが、地域全体でみれば景況感の回復は軟調での推移となりそうだ。
・景気DI
『南関東』の景気DIは45.3で前月から0.2ポイントの悪化。全国順位では3カ月連続のトップとなった。都県別では、「東京」は0.2ポイント改善したものの、これ以外の3県はいずれも2カ月連続での悪化となった。
・規模別DI
「大企業」は49.5で前月から0.2ポイント改善したほか、「小規模企業」も43.9で同0.1ポイントの改善。一方で、「中小企業」全体(「小規模企業」も含む)でみると44.4で同0.2ポイント減となり、2カ月連続の悪化。規模間格差は5.1ポイントとなり、前月から0.4ポイント拡大した。
・業界別DI
業界別では4業界で改善、6業界で悪化した。『農・林・水産』(56.9、前月比5.5ポイント増)は、唯一2カ月連続での改善。悪化幅が大きかった業界は、『製造』(39.3、同0.5ポイント減)で2カ月連続の悪化。『建設』(50.2、同0.5ポイント減)、『小売』(40.5、同0.4ポイント減)なども悪化した。
・先行き見通しDI
「3カ月後」は46.4(前月45.9)、「6カ月後」は46.8(同46.0)、「1年後」は47.1(同46.3)となり、いずれも前月の見通しから上回った。業界別では、「1年後」で『製造』『卸売』『運輸・倉庫』が大きく改善見通しだが、『建設』『不動産』などは悪化見込み。
■埼玉県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
41.2 | -1.1 | 2カ月連続で悪化 |
・概況
埼玉県の景気DIは前月比1.1ポイント減の41.2となり、2カ月連続で悪化した。全体的に弱含みの状況で、トランプ関税による不透明感、また、依然として続く人手不足や物価高による諸コストアップを指摘する声は多い。また、金利上昇への懸念から、個人消費にしても設備投資にしても手控える姿勢が見え始めており、「守りに入っている」(製造)といった意見も聞かれる。仕事量自体が急減との声は少ないものの、単価面の厳しさ、工程の遅れや計画見直しなどの影響で、実際の売り上げまでには至らないといったケースも散見される。
・景気DI
景気DIは41.2となり、前月比1.1ポイント減で2カ月連続の悪化。2カ月連続して悪化するのは2024年11月以来6カ月ぶり。また、ここ1年ほどは小幅な増減が続いていたが、マイナス幅は前月に続き1.0ポイントを上回った。「埼玉」の全国順位は22位となって前月(18位)から4つ後退。
・規模別DI
「大企業」は前月比3.5ポイント減の43.3、「中小企業」は同0.7ポイント減の41.0、「小規模企業」は同1.7ポイント減の39.3となり、いずれの規模も悪化した。規模間格差は前月から2.8ポイント縮小して2.3ポイント。「小規模企業」が40を下回るのは2023年2月(38.4)以来。
・業界別DI
前月と比較可能な9業界中、前月比改善は1業界、横ばい1業界、悪化7業界となった。唯一改善の『金融』はDIを50台に戻し、悪化業界では『建設』の2.8ポイント減が最大幅。DI30台は前月と同じ3業界、40台はひとつ減って4業界、50台がその分増えて2業界。悪化業界が多い割に50台は前月から増えた。
・先行き見通しDI
「3カ月後」42.7、「6カ月後」45.0、「1年後」46.5となり、前月(43.1、44.0、44.8)と比べ「3カ月後」は下回ったが、「6カ月後」「1年後」は上回った。先へ行くほど上昇していく傾向に変化なし。足下、および、短期的には慎重な見方が鮮明だが、中長期的には改善の見通しがうかがえる。
■千葉県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
42.3 | -1.1 | 2カ月連続で悪化 |
・概況
「千葉」の景気DIは42.3となり2カ月連続で悪化した。企業からは、「トランプ関税に伴いメーカーの工事が中止された」(建設)、「円安によるコストの上昇と温暖化による不作で原料不足が響いている」(食料品卸売)、「物価高騰で買い控えがみられる」(各種商品小売)などの声が聞かれた。また、「トランプ関税の影響が読み切れない」(機械製造)という声は多く、先行きは不透明で、「今は様子見」というコメントもみられた。
・景気DI
「千葉」の景気DIは42.3となり前月比1.1ポイント減少、2カ月連続で悪化した。全国は前月から0.1ポイント減の42.6となり、「千葉」は全国を0.3ポイント下回り、全国順位は前月(10位)から16位へと後退した。
・規模別DI
「大企業」は46.9で2カ月ぶりに改善、前月比2.3ポイント上昇した。「中小企業」は同1.6ポイント減の41.6となった。これにより、「大企業」と「中小企業」との規模間格差は5.3ポイント(前月1.4ポイント)へと3.9ポイント拡大した。
・業界別DI
『その他』を除く9業界のうち、『不動産』『製造』『運輸・倉庫』の3業界は前月比改善、『農・林・水産』『金融』『サービス』の3業界は横ばい、『建設』『卸売』『小売』の3業界は悪化した。前月50台だった『建設』は再び40台へ悪化、『小売』は32.7となり、2021年7月(32.4)以来の低水準となった。
・先行き見通しDI
「3カ月後」は43.8(前月44.5)、「6カ月後」は43.8(同44.6)、「1年後」は44.3(同44.5)となり、3指標とも前月比悪化した。『農・林・水産』『不動産』以外の7業界は、「1年後」の見通しがいずれも50を割り込み、不透明感が広がっている。
■東京都
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
47.1 | 0.2 | 5カ月ぶりに改善 |
・概況
「東京」の景気DIは47.1で、5カ月ぶりに改善した。企業からは「当社所有ビルはほぼ満床であり、賃料引き上げについても応諾を受けるケースが多い」(不動産)、「都心部のホテルを中心にインバウンド需要が引き続き旺盛で、稼働状況、客室単価ともに高水準に推移している」(サービス)などの声が聞かれた。インバウンド需要は堅調で価格転嫁は進む一方で、トランプ関税や地政学リスクなど世界経済の情勢不安を勘案すれば、しばらくは一進一退で推移するとみられる。
・景気DI
「東京」の景気DIは47.1(前月46.9)で、5カ月ぶりに改善し、全国(42.6)を4.5ポイント上回った。都道府県別順位は3位となり、前月(4位)から1ランク上昇、『南関東』の1都3県で唯一、前月比で改善した。
・規模別DI
「大企業」(50.7)は前月比0.6ポイント増加、「中小企業」(46.1)は同0.2ポイント改善、「小規模企業」(47.0)は同1.1ポイントと8カ月ぶりに1ポイントを超える大幅な改善となった。規模間格差は4.6ポイントとなり、前月より0.4ポイント拡大した。
・業界別DI
全10業界中、7業界が改善し、3業界が悪化した。『運輸・倉庫』(46.2)は前月比で1.5ポイント増となり、3カ月ぶりに改善。また、『サービス』(51.6)も同0.3ポイント増となり、2カ月連続で改善した。一方で、『製造』(40.5)は同0.3ポイント減と2カ月連続で悪化した。
・先行き見通しDI
「3カ月後」(47.9、前月46.9)、「6カ月後」(47.9、同46.8)、「1年後」(48.0、同46.9)となり、すべての指標で1ポイント以上の改善となった。
■神奈川県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
43.1 | -0.8 | 2カ月連続の前月比悪化 |
・概況
「神奈川」のDIは2カ月連続の前月比悪化となった。一部では堅調との声が聞かれるもののその数は相対的に少なく、さまざまな業界から現状を憂慮する声が複数挙がっている。特に、「車関係が非常に悪い」、「大手自動車メーカー関連が落ち込んでいる」(製造)といった県経済への影響が大きい自動車産業やトランプ関税の動向、また、お米を含めた物価の高騰や消費者の節約志向を懸念する企業が多い。「物価高、人手不足など景気を上向きにする材料がない」(建設)など、先行きの不透明感は高まっている。
・景気DI
「神奈川」の景気DIは43.1と前月(43.9)から0.8ポイント減少し、2カ月連続の前月比悪化となった。2025年度に入って44.0を下回る低水準が続き、景況感の悪化が顕著に表れている。全国順位は10位で、前月の7位から下落した。
・規模別DI
「大企業」は47.0(前月比1.1ポイント減)、「中小企業」は42.6(同0.8ポイント減)、「小規模企業」は40.3(同1.0ポイント減)とそれぞれが2カ月連続の悪化となり、すべての規模でこの1年の最低値となった。「大企業」と「中小企業」の格差は4.4ポイントで、乖離幅は2カ月ぶりに縮小した。
・業界別DI
9業界中、『農・林・水産』『卸売』を除く7業界で前月比悪化となった。『小売』は2カ月連続の悪化で全業界で最低値となった。建材や電気・輸送用機械など『製造』も4カ月連続の悪化で、2021年2月以来の40.0を下回る低水準にとどまり、『建設』『不動産』『サービス』を加えた4業界はこの1年で最低となった。
・先行き見通しDI
「3カ月後」は44.9(前月44.9)で前月比横ばいとなり、「6カ月後」は45.1(同45.4)、「1年後」は45.7(同46.2)で、それぞれ前月比悪化となった。3指標とも『金融』を除くすべての業界で50.0を下回っており、なかでも『建設』『小売』『運輸・倉庫』は3指標とも前月より後退している。