■北関東ブロック
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
39.3 | -1.2 | 2021年5月以来のDI40割れ |
・概況
『北関東』の景気DIは39.3となり、3カ月連続で悪化した。前月から1.2ポイントの悪化となり、1ポイント以上の悪化は2024年1月以来で、DIが40を下回るのは2021年5月以来。燃料や電気代など価格高騰の影響を訴える声が引き続き聞かれるほか、トランプ関税の影響の声も聞かれた。全業界の中でDIが最も落ち込んだのは『製造』で、企業からは自動車や建機関連の受注減の影響の声が聞かれた。インバウンド需要を取り込む業界では好調さもうかがえるが、米国の関税政策など先行きの不透明感が増している。
・景気DI
『北関東』の景気DIは39.3となり前月から1.2ポイント悪化した。3カ月連続の悪化で、DIが40を割り込むのは2021年5月以来。域内5県では「茨城」「栃木」「群馬」の3県が悪化した。この3県は、いずれも前月から2ポイント以上の悪化で、全国10地域での順位は前月の7位から9位に後退した。
・規模別DI
「大企業」(43.7)、「中小企業」(38.7)、「小規模企業」(36.6)となり、2カ月ぶりに全ての規模で悪化した。悪化幅が一番大きかったのは「大企業」の前月比1.8ポイント減だった。この結果、「大企業-中小企業」の規模間格差は5.0ポイントとなり、前月から0.6ポイント縮小した。
・業界別DI
全10業界中、改善したのは『金融』『不動産』など4業界、悪化は『製造』『サービス』など6業界だった。悪化業界では、『製造』が前月比1.8ポイント減と悪化幅が一番大きく、次いで『サービス』が同1.6ポイント減となった。『製造』は4カ月連続の悪化だった一方で、『サービス』は4カ月ぶりに悪化した。
・先行き見通しDI
「3カ月後」(41.5、前月は41.4)「6カ月後」(42.7、同42.3)「1年後」(43.6、同43.8)となり、「3カ月後」「6カ月後」は前月から改善、「1年後」は前月から悪化した。現状(5月調査)で全国のDIを3.3ポイント下回っているが、「1年後」はその差が1.5ポイントまで縮小を見込む。
■茨城県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
39.1 | -2.0 | 28カ月ぶりに「40」を割り込む |
・概況
5月の景気DIは前月比2.0ポイント減の39.1となり、2023年1月以来、キープしてきた「40」の節目を下回った。「トランプ関税や国内の景気動向など不確実な要素が多すぎる」「米国と中国経済の動向に大きく左右される」など、先行きを危惧する声が企業から数多く上がっている。また、「人手不足が深刻であり、経営を続けていけるか心配」といった中小企業の人手不足感はさらなる強まりを見せている。大手自動車メーカーの工場閉鎖のニュースも製造業を中心に企業マインドを冷え込ませており、景況感の行方には注視が必要だ。
・景気DI
茨城の景気DIは前月比2.0ポイント減の39.1となり、節目となる「40」を割り込んだ。DIが「40」を下回ったのは2023年1月(39.6)以来、28カ月ぶり。原材料やエネルギー価格の高止まりが主なマイナス要因。不透明なトランプ関税や大手自動車メーカー工場閉鎖等のニュースもマインドを冷え込ませた。
・規模別DI
「大企業」は前月と変わらない41.0。一方、「中小企業」は前月比2.2ポイント減の38.9、「小規模企業」も同2.3ポイント減の38.6となった。「中小企業」「小規模企業」の悪化は、原材料やエネルギー価格の上昇、高止まりによる収益の悪化と改善の兆しが見えない人手不足、人件費の高騰などが下押し材料となった。
・業界別DI
『農・林・水産』『製造』『小売』など6業界が悪化。改善したのは『不動産』『運輸・倉庫』の2業界のみ。悪化幅が最も大きかった『農・林・水産』は深刻な人手不足、資材高による売上減や収益悪化を懸念したもの。一方、改善した『不動産』は、TX沿線など県南地区での宅地用地、テナント需要の拡大がプラス材料となった。
・先行き見通しDI
「3カ月後」は41.6で前月から横ばい。「6カ月後」42.3、「1年後」42.5となり、ともに前月を下回った。企業からは「長引く景気の低迷からいつ抜け出せるのか見通しが立たない」「節約意識の高まりにより消費者の価格の選別が徹底されており、売上の前年割れが続いている」など、先行きを不安視する声が多数聞かれる。
■栃木県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
38.4 | -2.4 | 11カ月ぶりに30台、不況鮮明 |
・概況
5月の景気DIは4カ月連続で悪化し、県内の企業マインドは明らかに冷え込んでいる。30台は11カ月ぶりで、大半の業界で悪化が見られた。米国の関税政策の結論が先送りされる中、すでに輸出産業に関わる企業では生産調整や発注を手控える様相もある。一方では円高に振れたこともあって、「儲かっていた業界が沈みつつある」状況で、県内の景況全般にも派生的に悪影響が出ている。物価高、消費の低調も見られ、一朝一夕での改善は難しく、県内経済の弱含みはしばらく続くものと推測される。
・景気DI
5月の景気DIは38.4と前月比2.4ポイントの悪化を示し、2024年6月以来11カ月ぶりに30台となった。トランプ関税の落とし所が全く見えてこない不透明感に加えて、長引く物価高騰に伴うコスト高が中小企業の収益を大きく毀損している状態は変わらない。県別順位は38位、『北関東』の悪化傾向は懸念材料だ。
・規模別DI
「大企業」41.7(前月46.5)、「中小企業」37.8(同39.7)、「小規模企業」36.0(同38.8)と、全てのカテゴリーで前月から悪化した。自動車製造業を見ても、関税の影響から大企業は発注を控え、中小企業では生産調整を余儀なくされる事態も出始めており、関税政策の影響はすでに出ていると見込まれる。
・業界別DI
主要6業界では、『サービス』を除く全ての業界が悪化、牽引役の『建設』も3カ月連続で下落し辛うじて40台にとどまった。『製造』は一気に35.2と前月比4.1ポイント悪化、『小売』は29.4と、30を割り込んだ。トランプ関税がトリガーとなって、一段の消費の減退が発生している様子が推測できる。
・先行き見通しDI
「3カ月後」42.1(前月43.2)、「6カ月後」42.8(同42.6)、「1年後」41.1(同41.8)と、引き続き低調であった。「資材高騰は今でも続いている」(建設)や、「関税の影響はこれから本格化する」(製造)など、先行きに対する懸念は非常に強く、人件費などコストの吸収が難しい様子だ。
■群馬県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
37.9 | -2.8 | 2カ月連続で悪化 |
・概況
群馬県内企業からは「教育現場における端末の整備・更新需要が増加している」(サービス)との明るい声が聞かれるものの、「新年度予算の縮小が相次ぎ、入札の不調・不落が多発している」(建設)、「コスト負担が増加する一方、価格転嫁は進んでいない」(卸売)、「工場などの設備投資が先送り・縮小」(製造)など厳しい意見は多い。大企業の景況感がマイナスに転じた結果、5月の景気DIは2カ月連続で悪化した。実体経済の厳しい見立てやトランプショックによる世界経済の不確実性を考慮すると、景気は弱含みでの推移が予想される。
・景気DI
景気DIは前月比2.8ポイント減の37.9と2カ月連続で悪化。4カ月ぶりに40を割り込んだ。『全国』の悪化幅(前月比▲0.1)は「群馬」よりも小さく、「群馬」の47都道府県別順位は39位(前月29位)に低下した。『北関東3県』においては「茨城」「栃木」を下回った。
・規模別DI
「大企業」は前月比4.9ポイント減の46.4となり、3カ月ぶりに悪化。「中小企業」は同2.9ポイント減、「小規模企業」も同3.9ポイント減とそれぞれ3カ月連続で悪化した。「中小企業」が38を下回るのは2022年6月以来。
・業界別DI
前月と比較可能な9業界では、『製造』『小売』など6業界が悪化、『運輸・倉庫』など3業界が改善した。トランプ政権の高関税政策の余波などを受けた『製造』『卸売』は2カ月連続で悪化。物価高を背景に消費者の買い控えがみられる『小売』は2カ月ぶりに悪化した。
・先行き見通しDI
「3カ月後」が39.5(前月40.4)、「6カ月後」が40.0(前月40.3)、「1年後」が42.7(前月42.5)となった。「3カ月後」「6カ月後」の2指標が前月より悪化。「1年後」は改善した。物価高やトランプ関税の動向をにらみ、年末までの景況感を不安視する様子がうかがえる。
■山梨県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
42.0 | 0.2 | 2カ月ぶりに改善 |
・概況
「山梨」の景気DIは2カ月ぶりに改善した。企業からは、「公共工事発注の分散で閑散期であった4~5月が、繁忙期と同様だった」(メンテナンス・警備・検査)などの声が聞かれた。一方、「自動車、半導体関連ともに業況が悪い状態が継続し、好転の兆しが見えない」(精密機械製造)、「仕事はあるが、人手不足でこなせない」(建設)などのマイナスの声もある。先行きについては、インバウンド消費で観光関連は堅調であるが、物価高・人手不足を懸念する声が多く聞かれることから、景況感は一進一退が続くとみられる。
・景気DI
「山梨」の景気DIは前月比0.2ポイント増の42.0となり、2カ月ぶりに改善した。全国は同0.1ポイント減の42.6だった。「山梨」は全国を0.6ポイント下回り、全国都道府県別順位は前月の24位から17位に上がった。
・規模別DI
「大企業」は前月比1.6ポイント増の46.4、「中小企業」は同0.1ポイント増の41.4、「小規模企業」は同0.8ポイント増の38.3となった。「大企業」と「中小企業」との規模間格差は、「大企業」が大きく改善したため、前月より1.5ポイント拡大して5.0ポイント差となった。
・業界別DI
前月と比較可能な10業界中、5業界が改善、2業界が悪化、3業界が横ばいとなった。『製造』は、4カ月ぶりに改善したが、半導体製造装置関連の回復が予定より遅れており、判断の分かれ目となる50を大きく下回る37.5となっている。
・先行き見通しDI
「3カ月後」43.0(前月42.2)、「6カ月後」43.9(同42.6)、「1年後」44.2(同44.0)となった。3指標とも前月を上回り、先に行くほどDIは高くなっている。『農・林・水産』『金融』『不動産』『その他』の4業界が、3指標とも50以上となっている。
■長野県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
39.5 | 0.4 | 2カ月連続改善ながら、5カ月連続の30台 |
・概況
「長野」の景気DIは2カ月連続で改善した。しかし、5カ月連続して40以下の低水準で推移し、都道府県別順位も30番台後半から40番台前半と低迷が続く。このため企業からは、「物価高騰の影響で消費や設備投資が低迷している影響か、荷動きが悪い」(運輸・倉庫)、「価格値上げにより売り上げは上昇気味であるが、顧客の買い上げ点数は下降気味である。したがって買い物控えがあるのではないかと思われる。景気は決して良い状況ではない」(飲食料品小売)など景気改善に対して懐疑的、否定的な声が多い。
・景気DI
「長野」の景気DIは39.5と、前月比0.4ポイント上昇し2カ月連続で改善した。また、同0.1ポイント低下した「全国」を3.1ポイント下回ったが、格差は0.5ポイント縮まった。都道府県別順位は35位と前月から2ランクアップ、前年同月からは6ランク上昇した。
・規模別DI
規模に比例しDIは高いが、前月比で「大企業」が0.7ポイント悪化した一方、「中小企業」は0.6ポイント、「小規模企業」は0.8ポイントともに改善。規模間格差は「大企業」と「中小企業」が1.3ポイント、「中小企業」と「小規模企業」は0.2ポイント、「大企業」と「小規模企業」は1.5ポイントそれぞれ縮小した。
・業界別DI
前月大幅に改善した『サービス』が反動もあり前月比4.4ポイント減少し、主要業界で唯一の悪化。ほかは『小売』の同4.7ポイントを筆頭に、『建設』(同2.1ポイント)、『運輸・倉庫』(同1.9ポイント)、『卸売』(同0.7ポイント)、『製造』(同0.4ポイント)がそれぞれ改善した。
・先行き見通しDI
「長野」全体、規模別の「中小企業」と「小規模企業」、業界別の『製造』は、前月に続き長期になるほど改善する予想。『卸売』は一進一退、『小売』は1年後の改善、「大企業」、『建設』、『運輸・倉庫』は1年後の悪化を見込む。「長野」全体としては、29カ月連続で長期になるほど改善を予想している。