■東北ブロック
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
37.9 | -0.4 | 5カ月連続の悪化 |
・概況
景気DI(37.9)は5カ月連続で悪化し、2023年2月(37.2)以来26カ月ぶりの低水準となった。なかでも『宮城』(35.6)の落ち込みが激しく、前月から2.7ポイント減少し、都道府県別順位は最下位に転落している。企業からは、物価・燃料高による生活防衛意識の高さを指摘する声が多く聞かれ、個人消費の冷え込みから売り上げが伸び悩む様子が窺えた。先行きの見通しに関しても、米国の相互関税政策を理由に景気後退懸念が強まっており、さらに落ち込む可能性も否定できず、当面の間は足踏み状態が続くと思われる。
・景気DI
景気DI(37.9)は前月比0.4ポイント減少し、5カ月連続で悪化した。『全国』(42.7)との格差は4.8で同0.4ポイント縮小した。県別は改善2県(「岩手」「秋田」)、悪化4県(「青森」「宮城」「山形」「福島」)となった。
・規模別DI
「大企業」(41.9)が前月比2.3ポイント、「中小企業」(37.5)が同0.1ポイントそれぞれ減少した。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は4.4となり、同2.2ポイント縮小した。
・業界別DI
改善が『卸売』『運輸・倉庫』『金融』などの4業界、悪化は『農・林・水産』『建設』『不動産』などの6業界となった。『農・林・水産』(53.0)が最も高く、『小売』(33.3)が最も低かった。
・先行き見通しDI
「3カ月後」は39.8(当月比1.9ポイント増)、「6カ月後」は40.7(同2.8ポイント増)、「1年後」は41.1(同3.2ポイント増)となり、前月と比較して3指標全てで悪化した。
■青森県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
40.4 | -0.5 | 2カ月ぶりに悪化 |
・概況
青森の景気DIは40.4となり、前月から0.5ポイント悪化した。地元での水揚げ不振から「飲食料品・飼料製造」の悪化傾向が続いているほか、物価高の影響により「飲食料品卸売」と「飲食料品小売」がともに悪化傾向を示した。また、一時は大雪による除排雪作業の増加によって改善傾向にあった「建設」も、公共投資の減少により悪化に転じている。人件費の上昇圧力が強まるなか、価格転嫁が難しい中小企業の収益環境は厳しく、また企業規模や業種による格差が拡がっている。今後もしばらくは一進一退の足踏み状態が続く可能性が高い。
・景気DI
景気DIは40.4となり、前月から0.5ポイント悪化した。都道府県別順位は前月と同位の34位となっており、東北6県の中では秋田に次ぐ上位を維持している。企業を取り巻く環境は厳しく、『建設』、『卸売』、『運輸・倉庫』の景気DIが悪化した。
・規模別DI
「大企業」は44.4と前月より7.5ポイント悪化したが、「中小企業」は40.1と同0.4ポイント改善した。「小規模企業」では37.7と同2.4ポイント悪化した。全体では景況感は悪化傾向が見られる。
・業界別DI
「飲食料品小売」と「飲食料品卸売」がともに悪化しており、米をはじめとした物価高が要因となり、全体を押し下げた。また、「建設」と「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」もともに悪化しており、公共工事をはじめとした建設全般で悪化した。
・先行き見通しDI
先行き見通しDIは、「3カ月後」および「6カ月後」が前月より悪化、「1年後」は改善した。物価高の影響などから、短期における見通しが悪い状態が続いている。
■岩手県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
37.8 | 2.0 | 2カ月ぶりに改善 |
・概況
景気DIは前月比2.0ポイント増となったが、5カ月連続で40を下回った。「大企業」は判断の分かれ目となる50を5カ月連続で下回り、「中小企業」は7カ月連続で40を下回った。業界別では引き続き『製造』卸売』『小売』『サービス』の苦境が目立つ。先行き見通しとしては、「1年後」が『東北』の中で最低にとどまる。物価高や人件費上昇に加えて、トランプ関税の影響も懸念される状況にあり、当面は一進一退の景気動向が続くと見込まれる。
・景気DI
景気DIは前月比2.0ポイント増の37.8となり、2カ月ぶりに改善したが、5カ月連続で40を下回った。なお、前月の都道府県順位は全国47位であったが、当月は同42位となった(前年同月の順位は全国44位)。
・規模別DI
「大企業」は前月比0.7ポイント増の43.3となったが、判断の分かれ目となる50を5カ月連続で下回った。「中小企業」は同2.0ポイント増の37.2となったが、7カ月連続で40を下回った。この結果、「大企業」と「中小企業」の格差は6.1となった(前月は7.4)。
・業界別DI
『農・林・水産』と『サービス』が悪化、『金融』『不動産』『その他』が横ばい、『卸売』など5業界が改善した。特に『卸売』のDIは前月比7.1ポイント増となった。それでも、『卸売』は33.3にとどまったほか、『製造』や『サービス』も40に届かず、『小売』に至っては8カ月連続で30を割り込んだ。
・先行き見通しDI
「3カ月後」は40.3まで持ち直したが、「6カ月後」が40.6で変わらず、「1年後」は38.9に悪化した。「1年後」は『東北』の中で岩手が最も低く、判断の分かれ目となる50を大きく下回るなど、厳しい先行き見通しが示されていると言える。
■宮城県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
35.6 | -2.7 | 2カ月ぶりの悪化 |
・概況
景気DI(35.6)は2カ月ぶりに悪化し、都道府県別順位は47位と最下位に沈んだ。業界別では、『金融』を除く全業界で前月から悪化し、7業界で40を下回った。なかでも『小売』(26.7)は度重なる仕入価格の上昇に価格転嫁が追いつかず再び30を下回った。また、『建設』や『不動産』においても建設コストの上昇が景気動向に影響を及ぼしている。今後については、景気が上向く要因に欠き、米国の相互関税政策による先行きの不透明感が高まっている。景気動向はさらに落ち込む可能性も否めず、当面は低調に推移するだろう。
・景気DI
景気DI(35.6)は前月比2.7ポイント減少し、2カ月ぶりに悪化した。『全国』(42.7)との比較では7.1ポイント下回り、格差は1.9ポイント拡大し、4カ月連続で40台を下回った。都道府県別順位は前年同月の44位から最下位へ転落した。
・規模別DI
「大企業」(43.3)は前月比2.5ポイント、「中小企業」(34.7)は同2.7ポイントそれぞれ減少し、「大企業」と「中小企業」の格差は8.6で同0.2ポイント拡大した。
・業界別DI
改善した業界はなく、悪化は『農・林・水産』『建設』『不動産』など9業界、横ばいは『金融』の1業界となった。『その他』を除く9業界のうち『金融』(50.0)が最も高く、『小売』(26.7)が最も低かった。
・先行き見通しDI
「3カ月後」は37.4(当月比1.8ポイント増)、「6カ月後」は38.6(同3.0ポイント増)、「1年後」は39.6(同4.0ポイント増)となった。全ての指標で40を下回り、前月と比較して全ての指標で悪化した。
■秋田県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
41.2 | 2.1 | 2カ月ぶりに改善 |
・概況
景気DIは、『全国』が前月比0.8ポイント、『東北』が同0.4ポイントそれぞれ悪化した。『東北』では、本県と「岩手」の2県が改善、「青森」「宮城」「福島」「山形」の4県が悪化した。依然としてガソリン価格や光熱費が高騰しているほか、米をはじめ、その他の食品類も高値で推移している。この影響で消費は弱含みで推移しているほか、トランプ米国大統領の関税政策の動向が先行きに対しての大きな懸念材料となっている。このため、景況感の回復にはしばらく時間が必要との見方が多い。
・景気DI
「秋田」の景気DIは41.2と3月を2.1ポイント上回り、2カ月ぶりにやや改善した。『東北』6県では前月の第2位から第1位へアップし、『東北』を3.3ポイント上回った。また、『全国』(42.7)を1.5ポイント下回ったものの、前月の第39位から第25位にアップした。
・規模別DI
規模別では、「大企業」(45.8)が前月と同水準であったが、「中小企業」(40.7)は2.2ポイントアップした。これにより、「大企業」と「中小企業」の格差は2カ月連続で縮小した。
・業界別DI
業界別では、『サービス』『製造』『その他』の3業界が悪化したが、『建設』『農・林・水産』『不動産』『卸売』『小売』の5業界が前月比で改善した。改善したなかでは、『卸売』(46.1)の前月比7.5ポイント増が目立った。
・先行き見通しDI
先行き見通しDIは、「3カ月後」40.6、「6カ月後」42.5、「1年後」43.0と徐々に改善するという見方が多いが、格別に明るい材料は見当たらず、引き続き低調な推移が続くとの見方である。
■山形県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
36.5 | -0.3 | 3カ月連続の悪化 |
・概況
「県内需要は横ばい、当地に関しては地域ブランドがある程度浸透してきており、回復から成長に移っている」(旅館・ホテル、中小企業)など、限定的ながら改善に向かう声が聞かれる。しかし、一方で「企業の設備投資意欲が低い、建設業の動きが特に鈍い」(サービス、小規模企業)、「トランプ関税発動で買い控えが起きている」(製造、小規模企業)、「値段の高止まりの状態で、新築工事の現場は少ない」(建設、小規模企業)など、依然として厳しい状況を反映するコメントが多数を占め、景気DI悪化の背景がみてとれる。
・景気DI
「山形」の景気DIは前月比0.3ポイント低下の36.5となり、3カ月連続して悪化した。『全国』は同0.8ポイント低下の42.7を示したなか、『東北』は同0.4ポイント低下の37.9と5カ月連続の悪化を示し、全国的にも最低水準となった。
・規模別DI
「大企業」は前月比2.6ポイント改善し39.3、「中小企業」は同0.6ポイント悪化の36.2、うち「小規模企業」は同2.6ポイント悪化の35.5となり、「中小企業」および「小規模企業」は3カ月連続の前月比悪化となった。小規模企業において苦戦の色が濃く現れる結果となった。
・業界別DI
業界別では『金融』を除く比較可能な8業界において、『農・林・水産』『建設』『不動産』『製造』『運輸・倉庫』の5業界が前月比悪化となった。『卸売』『小売』『サービス』の3業界は改善した。特に『製造』は3カ月連続悪化を示す一方、『小売』については4カ月ぶりの改善となった。
・先行き見通しDI
「3カ月後」は前月比1.1ポイント悪化し40.3、「6カ月後」は同1.6ポイント悪化の41.0、「1年後」は同0.5ポイント悪化の42.6を示した。「山形」の先行き見通しDIは3指標全て2カ月連続の悪化、なかでも「6カ月後」「1年後」は3カ月連続前月比悪化となり厳しい見方が根強い。
■福島県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
38.9 | -0.2 | 2カ月連続で悪化 |
・概況
2業界が悪化し「福島」の景気DI(38.9)は前月比0.2ポイント悪化した。企業からは「若干であるが前年と比較して増収基調」(サービス)との声がある一方、「公共事業が少なく入札件数も減少」(建設)、「見積り案件が少なく、注文数も低下」(製造)、「価格転嫁が遅れている」(卸売)、「ガソリン補助がなくなり燃料費が高騰」(運輸・倉庫)等の声が届いている。景気DIが示すように厳しいコメントが多数を占めているほか、トランプ関税の影響を懸念するコメントもみられ、今後の景気動向が弱含みで推移する可能性を否定できない。
・景気DI
「福島」の景気DIは、38.9と3月を0.2ポイント下回って、2カ月連続で悪化、30台にとどまった。『全国』の景気DIは、前月(43.5)から0.8ポイント下回り、42.7であった。「福島」の都道府県別順位は、前月の第39位から第38位となった。
・規模別DI
「大企業」(37.5)は前月比7.6ポイント低下、「中小企業」(39.0)は同0.6ポイント上昇、「小規模企業」(38.4)は同0.3ポイント上昇した。格差(大企業-中小企業)は▲1.5となり、5カ月ぶりに「中小企業」が「大企業」を上回った。
・業界別DI
『運輸・倉庫』『不動産』『サービス』『卸売』『製造』は改善したが、『建設』『小売』の2業界が悪化した。『運輸・倉庫』は5カ月ぶりに40台に上昇したものの、『建設』は8カ月ぶりに30台に低下したほか、『小売』は8カ月連続、『製造』においては15カ月連続で30台にとどまった。
・先行き見通しDI
「1年後」の先行き見通しDIは4業界が当月からの改善を見込んでいる。特に『製造』は当月(34.2)から11.7ポイント、『小売』は同(35.0)2.5ポイントの改善を見込んでいる。一方、業界比率の突出している『建設』の「1年後」は、同(37.7)2.2ポイントの悪化を見込んでいる。