レポートTDB景気動向調査2025年04月(北陸ブロック:新潟・富山・石川・福井)

2025/05/07
景気動向  アンケート

■北陸ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.2

-0.4

2カ月連続で悪化、「石川」は全国3位

・概況

トランプ関税の影響がどこまで出るかが4月の焦点だったが、「設備投資を控える動き」(建設)、「自動車部品、電池関連部品、減速機、ロボットなど軒並み大減産」(製造)、「金型業界は30%減でまだましな方」(同)、「受注大幅減。先行きが見えない」(精密機器)、「円安で輸入品の販売価格が大幅にアップ」(小売)などの声があった。本格的な影響が出るのはこれからだ。頼みの綱は「公費解体工事が10月まで続く」(サービス)、「住宅着工の増加」(機械器具卸)との声に象徴される能登の震災復興需要とインバウンドであろう。

・景気DI

『北陸』の景気DIは前月比0.4ポイント減の40.2。2カ月連続で悪化した。「福井」が同2.6ポイント減の38.5、「新潟」が同1.0ポイント減の37.4と落ち込みが大きい。一方、「石川」は同2.4ポイント増の47.1と2カ月連続で改善し、全国第3位。前月、落ち込みの大きかった「富山」も改善した。

・規模別DI

3指標とも悪化した。「大企業」が前月比1.9ポイント減の45.4と特に落ち込みが大きく、「中小企業」が同0.2ポイント減の39.1、「うち小規模」が同0.3ポイント減の38.1と悪化した。「大企業」と「中小企業」の規模間格差は6.3(前月8.0)に縮小。

・業界別DI

水準が最も低いのは『製造』。前月比1.9ポイント減の34.2と落ち込みも大きい。『卸売』『小売』も低調。『金融』が同0.5ポイント減の46.9と4カ月連続、『サービス』が同0.1ポイント減の47.3と3カ月連続で悪化した。反面、『運輸・倉庫』が同5.8ポイント増の42.6と5カ月ぶりに改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が41.8(前月42.3)、「6カ月後」が42.5(同43.7)、「1年後」が43.4(同44.7)と、3指標いずれも悪化した。トランプ関税の衝撃を受けて先行きの不透明感は増している。もっとも、4月の景況感は一段と悪化したとはいえ悪影響は徐々に緩和、改善へ向かうとの共通認識はあるようだ。

■新潟県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

37.4

-1.0

2カ月連続で悪化、DIは37ポイント台に突入

・概況

「もはや全業種良くない」(機械メーカー)、「全業種が低迷」(スクラップ業者)との声にみられる通り、景況感は非常に悪い。当然だが、トランプ関税の影響を懸念する製造業からは「設備投資が抑制傾向になっている」とする声や実際に減産や受注減が始まっているとの声があり、個人消費低迷に苦しむ小売業者からはもう一段の物価高を予測する声が聞かれた。好況とする声はあまりないが、インバウンドや震災復興需要を取り込めている企業、県外への販路開拓や地道なコスト低減に取り組んでいる企業などが少数だがある。

・景気DI

「新潟」の景気DIは、前月比1.0ポイント減の37.4と2カ月連続で悪化した。トランプ関税の影響がどこまで出るかが焦点だったが、景況感は一段と冷え込んでいる。DIが37ポイント台へ突入したのは2024年1月以来。北陸4件中では最下位が継続、全国では第43位(前月44位)。

・規模別DI

「大企業」は前月比2.3ポイント減の39.4と大幅に悪化。「中小企業」は同0.9ポイント減の37.0と2カ月連続で悪化し、「うち小規模」も同0.6ポイント減の35.3と一段と景況感が冷え込んだ。大企業と中小企業の規模間格差は2.4(前月3.8)と縮小、トランプ関税の影響は前者により大きく出ている。

・業界別DI

『製造』が前月比0.8ポイント減の28.2と低迷が続く。『サービス』が同2.3ポイント減の44.6と3カ月連続、『小売』も同5.4ポイント減の31.9と2カ月連続で悪化した。反面、『運輸・倉庫』は同10.6ポイント増の45.8と大幅に改善。利上げの恩恵で『金融』も同1.4ポイント増の50.0と好調。

・先行き見通しDI

景況感の冷え込みを反映し、「3カ月後」が39.7(前月40.6)、「6カ月後」が40.8(同41.9)、「1年後」が42.0(同43.2)と、3指標すべてが悪化した。「3カ月後」が40の大台を割り込むのは2022年3月以来。「6カ月後」「1年後」もコロナ禍中の2021年以来の低水準となっている。

■富山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.9

1.5

前月から改善も、先行きは不透明

・概況

「富山」の景気DIは前月比1.5ポイント増の42.9に改善し、全国順位は13位と前月の29位から上昇した。「北陸」は新潟、福井の悪化が影響し40.2と前月40.6から若干低下した。全国DI42.7との格差は縮まった。「震災の復興が徐々に進み微増となる期待」(建設)の声が聞かれた一方、「トランプ関税の影響が不透明」(機械製造業)(輸送機械製造)などの声は多くみられた。大企業、中小、小規模ともに景気DIは改善したが、楽観視はできず、今後の動向を注意深く見守って行く必要があろう。

・景気DI

「富山」の景気DIは、42.9と前月比1.5ポイント改善した。石川は2カ月連続改善した一方、新潟、福井は悪化した。「北陸」のDIは前月比0.4ポイント減の40.2と2カ月連続悪化し、全国は前月比0.8ポイント減の42.7となった。「富山」の都道府県別順位は前月の29位から13位へと上昇した。

・規模別DI

「大企業」(50.0)は前月比2.4ポイント増、「中小企業」(40.8)は前月比1.1ポイント増、「小規模企業」(36.8)は同1.6ポイント増と、全ての規模で改善した。「大企業」と「中小企業」の規模間格差は9.2ポイント(前月7.9ポイント)と依然として大きい結果となった。

・業界別DI

10業界中、前月比改善は「建設」「卸売」「小売」「サービス」の4業界となった一方、同悪化は「農・林・水産」「金融」「製造」「運輸・倉庫」の4業界となった。特に「金融」「運輸・倉庫」の悪化が目立ったうえ、景気判断の分かれ目となるDI50を上回った業界はなかった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(当月比0.3ポイント増)、「6カ月後」(同1ポイント増)、「1年後」(同2.5ポイント増)と、先に行くほど改善する見通しとなった。業界別では、「製造」「建設」は先行きに対する改善の期待が窺えた。一方、「サービス」は不透明感が払拭できない結果となった。

■石川県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

47.1

2.4

1年ぶりの2カ月連続改善で全国3位へ急浮上

・概況

「石川」の景気DIは、前月比2.4ポイント改善の47.1となった。2カ月連続の改善で、都道府県順位は3位に急浮上した。同順位で3位となるのは1年7カ月ぶり。能登半島地震による復興特需の遅れを危惧する声が聞かれた反面、その恩恵によって景況感が底上げされている面も否めない。復興特需とインバウンド需要が当面の間継続することが見込まれる一方、物価高騰や人材難などの経営課題に加え、トランプ関税による世界経済の見通しの悪さが県内企業にどのように影響するのか、引き続き動向を見守っていく必要があろう。

・景気DI

「石川」の4月の景気DIは、前月比2.4ポイント改善の47.1となった。2カ月連続の改善は2024年4月以来1年ぶり。前年同月を上回ったほか、今年に入って最も高い水準となった。大幅な改善が都道府県別順位を大きく押し上げて3位(前年同月8位、前月9位)となり、大きく躍進した。

・規模別DI

「大企業」のDIは前月から1.9ポイント後退し52.3、「中小企業」は2カ月連続の改善で45.5(前月42.3)となった。また、小規模事業者は4カ月連続の改善かつ大幅改善で48.5となった。中小企業の改善が進んだことと大企業の後退によって、両者の格差は大きく改善し6.8(前月11.9)まで縮小した。

・業界別DI

8業界のうち6業界で改善ないしは横ばい、2業界で悪化した。3カ月連続だった『運輸・倉庫』で大きく改善したほか、低迷が続いていた『小売』でも大幅な改善となった。4カ月連続で50を上回る『建設』では、復興工事の遅れを危惧する声が聞かれたものの、その特需の恩恵もあり53.5となった。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIでは「3カ月後」が5カ月ぶりに改善に転じた。ただし、現在のDIとほぼ横ばいであることから、依然としてスピーディな景気回復への期待感は乏しい。「6カ月後」「1年後」は、トランプ関税による影響など世界経済の先行きへの不安感から、ともに微減となった。

■福井県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.5

-2.6

3カ月ぶりに悪化

・概況

新幹線開業1周年や春を迎え桜が開花するなどで多くのイベントが開催。新年度を迎え入学式や転勤、GWを控え旅行等の準備で外出する機会が一気に増加し人流、物流ともに改善。ただ全体の景況感を押し上げる力はなく、卸売、小売のみの改善にとどまり改善幅も小幅に抑えられた。企業からは従来同様に「物価高や原材料・燃料費の高止まり」の声が聞かれるが、今回から新たに「トランプ関税」の文言が加わった。小規模~大規模企業に至るまでトランプという文言が聞かれ、先行きの不透明さから、景況感は今しばらく一進一退が続くとみる。

・景気DI

「福井」の景気DI(38.5)は前月比2.6ポイント減と3カ月ぶりに悪化。業界別に見ると『建設』が全業界で最大の落ち込みを示したほか、『製造』も大きく悪化。規模別では大企業~小規模企業のすべてが悪化し、全体の景況感を押し下げた。県別順位は40位(前月30位)。

・規模別DI

「大企業」42.1(前月比6.9ポイント減)、「中小企業」37.6(同2.1ポイント減)、「小規模企業」38.2(同5.1ポイント減)。1月以来の全指標悪化に加え、大企業~小規模企業のいずれも過去1年間の最低値を記録。大企業の落ち込み幅が全規模で最大を示し、全体の景況感を押し下げた。

・業界別DI

前月と比較可能な8業界中2業界が改善、3業界が横ばい、3業界が悪化。GWを控え、『卸売』『小売』の流通業が改善したものの、『建設』『製造』『運輸・倉庫』が悪化。『建設』は県内の企業数が最も多く、『製造』は「ものづくり福井」を代表する業界、2大業界の悪化がDIに色濃く反映された。

・先行き見通しDI

「3カ月後」40.7、「6カ月後」40.7、「1年後」40.5。3カ月後までは改善、その後は横ばいが続くとみている。福井駅前再開発などで好況を示す『不動産』のみが、今後1年間DI50を維持する一方、昨年5月以降DI30台が続く『製造』でも、1年後には40台に回復するとみている。

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