レポートTDB景気動向調査2025年04月(中国ブロック:鳥取・島根・岡山・広島・山口)

2025/05/07
景気動向  アンケート

■中国ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.4

-1.5

2カ月ぶりに悪化

・概況

『中国』の景気DIは2カ月ぶりに悪化した。前月から1.5ポイント以上下回るのは2023年1月以来。『サービス』はインバウンド需要に支えられているものの、横ばいを挟み7カ月連続で悪化した。輸出関連産業を中心に、トランプ関税の影響を受ける『製造』は4カ月連続で40を割った。物価高に伴い、買い控えが続く『小売』は3カ月ぶりに40を下回った。トランプ政権の誕生から100日が経過し、二転三転する関税政策によって多くの業界が影響を受けている。不確実性の高い状態が続き、景気は後退局面に入りはじめている。

・景気DI

『中国』の景気DIは前月比1.5ポイント減の41.4となり、2カ月ぶりに悪化した。42を下回るのは26カ月ぶり。「鳥取」「島根」を除く3県が悪化した。「全国」(42.7)より1.3ポイント低く、「全国」を5カ月連続で下回った。全国10ブロック別の順位は、前月から横ばいの5位だった。

・規模別DI

「大企業」は前月比3.0ポイント減の42.9となり、2カ月ぶりに悪化した。「中小企業」は1.2ポイント減の41.2となり、2カ月ぶりに悪化した。うち「小規模企業」は0.3ポイント増の40.7となり、3カ月連続で改善した。「大企業」が「中小企業」を横ばいを挟み26カ月連続で上回ったが、格差は縮小した。

・業界別DI

9業界が悪化、1業界が改善となった。『サービス』の悪化幅が大きく、前月比3.3ポイント減の46.2となり、横ばいを挟んで7カ月連続で悪化した。『製造』は1.5ポイント減の37.6となり、4カ月連続で40を割った。『小売』は1.5ポイント減の39.5となり、3カ月ぶりに40を下回った。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比1.4ポイント減の43.1で、横ばいを挟み5カ月連続で悪化した。「6カ月後」は1.5ポイント減の43.4で、2カ月ぶりに悪化した。「1年後」は1.6ポイント減の43.8で、5カ月連続で悪化した。2カ月ぶりに3指標がそろって悪化し前年同月比では5カ月連続で3指標がそろって悪化した。

■広島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.6

-2.7

2カ月ぶりに悪化

・概況

「広島」の景気DIは2カ月ぶりに悪化した。前月を2ポイント以上下回るのは、2022年1月以来。輸出関連産業を中心に、トランプ関税の影響を受ける『製造』は11カ月ぶりに40を下回った。物価高に伴い、買い控えが続く『小売』も再び40を下回った。『サービス』はインバウンド需要に支えられてきたものの、27カ月ぶりに44を割り込んだ。トランプ政権の誕生から100日が経過し、二転三転する関税政策によって多くの業界が影響を受けている。不確実性の高い状態が続き、景気は後退局面に入りはじめてい

・景気DI

「広島」の景気DIは前月比2.7ポイント減の40.6となり、2カ月ぶりに悪化した。41を下回るのは31カ月ぶり。前月を2ポイント以上下回るのは、2022年1月以来。「全国」(42.7)より2.1ポイント低く、「全国」を5カ月連続で下回った。都道府県別の順位は、前月の19位から32位へ大きく後退した。

・規模別DI

「大企業」は前月比2.0ポイント減の44.1で、2カ月ぶりに悪化した。「中小企業」は2.9ポイント減の40.0で、3カ月ぶりに悪化した。うち「小規模企業」は2.0ポイント減の39.0で、3カ月ぶりに悪化して40を下回った。「大企業」が「中小企業」を23カ月連続で上回り、格差は2カ月連続で拡大した。

・業界別DI

8業界が悪化、1業界が改善、1業界が横ばいとなった。『製造』は、前月比3.7ポイント減の37.8となった。40を下回るのは11カ月ぶり。『小売』は2.6ポイント減の37.9となり、3カ月ぶりに悪化した。『サービス』は5.9ポイント減の43.8となり、27カ月ぶりに44を下回った。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比1.8ポイント減の42.5、「6カ月後」は2.3ポイント減の41.8で、ともに2カ月ぶりに悪化した。ただ、「1年後」は2.3ポイント減の42.3になり、5カ月連続で悪化した。前年同月比では、3指標がそろって3カ月連続で悪化した。

■鳥取県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.7

0.5

2カ月連続改善

・概況

「鳥取」は2カ月連続の改善となり全国順位も前月比7ランクアップの29位となった。一方で、『全国』や『中国』では悪化となっている所が多く見られたほか、「鳥取」も先行き見通しは3指標ともに悪化した。トランプ関税による不透明感に加え、物価や金利の上昇などインフレ懸念の声が多く聞かれた。米中貿易戦争の再燃は国内外の景気減速の要因になるほか、賃上げの流れから国内インフレ傾向が続くことを勘案すれば、暫くは一進一退で推移するものとみられる。

・景気DI

「鳥取」の景気DIは前月比0.5ポイント増の40.7となった。中国ブロックでは「鳥取」と「島根」を除く3県は悪化したほか、『全国』も前月比0.8ポイント減の42.7となったため、鳥取の全国順位は前月比7ランクアップの29位となった。なお、『中国』も前月から1.5ポイント減の41.4となった

・規模別DI

「大企業」は前月比5.5ポイント増の33.3となったほか、「中小企業」も同0.4ポイント増の41.2となった。これにより規模間格差の逆転現象は7.9にまで縮小したが、逆転現象は11カ月連続。「うち小規模」は同5.2ポイント増の50.0と規模が大きいほど厳しい結果となった。

・業界別DI

前月から改善したのは『建設』、『不動産』、『製造』の3業界で、『金融』、『卸売』、『小売』、『運輸・倉庫』が横ばい、『サービス』のみが前月から悪化となった。『建設』は3カ月連続の改善となり、「大型工事はないが、途切れなく工事がある」などの声が聞かれた。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比4.8ポイント減の40.7、「6カ月後」は前月比2.1ポイント減の43.7、「1年後」は前月比1.2ポイント減の44.8と3指標ともに前月から悪化となった。『中国』も3指標共に前月から悪化となっており、先行きへの警戒感が強まったことが窺える。

■島根県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.2

0.2

2カ月ぶりに改善

・概況

「島根」の景気DIは2カ月ぶりに改善した。業界別では『小売』、『建設』が前月から改善したほか、規模別では集計の大半を占める「中小企業」、「小規模企業」が改善したことで、わずかだが全体を押し上げた。他方、企業からの声では、「価格改定により販売数の減少が予想される」(製造)、「新築着工の落ち込み」(卸売)、「豊富な公共工事発注量が期待できない」(建設)など、悲観的な見解が多く状況は一進一退にある。米国の追加関税措置の影響が懸念される中、「大企業」が悪化するなど不確実性が一層高まるものとみられる。

・景気DI

「島根」の景気DIは前月比0.2ポイント増の41.2となり、2カ月ぶりに改善した。他方、山陰両県を除く中国3県が悪化し、『中国』(41.4)の景気DIは2カ月ぶりに悪化した。都道府県順位は前年同月27位から25位とわずかに上昇したが、全国(42.7)との比較では1.5ポイント下回る結果となった。

・規模別DI

「中小企業」(41.0)は前月比0.6ポイント増、「小規模企業」(40.6)も同3.1ポイント増と改善したが、「大企業」(43.8)が同6.2ポイント減と下げ、前月から一変する結果となった。「大企業」と「中小企業」の格差は2.8ポイントとなり、前月拡大した規模間格差は再び縮小する結果となった。

・業界別DI

集計対象8業界中、4業界が改善、3業界が悪化、1業界で横ばいとなった。前月改善した『卸売』、『サービス』が悪化したほか、『製造』は8カ月連続30台にとどまった。他方、『小売』はポイントを大きく上げたほか、『不動産』は前月横ばいながら、景気判断の分かれ目となる50を維持したことで、全体を押し上げた。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は42.9(前月43.7)、「6カ月後」は44.1(前月44.9)、「1年後」は44.4(前月44.7)と、3指標すべてが悪化した。全国(43.6、44.0、44.5)との比較では「6カ月後」がわずかに上回ったが、「3カ月後」、「1年後」は4カ月連続で下回り、先行き不透明な状況が続く。

■岡山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.5

-1.1

4カ月連続で悪化、この1年間で最も低く

・概況

「岡山」の景気DIは、4カ月連続で悪化して、この1年間で最も低くなった。輸出関連産業を中心に、トランプ関税の影響を受ける『製造』は2カ月連続で40を下回った。物価高に伴い買い控えが続く『小売』は悪化幅が大きく40割れに近づいた。『サービス』はインバウンド需要に支えられているものの、26カ月ぶりに50を下回った。二転三転する関税政策によって、多くの業界が影響を受けるなか、先行き見通しは3指標がそろって3カ月連続で悪化するなど、厳しい見方が続いており、不透明感が景気を下押しするリスクとなった。

・景気DI

「岡山」の景気DIは、前月比1.1ポイント減の42.5となり、4カ月連続で悪化した。前年同月のDIと並び、この1年間で最も低くなった。『全国』(42.7)より0.2ポイント低く、5カ月ぶりに『全国』を下回った。47都道府県別の順位は前月から横ばいの15位、中国5県では2カ月ぶりに1位となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比2.5ポイント減の43.2となり、2カ月連続で悪化した。「中小企業」は同0.8ポイント減の42.4となり、4カ月連続で悪化した。うち「小規模企業」は同0.8ポイント増の39.5となり、2カ月連続で改善した。「大企業」の悪化幅が大きく、規模間格差は2.5から0.8に縮小した。

・業界別DI

9業界中、「悪化」が6業界、「改善」が3業界だった。『卸売』は2カ月連続で改善、『運輸・倉庫』は3カ月ぶりに改善した。一方、『小売』は前月比5.2ポイント減と大幅に悪化したほか、『建設』は2カ月ぶり、『製造』は2カ月連続で悪化した。『サービス』も2カ月連続で悪化し、26カ月ぶりに50を下回った。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比0.5ポイント減の43.4、「6カ月後」は同1.2ポイント減の43.0、「1年後」は同1.6ポイント減の43.4となり、3指標がそろって3カ月連続で悪化した。前年同月と比べると3指標がそろって悪化するのは5カ月連続。

■山口県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.1

-1.7

2カ月ぶりに悪化

・概況

『山口』の景気DIは42.1と前月比1.7ポイント減、2カ月ぶりの悪化となった。『製造』は6カ月連続で悪化しており、「顧客の自動車メーカーが生産量を落としている」(化学品製造業)など米国の関税政策による影響がみられる。『卸売』は3カ月連続で悪化し、『小売』、『運送・倉庫』も前月より大きく悪化するなど、物価高騰による消費意欲の減退や出荷減、荷動きの鈍さなどの声があがる。受注環境の悪化や人手不足に加えて、トランプ関税に対する先行き不安感も高まっており、今後の景気は一進一退の状況が続くとみられる。

・景気DI

「山口」の景気DIは、前月比1.7ポイント減の42.1となり、2カ月ぶりに悪化し、都道府県順位は19位(前月は14位)と後退した。『全国』42.7に比べ0.6ポイント低く、2カ月ぶりに『全国』を下回った。一方、5カ月連続で前年同月を下回っており、昨年来の傾向は続いている。

・規模別DI

「大企業」が前月比6.1ポイント悪化の41.7、「中小企業」は同1.1ポイント悪化の42.2、「小規模企業」は同0.6ポイント悪化の41.8と2カ月ぶりに全ての規模で悪化を示した。「大企業」と「中小企業」の差は-0.5で6カ月振りに「大企業」が下回った。

・業界別DI

『農・林・水産』は3カ月ぶり、『サービス』は2カ月ぶりに前月から改善したものの、『建設』、『製造』、『卸売』、『小売』、『運輸・倉庫』は前月から悪化した。『製造』は6カ月連続、『卸売』は3カ月連続の悪化で、『製造』と『小売』は30台と低位になっている。

・先行き見通しDI

3カ月後が45.1(前月45.6)、6カ月後は46.4(同46.6)、1年後も46.1(同47.4)と2カ月ぶりに全ての期間で前月より悪化を示したが、現状より改善に期待する見通しに変わりはない。業界別では『建設』、『製造』、『卸売』、『サービス』が全ての期間で改善の見通しを示している。

「中国ブロック(2025年04月)」の詳細(中国ブロック:鳥取・島根・岡山・広島・山口)