■北関東ブロック
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
40.7 | -0.7 | 2カ月ぶりの悪化 |
・概況
『北関東』の景気DIは40.7となり、2カ月ぶりに悪化した。年度末に向けた歓送迎会需要のほか、引き続きインバウンド需要も下支えになった。しかし、一方で自動車や半導体関連の受注減を訴える声が聞こえる『製造』をはじめ、価格高騰による影響や米国の関税引き上げ問題が幅広い業界で景況感を下押し、天候不順も追い打ちをかける形となった。「1年後」の見通しDIはわずかに改善したものの、輸出関連企業を中心に先行きへの懸念の声も多く、当面の景気は力強さに欠ける状態が続きそうだ。
・景気DI
『北関東』の景気DIは40.7となり、前月から0.7ポイント悪化した。悪化は2カ月ぶりで、DIが41を割り込むのは2024年6月以来。域内5県では「山梨」のみが改善し、「群馬」は横ばい、「茨城」「栃木」「長野」が悪化した。全国10地域での順位は前月から一つ後退して8位だった。
・規模別DI
「大企業」(44.9)、「中小企業」(40.2)、「小規模企業」(39.0)となり、それぞれ2カ月ぶりに悪化した。なかでも「小規模企業」は4カ月連続でDIが40を下回った。また、「大企業」は前月から1.6ポイント大きく減少し、2024年10月以来の悪化幅(この時は2.2ポイント減)となった。
・業界別DI
全10業界中、改善したのは『運輸・倉庫』『サービス』の2業界。『不動産』『金融』など8業界で悪化した。8業界で悪化するのは2024年1月以来。『農・林・水産』『製造』は2カ月連続で悪化し、なかでも『製造』は『卸売』と共に、2024年1月以来、DIの40割れが続く。他方『運輸・倉庫』は、2カ月連続改善。
・先行き見通しDI
「3カ月後」(42.7、前月は43.0)「6カ月後」(43.8、同44.0)「1年後」(45.2、同44.9)となり、「1年後」のみ前月から改善した。業界別では、「1年後」の見通しが最も高いのは『サービス』(49.1)。また、現状より「1年後」が下回るのは『農・林・水産』と『建設』の2業界となった。
■茨城県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
40 | -1.1 | 2カ月連続で悪化 |
・概況
3月の景気DIは前月比1.1ポイント減の40.0となり、2カ月連続で悪化。「40」を割り込む寸前で何とか踏みとどまった格好だ。もし割り込むことになれば、2023年1月(39.6)以来となる。企業からは「物価高によるさらなる消費の低迷が見込まれる」など、先行きに対して厳しい意見が多い。「職人が不足しており、仕事はあるが請け負うことができない」といったように人手不足も深刻化している。さらに、トランプ関税強化による県内経済への影響も懸念され、茨城県の景気DIは当面低い水準での推移が続く可能性が高い。
・景気DI
「茨城」の景気DIは前月比1.1ポイント減の40.0となり2カ月連続の悪化。物価高と人手不足が企業マインドの悪化に拍車をかけた。「40」を割り込む直前まで冷え込んでおり、「全国」(43.5)より3.5ポイントも低いことになる。米トランプ政権が打ち出した関税強化に対する警戒感の広がりもマイナス要因に。
・規模別DI
「大企業」は前月と変わらず42.3。一方、「中小企業」は前月比1.2ポイント減の39.8、「小規模企業」に限ると同0.5ポイント増の40.0と強弱まちまち。「中小企業」の悪化は原材料やエネルギー価格の上昇、高止まりによる収益の落ち込みが主な要因。「小規模企業」の改善は年度末需要がプラス材料となった。
・業界別DI
『卸売』『製造』『サービス』など5業界が悪化。改善したのは『農・林・水産』『小売』『建設』3業界。悪化幅が大きかった『卸売』は仕入価格の上昇に対して価格転嫁が追いつかないことへの懸念・危惧が下押し材料となった。一方、『農・林・水産』は野菜価格の上昇や飲食店向け需要の拡大等が追い風となり、大きく改善。
・先行き見通しDI
「3カ月後」41.6、「6カ月後」41.5、「1年後」43.4となり、いずれも前月を下回った。3指標が揃って悪化するのは2カ月連続。企業からは「原材料、エネルギー価格の高騰で利益確保できない」「物価高や為替相場、世界情勢の影響で先行きが不透明で見通しが立たない」など、今後を懸念する声が多く聞かれた。
■栃木県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
42.3 | -1 | 2カ月連続の悪化、『小売』厳しい環境 |
・概況
3月の景気DIは2カ月連続で悪化が見られ、県内の企業マインドは一進一退が続いている。企業からは、「資材、電気、燃料などの高騰が企業収益を毀損している。価格転嫁も理解が得られない」(製造)、「地域格差も大きいのでは。大阪万博の影響で、関東の不振は否めない」(サービス)、「短い期間でかなり値上げをしたので、今以上の値上げは需要の不振を招く」(小売)など、悪いスパイラルから抜け出せない実態が寄せられている。物価や消費の悪循環、人件費のコストアップなど、企業を取り巻く環境は今後も厳しさが続くもよう。
・景気DI
3月の景気DIは42.3と前月比1.0ポイントの悪化となった。これで2カ月連続の悪化となり、引き続き県内の企業マインドは改善と悪化を短いスパンで繰り返す不安定な状況が続いているようだ。全国の43.5との比較では1.2ポイント低く、物価高と価格転嫁のバランスが悪く、収益が改善しない様子が窺える。
・規模別DI
「大企業」46.0(前月47.7)、「中小企業」41.5(同42.5)と、いずれも下落し、多くの企業が景況感の悪化を示唆している。大企業は、価格転嫁の影響は少ないものの、原価や人件費の高騰はロットの大きさに比例して影響も大きく、収支バランスを崩すケースが見られる。また、中小は価格転嫁で苦しい。
・業界別DI
主要業界では、『サービス』、『建設』が受注好調の中で資金繰りも余裕のある企業が多いものの、『小売』や『製造』ではDI値30台にとどまり、多くの企業が値上げと販売不振の板挟みの中で厳しい環境を強いられている様子も窺える。特に小売は先月比5.1ポイントの大幅悪化を示し、一般消費の停滞が厳しい様子も見られた。
・先行き見通しDI
「3カ月後」44.2(前月44.6)、「6カ月後」45.4(同44.9)、「1年後」46.1(同44.7)と、先行き見通しはやや改善が見られる。「受注は好調、2年後の話まで出ている」(建設)や、「参議院選挙のあと、変化に期待」(製造)などの声があった。米国の関税政策なども大きく影響しそうだ。
■群馬県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
41 | 0 | 大企業と中小企業で明暗分かれる |
・概況
群馬県内企業からは「海外からの旅行客に加えて国内観光客も好調」(サービス)、「食品関連工場へ機械設備の導入が増えた」(卸売)といった明るい声が聞かれる。一方、「顧客層が高齢化、物価高騰を背景として買い控えが起きている」(小売)という厳しい意見もある。この結果、3月の景気DIは前期比横ばいとなった。物価高、人手不足、賃金上昇、金利上昇局面を危惧する意見が数多くあがっているほか、トランプ関税が輸出産業に与えるマイナス影響など、不確実性が高まっており、予断を許さない景況感が続くものと予測する。
・景気DI
景気DIは41.0と前月比横ばいとなった。『全国』も前期比横ばい(43.5)で推移したため、「群馬」の47都道府県別順位は31位(前月31位)で変わらず。『北関東3県』においては「栃木」を下回った。
・規模別DI
「大企業」は前月比2.3ポイント増の48.7となり、3カ月ぶりに改善した。一方で、「中小企業」は同0.1ポイント減、「小規模企業」は同2.5ポイント減の37.7とそれぞれ2カ月ぶりに悪化した。「大企業」と「中小企業」「小規模企業」で明暗が分かれ、規模間格差は8.3ポイントに拡大した。
・業界別DI
前月と比較可能な9業界では、『建設』など4業界が悪化、『卸売』『製造』など4業界が改善した。『農・林・水産』は横ばいだった。インバウンド需要が追い風となった『サービス』は3カ月ぶりに50を上回った。物価高で買い控えがみられる『小売』は2カ月ぶりに悪化した。
・先行き見通しDI
「3カ月後」が42.6(前月42.7)、「6カ月後」が43.2(前月44.3)、「1年後」が43.6(前月42.9)となった。「3カ月後」「6カ月後」の2指標が前月より悪化。「1年後」は改善した。短期的な景況感を不安視する様子がうかがえる。
■山梨県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
44.8 | 0.4 | 2カ月連続改善 |
・概況
「山梨」の景気DIは2カ月連続で改善した。企業からは、「暖かくなってきたため、人手が出てきている」(飲食料品製造)、「レジャー関連はインバウンド需要が継続し堅調。ビジネス関連はトランプ政策で不透明感は増しているが、実需への影響はまだ薄い」(リース・賃貸業)などの声が聞かれた。一方、「半導体関連の見通しが悪く、設備投資が控えられている。自動車関連も同様」(精密機械製造)などのマイナスの声も多い。先行きについては、トランプ関税に加え、半導体関連の回復が遅れているため、景況感は悪化するとみられる。
・景気DI
「山梨」の景気DIは前月比0.4ポイント増の44.8となり、2カ月連続で改善した。全国は同横ばいの43.5となった。「山梨」は全国を1.3ポイント(前月は0.9ポイント)上回っており、全国都道府県別順位は前月と同じ8位となった。
・規模別DI
「大企業」は前月比2.4ポイント減の51.4、「中小企業」は同0.8ポイント増の44.0、「小規模企業」は同2.2ポイント増の41.1となった。「大企業」と「中小企業」との規模間格差は、「大企業」が悪化したため、前月より3.2ポイント縮小して7.4ポイント差となった。
・業界別DI
前月と比較可能な10業界中、3業界が改善、3業界が悪化、4業界が横ばいとなた。『サービス』と『建設』は、4カ月ぶりに改善した。『サービス』は2カ月ぶりに、『建設』は12カ月連続で判断の分かれ目となる50以上となっている。
・先行き見通しDI
「3カ月後」45.4(前月44.5)、「6カ月後」46.5(同44.7)、「1年後」47.8(同47.1)となった。先に行くほどDIは高くなっている。『農・林・水産』『金融』『不動産』『サービス』『その他』の5業界が、3指標とも50以上となっている。
■長野県
今月の景気DI | 前月比 | 今月の特徴 |
38.5 | -1 | 2カ月ぶりに悪化、 2021年2月以来の低水準 |
・概況
3月の「長野」の景気DIは、2021年2月以降で最低となり、コロナ禍レベルの厳しい結果となった。都道府県別順位も、2024年1月以来の低順位。企業からは「価格転嫁の進まない状況で燃料、資材、光熱費などが上がるため、財務状況が圧迫」(出版・印刷)などのコメントが多い。さらに、「収益にかかわらず、人件費を上げていかないと人員を確保できない」(運輸・倉庫)など人手不足の深刻さもうかがえる。さらに、「トランプ関税による景気の悪化が懸念される」(各種商品小売)と先行きの不透明感を危惧する声も多く聞かれる。
・景気DI
「長野」の景気DIは38.5と、前月比1.0ポイント低下し、2カ月ぶりに悪化。38.1だった2021年2月以降で最低となった。横ばいだった「全国」を5.0ポイント下回り、前月よりも格差は1.0ポイント広がったため、都道府県別順位は43位と5ランクダウンし、2024年1月の44位以来の低位となった。
・規模別DI
前月比で「大企業」は3.3ポイント、「中小企業」は0.7ポイント、「小規模企業」は2.0ポイントそれぞれ悪化した。規模間格差は「大企業」と「中小企業」が前月比2.6ポイント、「大企業」と「小規模企業」も同1.3ポイントそれぞれ縮小したが、「中小企業」と「小規模企業」の差は1.3ポイント拡大した。
・業界別DI
人手不足により供給が需要を下回る状況が続いている『運輸・倉庫』は前月比5.4ポイント、『建設』は同1.2ポイントそれぞれ改善。『卸売』も同2.3ポイント改善した。一方、設備や人材などで企業間格差が大きい『サービス』は同3.6ポイント、『小売』は同2.8ポイント、『製造』は同0.7ポイントそれぞれ悪化した。
・先行き見通しDI
「長野」全体、全ての規模、業界別の『製造』、『卸売』は、前月同様に長期になるほど改善する予想。『建設』と『運輸・倉庫』は一進一退、『小売』と『サービス』は1年後の改善を見込む。「長野」全体としては、27カ月連続で長期になるほど改善を予想する。