レポート金融円滑化法に関する金融機関アンケート調査

計画目標達成企業の割合、金融機関の過半数が「4 割以下」と回答~今後の倒産減少を見込む金融機関はゼロ~

はじめに

多くの中小企業の資金繰りを助け、倒産を回避させてきた金融円滑化法の適用期限(2013 年3月末日)まで、あと3 ヵ月余り。11 月1 日に金融担当大臣が改めて談話を発表したとおり、同法の期限到来後も「借り手である中小企業の状況を把握し、円滑な資金供給に努めるべき」という金融機関のスタンスは何ら変わらない見通しである。しかし、足元では、金融機関から同法に基づく貸出条件変更等の支援を受けているにも関わらず、業績不振などから倒産に至る企業倒産(「金融円滑化法利用後倒産」)が増加している。
こうしたなか、貸出条件の変更を受けた企業の現状を把握し、今後の動向を推測するために、帝国データバンクでは金融機関に対し「金融円滑化法に関するアンケート調査」を実施。これまでの取り組みの「現状」と、金融円滑化法の期限到来を踏まえた「今後の見通し」を聞いた。
なお、同様のアンケートは今回が初めてである。
【調査対象】全国516 の普通銀行(信託銀行、ネット専業銀行は除く)、信用金庫、信用組合
【調査期間】2012 年10 月30 日~11 月28 日
【調査方法】調査票(選択式および記述式)郵送
【回答数】359 機関(回答率69.6%)
金融機関分類別 = 普通銀行:56、信用金庫:220、信用組合:83
本店所在地別 = 北海道:27、東北:38、関東:75、北陸:35、中部:55、近畿:40、中国:31、四国:12、九州:46

調査結果

1. 金融機関が融資取引を行っている企業のうち、貸出条件の変更等を実施した企業の割合は「20%以下」との回答が66.9%を占め、また「21~40%」は28.4%となった。
2. 金融機関が経営改善計画の提出を受けている企業のうち、計画目標を達成している企業の割合は「40%以下」にとどまるとの回答が過半数を占めた。
3. 金融円滑化法の期限到来後、再度の条件変更を申し込まれた場合、これに応じると見込まれる企業の割合は「81%以上」との回答が業態を問わず最多となった。
4. 同法の期限到来後の企業倒産動向について、「やや増加する」との回答が58.2%を占めトップ。「大幅に増加する」1.7%と合わせ、企業倒産が増加すると見込む金融機関が6 割を占めた。

20121210_金融円滑化法に関する金融機関アンケート調査.pdf

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