■調査結果のポイント
- 6月の景気DIは前月比0.3ポイント増と3カ月ぶりに改善した。一部業種、地域で回復の遅れがみられたが、消費増税による影響は和らぎ、景気は再び上昇する兆しが現れた。今後、消費増税の影響が一部で残る懸念もあるが、賃上げなどを背景として個人消費の回復が期待され、国内景気は緩やかに上昇していくとみられる。
- 消費増税の影響を大きく受けた『小売』は百貨店やスーパーなどを中心に小幅ながら2カ月連続で改善した。他方、自動車販売は厳しい状況が続いた。
- 地域別では、輸出や公共工事が堅調だった『東海』や『九州』など10地域中6地域が改善した。規模別では、「中小企業」が3カ月ぶりに改善したものの、原材料や電力などコスト上昇分の価格転嫁が進まずわずかな回復にとどまった。
< 2014年6月の動向 : 再上昇の兆し >
2014年6月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比0.3ポイント増の46.5となり3カ月ぶりに改善、4月に引き上げられた消費税増税の影響は和らいだ。
しかし、業界間や業界内、地域によっては消費税ショックの影響が長引いており、全体として回復はまだら模様の状態となった。『小売』は、百貨店やスーパーを中心に2カ月連続で改善したものの、品目により回復のバラツキがみられ小幅な改善にとどまった。また、『建設』は公共工事や企業の設備投資が堅調に推移したことで6カ月ぶりに改善した。ただ、住宅投資は依然として弱く、建材関連の製造・卸売は未だ悪化が続いている。規模別では、3カ月ぶりに「大企業」と「中小企業」が改善したが、原材料や電力などのコスト上昇が負担となっている「中小企業」はわずかな回復にとどまった。
国内景気は、一部業種、地域で回復の遅れがみられるものの、消費増税の影響が和らぎ再び上昇する兆しが現れた。
< 今後の見通し : 緩やかに上昇 >
今後の景気は消費税ショックからの回復がより幅広い業種、地域に広がり、中小企業へと波及することが重要となる。有効求人倍率がバブル崩壊以降で最高となるなど売り手市場が続く雇用環境の改善をはじめ、堅調だった夏のボーナスや中小企業の6割超で実施された賃上げなどによる消費刺激が期待でき、企業業績の改善に好材料となる。さらに、政府による景気対策の実施が本格化し景気の下支えも見込まれる。
原油価格の高止まりや電気料金の値上げなどインフラ関連のコストアップ、人手不足による案件受注の取り逃しに加えて、消費増税の影響が一部業種で長引く懸念もあるものの、今後の国内景気は、個人消費の回復にともない緩やかに上昇していくとみられる。
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