はじめに
2016年10月1日から20日にかけて最低賃金が改定された。2016年度の最低賃金の改定は、政府の「ニッポン一億総活躍プラン」や「経済財政運営と改革の基本方針2016」(骨太の方針)、「日本再興戦略2016」などを踏まえ、最低賃金が時給で決まるようになった2002年度以降で最高額の引き上げとなり、すべての都道府県で700円を上回ることとなった。そのため、収入増加による消費活性化などが期待される一方で、人件費上昇による企業収益の悪化などが懸念されている。※
そこで、帝国データバンクは、最低賃金の引き上げに関する企業の見解について調査を実施した。なお、本調査は、TDB景気動向調査2016年9月調査とともに行った。
■調査期間は2016年9月15日~9月30日、調査対象は山梨県内企業201社で、有効回答企業数は87社(回答率43.3%)。
■本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(https://www.tdb-di.com/)に掲載している。
※最低賃金制度とは、国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金以上の賃金を労働者に支払わなければならないとされている制度。改定後の最低賃金は全国平均で25円引き上げられ、地域別では都道府県ごとに21~25円引き上げられ時給714~932円となる(産業別最低賃金等は別途定められる)。
調査結果
- 最低賃金の改定を受けて給与体系を「見直した(検討している)」企業は26.4%だった。他方、「見直していない(検討していない)」企業は64.4%だった。
- 従業員を実際に採用するときの最も低い時給は、893円。最低賃金(759円)を134円上回る。『東京』において最低賃金と採用時最低時給の差額が最も大きかったが、差額が大きい地域は西日本が上位を占めた。
- 今回の引き上げ額について、「妥当」と考える企業が42.5%で最多。「妥当」は「高い」(11.5%)、「低い」(14.9%)を大きく上回り、総じて企業側に受け入れられている様子がうかがえる。
- 自社の業績に対する影響では、「影響はない」が66.7%で最多。「プラスの影響がある」は1.1%にとどまった一方、「マイナスの影響がある」は21.8%と2割を超えた。
- 今後の消費回復への効果について、「ある」と考える企業は9.2%にとどまる一方、「ない」は63.2%と6割超で、消費回復に対しては懐疑的な見方をする企業が多数を占める。
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