1.景気は持ち直しの動きみせるも、業種により差
企業の景況感について、2020年9月のTDB景気動向指数(景気DI)は4カ月連続で前月比プラス(1.9ポイント増)の31.6となった(図表1)。
9月は、堅調な公共工事や連休中の外出増加、緩やかに上向いた設備投資意欲などがプラス要因であった。
加えて、自宅内消費の拡大やリモートワークの広がりによる住宅ニーズの高まりなどもみられた。また、5G(第5世代移動通信システム)やインターネット接続にともなう電気通信工事も活発だった。他方、新型コロナウイルス感染拡大の影響が続くなか、景況感の持ち直しは業種により温度差が表れる傾向もみられた(図表2)。
業種別では、『建設』が4カ月連続でプラスとなり、景気DIは3月以来6カ月ぶりに40を上回った。災害復旧などの公共事業が堅調に推移している土木工事や、5Gや光回線などの設備工事が旺盛な電気通信工事がプラスに寄与したとみられる。他方、新設住宅着工戸数の減少傾向や商業施設のテナントの空洞化は、建築工事や内装工事などに悪材料となり、それらの業種で持ち直しの動きに弱さがみられた。また、『建設』の雇用過不足DIは、正社員・非正社員ともに6月以降4カ月連続で上昇しており、建設業の人手不足感は再び強まってきている。
2020年9月の国内景気は、業種によって回復に差がみられたものの、持ち直しの動きが表れた。