レポート山形県「無借金企業」調査

無借金企業の比率は8.5%で全国7位 ~ 2020年の無借金企業数は112社、キャッシュリッチ企業は239社 ~

2021/07/09

はじめに

会社経営にあたり、「借入金」は企業の成長に大きな影響を与える。金融機関から融資を受け手元資金を増やすことで、設備投資や新規事業の開始など経営上の選択肢が増える一方で、過大な借入金を抱えることが資金繰りをひっ迫させて経営を不安定なものにする可能性も高まる。逆に借入金に頼らない「無借金経営」は本業が安定していることを示し、利益の再投資による社業の発展なども期待される。現在のコロナ禍における不安定な経済情勢のなかにあっては、借入金に頼らない身軽な経営を行っている「無借金経営企業」は特筆される存在であり、地域経済の安定面に寄与するポジションにあるといっても過言ではない。

そこで、帝国データバンク山形支店では、財務データベース「COSMOS1」を用いて、2019年から2020年に決算を行った山形県内企業から無借金企業を抽出し、業種別、売上規模別、地域別などに分析した。また、経営規模に比べて潤沢なキャッシュを保有するキャッシュリッチ企業も抽出した。「無借金企業」の分析は山形支店では初となる。


■本調査における「無借金」の定義は、2019年1月期~2020年12月期の決算書上で「短期借入金」「長期借入金」「1年以内返済長期借入金」「社債」「1年以内償還予定社債」がゼロの企業とした
■抽出対象は2019年1月期~2020年12月期の決算書データで、母数となる対象企業は2019年が1865社、2020年が1325社
■キャッシュリッチ企業:(現金・預金+有価証券-有利子負債)/総資産×100=20%以上

調査結果

  1.   2020年1月期~12月期の財務データにおける山形県内の無借金企業は112社判明。調査対象企業に占める無借金企業の割合(以下、無借金率)は8.5%となった。また、無借金ではないものの潤沢なキャッシュを保有するキャッシュリッチ企業は239社判明し、対象企業の18.0%を占める結果となった
  2.   業種別に見ると(2020年)、件数では「建設業」が最多、「卸売業」「製造業」などが続いた。無借金率では、「卸売業」が唯一1割を超えた
  3.   売上規模別に見ると(2020年)、件数では「10億円~100億円未満」が最も多く、「1億円~10億円未満」「1億円未満」と続いた。無借金率では「100億円~1000億円未満」が最も高く、「10億円~100億円未満」が続き、ともに10%台となった
  4.   地域別に見ると(2020年)、件数では「山形市」が最も多く、「鶴岡市」「酒田市」が同数で続いた。無借金率では、「西村山郡」「村山市」「最上郡」などで高かった
  5.   全国47都道府県別(2020年)では「山形県」の無借金企業数は22番目、無借金率は7番目となった
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