2021年4月、それまで親族内承継を中心に中小企業の事業承継を支援してきた「事業承継ネットワーク」と、第三者への事業承継を支援してきた「事業引継ぎ支援センター」が統合され、事業承継に関する相談に対応する公的機関として、「事業承継・引継ぎ支援センター」が発足した。
センターでは、民間のM&A仲介会社があまり取り扱わないような小規模M&A案件を取り扱うことも多い。そうしたスモールM&Aの現状と、それに対するセンターの活動内容について、東京都事業承継・引継ぎ支援センター(以下、東京センター)の統括責任者である、吉田 亨 氏に話を聞いた(取材:2021年12月)。
2021年度の、第三者承継の相談状況はいかがでしたか
2020年度はコロナの影響で多くの案件が止まってしまったというのが実感ですが、2021年度には復調を見せ、通年度の成約件数は過去最大に近い水準となる見通しです。コロナ禍が長引いていることで、「ウィズコロナの中で今後どうしていくか?」という考え方が浸透してきたように思います(図表1)。