レポート

若手に求める姿勢・行動は何で決まるのか~業種よりも影響したもの~

情報統括部 情報統括課
主任研究員 石井ヤニサ

少子化などにより人材の確保と定着が一層困難になっています。こうしたなか、企業においては既存人材の能力を最大限に引き出すことが重要な課題となっています。

なかでも、成長余地が大きく、将来的に重要な役割を担う若手社員の指導・育成の必要性は一段と高まっています。帝国データバンクでは、そんな若手に対して企業が身につけてほしい姿勢や行動についてアンケートを実施したところ、「主体性・積極性がある(自ら考えて行動できる)」を選ぶ企業の割合が68.4%で突出して高くなりました。次いで、「責任感がある」(34.4%)、「学び続ける姿勢がある」(25.2%)が続き、主体性や自律性のほか、成長意欲に関する項目も上位に並ぶ結果となりました[1]。

一方で、こうした価値観は大企業と中小企業、老舗企業と新興企業、年齢が高い社長と若い社長など、企業の属性によって異なるとも言われます。そこで実際にデータを用いて検証してみました[2]。

その結果、統計的に有意な差が確認されたのは従業員規模でした。意外にも、企業年齢や社長年齢、業種については明確な差は確認されませんでした。むしろ、誰が経営しているかや、どのような事業を営んでいるかよりも、どのような組織であるかという企業の構造的な特徴が、若手に求める姿勢や行動に影響していることがうかがえます。

では、従業員規模の違いによって、若手社員に求める姿勢や行動にはどのような特徴がみられるのでしょうか。

従業員数が多い企業ほど求める傾向が強くみられたのは、「学び続ける姿勢がある」「OJT・後輩指導ができる」「失敗を恐れず挑戦できる」でした。大規模な組織では長期的な育成を前提とした人材活用が行われることも多く、学習や挑戦を通じた将来的な成長への期待が背景にあると考えられます。また、「チーム全体の成果を意識して行動できる」についても有意な差が確認されており、組織内での連携や役割分担が重視される環境を反映しているのかもしれません。

 一方、従業員数が少ない企業では、「責任感がある」「仕事が正確である」「謙虚さがある」を重視する傾向がみられました。少人数の組織では個々の行動が業務全体に与える影響も大きいため、日々の業務を着実に遂行できる信頼性や正確性、協調性がより求められていることがうかがえます。

 今回の分析からは、企業が若手社員に求める姿勢や行動は、業種や経営者の属性よりも従業員規模との関係が強いことが示されました。自社の組織特性に応じて若手社員に期待する役割や育成のあり方を考えることが、今後ますます重要になるのではないでしょうか。


[1]帝国データバンク「若手社員に身につけてほしい姿勢・行動アンケート」(2026年5月21日発表)

[2]ロジスティック回帰分析を用いて、企業年齢、社長年齢、業種、地域、従業員数などの要因が各項目の選択に与える影響を検証した。多重比較による偶然の差を避けるため、有意性の判定にはFDR補正を用いた

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