レポート

令和8年熊本地震、被災地の外で広がる影響

情報統括部 情報統括課
主任研究員 石井ヤニサ

2026年7月28日、熊本県熊本地方を震源とする「令和8年熊本地震」が発生しました。被災された皆さまに謹んでお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。

帝国データバンクが実施した調査[1]では、今回の地震による自社の企業活動への影響について、『影響がある(見込み含む)』と回答した企業は15.7%となりました。

地域別では、被災地である『九州』が53.9%と突出して高い結果となりました。では、業界別ではどのような違いがみられたのでしょうか。

主要業界別にみると、『影響がある(見込み含む)』企業の割合が最も高かったのは『小売』の21.8%でした。本調査および「TDB景気動向調査」では、九州地域の化粧品販売店やスーパーストアから、熊本県内の店舗被災や商業施設の営業停止を指摘する声が寄せられました(企業からの声〈抜粋〉は次ページ参照)。また、神奈川県の二輪自動車販売店からは商品の入荷遅延を懸念する声も聞かれています。被災による販売機会の減少だけでなく、仕入れ面でも地域の内外を問わず影響が広がっている様子がうかがえます。


『影響がある(見込み含む)』企業割合~主要業界~

次いで高かったのが『製造』の21.1%でした。注目されるのは、その内訳です。『九州』の企業は約2割にとどまった一方、約8割は『南関東』『東海』『中国』など他地域の企業でした。地震の揺れによる直接被害に加えて、サプライチェーンを通じた間接的な影響が全国へ広がりつつある実態が浮かび上がっています。

企業からの声(抜粋)

なかでも、自動車操縦装置や金属プレス製品を製造する自動車部品メーカー(それぞれ長野県、群馬県)からは、完成車メーカーの操業停止や減産の影響を受けているとの声が聞かれました。また、飲食料品・飼料メーカーからも、資材調達の遅延や一部物流の停滞を指摘する声が寄せられています。

さらに、『卸売』も17.9%と全体を上回りました。自動車や機械器具関連製品の仕入れ遅延のほか、建築材料卸売業では、顧客への配達の遅れが生じている企業もみられています。

 総じて、今回の地震では、設備や建物の損傷といった直接的な被害に加え、通行止めや生産の一時停止・減産などを背景とした仕入れや出荷の遅延が発生しています。その影響は被災地域の内外を問わず広がりつつあり、とりわけサプライチェーンとの結び付きが強い業界ほど影響を受けた企業の割合が高い傾向にあります。

直近のTDB景気動向調査では、「地震によって宿泊のキャンセルが多数発生している」や「今後は自動車メーカーなどのライン停止が受注減につながる可能性があり、先行きの見通しが立てにくい」といった声も聞かれます。現時点では影響が限定的であっても、今後さらに広がる可能性には注意が必要です。

今回の地震は、自然災害が地域経済だけでなく全国の企業活動に影響を及ぼすことを改めて示しました。被災地域の早期復旧・復興はもちろんのこと、企業においても代替調達先の確保や販路の多様化、事業継続計画(BCP)の策定・見直しなど、平時からの備えを強化し、事業が継続できなくなるリスクを低減していくことがこれまで以上に重要になっているといえるでしょう。


[1] 帝国データバンク「令和8年熊本地震の影響と防災に関する企業アンケート」(2026年8月14日発表)

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