レポート

史上最大のサッカーW杯、その経済効果は日本に及ぶか?

情報統括部 情報統括課
主任研究員 石井ヤニサ

2026年FIFAワールドカップが開幕しました。史上初となる北中米3カ国・16都市にまたがる広域開催に加え、出場国は48カ国へ拡大、開催期間も長期化し、規模は過去最大となります。世界のサッカーファンは約35~40億人とスポーツ界で最多とされ、約1カ月間、世界的な熱狂が広がります。国際サッカー連盟(FIFA)は今大会について、世界全体で409億ドル(約6兆円)のGDP押し上げ効果と約82万人の雇用創出が見込まれるとしています。

では、その熱狂は日本の消費をどこまで動かすのでしょうか。

帝国データバンクが実施した「TDB景気動向調査」では、前回大会(2022年)ではコロナ禍において、観戦需要にともなう食料品宅配サービスの利用増などが寄与し、「飲食料品小売」の景況感は前月比で大きく改善しました。また、各種報道によると、日本代表のユニフォームや関連グッズの売り上げも伸びていたとみられます。

今大会は、こうした宅配需要に加え、行動制限がない環境下でのパブリックビューイングや飲食店での観戦など、外出をともなう消費の拡大も期待されます。日本代表ユニフォームについても、国内の顧客のみならず、海外クラブ所属選手が過去最多となっていることを背景に、海外ファンからの関心も高まっているとみられます。なかでも、白のアウェイ用は普段使いしやすいことから人気を集め、売り上げが前回大会比で約29倍に達したとの発表もあります(アディダスジャパン)。

さらに注目されるのがテレビなど家電製品の動向です。国際的なスポーツ大会は、大型・高性能テレビへの買い替えを促すとされ、今大会でも開幕前から需要増の動きが報じられています。一方で、近年はインターネット配信の普及による視聴の分散や、製品の高耐久化による買い替えサイクルの長期化が進んでおり、その効果はかつてに比べて弱まっています。実際、直近の「TDB景気動向調査」ではテレビ用受信アンテナなどを製造・販売する会社から「従来はW杯のような大型スポーツイベントはテレビ関連の売り上げを押し上げていたが、昨今はそうした動きがみられず縮小傾向にある」といった声も聞かれます。いわゆる“特需”のあり方は、変化しつつあるといえそうです。

史上最大の祭典は、日本経済に久々の明るい流れを呼び込む契機となるのでしょうか。試合の結果はもちろん、その波及効果にも目が離せません。

20260622_主観客観