レポート

外食業界を揺るがす人材戦略の危機とは!?

情報統括部 情報統括課
主任研究員 池田直紀

日本の食卓を支える外食業界が、今、深刻な経営課題に直面しています。

それは、政府が2026年4月13日から、深刻な人手不足対策の切り札とされてきた外国人向けの在留資格「特定技能1号」について、外食分野での新規受け入れを原則停止する措置を講じているためです。この措置は、これまで外国人人材を重要な戦力として組み込んできた現場にとって、店舗を維持していく上で、大きな衝撃を与えています。

 帝国データバンクの調査[1]によると、外食業界がいかに外国人労働者に支えられているかが浮き彫りになります。現在、外国人を雇用している企業の割合は全体では2割強にとどまりますが、飲食店では4割を超え全体の約1.8倍に達しています。さらに、今後の採用拡大に意欲的な企業の割合も全体の倍近くにのぼり、飲食店にとって外国人人材の活用は、もはや一時しのぎではなく、不可欠な戦略として定着してきたといえるでしょう。

外国人労働者の雇用・採用動向

今回の受け入れ停止が特に深刻なのは、業界で築いてきた「人材育成のライン」に大きな制約が生じる恐れがある点にあります。これまでは、アルバイトとして働く留学生を現場で育成し、卒業後に「特定技能」へと資格を切り替えて正社員として定着させるという流れが、一定の役割を果たしていました。しかし、入り口である新規受け入れが止まれば、こうした人材の供給ルートそのものが細り、これまでの対応は難しくなります。これは単なる人手不足の加速にとどまらず、店舗運営そのものが立ち行かなくなる構造的なダメージを意味しています。

 「外国人人材がいれば解決する」というこれまでの前提が通用しなくなった今、外食業界には抜本的な意識改革が求められています。省人化を推進するDXの活用や、国内のシニア・副業層も働きやすい環境の整備、そして何より国籍を問わず「ここで働きたい」と選ばれるような労働条件の改善が急務です。

今回の危機は、日本の外食文化が持続可能な形へとアップデートできるかどうかを問う、厳しい試練となるといえそうです。


[1] 帝国データバンク「外国人労働者の雇用・採用に対する企業の動向調査(2025年8月)」(2025年9月26日発表)

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