レポート

中東情勢緊迫で広がる原料調達リスク ~調査データでみえる影響~

情報統括部 情報統括課
主任研究員 石井ヤニサ

中東情勢の緊迫が長期化するなか、原油価格の高騰や供給不安が企業活動に影響を及ぼしています。燃料費の上昇にとどまらず、製造業や建設業では原油を由来とする原材料の価格高騰や調達難が顕在化しています。本コラムでは、帝国データバンクの調査結果をもとに、具体的に影響を受けている業種と調達上の問題が生じている原材料を整理します。

帝国データバンクが2026年4月に実施した「中東情勢による原油価格高騰・供給不安の影響アンケート[1]」では、中東情勢の緊迫化による原油価格の高騰や供給不安が経営に「マイナス影響がある(見込みを含む)」と回答した企業は96.6%にのぼりました。影響の内訳では『原材料価格の上昇・調達難』が70.3%に達しており、『車両の燃料費の上昇・調達難』(78.6%)に次いで2番目に高くなりました。

主要業種別にみると、「飲食料品・飼料製造」は96.5%もの企業が原油由来の原材料価格の上昇・調達難の影響を受けています。具体的には、原油から作られるナフサを主要原料とする樹脂容器や食品用トレイなど、プラスチック包装資材の価格上昇や供給不安といった影響が指摘されています。また、「化学品製造」(96.3%)も同様に9割台後半となり、エタノールやアスファルト、プラスチック原料、溶剤類など、幅広い原材料で影響が及んでいます。

さらに、「鉄鋼・非鉄・鉱業」(83.8%)では「塗料用シンナーの価格上昇に加え、出荷調整や停止が出ている」といったコメントが寄せられたほか、「機械製造」(78.9%)でも、シンナーに加え、切削油・潤滑油の調達問題が指摘されています。ほかにも、「建材・家具、窯業・土石製品卸売」(75.0%)では加工に使う糊、「建設」(72.5%)では接着剤をはじめ、水道管などに用いられる塩化ビニル製品や屋根資材まで、影響は多岐にわたっています。

原油由来の原材料価格上昇・調達難の影響を受ける企業の割合
~影響が大きい主要業種と原材料例~

同調査では、現在の原油価格の水準、またはそれ以上の水準が半年程度長引いた場合、43.8%の企業が主力事業の大幅な縮小を余儀なくされる可能性があることも示唆されました。また、帝国データバンクが2026年3月に実施した「2026年度の業績見通しに関する企業の意識調査[2]」では、2026年度の業績が「減収減益」と見通す企業は22.6%と3年連続で上昇しました。とりわけ中東情勢の悪化などを背景とした原油・素材価格の動向が、業績見通しをさらに下押しする最大の要因となっています。

一連の調査結果からは、原油価格の高騰と供給不安が、エネルギーコストにとどまらず、原材料や部材の調達といった企業活動の基盤部分にまで影響を及ぼしている実態が明らかになりました。地政学的リスクを含め不確実性が高まるなか、原材料在庫の確保や価格転嫁の工夫だけでは対応しきれない局面も想定されます。今後は、資材の代替化や調達先の多様化といった中長期的な視点での対応力が、企業の業績や事業継続を左右する重要な要素となりそうです。


[1] 帝国データバンク「中東情勢による原油価格高騰・供給不安の影響アンケート」(2026年4月9日発表)
[2] 帝国データバンク「2026年度の業績見通しに関する企業の意識調査」(2026年4月22日発表)

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